VR機器がなくても大丈夫！　「VRChat」の始め方＆楽しみ方講座

　「VRChat」をご存じですか？　読んで字のごとく，バーチャルリアリティ（仮想現実）でチャット（歓談）するゲームのことです。

　この世界は個人や企業が創り上げたワールドやアバター，3Dアイテムを体験できるメタバースなプラットフォームとなっています。

　一方，耳にしたことはあっても「VR機器ないし……」と思っている人も多いでしょう。でも，VRChatはVR機器がなくても遊べるんです！


「それで，VRChatってなにができるの？」
　そんな疑問にもお答えしておきましょう。

・お中元を見繕ってきた
・いいロケーションがあったから撮影会！
・1日の始まりはやっぱりラジオ体操から
・壮年の男性ですが美少女になりました！
・フレンドと上映会。みんなと観るのって楽しい！
・ボーッとしたくて一日中すずめを眺める……
・自分の趣味を詰め込んだワールドを創った

　などなど，これらはすべてVRChatでの出来事です！

　本稿では，VRChatを（VR機器なしで）始める方法や，その先にどんな楽しみが待っているのかをご紹介します。さらに，初心者に毛が生えた程度の私に代わり“歴戦の猛者たち”の感想もいただきました。

　また後日，後編として【オススメのワールド紹介】も掲載しますので，前・後編にわたってVRChatの魅力をぜひご覧ください。

VR機器なしで始める「VRChat」

　「VRChat」はPCおよびVR機器では，Steam / Steam VR / Meta Quest / Meta rift / VIVEPORT向けに，スマートフォンではAndroid向けに配信中です。以降，本稿では【PCのSteam版で紹介】していきます。

　事前に備えておきたいのは，そこそこの性能のPCです。これはゲーム画面がすべて3Dグラフィックスで描画されるためです。
　あとはキーボードやマウス，スピーカーなどの基本的なPC用品があればOK。あると便利なのは「マイク」でしょうか。
　でも，ボイスチャットをしない人はテキストチャットを活用すればいいので，ひっそりと楽しみたいという人でも大丈夫！

　それでは導入までの流れを，順を追って説明していきますね。

◆導入方法（PCのSteam版の場合）

1：PCにゲーム配信プラットフォーム「Steam」（無料）をインストールし，アカウントを作成（ダウンロードはこちら）。


2：Steamストアで「VRChat」（無料）をインストール。

※VRChatの公式サイトなども英語表記ですが，すばらしいことに現代はブラウザ上で翻訳できる時代。英語が苦手な人でも大丈夫！

▲「VRChat」Steamページ＆推奨スペック

3：Steamライブラリで「VRChat」をクリック。ゲーム起動時は“Launch in Desktop(Non-VR)Mode”をチョイスしてください。



4：「VRChat」のアカウント作成。Steamアカウントでも遊べますが，アバターのアップロードなどができないのでVRChatアカウントを推奨。



5：各アカウントで「VRChat」にログイン。これで準備完了！

▲無事ログインできると，この部屋に出ます。カメラ視点は一人称なので，自分の姿を見たいときは少し奥にある壁の鏡の前まで行きましょう

　ログイン後は，ひとまず操作から学びましょう。

　移動方法は多くの一人称視点のゲームがそうであるように，キーボードの［W］［A］［S］［D］キーで前後左右に動きます。

　また，マウス操作で視点移動。［Shift］キーを押しながら移動でダッシュ。［Space］キーでジャンプ。［Z］キーで低姿勢（視点が低くなる）になります。最初はこれくらい覚えれば問題なしです。

▲「これが……私？」となるかもしれませんが，これはデフォルトの姿

▲鏡の右側にあるメニューをクリックすると，さまざまなアバターに変身できる！

「アバター」を着替える方法

　バ美肉という言葉を聞いたことはあるでしょうか。

　この単語は“バーチャル美少女受肉”の略で，仮想世界でかわいい女の子（のアバター）になる（＝受肉する）ことを指します。VTuber界隈でもよく使われる言葉ですが，当然VRChatでもバ美肉できます！

　それだけではありません。この世界では動物の体をまとう「バビ肉（バーチャルビースト受肉）」も，ロボの体をまとう「バロ肉（バーチャルロボ受肉……肉？）」もなんだってできちゃいます！

▲アバターの一部。女の子（タヴィー）をはじめ，動物（Ghost VRRat），ぬいぐるみ（Swan Bear），ロボット（Abandoned Computer），宇宙人（Alien Rabbit），ミミズ人間（ウォリアーワーム）などなど！　誰でもなににでもなれるのがVRChatのいいところ

▲鏡の横に表示されるアバターのほかに，［Esc］キーでアバターメニューを開き，「Public」を選ぶと紹介しきれないほどのたくさんのアバターが表示されます。「Other」は自分でアップロードしたアバター。「Legacy」は昔からVRChatに存在する定番アバターです

▲［R］キーを押し，サークル状のメニューから「モーション」や「表情変更」を実行。アバターによってはエモート（感情表現）やポーズなどの専用ギミックがついていて，アバターをとおしてクリエイターさんの個性が見えてきます！　各アバターの動作を確認しているだけで日が暮れるのでご注意ください

▲かわいいポーズ＆表情をしたらSS（スクリーンショット）を撮りたくなりますよね？　カメラを使えばこんなSSも撮れちゃいます！　カメラ機能については後述しますね〜

▲リップシンク対応アバターは声に合わせて口が動きます

　余談ですが，VRChatでは“相手との距離”によりボイスチャットの聞こえ具合も変わります。声が聞こえにくいと思ったら，うっかり移動していて相手から離れてしまっていた，なんてことがあります。

　この感覚がとってもリアル。VRに現実感を覚える瞬間ですね。

　一方，画面上での距離を気にせずフレンドとおしゃべりしたいときは，Discordなどのボイスチャットツールを使うのがオススメです。

▲Discordでの通話時，VRChat側の設定は“マイクをミュート”にし，Audio設定はMic Output Volumeを75％くらい，Mic Activation Thresholdを1％に設定すると，アバターの口は動きつつ音声が二重にならずに済むよ，と先輩プレイヤーに教わりました！
（4GamerではDiscord講座も掲載中）

▲テキストチャットは［R］キーを押し，テキストスペースを出して発言。1度の発言は最大144文字。新しく発言すると前の発言が消えます。プレイヤーのなかには無言＆ジェスチャーのみで意思疎通を図る人もいるとか？

▲VRChatは英語表示ですが，「設定」で部分的に日本語表示に変えられます。日本語訳がある場合は画面下部に表示されます

　仮想の自分をちょっと動かしたら，すこし立ち止まりましょう。

　アバターの身長が低くて視点に違和感があるな，と思ったら［R］キーで出てくる「Quick Action」のAvatar Heightで身長を調節。
　こちらはアバターの造形を縦に伸ばすものではなく，全身を拡大・縮小できる機能です。そのため体型が変わる心配もありません。

▲オリジナルマイアバター「やみなべちゃん」。デフォルトでは身長80cmなので，高い位置のものが見えないこともしばしば。そんなときはAvatar Heightを調整して……

▲約1.7倍の身長140cmに！　こんなにデッカくなりました

自撮りも思いのまま！　「カメラ」撮影

　操作に慣れたらSSを撮りたくなるのが世の常。好みの姿になれた自分，撮りたくなりますよね！　ということで「カメラ機能」の説明です。

　VRChatでは基本操作として［F12］キーでSSを撮れます。ただし画面表示が一人称視点のため，鏡などの前以外では“自分の姿をスクリーンショットで撮れない”んです。なので，カメラを使います！

▲カメラは［Esc］キーを押したら出てくるクイックメニューの下段にあります。ダブルクリックで起動できます。また［R］キーのToolから起動させることも可能

▲さまざまな設定が表示されています

　基本は（右クリックかマウスホイールを押しながら）「左クリックでシャッター」を切ります。あとの機能は写真を自分好みにカスタマイズするためのものなので，お好みで試してみてくださ〜い！

画面上だとややこしそうに見えるかもしれませんが，カメラの起動時は「アバターの移動は右クリックを押しながらWASDキー」「カメラの移動はマウスホイールを押しながらWASDキー」とだけ覚えておけば大丈夫

▲VRChatではなかなか見られない自分の後ろ姿！　マウスホイールを押しながらWASDキーでカメラの位置を調整すれば，このとおり！

▲マウスホイールを押しながら［W］キーでアバターに極限まで近づきます。その状態でマウスを使い，カメラ視点を下に向け，［S］キーで上空方面に後退していくと……空からの写真も手軽に撮れます！

▲右クリックを押しながらマウスでアバターの視点を上空に向けると，カメラ目線に！

　こうした設定を駆使することで，下の写真のように。

▲雰囲気のあるSSもこのとおり〜！

▲［R］キーでモーションを設定してから撮ると，こう！

▲［F12］で撮ったSSは，Steam画面の下にある“30個のスクリーンショットを管理”を押し，スクリーンショットマネージャーを起動。フォルダをクリックすると保存先が表示されます

▲スクリーンショットマネージャーは，画面左上の「表示」のプルダウンから“スクリーンショット”を押しても出てきます

▲VRChatのカメラで撮ったSSは，PCのピクチャフォルダに。こちらはpngデータです

“先輩”に聞く！　VRChatの楽しみ方

　基本が身についたら，いよいよVRChatに没頭しましょう。

　といっても，VRChatではできることがいっぱい。ご紹介してきたとおりこの世界では，アバターを動かしてどんな表情やギミックが仕込まれているのかを確認するだけでも楽しいですし，誰かに話しかけて，友達を作って，いろいろなワールドをめぐるのも楽しいです。

　つまり「VRChatってどうやって遊ぶの？」という問いは，「我らは地球でどのように生きていくのか――」と問われるのと同じと言っても過言ではないくらい，ざっくりとした質問になるのです。たぶん。

　ということで初心者な私は置いておき，VRChatを長らくプレイしてきた“先輩方”に，日々のすごし方を聞いてみました！




〇VRChat歴
　6年以上。VR内にいる時間より，VR用になにか創作してる時間のほうが長い！

〇いつもなにしてる？
　バーチャルクリエイター!!　アバターやアイテムを創って着飾って遊んだり，さいきんは大きなイベントワールドや遊園地を創ったり。

〇どんな楽しさがある？
　なんでもアリな世界なのが最高！
　居酒屋でロボとカッパが談笑してたり，宇宙基地で人魚と怪物が遊んでたり，好きな姿で好きなことができる！

〇興味を持った方々にひと言
　やってみないと伝わらないこの面白さ!!　VR機器がなくてもPCでできるので，まずは気軽に試してみよう！




〇VRChat歴
　約6年。毎日遊んでいたのは1〜2年で，その後はイベントなどにたまに顔を出す程度。

〇いつもなにしてる？
　最初はVRの世界に入れる新鮮さと，さまざまな見た目のアバターの人たちと会話するのが楽しくて，毎日のように通っていました。

〇どんな楽しさがある？
　コミュニケーションツールとしても楽しんでいますが，自分でアバター（3Dモデル）を作れるということを知ってからは，もっぱらモデリングのほうに時間を費やしてます！

〇興味を持った方々にひと言
　あらゆるアバターが集まる，カオスな世界観に面食らう方々もいらっしゃるかもしれませんが，このごちゃまぜ感を楽しめると新しい世界が見られますよ！




〇VRChat歴
　もうすぐ4年。

〇いつもなにしてる？
　VRChat内で開催される展示即売会，バーチャルマーケットの過去会場のご案内ツアーの主催，およびVket公式アンバサダー。
　日常的にはフレンドとお酒を飲んでの雑談や，話題になっているワールドの散策，そのほかイベントへの参加など。とくに自由に空を飛べるという魅力から，戦闘機を操縦できるワールドでよく空を飛んでいる。

〇どんな楽しさがある？
　バーチャル空間でしかできないような体験そのものや，ならではの世界の散策。そのときどきの気分やシチュエーションで自分の服装だけではなく，性別種族も関係なく姿形を自由に選べる自由さ。
　VR機器を用いた（仮想上での）自身の目線やボディランゲージにより，テキストチャットやボイスチャット以上に情報が密な，リアルな遠隔コミュニケーションを楽しめる。

〇興味を持った方々にひと言
　現実でやりたかったこと，諦めてしまったこと，現実以上の体験ができる，可能性をより引き出せる場所。
　そんな楽しくてステキな場所なので，ぜひ気軽に飛び込んでみてね！




〇VRChat歴
　2018年8月から始めました。5年半くらいになります！

〇いつもなにしてる？
　理想のアバターを作るためにモデリングをしています。普段は友達と面白そうなワールドで遊びつつ，雑談を楽しんでいます。また，友達や企業主催イベントのお手伝いをしています。

〇どんな楽しさがある？
　自分の作ったものを簡単に動かせる，そんな気軽さに感動！
　とくに，VRChatを始めるまでは創作活動をしていなかったので，なにかを作るのにすぐにリアクションが返ってくるこの環境は，とても楽しい時間になっています！

〇興味を持った方々にひと言
　VRChatの楽しみは始めないと本当にわかりません！　とくに馬が合うコミュニティができたときの第二の青春感は言葉では説明できない！　ぜひとも遊びに来ていただきたいです。




　などなど，楽しみ方は本当に人それぞれ！　リアルと同じくらいいろんなことができて，リアルではできない体験もできちゃう「VRChat」。そんな世界で自分なりの楽しみ方を見つけられたら最高です！

　ということで，導入に関する講座はいったんここまで。次回の記事では「ほかのワールドへの移動方法」や「先輩プレイヤーから聞いたオススメのワールド」をご紹介しますので，どうぞお楽しみに！

「VRChat」公式サイト