企画記事
PlayStation Plusの大幅リニューアルから1年以上が経過し,現在のラインナップやサービス内容はどうなっている?
PlayStation Plusの特設ページ
プレイスタイルに合わせて選べる3つのプラン
PS Plusには「エッセンシャル」「エクストラ」「プレミアム」という3種類のプランがあり,上位のプランになるほど提供サービスが増える。このあたりは映像や音楽のサブスクなどでもよくあるが,自分のプレイスタイルに合ったものを選ぶのが肝心だ。
以下のように,各プランにはさまざまなサービスが存在するが,本稿では主要なものを紹介しよう。
※本稿掲載情報は7月12日時点のものです。
●エッセンシャル
最も安いエッセンシャルのプランでは,ネットワークを通じて対戦や協力を楽しめる「オンラインマルチプレイ」や,毎月数本ずつ遊び放題のタイトルが増えていく「フリープレイ」が利用できる。フリープレイの対象タイトルは,ライブラリに追加しておけば,PS Plus加入中に好きなだけプレイできる。
リニューアル以前のPS Plusと同等のサービスなので,これだけでも十分という人は多いはず。
■価格
- 1ヶ月利用権 850円(税込)
- 3ヶ月利用権 2150円(税込)
- 12ヶ月利用権 5143円(税込)
●エクストラ
エクストラのプランには,エッセンシャルのサービスに加え,「ゲームカタログ」「Ubisoft+ Classics」が利用できる。前者はPS4やPS5のヒット作からインディーゲームまで遊べるもので,後者はUbisoftの人気シリーズ作品が対象になっている。これにより,PS4やPS5の定番タイトルをたっぷり遊べるというわけだ。
■価格
- 1ヶ月利用権 1300円(税込)
- 3ヶ月利用権 3600円(税込)
- 12ヶ月利用権 8600円(税込)
●プレミアム
プレミアムのプランには,エッセンシャルとエクストラのサービスに加えて,製品版を2時間遊べる「ゲームトライアル」,クラウドゲームをストリーミング映像により楽しめる「クラウドストリーミング」,初代PSやPS2,PSPの懐かしいラインナップが揃う「クラシックスカタログ」を利用できる。12ヶ月利用権は少々高め(1万250円)だが,セール期間には25%割引が行われたこともある(過去のセール情報)。
なお,クラウドストリーミングを快適に利用するには「高速(5Mbps以上)のインターネット接続」が必要など,いろいろな注意点がある。特設ページ(リンク)で確認しておくといいだろう。
■価格
- 1ヶ月利用権 1550円(税込)
- 3ヶ月利用権 4300円(税込)
- 12ヶ月利用権 1万250円(税込)
各プランの主要なサービスを紹介したところで,それぞれの注目ポイントや使用感をお伝えしていこう。
さまざまなサービスの注目ポイント
●ゲームカタログ,Ubisoft+ Classics
※エクストラ,プレミアムで利用可能
基本的には定番タイトルを遊ぶためのサービスであり,全384本のうち,2023年発売のソフトは4本だった(PS5で利用する場合)。とはいえ,サイバーパンクな世界を猫になって彷徨う「Stray」,柴犬を操り人類を導くアクションパズル「HUMANITY」,ニューカレドニアの空気感を味わえるオープンワールドADV「Tchia」など,発売日にゲームカタログのラインナップに追加されたタイトルもある。
「アサシン クリード」「KINGDOM HEARTS」「ドラゴンクエスト」「ファイナルファンタジー」「ファークライ」「龍が如く」など,人気シリーズのタイトルもかなり充実している。お気に入りのシリーズ作品が見つかれば,これでもかというほどに遊べるだろう。また,PS5を最近購入したという人には「アンチャーテッド」シリーズ,「Ghost of Tsushima」「Demon's Souls」といった,定番タイトルのPS5向けリマスター/リメイク版をおすすめしたい。
■[○]ボタンと[×]ボタン
PS5では[×]ボタンが「決定」,[○]ボタンが「戻る」になっている。それ以前の国内向けPSプラットフォームの基本操作から変更されているが,ゲームカタログなどで過去のゲームを遊ぶ場合はどうなるのだろうか。
結論から言えば,「タイトル次第」である。「パペッティア」のように[×]が決定,[○]が戻るに変更されているものもあれば,「KNACK」「レジェンド オブ ドラグーン」のように当時のままのものも。前もって両方のパターンがあると知っておけば,あまり戸惑わずに済むかもしれない。
聖なるハサミ「カリバス」で切りまくるアクションと,プレイ中ずっと続く藤原啓治さんのナレーションが楽しい「パペッティア」
主人公がどんどん大きくなるアクション「KNACK」。日本ではPS4本体の初回限定版にコードが同梱されていた
●ゲームトライアル
プレミアムで利用可能
ゲームトライアルでは「ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク」「ホグワーツ・レガシー」「ソニックフロンティア」など,比較的新しめのタイトルを2時間まで体験できる。PS5で利用する場合は70タイトル,PS4なら54タイトルが利用可能だ。
ゲームソフトのデータを本体にダウンロードする必要があるため,準備にはそれなりの時間がかかるだろう。気軽にあれこれ試すという感じではないのかもしれない。購入を検討しているソフトの「最後のひと押し」が欲しいときに利用するといいだろう。
なお,具体的な対応時期は未定だが,将来的にはクラウドストリーミングも可能になることが発表されている(公式ブログ)。ダウンロードとストリーミング,状況に応じて好きな方法を選択できるようになれば,より活用しやすくなるはずだ。
●クラウドストリーミング
※プレミアムで利用可能
クラウドストリーミングのメリットは,ゲームソフトのダウンロードやインストールが必要なく,お目当てのタイトルをすぐ遊べることだ。また,対応タイトルの数が圧巻。ゲームカタログやクラシックスカタログと一部重複しているものの,なんと590タイトルをプレイできる。
ただ,日本では据え置き機であるPS5やPS4で利用できるサービスのため,じっくりプレイしたいゲームはダウンロードしたほうがいいかもしれない。
1年前に行われたPS Plusのリニューアル時には,PCでのクラウドストリーミングに対応予定とされていたが,そのまま続報もなく現在に至っている(特設ページ)
今後,ノートPCやスマートフォン,先日発表されたディスプレイ付きDual Sense(関連記事)などで利用できるようになれば,ゲームを遊べる場面やタイミングが格段に増えるだろう。
現状でもリモートプレイ(スマートデバイスなどを使い,ネットワークを介してPS本体を遠隔操作する機能)で似たような遊び方はできるが,本体にインストールしてあるタイトルを起動するものなので,クラウドストリーミングとは異なる。
現状,クラウドストリーミングの大きな意義は,現行機と互換性のないPS3用ソフトを遊べることだろう。この世代のゲームに思い入れがある人には,目移りしそうなラインナップが揃っている。もしパッケージ版を持っているソフトでも,あらためてPS3本体やコントローラをセッティングする手間がいらないのは嬉しいポイントだ。
ストリーミングの品質に関しても,一般的な光回線を利用し,ルーターとPS5本体を有線接続している筆者の自宅では,どの時間帯でもほとんど問題を感じなかった。
「まもなくゲームが始まります...」と表示されたら,20秒ほどでクラウドとの接続が確立する。多少ばらつきはあるものの,ゲームを選んでから大体1分程度でゲームを始められる。映像や操作の遅延はほとんど気にならないレベルだが,「レジェンド オブ ドラグーン」のような目押し要素のあるゲームでは操作のタイミングがずれてしまう。ダウンロードして遊ぶほうが快適であることは確かだろう。
なお,「FINAL FANTASY X/X-2 HD Remaster」はクラウドストリーミングに対応するタイトルだが,筆者の環境ではダウンロードと購入用のボタンしか表示されなかった。右側のサブメニュー(…のボタン)からストリーミングを選ぶことはできる。
■クラウドと本体をまたいだセーブデータの取り扱い
クラウドストリーミングで遊んで気に入ったゲームは,PS5本体にゲームデータをダウンロードし,より快適に続きを遊べる。その場合,まずセーブデータをストリーミングゲームストレージからクラウドストレージに転送。さらに本体にダウンロードするという手順が必要だ。
クラウドストリーミングでゲームをプレイ中,ホーム画面のメニューから「セーブデータを管理」を選択。あとは画面の指示通りに,ストリーミングゲームストレージにあるセーブデータをオンラインストレージ(画面では表記が異なるがクラウドストレージと同じもの)にコピーする
その後,クラウドストレージから本体にコピーすれば準備完了
少々複雑に感じるかもしれないが,要するに2回コピーするということだ。
逆に,本体のセーブデータをクラウドストレージ経由でストリーミングゲームストレージにアップロードすれば,本体で遊んだ続きをクラウドストリーミングで遊べる。日本ではまだあまり使う機会がない機能だが,クラウドストリーミングを利用できる機器が増えたときに必要になるだろう。
●クラシックスカタログ
※プレミアムで利用可能
クラシックスカタログではPS5で利用する場合は79タイトル,PS4では80タイトルをプレイ可能だ。Quantic Dreamの名作アドベンチャー「HEAVY RAIN 心の軋むとき」「BEYOND: Two Souls」,初代PSの「I.Q インテリジェントキューブ」「サイフォンフィルター」「サルゲッチュ」「ジャンピングフラッシュ」「鉄拳2」「メディーバル」「ワイルドアームズ」「レジェンド オブ ドラグーン」など,本当に懐かしいタイトルが並ぶ。思い入れがある人ならノスタルジーに浸れるだろう。もちろん,筆者も大いに浸っている。
「鉄拳2」ではコンボがつながりにくかったりと,ダウンロードした場合でも若干の操作遅延が感じられた。とはいえ,対戦格闘やシビアなアクション以外のタイトルは問題なくプレイできるだろう。また,映像は初代PSの実機やPS2の互換機能でプレイするより,精細で見やすくなっている。
さて,PS Plusのサービスを確認してみて印象に残ったのは,やはり遊べる定番タイトルの層の厚さだ。手持ちのライブラリが少ない人にとって,ゲームカタログやクラシックスカタログは嬉しいサービスだろう。思い出のタイトルがラインナップに何本も入っているようなら満足度は高い(公式サイトの対象ゲーム一覧)。
一方,普段から新作タイトルをよく購入し,それらを遊びきれていないと感じている人はエッセンシャルのままで十分かもしれない。
現状,プレミアムはPS3用ソフトや,SIEの名作に思い入れがある人向けのプランと言える。ただ,将来的にPCでも利用できるようになれば,利便性は格段に上がるはずだ。
これはあくまで筆者の希望にすぎないが,現在発表されている予定からさらに一歩進み,PS5本体がなくともPS4やPC,スマートデバイスなどでPS5用ソフトをクラウドストリーミングでプレイできるようになり,自由な場所で気軽にゲームを遊べると嬉しい。
もしそうなれば,プレミアムプランに魅力を感じる人もさらに増えることだろう。
PS Plusの特設ページ
- 関連タイトル:
PlayStation Plus
- この記事のURL: