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[TGS 2014]ハゲ頭をバーコードリーダーでスキャン,エプロンを着けてお遊戯,ネズミに乗って大冒険……神奈川工科大学ブースレポート&インタビュー
理屈抜きに笑える「はげピッ!ピ!」
頭髪が少なくなり,横縞のようになった状態を「バーコードハゲ」と呼ぶことがある。電車の中などで「あの頭にバーコードリーダーを当ててみたい」という衝動に駆られた人も少なくないと思うが,そんな夢(?)を叶えてくれるのが,「はげピッ!ピ!」だ。
ずらりと並ぶハゲ頭のマネキンを見ただけで,もう理屈無しに笑えてしまうのだが,ゲーム内容はそれにも増してシュールだ。ひと言で言えば「備え付けのバーコードリーダーで,ハゲ頭のマネキンをピッ!とスキャンする」というゲームで,コンビニやスーパーのレジをイメージして頂けると分かり易いだろう。
画面では,プレイヤーキャラクターのいるレジに,買い物カゴに乗せられたハゲおじさん3人1セットで運ばれてくる。ハゲおじさんにはそれぞれ値段が付いており,筐体に設置されている3つのマネキンと対応しているので,指示された合計金額と同じになるようにマネキンの頭をスキャンし,合計ボタンを押す。例えば金額が「100円」で,画面内のおじさんに左から「60円」「20円」「40円」という値段が付いていたら,左端と右端のマネキンをスキャンして合計ボタンを押せばOK。制限時間内にさばいたお客さんの数がスコアになる。
一発ネタのように思えるが,プレイしてみるとなかなか面白い。実際に自分の身体を動かして,バーコードリーダーでマネキンの頭に触れていると,忙しいと同時にちょっと笑えてくるのだ。
エプロンを着てお遊戯する,優しいリズムゲーム
幼稚園でのお遊戯を思わせる,優しいイメージの体感系リズムアクションが「Let’s Spanking!」だ。用意されたエプロンを着て,手袋を装着すれば準備完了。
音楽が流れる中,画面の指示に従い,タイミング良く拍手したり,肩や腰,膝に触れていく。
エプロンの肩,腰,膝には導電布を使ったパッチワークがあり,同じく導電布でできた手袋でこれを叩くと,身体のどこに触れたかが分かるという仕掛けだ。
エプロンを着てミトン状の手袋をはめ,音楽に合わせて自分の身体をポンポン叩いたり拍手したりしていると,まるで幼稚園の保父さんにでもなったような気分。こちらも,身体を使うことと仕掛けの面白さがうまくマッチングしたゲームと言えるだろう。
「ワットラットラッシュ」
話題となっているOculus VRのヘッドマウントディスプレイ「Rift」を装着し,仮想現実の世界で節電するのが「ワットラットラッシュ」だ。部屋の中を走り回るネズミの背中に乗り,コンセントに刺しっぱなしになっているプラグを,ネズミのしっぽを使って抜いていき,節電に貢献する。
木馬のようなネズミの鞍にまたがってRiftを装着し,手には尻尾を持って,いざ出発。眼前に広がる部屋の中,自分で視線を動かしてプラグを探すのはちょっと面白い。
プラグを見つけられれば,手にした尻尾の出番。これをムチのように振って,うまくプラグにヒットさせればOKだ。上手く尻尾がヒットしなかった時などは,ムキになってぶんぶんと振ってしまった。
こうしたユニークな作品群は,どのような取り組みから生まれたのだろうか? 学生たちを指導した,神奈川工科大学情報工学科情報メディア学科 特任准教授の中村隆之氏にお話を伺ってみた。
4Gamer:
出展されているゲームがとてもユニークですね。
中村氏:
ゲームを遊ぶお客さんの「体験」をどうやって生み出すかという取り組みで生まれたのが、今年出展した3本です。企画を発想する段階で,学生に「四角い画面を使わない」または「ゲームコントローラを使わない」のどちらかで開発するという課題を与え,工夫をしてもらったんです。
4Gamer:
それは厳しい制限ですね。
中村氏:
元々,僕はバンダイナムコゲームスに在籍していて「もじぴったん」のプロデューサーを務めていました。入社した時期には体感ゲームの開発に関わっていたんですが,今回の制限はそのときの経験に経験した「入力デバイスを先に作り,ゲームの内容を後から考える」という手法からヒントを得たものです。生まれたものです。こうすると,どんどん発想が広がって,面白くて人にアピールできるものが作れるんです。
4Gamer:
制作にはどれぐらいの期間がかかったんでしょうか。
中村氏:
こうして出展する前の段階,つまりプロトタイプを作るための期間は2か月なんですが,その内の1か月を全て企画に使っています。チームの全員が「これを作り上げたい」と思う企画にしないと,チームがバラバラになってしまうので。
ちなみにプロトタイプの予算は各チーム1万5千円ほどなんですが,学生たちはいろいろな方法で節約していましたね。例えば「はげピッ!ピ!」のプロトタイプは,メンバーが実家の理容室から持ってきたマネキンを使って作られているんです。
4Gamer:
学生らしいゲーム作りというわけですね。では,来年への抱負などありますか?
中村氏:
今年の展示でレベルが高くなったので,これを越えていくためには,企画の出し方をさらにブラッシュアップしないといけないと思っています。来年も,皆さんの予想の「斜め上」をいく展示をしたいですね。これは教育なので,成果物だけでなく途中経過も大事です。制作のプロセスをお見せできるような仕掛けも考えていければいいと思っています。
4Gamer:
ありがとうございました。
4Gamer「東京ゲームショウ2014」特設サイト
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