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SSDを冷却せよ! 転送速度10000MB/sを超えるPCIe 5.0対応SSD用のヒートシンクをCOMPUTEXでチェック
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印刷2023/06/02 20:36

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SSDを冷却せよ! 転送速度10000MB/sを超えるPCIe 5.0対応SSD用のヒートシンクをCOMPUTEXでチェック

転送速度10000MB/sを超えるPCIe 5.0 x4 M.2 SSDは冷却が重要なテーマだ。ADATAのブースにあるオブジェは,SSDのクーラーを模した物だった
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 ゲーマー向けPCも,デバイスの進化に合わせて常識が次々と更新されていく。その一例がストレージだ。
 2023年後半以降は,PCI Express(以下,PCIe)接続対応M.2 SSDの転送速度が,最大10000MB/sを超える。徐々にだが,すでに製品化が始まっており,すでに販売されているものもあるが,2023年第3四半期から第4四半期にかけて,普及に弾みがつきそうだ。高速なSSDを使えると,OSの起動が速くなるのはもちろんのこと,ゲームの起動やプレイ中のデータ読み出しも高速で快適になる。ゲーマーにとっても,高性能なSSDは重要なパーツである。
 COMPUTEX 2023の会場では,オーバー10000MB/sのM.2 SSDと,その冷却システムの展示が行われていたので,まとめて紹介しよう。


SSD向け簡易液冷を推進するTeam Group


 内蔵用のM.2 SSDが高速化する背景は,PCIeの規格世代がひとつあがって,これまで主流だったPCIe 4.0から,さらに高速なPCIe 5.0への移行が進むからだ。IntelプラットフォームもAMDプラットフォームも,PCIe 5.0対応スロットの搭載がすでに始まっており,主にグラフィックスカード用のスロットで,PCIe 5.0 x16が採用されている。
 内蔵SSD向けのM.2スロットの場合,AMDのRyzen 7000シリーズ用ハイエンドチップセット「AMD X670」や「AMD B650」シリーズが,PCIe 5.0 x4に対応している。一方,Intelプラットフォームでは,ワークステーション環境だけがストレージのPCIe 5.0 x4に対応しているという状況だ。

 COMPUTEX 2023では,今秋以降の展開という注釈付きであるが,ASRockとGIGA-BYTE TECHNOLOGYから,PCIe 5.0 x16とPCIe 5.0 x4が同時に利用できるIntel Z790チップセット搭載マザーボードの新製品がいくつか発表となった。今後は他社製品も含めて,PCIe 5.0 x4に対応するM.2 SSDのニーズと普及が拡大していくことは,間違いないだろう。

CFD販売のPG5NFZ。PCIe 5.0対応で容量2TB。税込価格は4万円台後半だ
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 PCIe 5.0 x4のM.2 SSDにおける最大転送速度は,10000MB/sを超える。しかし,その性能を実現するための課題となるのが,PCIe 5.0 x4に対応するM.2 SSDの放熱対策だ。
 現在,市場で購入可能か,まもなく購入可能になるPCIe 5.0対応のM.2 SSDは,CFD販売の「PG5NFZ」,Micron Technologyの「Crucial T700」,そしてMSIの「SPATIUM M570」などがある。CFD製は,小型空冷ファンを標準装備しているが,ほかの2製品はそれなりの大きさで存在感のあるヒートシンクが取り付けられている。しかし,COMPUTEXで展示されているPCIe 5.0対応のM.2 SSDは,それよりもさらに大がかりな冷却対策を採用していた。

6月6日に国内発売予定のMicron「Crucial T700」。運用時は適切なエアフローの確保が求められている。右は国内でも販売中のすでに販売が開始されているMSIの「SPATIUM M570」。これも存在感のあるヒートシンクが取り付けられている
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 とくに積極的だったのはTeam Groupだ。メモリモジュールやSSD,SDカードなどを中心に取り扱うブランドで,国内市場でも以前から展開している。
 COMPUTEXでは,最大転送速度の異なるPCIe 5.0 x4対応のM.2 SSD「T-FORCE CARDEA Z5」(以下,Z5)を2製品展示していた。細かな仕様の違いは,コントローラやキャッシュメモリ搭載状況などによるものと思われるが,現時点で仕様の詳細は未公表だ。

 Z5は,NANDメモリやコントローラに熱伝導率が高いとされるグラフェンシートを貼っているが,フルスペックを叩き出すには,これに加えて大型のヒートシンク,あるいは簡易液冷装置の利用が必須だと言う。

Team GroupのZ5。仕様の違いで2モデルあり,最大速度が異なる。表面に貼ってあるのはグラフェンシートで,これは同社の特許だという
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 Team Groupは,形状が異なる大型のヒートシンクを3モデルを用意しており,そのうちひとつは超小型の空冷ファンを備えている。基本的には,SSDとヒートシンクはセットで販売する見通しだが,ニーズがあればヒートシンクのみの販売も検討するということだった。

ベンチマーク中の様子
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左が空冷ファンの付いた「T-FORCE Dark AirFlow Cooler I」。右がヒートシンク部分を稼働させて,近隣のパーツとの干渉を防ぐ「T-FORCE Dark AirFlow Cooler II」だ
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左の大きなヒートシンクが「T-FORCE Dark AirFlow Cooler III」。右は従来のPCIe 4.0 x4に対応した製品だ
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 そして,Team Groupが本命とするのが,M.2 SSD向けの簡易液冷装置だ。仕組みはCPU向けに普及している簡易液冷のオールインワンクーラーと同じで,SSDに貼り付ける液冷ヘッダと,冷媒を循環させるポンプおよびラジエータ,そしてラジエータを冷却するケースファンで構成される。
 簡易液冷のAIOは2モデルが用意されており,ひとつはM.2 SSDのみに対応する「SIREN GD 120S」で,もう1モデルはCPU用とM.2 SSD用という2つの液冷ヘッダが付いた「SIREN DUO 360」だ。

液冷ヘッダとポンプ,ラジエータの付いたSSD用クーラーSIREN GD 120S。冷却には120mmファンを利用する
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SIREN DUO 360は,CPUとM.2 SSDを同時に冷却するAIO。右側にある360mmラジエータから,CPUとSSDを経由して冷媒を循環させる
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 展示会場にあったデモ機は,2台のM.2 SSDをそれぞれの簡易液冷で冷却していたが,PC内部に2つのラジエータと計5本のチューブが並んでいる様子は,なかなか壮観だ。

簡易液冷のAIOによる冷却では,動作時に50℃未満を実現するという。熱による性能低下を防ぐためのラインが50℃とのこと
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 ちなみに,CPUの簡易液冷クーラーではデンマークのAsetekと協業して,日本市場におけるCPU簡易液冷AIOの展開を積極的に行うとのことだった。

簡易液冷クーラーで定評のあるAsetekと協業して,日本市場でも積極的に化に液冷のAIOを展開していくという
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パッシブと小型ファン付きアクティブクーラーを披露するMSI


 ひと足早くパッシブなヒートシンクのついた「SPATIUM M570」を販売しているMSIは,同社ブースで「SPATIUM M570 Pro FROZER」と「SPATIUM M570 Pro FROZER+」の2モデルを展示していた。
 前者はヒートパイプと放熱板を大型化したもので,後者は小型ファンを内蔵することで放熱を行う。デモ機では,2枚のM.2 SSDによるRAID 0の構成で,最大20000MB/sの転送速度を叩き出していた。ただ,これはあくまでも技術デモであり,RAID 0構成での販売予定はないという。

SPATIUM M570 Pro FROZERを,PCIe 5.0 x16 スロットの拡張カードでRAID 0運用する技術デモ
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SPATIUM M570 Pro FROZERは,ヒートパイプと放熱フィンで構成されている(左)。マザーボード構造上,M.2 SSDスロット直下にグラフィックスカード用のPCIe 5.0 x16スロットがあるが,干渉はしないという(右)。しかし,バックプレートの厚みがある大型グラフィックスカードとは,干渉するかもしれない
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こちらは空冷ファンを搭載するSPATIUM M570 Pro FROZER+
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空冷ファンとイルミネーション用のARGBコネクタがある
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RAID 0の技術デモで同時書き込みを行った結果,22000MB/s超の転送速度に達した(左)。SPATIUM M570 Pro FROZER+のデモは,逐次読み出し14000MB/s,逐次書き込み12000MB/sを叩き出す
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GIGABYTE,ADATA,PatriotのSSDおよび関連製品


 GIGABYTEは展示会場近くのプライベートブースで,2種類のPCIe 5.0 x4マザーボードを披露していた。先述したとおり,2023秋以降の発売を予定しており,展示はライティングのための通電のみで非可動デモとなっている。いずれも,ヒートシンクの取り付けにネジやドライバーが不要な簡易着脱方式を採用している。

 ハイエンドモデルの「Z790 AORUS XTREAME X」は大型のSSD用ヒートシンクを標準搭載している。ヒートシンクがマザーボード側の付属品となっているので,SSDは別途購入が必要だ。

GIGABYTEのZ790 AORUS XTREAME X。2023年後半以降に出荷を予定するZ790搭載のフラグシップモデル。大型のM.2 SSDヒートシンクはマザーボードの付属品だ
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ヒートシンクを取り外したところ。ツール不要で着脱ができる
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 普及モデルの「Z790 AORUS MASTER X」も,PCIe5.0 x4のM.2 SSDスロットを備えるが,こちらはヒートシンクを兼ねる金属製カバーでの放熱という一般的な構造となっていた。

普及モデルの「Z790 AORUS MASTER X」。こちらは従来製品と似たスチールのカバーでヒートシンクを兼ねるタイプ
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 2023年1月に行われたCES 2023で,PCIe 5.0 x4対応M.2 SSDのプロトタイプを披露したADATAは,2機種を製品化する見通しだ。
 ひとつは,やや大きめのヒートシンクを備える製品「LEGEND 970」だ。

今回紹介しているほかの製品に比べると,大人しめのADATA製「LEGEND 970」Phison製のSSDコントローラを搭載している
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 もう一方は,ヒートシンク部分と液冷ユニットを一体化して,ラジエータこそ備えないものの,封入された液体によって冷却を行う構造を採用した「Project NeonStorm」である。後者は,もう少し開発に期間を要するということで,2024年の発売を目指すとしている。

ADATAのProject NeonStorm。こちらはSilicon MotionのSSDコントローラを採用するという
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Project NeonStormの構造。アルミニウム製のチューブに熱を誘導して,小型ファンとチューブ周囲のクーラントで冷却する仕組みだ
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 メモリやストレージを中心に取り扱うPatriotも,2種類のPCIe 5.0 x4対応M2.SSDを展示していた。
 ひとつはグローバル市場ではすでに販売中の小型空冷ファンを内蔵する製品「Viper PV 553」だ。Phisonのコントローラを採用しており,キャッシュメモリ用のDRAMも搭載する。

小型ファンの付いたViper PV 553
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 もう一方は開発中で,コントローラとNANDが直接見える状態で展示されていた。新興のMAXIO製コントローラに採用しており,キャッシュメモリ用DRAMは搭載しない。加えてアクティブやパッシブな放熱構造なしで10000MB/sの転送速度を実現すると言うが,こちらはコールドモックのため真相は謎である。

MAXIO製コントローラを採用する参考モデル。DRAMレスで廉価製品ともとれるが,ヒートシンクなどの冷却機構がなくとも高スペックが出せるとのことだがはたして
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PCIe 5.0 x4 M.2 SSD用とは記載がないものの,PNYも複数ファン付きのSSD用ヒートシンクを展示していた
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同じくPNYのデュアルファン付きSSDヒートシンク。こちらはアドレサブルRGBにも対応
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 いずれの製品も,発売はそれなりに先で,改良やブラッシュアップが行われる見通しだ。いずれにせよ,2023年の第3四半期以降にデスクトップPCを新調する場合には,PCIe 5.0 x4対応のM.2 SSDは,重要な選択肢のひとつとなり得る。今のうちからアンテナの感度を高めておこう。

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