プレイレポート
プレイを重ねることでシステムが変化するボードゲーム,「ゾンビキッズ:進化の封印」体験会をレポート
「ゾンビキッズ:進化の封印」(原題「Zombie Kidz Evolution」)を制作したのはカナダのスコーピオンマスクで,日本語版はすごろくやが担当。2019年4月頃に発売される予定で,価格は3024円(税込)となっている。スコーピオンマスクは,記憶力を試す「ウェンディゴのこわい話」など,幅広い年齢層が楽しめるボードゲームのメーカーとして知られている。「ウェンディゴのこわい話」については,2018年6月29日に掲載した体験レポートに詳しいので,興味のある人は参照してほしい。
さて,ゾンビから学校を守るべく,4人の少年少女が立ち上がる「ゾンビキッズ:進化の封印」だが,2〜4人でのプレイが可能で,4人の場合,プレイヤーはそれぞれ1人のキャラクターを担当することになる。ゲームの目的は,4か所の校門に施錠をすることだ。そのためには2人のキャラクターが同時に校門のマスに入らなければならないが,その間にもゾンビがランダムで出現してくる。
ゾンビが増えすぎるとゲーム終了になるので,プレイヤーは門の施錠とゾンビ退治を並行して進めていかなければならない。
本作で特徴的なのが,丸がズラリと並んだ「進行チャート」だ。1回のプレイが終わると,「脳みそシール」を,またプレイ中に特定条件を満たすと「トロフィーシール」を丸の部分に順に貼っていく。そして,シールが一定の数に達したら,「進化の封筒」を開くことができ,封筒には「ゾンビが凶暴化する」「キャラクターに特別の能力が与えられる」といったことが書かれている。
つまり,プレイを繰り返すことでゾンビやキャラクターがパワーアップするという,コンピュータゲームによく似た仕掛けが用意されているわけだ。
実際にプレイしてみると,「進化の封筒」が開封されていない時点でもなかなかスリリングだった。
プレイヤーは自分の番が回ってきた際,ゾンビが出る場所を決めるサイコロを振る。出目が示す色の場所にゾンビが出てくるのだ。
上記のように,ゲームの目的はマップの4隅にある校門をすべて施錠することだ。校門を閉めるためには校門のマスに2人のキャラクターが揃って入る必要がある。とはいえ,全員で校門に猪突猛進しては勝てない。ゾンビが8体,ボード上に出現してしまうと,その場でゲームオーバーになるからだ。
また,5つある教室のどれでも,3体のゾンビが集まると通れなくなる。移動の要所となる教室は何としても確保しておきたいので,次々に出現するゾンビをこまめに減らしつつ,余裕を持った行動を心がけなければならないのだ。
出目の中には「ゾンビが出現しない」というものもあるため,サイコロをふる手には毎回力がこもってしまう。また,たとえゲームオーバーになったとしても,ゾンビを担当するプレイヤーが存在するわけではないため,敗北感はあまり大きくない。1プレイが15〜20分と短いため,「今回は運が悪かったが,次はがんばろう」と前向きにプレイを続けられる。ほかのプレイヤーと連携しつつ,次々に現れるゾンビを始末していくという流れは,ゾンビもののFPSで協力プレイをしているのに似た面白さが感じられた。
このように,プレイを重ねることでルールが増えたり内容が変化したりするボードゲームは,「レガシーシステム」とも呼ばれる。レガシーシステムの作品の中には「いったんゲーム内容が変化すると,元に戻せない」というものがあるが,本作で「進化の封筒」で増えたルールを採用するか否かは選択できる。そのため,「今日は基本ルールで遊ぼう」「この新ルールだけを適用しよう」という柔軟な展開が可能だ。
もともと本作は「Zombie Kidz」というタイトルで発売されていた作品を発展させたものだ。「Zombie Kidz」に「進行チャート」と「進化の封筒」を加え,ホラー色の強いダークなビジュアルから,現在のようなポップなものに変えた。これにより,低年齢層でも親しみやすくなったという印象だ。
個人的には,「進行チャート」と「進化の封筒」,そして「玩具で武装した元気な子供達」という「スプラトゥーン」を思わせるビジュアルなど,ビデオゲームの影響が見られて,興味深い作品だった。
「すごろくや」公式サイト
- この記事のURL: