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[GDC 2015]セクシーなキャラクターを健康的に描くには。6つの方法が紹介されたセッションをレポート
登壇したのはフリーライターで,ゲームのシナリオなども手がけるMichelle Clough(ミシェル・クラフ)氏。氏がこのセッションを開くことになったのは,ゲームにおける“ファンサービス”が悪いものとして受け止められているからだという。
ここで言うファンサービスとは,セクシーで魅力的なキャラクターを出してプレイヤーを楽しませることだが,最近はストーリーと何の関連も無いような,露骨すぎる性的表現が多くなってきているとのこと。
Michelle Clough氏 |
●Diversity(多様性)
女性にもさまざまなタイプがいるのだから,それを描き分けるべきだし,逆に男性も強いだけでなくセクシーな人を入れるべきとするクラフ氏は,それに続けて「魅力」にも多様性があるはずだと訴える。
そうやって,登場キャラクターをさまざまな形で魅力的に描くことができれば,取って付けたようなファンサービスなど必要なくなるというわけだ。
●Energy(エネルギー)
エネルギーというとちょっと分かりづらいかもしれないが,これはキャラクターの魅力をアピールする動きや雰囲気のこと。目や表情の動き,感情の出し方などで,その存在感が大きく変わってくる。
きらきらと輝く目,暖かく包んでくれる目,冷徹な目…… |
何もしゃべらずとも,雰囲気で魅せるキャラクターもいる |
●Sensuality(色気)
ここでは人間の五感に訴える魅力の作り方が説明された。服装やボディランゲージなど,目に見えるものはもちろんだが,キャラクター同士のタッチや味,香りなど。プレイヤーが実感できないものまでしっかり表現するべきだという。
タッチは重要だが,ゲームにおいては難しい表現なので,注意しましょうというスライド。「ここで彼が彼女の唇を指でなぞる」という指示を出す女性に,男性が「じゃあ100時間ぐらいかけてレンダリングしてみる」と返答 |
味や香りといったものは,会話や環境などの描写を通して表現する |
●Initiative(主導権)
これもちょっとイメージしづらいが,何かアクションを起こされたらすぐになびいてしまうのではなく,しっかりと自我をもったキャラクターにすべき,ということ。クラフ氏はこれを「Agency(力)を与える」と表現し,キャラクターに会話やプレゼントを繰り返して,ポイントが一定以上になったら付き合う,といったシステムでは魅力は生まれないとも話していた。
●Relationships(関係)
キャラクター同士の関係をしっかり描きましょう,という,当然と言えば当然かもしれない手法。「Romantic Relationships」(恋人関係)がセクシーさを演出するには最適だが,ほかにも友人,ライバル,敵対関係といったものがあり,キャラクターの魅力を引き出すのに役立てられる。
●Eyes On Character(キャラクターを見る目)
目とはゲーム内のカメラのこと。ここで詳しく説明されたのが,「Indirect Camera gaze」と「Direct Camera gaze」の違いだ。Indirect Camera gazeは,対象を映すときに,それを見るキャラクターの顔を挟む方法で,Direct Camera gazeは対象のみを映し続ける。同じセクシーな女性を映す場合でも,Indirect Camera gazeの場合はそれを見ているキャラクターがセクシーだと感じている,ということになるが,Direct Camera gazeの場合,映像を見ている人すべてに「セクシーでしょ」と同意を求めていることになる。使い方には注意が必要だとクラフ氏は話していた。
セッションの内容は以上となる。キャラクターのセクシーな魅力に重点を置いた内容ではあったが,手法そのものはキャラクター作り全般に使えるもののように感じた。
クラフ氏は2014年のGDCでもセクシーな男性キャラクターをテーマにした講演を行って話題になったとのことで,登壇時に来場者から歓声が上がるほどの人気だった。講演後の会場の雰囲気も上々だったので,もしかしたら来年も氏の講演が行われるかもしれない。
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