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【PR】「品質管理」はゲームのクオリティを支える“縁の下の力持ち”。スクウェア・エニックスの担当者に聞く,品質管理業務の重要性
東京・新宿に本社を構えるデジタルハーツの主幹事業である「デバッグ」も,こうした品質管理業務の一環だ。重篤な不具合によってゲームが進行不能になってしまうという事態がユーザーのもとで起こらないように,開発段階で念入りにチェックしている。
それでは,ゲーム会社はデバッグをはじめ,どのようにして品質管理を行っているのだろうか。デジタルハーツがデバッグ業務で協力している,スクウェア・エニックスの品質管理部 ジェネラル・マネージャーを務める渋谷幸弘氏,同じくマネージャーの加藤英之氏に品質管理業務の重要性を語ってもらった。
大作タイトルには100名以上のテスターを投入
本日はよろしくお願いします。さっそくですが,スクウェア・エニックスの品質管理部では,どのような業務を行っているのかをお聞きしたいです。
渋谷幸弘氏(以下,渋谷氏):
基本的には弊社がリリースするタイトル全般の品質保証を担う部署です。具体的には各プロジェクトのプロデューサーやディレクター,プロジェクトマネージャー,開発陣,そして外部の開発会社さんとも連携を図り,ゲームのテスト業務を行っています。
テストの結果,不具合が見つかったら開発チームに修正を依頼し,修正後に再度テストを行い直っていることを確認するというサイクルを繰り返し,最終的に品質保証をするという流れになります。
4Gamer:
そのテストでは不具合のチェックだけが対象になるのでしょうか。
渋谷氏:
いえ,ユーザーさんの視点からゲームの仕様をチェックして,開発チームに意見や要望を出すこともあります。とくにUIの使いやすさとゲームのバランスに対しては,意見を出すことが多いですね。
4Gamer:
そのようなゲームの手触りに関わる部分は,不具合の検証と並行してチェックするのでしょうか。
渋谷氏:
はい,テスターが一連のテスト作業のなかでチェックしています。それとは別にゲームの面白さや分かりやすさ,バランス面などを専門的に見る「ゲームユーザーリサーチチーム」があります。このチームは新作プロジェクトの立ち上げ前に相談を受けたりしますね。
また,「倫理校正チーム」では,CEROのレーティング取得に関する表現のチェックや,特別な規定が設けられていないPCゲームなどの倫理面もチェックしています。
さらに,技術的な側面に特化した「テクニカルQAチーム」があります。このチームは,ユーザー環境の機材や通信環境等の互換性を検証し,開発チームにフィードバックをしています。お客様からの問い合わせに対し,最適な回答を出すことも業務の一環ですね。
4Gamer:
一口に品質管理と言ってもさまざまな分野があり,それぞれのチームが役割を担っているんですね。そこで外部のデバッグ会社と連携する理由は,社内のスタッフだけでは人手が足りないからでしょうか。
渋谷氏:
はい,デジタルハーツさんにデバッグをお願いするようになったきっかけは,まさに社内では足りない部分を補っていただくためでした。今はそれだけでなく,ゲームのコアな部分のテストも発注するようになっています。
4Gamer:
1つのプロジェクトあたりに携わるテスターの人数やテスト時間を教えてください。
渋谷氏:
プロジェクトの規模や与えられたスケジュールによってまちまちですが,大作プロジェクトの場合は100名以上のテスターが,数か月にわたり検証することもあります。
加藤氏:
開発工程に応じて必要な人数が変動することが多く,常に一定数のテスターをキープしているわけではありません。そこで固定部分は社内でまかない,変動部分はデジタルハーツさんをはじめとする外部のデバッグ会社にお願いするという形を取っています。
渋谷氏:
とくに大作プロジェクトになると,テストのピークに合わせて場所や機材のキャパシティを確保すると採算が合わなくなります。そこで外部のデバッグ会社に協力をお願いすることになるわけですね。
4Gamer:
なるほど。さまざまなデバッグ会社が存在しますが,デジタルハーツに対する印象をお聞きしてもいいですか。
渋谷氏:
デジタルハーツさんには,優秀な「クライアントマネージャー」を弊社担当として付けていただいています。品質管理に対する考え方はゲーム会社によって異なると思いますが,クライアントマネージャーさんは「弊社が何を求めているか」をきちんと理解されているので非常に助かっています。
また,スタッフの方の就業継続率が高いという印象があり,優秀な人材に継続して対応してもらっていますね。
4Gamer:
ゲームの開発スケジュールのなかで,品質管理部が関わり始めるのはどのあたりの時期でしょうか。
渋谷氏:
それもまちまちです。例えばコンシューマゲームの場合,ほぼすべての仕様が実装されるβ版の前後からテスト作業に入ることが多いです。
ただ,大規模のタイトルになると,かなり早い段階に少人数のチームを組み,仕様の理解から着手するケースもあります。
4Gamer:
早い段階ということは,当然ながら不具合も多いと思います。
渋谷氏:
そうですね。このようなケースでは,開発チームの隣に品質管理チームの席を置き,できあがったものをすぐにチェックしていく流れが多いです。開発チーム内のセルフチェックを手伝っている,という側面が強いかもしれません。
この段階でのチェックは,開発チームの想定どおりに動作するかどうかを検証することが中心になります。早い段階で想定どおりに動くことが確認できれば,その後の開発効率が上がります。
逆にゲームの根幹を直す必要が生じたりすると,大幅な開発の巻き戻しにつながりますから,不具合の発見が遅れるほどにコストも膨らみます。そのような事態を避けるべく,早い段階からチェックを行うというわけです。
4Gamer:
ゲームの根幹はもちろんですが,ある程度まで開発が進んだ状態で品質管理部から不具合の報告を受けると,開発チームが困惑するケースもあるのではないでしょうか。
渋谷氏:
確かにマスターアップ直前のタイミング的に「もう直せない」というときに,不具合が見つかるケースはあります。そのような事態は我々もプロジェクト側も理解しているので,とにかく早め早めに相談するようにしています。
4Gamer:
当然,そこではコミュニケーションも重要であると。
渋谷氏:
そうですね。プロジェクト側のスタッフと品質管理部が,お互いに相談しやすい関係を築いておくことが大切です。
4Gamer:
近年,ローンチと同時に修正パッチが配信される,いわゆる「Day1パッチ」が増えています。どのような事情があるとお考えでしょうか。
加藤氏:
それぞれのプロジェクトやゲーム会社によって事情が異なりますので,なかなか一概にはお答えできません。
ただ,一つ言えることは,パッチが可能とはいえ,リスクは伴いますから,そのリスクをどう捉えるかを慎重に考える必要があります。
4Gamer:
それではプロジェクト側と品質管理部の意見が異なり,対立するようなことはあるのでしょうか。
加藤氏:
これもまた答えにくいですね(笑)。まれに意見が異なることはありますけれど,それはお互いの観点から見て,世に良い作品を出したいからですし。
渋谷氏:
自社の商品の品質保証をするにあたり,我々にも絶対に譲れないラインがありますから。なので,本当に必要な時には「これは世に出せません」と伝えています。
ユーザーリサーチ,機材検証,倫理校正
品質管理の分野は多岐にわたる
4Gamer:
先ほど名前が挙がった品質管理部の各チームについて,もう少し教えてください。
まずはゲームユーザーリサーチチームですが,通常の品質管理テストを行うチームとは完全に異なる位置付けになるのでしょうか。
ゲームユーザーリサーチチームは,品質管理テストチームとは別のチームになります。テストプレイに参加するモニターは品質管理部の社員やテスターからピックアップしています。例えば,プロジェクト側から「『ドラゴンクエスト』ファンを集めてほしい」「○○くらいの年齢の女性プレイヤーを集めてほしい」といったコアターゲット層に基づく要請があるので,それに応じてスタッフを揃えるというわけです。
4Gamer:
一方,テクニカルQAチームはどのような検証をしているのでしょう。
加藤氏:
テクニカルQAチームでは,ゲームプラットフォームごとに小チームを編成しており,それぞれが専門性をもって検証を行っています。例えば,コンシューマゲームであれば,それぞれのプラットフォーマーでのテストをパスしなければなりませんので,ゲームがそれに沿った作りになっているのかを検証する必要があります。
一方,PCゲームには一般的な規定がなく,どのようにゲームを作っても構わないのですが,だからといって本当に好き勝手に作ると,あとからいろいろな不都合が生じる可能性が高い。そこで,社内で統一の基準を定めています。
4Gamer:
基準がなかった場合,どのような不都合が起こりうるのでしょうか。
加藤氏:
例えば,ユーザーがゲームをアンインストールしたとき,そのゲーム以外のデータを巻き込んで消してしまうことがありえます。そうならないために,独自の基準を設けて運用しています。
4Gamer:
なるほど。ゲームの内容とは異なるレイヤーの基準ですね。
加藤氏:
はい,これもゲームを安心して遊んでいただくために必要なものです。
4Gamer:
テクニカルQAチームでは,ユーザー環境の機材や通信環境等の互換性もチェックしているとのことですが。
加藤氏:
それもPCゲームの話です。最低動作環境や推奨動作環境を決めるために,機材の動作検証などを行っています。「お客様が安心して遊ぶには,どんな機材を揃えればいいのか」という指針を作っているということです。
渋谷氏:
プロジェクト側から「このくらいのスペックのPCを持っている層を狙いたい」という指定があることが多いですね。そこで,まずはオーダーに合ったPCを組み立てて,実際にゲームが動作するか,あるいは快適に遊べるか,といったデータを取っています。
4Gamer:
それでは,スマホゲームの場合はいかがでしょう。
AndroidはPCに近い位置付けです。やはり弊社側でAndroid OSのバージョンに応じた基準を定め,それに沿って仕様を決めたり,開発を進めたりしています。
加藤氏::
あとは通信環境のチェックですね。どのような環境であれば,安心してネットワークを介してゲームを遊べるか,という基準を作っています。
とくにスマホゲームの場合,通信環境はプレイする環境によりさまざまですので,回線の種類や品質を想定して正常に動作するかをチェックしています。
4Gamer:
お話を聞いていると,そういったチェックはデバッグに近いという印象があります。
加藤氏:
確かに,広い意味ではデバッグと言えるかもしれません。ただ,ゲームの内容のチェックと,環境面のチェックでは専門性が違いますから,それぞれにチームを設けているんです。
4Gamer:
倫理校正チームの名前も挙がっていましたが,CEROの審査を受ける前に社内でも倫理性のチェックをしているということでしょうか。このチームを設置するメリットを教えてください。
渋谷氏:
プロジェクト側が希望するCEROのレーティングに合致しているかどうかを,審査前に確認できることですね。このチームでは各タイトルについて「この表現だとA区分ではなく,B区分になります」といったアドバイスをしています。もし倫理校正チームがなければ,各タイトルのプロデューサーやディレクターはCEROが定める基準をすべて把握しなければならないでしょう。
「お客様に安心して遊んでいただく」
これから先も目指すものは変わらない
4Gamer:
それでは,スクウェア・エニックスの品質管理部が目指していることを教えていただけますか。
渋谷氏:
やはり「お客様に安心してゲームを遊んでいただく」ことです。そのためにも,なるべくお客様に近い環境でテストを行い,限られた期間で不具合を出し切れるように進行管理を心がけています。
それから,デジタルハーツさんのような外部の会社の協力が欠かせませんから,高いコミュニケーション能力も求めています。
4Gamer:
例えば,10年前と比較して品質管理の重要性は変わっていると思いますか。
加藤氏:
「お客様に安心してゲームを遊んでいただく」という役割は変わっていません。
ただ,技術は常に進化しており,我々の知識も常に高い水準を維持しなければなりません。また,スマホゲームの台頭のように,従来とはまったく異なるプラットフォームやビジネスモデルが登場すると,検証の内容も変わりますから,そこにきちんと追いついて対応する必要がある。多様性の面では,10年前とはだいぶ事情が違っていますね。
渋谷氏:
最近では,他部署のテクニカルディレクターやエンジニアと共同でテスト項目の見直しを図っています。彼らには人の手だけではなかなか見つけにくい不具合の発見を,技術的にサポートしてもらっています。
4Gamer:
スクウェア・エニックスの品質管理部ならではの特徴を教えてください。
渋谷氏:
「ファイナルファンタジーXI」「ファイナルファンタジーXIV」「ドラゴンクエストX」という大規模なMMORPGを3タイトル同時に手がけていることは,他社さんにはない環境だと思います。
加藤氏:
長年にわたってMMORPGの品質管理を手がけているので,そのノウハウが蓄積されていますし,それらを社内でも有効に活用しています。それがきちんとできていることは強みですね。
4Gamer:
オンラインゲームでは,アップデートに合わせて品質管理を行っていると思いますが,「日常的に快適に遊べるかどうか」ということもチェックしているのでしょうか。
加藤氏:
はい。すべてをくまなくチェックするのは物量的に無理ですが,新しく追加された部分と,それに影響を受ける部分,そして基本的な部分を中心に,可能な限り精査を続けています。
渋谷氏:
オンラインゲームの場合,メジャーアップデートで実装された新コンテンツと並行して,次々に追加される仕様のチェックも欠かせない要素です。
加藤氏:
「次の次の仕様」をチェックすることも珍しくないですね。
4Gamer:
オンラインゲームはとくに専門性の高いジャンルですが,これも外部の会社にデバッグを依頼しているのでしょうか。
加藤氏:
いえ,MMOタイプのオンラインゲームは,ほぼ社内で品質管理を行っています。長い運営期間の中で蓄積されていく膨大な仕様に対する理解度や,MMOならではのテストノウハウが重要になるため,社内で担当者を入れ替えることも結構たいへんな状況です。
ただ,担当者の入れ替えが行われないと,スタッフのスキルやキャリアが向上していかないので,そのあたりは試行錯誤の段階です。
4Gamer:
一方,コンシューマゲームの品質管理では外部のデバッグ会社との連携を積極的に取っているということでしょうか。
渋谷氏:
はい。社内と外部のデバッグ会社のリソース配分はプロジェクトごとにまちまちですが,ゲームのコアな部分は社内のテスターが担当し,人手が必要な部分は外部のデバッグ会社に任せる,いわばハイブリッド形式を採用したりもします。
4Gamer:
少々話題を変えます。品質管理部の仕事がゲームのクオリティやセールス面に貢献した事例があれば,教えてください。
品質管理部の働きがどのように貢献したかを証明することは難しいのですが,2018年7月にリリースした「OCTOPATH TRAVELER」の品質向上には,かなり尽力しました。
「OCTOPATH TRAVELER」では開発の初期段階からプロジェクト側と品質管理部が意見交換を行い,開発の中盤にはモニターを集めたテストプレイやディスカッションを実施しています。
さらに終盤に差し掛かると,プロジェクト側からの要望に応える形で,バランス調整のための専門チームを編成しました。このバランス調整チームは,デジタルハーツさんに発注した案件ですね。バランス調整を目的としたテストプレイは,複数回にわたって実施しましたが,毎回,未プレイの新しい人を集めていただき,ゲームのバランスに対する新鮮で有効な意見を収集することができました。
「OCTOPATH TRAVELER」はセールス面だけでなく,リリース後の評判も非常に高く,品質向上に寄与できたと捉えています。
4Gamer:
本日はデジタルハーツの営業責任者の方に同席していただいています。ちょうどいい機会ですので,ゲームのデバッグや品質向上のための具体的な取り組みを教えていただけますか。
デジタルハーツ 営業責任者:
デジタルハーツではテスターに対する導入研修や,教育トレーナーによるリーダー研修を定期的に行うことで,スタッフ全体の底上げを図っております。
それに加えて,スクウェア・エニックス様のような大型タイトルを扱うクライアント様の場合,各プロジェクトや会社に特有のルールやナレッジがございますので,事前に対象を絞った研修を実施しています。
4Gamer:
どのような内容の研修でしょうか。
デジタルハーツ 営業責任者:
過去の検証実績や報告事例,顧客やシリーズ特有の知識,フォーマットの統一化といったものです。これにより,クライアント様の手を煩わすことなく,スムーズにやり取りが進むように心がけております。
また,「OCTOPATH TRAVELER」のケースのようにバランス調整やユーザー視点からの意見出しを求められるケースも多く,「QA(Quality Assurance)=不具合を無くす」だけではなく,ゲーム性やUIなど,ゲームとしてのクオリティが担保されているかどうかもチェック対象になってきました。そのあたりの意識づけも,日頃から意識して作業に臨んでいます。
4Gamer:
なるほど。「OCTOPATH TRAVELER」のケースでは開発の初期段階から品質管理部が綿密に関わっているとのことですが,こうしたタイトルはそう多くないのでしょうか。
渋谷氏:
そうですね。「OCTOPATH TRAVELER」のケースでは,プロデュースを手がける浅野(智也氏)チームがゲームユーザーリサーチチームの働きを買ってくれているんです。
4Gamer:
なるほど。ちなみに品質管理部から開発部署に異動しているスタッフは多いのでしょうか。
加藤氏:
はい,「ドラゴンクエスト」シリーズのプロデューサーや,「ファイナルファンタジー」シリーズのプランナー,プロジェクトマネージャー,新規IPやスマホゲームのプランナーといったさまざまな職種で,品質管理部の出身者が活躍していますよ。
渋谷氏:
品質管理部の業務は開発の最終工程に携わりますから,品質管理で培った経験を上流工程に活かせる部分は多いと思います。また,彼らは頻繁に品質管理部に顔を出して,いろいろと情報交換を行っているので,お互いにメリットは大きいですね。
加藤氏:
元・同じ部署の同僚ですから話を聞きやすいんですよ(笑)。
4Gamer:
それでは,品質管理に携わるスタッフに求められるスキルや心構えにはどのようなものがあると考えますか。
渋谷氏:
品質管理はチームで取り組むもので,また他部署や外部の会社と密に連携を取る必要がありますから,コミュニケーション能力が求められます。
また,技術とサービスの変化が大きい業界ですので,従来のやり方に固執せず,常に新しい知識を吸収して変化に対応できる柔軟性も必要ですね。
実際,品質管理部では流行しているゲームやコンテンツに積極的に触れるようにと呼びかけています。巷でどんなゲームが遊ばれているのかを知るのはもちろんですが,そこで使われている技術やサービスを知り,市場を正しく理解することは品質管理に役立つと思っています。
加藤氏:
最近のトレンドとして,コンシューマ向けゲームをPC向けにもリリースするケースが増えています。しかし,そのままコンバートしただけでは,PCゲーマーの皆さんに納得してもらえないことも少なくありません。ちょうど今,スクウェア・エニックスが取り組んでいる問題で,その解決法を検討しているところです。
4Gamer:
そのためにも市場に対する理解が必要だと。
加藤氏:
はい,市場によって期待されているポイントが異なります。こうした違いはどのプラットフォームでも少なからずあり,それぞれに最適化が必要で,簡単に解決できることではありませんが。
渋谷氏:
それから,ゲームのクオリティに対する「最後の砦」という意識を持っていたほうが望ましいと考えています。不具合を見逃してしまったことに対し,「しょうがない」と思う人と「悔しい」と思う人がいますが,長い目で見ると後者のほうが伸びる傾向にあります。
4Gamer:
最後の砦ですか。スタッフにかかるプレッシャーは大きいですよね。
加藤氏:
そこはコミュニケーションを図り,1人ですべてを背負わないようにケアをしています。ただ,正面から心配すると「大丈夫です!」と返ってきますから,本音を探るために「最近,どう?」と世間話から始めて,何か抱えていれば言い出しやすい雰囲気作りを心がけていますね。
4Gamer:
ゲームにおける品質管理の役割は今後どうなっていくのか。ぜひ考えを聞かせてください。
加藤氏:
目指すもの,つまり「お客様に安心してゲームを遊んでいただく」という部分は変わらないと思いますが,その一方で手法は変わっていくでしょう。実際,社内でも技術チームと協力して,チェックの自動化を進めているところです。
4Gamer:
自動化によって,プロジェクトの規模拡大に対応できるようにするということですね。
渋谷氏:
同じ作業の繰り返しなどは機械に任せたほうがミスも出なくなるというメリットもありますね。すでに一部の簡単なテストでは自動化を導入しており,成果も挙げています。
一方で,ゲームの触り心地や使いやすさといった部分は,人の手でチェックすることが引き続き重要です。品質管理に携わるスタッフは,より付加価値の高い業務に集中できるようになっていくと思います。
4Gamer:
本日は貴重なお話をありがとうございました。今後もスクウェア・エニックスのゲームを安心して遊べることに期待しています。
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