紹介記事
注目のサブスクリプションゲームサービスまとめ。近い将来,これがゲーム販売の主流になる!?
そんな中,最近気になる動きを見せているのが,ゲーム販売方式の変化だ。買い切り型や基本プレイ無料+アイテム課金型に加えて,サブスクリプションサービス(製品やサービスなどを一定期間利用する権利として料金を支払う定額制)がここ数年目立ってきており,サービスの数も増えてきている。
ゲームのサブスクリプションサービスにはどんなものがあるのか? 今後国内向けのスタートを控えているものも含めて,主なものを紹介していこう。自分にはどのサービスが合っているかなど,選択するときの参考にしてほしい。
なお,同じサブスクリプションサービスでも,オンラインマルチプレイに必要となる「Nintendo Switch Online」と「PlayStation Plus」は,こちらの記事で紹介している。興味がある人はあわせて読んでほしい。
「Switch Online」&「PS Plus」の徹底活用&節約ガイド。オフラインプレイ派も,うまく使えば元が取れる!
「Nintendo Switch Online」や「PlayStation Plus」といった有料サービスは,オンラインマルチプレイに必須なので,「1人でのんびり遊ぶから必要ない」と思っている人が多いかもしれない。だが,実はオフライン派にも多くの恩恵があるサービスなので,その活用術を紹介しよう。
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- ライター:相川いずみ
PCでもPS4独占タイトルが遊べるクラウドサービス
PlayStation Now
<料金プラン>
1か月:1180円
3か月:2980円
12か月:6980円
<利用可能なハードウェア>
PS4
PC(Windows)
<タイトル数>
400以上
ソニー・インタラクティブエンタテインメントが提供するサブスクリプションサービス。PS4とPS3の名作や大作がPS4やPCで遊び放題なのがウリとなっている。料金プランは3つあるが,利用期間が異なっているだけでサービス内容に違いはない
PlayStation Nowの大きな特徴は,クラウドサービスであることだろう。ダウンロード時間やストレージ容量を気することなく,すぐに遊べるのは新鮮な体験だ。
また,クラウドゲームといえば気になるのは遅延だが,「Bloodborne」「Marvel's Spider-Man」などのアクションゲームを普通にプレイした分にはさほど気にならなかった。格闘ゲームでシビアなタイミングのコンボを決める……などといったプレイでない限りは大丈夫という印象だ。ただ,通信状態は環境や時間帯によっても変わるので,そこは頭に入れておきたい。可能であれば有線接続のほうがいいだろう。なお,回線速度が遅くなると強制的にゲームから切断されることもある。
カタログラインナップは過去の名作が揃えられているという印象で,新しいタイトルは少なめ。PS4のヘビーユーザー向けというより,「PS3やPS4は手元にないけど,遊びたいタイトルがある」というPCユーザーにこそ,最もコスパの良いサービスになるのではないだろうか。PS4タイトルと互換性があるPS5の発売が年内に予定されているので,それまでPlayStation Nowを利用するのもよさそうだ。
PlayStation Now公式サイト
「STAR WARS」や「バトルフィールド」ファンなら鉄板チョイス
Origin Access&EA Access
Origin Access
<料金プラン>
Basic
1か月:518円
1年:3002円
Premier
1か月:1644円
1年:1万644円
<利用可能なハードウェア>
PC(Windows / Mac)
※Macには一部制限あり
<タイトル数>
Basic:280以上
Premier:330以上
※DLCなどを含む
EA Access
<料金プラン>
1か月:518円
1年:3002円
<利用可能なハードウェア>
PS4
Xbox One
<タイトル数>
80以上(PS4とXbox Oneでラインナップに差異あり)
「Origin Access」と「EA Access」は,エレクトロニック・アーツが提供するサブスクリプションサービス。前者はPC向け,後者はXbox OneとPS4向けに展開されている姉妹サービスだ。
Origin Accessの「Basic」プランとEA Accessでは,EAの新作を発売前に10時間プレイできる先行プレイトライアル,ストア購入時の価格優待,名作ゲームコレクション「Vault」の遊び放題といった特典を受けられる。「Vault」のライブラリ数は異なるが,料金を含めた基本的なサービス内容に大きな差はない。
1年プランだと1月あたり約250円という料金の安さに惹かれる人がいるかもしれないが,EA Accessの場合,オンラインマルチプレイを楽しむなら「Xbox Liveゴールド メンバーシップ」や「PlayStation Plus」への加入が別途必要になることも頭に入れておきたい。どちらかと言えばオフラインプレイ派向けのサービスかもしれないが,EAタイトルには「バトルフィールド」シリーズをはじめとして,オンラインマルチプレイがウリとなっているタイトルが多いので,そちらを楽しまないのはもったいない気もする。
Origin Accessの「Premier」プランの特徴は,新作の先行プレイとVaultタイトルのラインナップにある。前述した通り,Basicプランでは10時間までの制限があり,それ以上プレイするには購入の必要があるのだが,Premierプランにプレイ時間の制限はない。さらに新作もVaultタイトルとなるので,購入せずとも(メンバーでいる限り)遊び放題なのだ。
EAタイトルには大作が多く,価格もその分お高めな印象がある。PCゲーマーで「FIFA」「STAR WARS」「バトルフィールド」といったシリーズのファンなら「Premier」でも十分元が取れそうだ。逆に,EAタイトルのファンでも,のんびりセールを待つような人や,前述したようにオフラインプレイがメインのスタイルなら,「Basic」という選択もアリだろう。
Origin Access公式サイト
EA Access公式サイト
Xboxファン向けのサブスクサービスが日本でもついに開始
Xbox Game Pass
<料金プラン>
Xbox Game Pass for Console
1か月:850円
Xbox Game Pass for PC (Beta)
1か月:425円
Xbox Game Pass Ultimate
1か月:1100円
※2020年4月末現在,Ultimateとfor PCは初月のみ100円
<利用可能なハードウェア>
Xbox One
PC(Windows10)
<タイトル数>
150以上
日本では2020年4月14日にスタートしたばかりの,Microsoftが提供するサブスクリプションサービス。Xbox One向けの「Xbox Game Pass for Console」(以下,for Console),PC向けの「Xbox Game Pass for PC (Beta)」(以下,for PC),そのどちらでもプレイ可能な「Xbox Game Pass Ultimate」(以下,Ultimate)の3プランが用意されている。
ゲームタイトルの遊び放題(新作が随時追加され,Xbox Game Studioのタイトルは発売と同時にプレイ可能),ストアでのメンバー向け割引価格設定といった特典は,どのプランでも受けられる。
さらに「Ultimate」のサービスには,「Xbox Live Gold」(月額824円相当)も含まれているので,オンラインプレイを楽しむXbox Oneユーザーならfor ConsoleよりUltimateを選んだほうがお得だろう。
また,すでに「Xbox Live Gold」に加入しているメンバーの場合は,その残り期間に基づいて「Ultimate」プランに変換できるので,ぜひ利用したい。
Xbox Game Pass公式サイト
PCゲームに特化した雑食ゲーマー向けサービス
Humble Choice
<料金プラン>
Lite
1か月:US$4.99
1年:US$44.99
Basic
1か月:US$14.99
1年:US$134.99
Premium
1か月:US$19.99
1年:US$179.99
<利用可能なハードウェア>
PC(Windows / Mac / Linux)
<タイトル数>
90タイトル以上(Humble Trove)+毎月10本前後から最高9本選択(カタログ)
ゲームや電子書籍,音楽などのデジタルコンテンツのダウンロード販売を行う北米法人,Humble Bundleが提供するサブスクリプションゲームサービス。本サービスは,2015年にスタートした「Humble Monthly」が,2019年末にリニューアルされたもので,ダウンロード配信のほか,主にSteamなどのゲームプラットフォームと連携するゲームキーを提供する形をとっている。
プランは「Lite」「Basic」「Premium」の3つ。共通しているのは,90を超えるDRMフリーの旧作タイトルを自由にダウンロードできる「Humble Trove」と,ストアでの10〜20%割引だ(収益の一部はチャリティー団体に寄付される)。
対して,それぞれのプランで異なるのは,月替りで提供される「カタログ」でのアンロック数だ。ビッグタイトルや過去の良作,インディーズタイトルなどが10本前後のセットになったカタログが毎月配布されるのだが,そこから入手できる数が「Basic」では3タイトル,Premiumでは9タイトルとなっている。「Lite」では入手不可だ。
ひとつのパブリッシャに偏らない,さまざまなタイトルの詰め合わせが毎月届く「Humble Choice」。Windows以外のOSでも遊びたい,日本語版がなくても気にしない,メジャー作品だけでなく海外の同人ゲームにもたくさん触れてみたいなど,雑食PCゲーマーのニーズに応えたサービスと言えるだろう。
Humble Choice公式サイト
どこかリラックスできる雰囲気の独占タイトルが集まる
Apple Arcade
<料金プラン>
1か月:600円
1年:6000円
※登録後の1か月は無料トライアル期間
<利用可能なハードウェア>
iPhone
iPad
iPod touch
Mac
Apple TV
<タイトル数>
100以上
AppleがApp Store経由で展開するサブスクリプションゲームサービス。そのプランの打ち出し方はなんともAppleらしくシンプルで,月額プランと年間プランの2つのみ。複雑な制限もなく,すべてのゲームが遊び放題と分かりやすいものになっている。Apple IDのファミリー共有機能を使うと,コンテンツを6人まで共有できるのも嬉しいポイントだ。
ローンチ時に70本ほどだったタイトルは,2020年4月下旬の原稿執筆時点では100本以上に。目を惹くのは,それらが独占公開の新作ばかりで固められていることだ。また,スマホ向けのゲームにありがちなゲーム内課金や広告といった要素が取り払われているのも特徴と言えるだろう。
体験前は,ほかのサービスと大きくテイストが異なるラインナップに不安を感じていたが,実際に遊んでみると,いい悪いという意味ではなく,従来のサービスとは目指している先が違うということに気づくはず。
「ゲームを変えるゲーム」というコンセプトを謳うApple Arcade。体験したことがないような新感覚のゲームが,こうした土壌から生まれてくる可能性は大いにあり得る。好奇心旺盛で,新しいものや一風変わったものが好きなゲーマーにはぜひ体験してほしいサービスだ。
Apple Arcade公式サイト
重量級のPCゲームがスマホでプレイできる!?
GeForce NOW Powered by SoftBank
(2020年6月正式サービス開始予定)<料金プラン>
1か月:1800円(税抜)
※正式サービス開始から2020年7月末までは,全ユーザーの月額料金が無料。さらに事前登録者は,無料期間終了から半年間の月額料金が半額
<利用可能なハードウェア>
PC(Windows / Mac)
Androidデバイス
<タイトル数>
対応タイトルは400以上(別途購入の必要あり)
GPUで知られるNVIDIAとソフトバンクが協業し,2020年6月に国内向けの提供を開始するクラウドゲーミングサービス。その内容は「自分が所有するゲームをクラウド化し,デバイスに依存することなくプレイできる」というユニークなものだ。
NVIDIAのGPU仮想化システムを利用し,ゲームプレイ時に発生するデータ処理をサーバで行ったうえでストリーミング配信するため,プレイヤーがハイスペックなハードウェアを用意する必要はない。非力なPCやタブレット,スマートフォンでも,高負荷な処理を要求されるタイトルを気軽に体験できるというわけだ。
先日行われたベータテストでは,GeForce NOWのクライアントからSteamを立ち上げるとPC上と同じようにライブラリが表示され,そこから自分が所有するゲームをスムーズにプレイすることができた。公式では対応をSteamのみに限定せず「第三者のデジタルストア」とうたっており,今後はSteam以外のプラットフォームにも対応していく気配がうかがえる。
基本料金に加えてゲームタイトルを別途購入する必要があったり,所持しているゲームすべてがクラウド化できるわけではなかったりといった点はあるものの,「家のPCでプレイしたゲームの続きをスマホで遊ぶ」といったメリットに魅力を感じる人は多いだろう。なお,ベータテストでは,正式に対応が謳われていないタイトルにも,問題なくプレイできるものがあった。
「PCゲームが大好きなので,家だけでなくどこでも楽しみたい」「高性能のゲームPCは持っていないけれど,体験してみたい」といった願いを叶えてくれそうなサービスだ。
GeForce NOW Powered by SoftBank公式サイト
Xboxタイトルが遊べるクラウドサービス
Project xCloud
(2020年内に国内向けプレビュー開始予定)Microsoftが,ダウンロード型のサブスクリプションサービスである「Xbox Game Pass」と並行する形で展開するクラウドゲームサービスが「Project xCloud」だ。アメリカ,イギリス,韓国などでは2019年の秋から公開されているサービスだが,2020年には日本,カナダ,インド,西ヨーロッパなどに拡大される。
Project xCloudでは,所有しているXboxタイトルをダウンロード時間なしにAndroidのスマートフォンやタブレットなどでプレイできる。また,近い将来PC(Windows)への対応も検討されているとのこと。それに伴って,対応コントローラなどの拡充を図り,ユーザーがさまざまなプレイ方法を選択できる環境を構築していく予定もあるという。
Xbox Oneの3500以上のタイトルと,開発中の1900のタイトルがすでにxCloud上で稼働しているということなので,安定して新作が投入されていくことが見込まれる。また,将来的にはXbox Game Passとの統合・連動の可能性もあるようで,長い目で見たときにXboxのコアなファンなら十分満足できるサービスになることが期待できるだろう。
Project xCloud公式サイト
あのGoogleがゲームに参入。今後の展開とAndroidとの連携が気になる
Stadia
(日本国内向けサービスは未定)Googleが世界各地に保有するサーバーを活用したクラウドベースのゲームサービスで,PCやスマートフォン,Chromecastを接続したテレビなどに向けて展開されている。欧米14か国では2019年秋にサービスがスタートしており,無料の「Stadia Base」と有料の「Stadia Pro」(以下,Pro)という2つの料金プランが用意されている(Stadia Baseは発表のみでサービスは開始されていない)。
その料金とは別にタイトルを購入する必要があるが,Proでは無料配信される作品もあるようだ。また,Proではテレビで最大4K,PCやタブレット,スマートフォンなどでも高解像度の出力が可能となる。加えて,5.1chサラウンドに対応していたり,一部のゲームタイトルが割引で購入できたりするなどのメリットが設けられている。
「あのGoogleがゲームに参入!」という大きな期待の中でスタートした本サービス。しかしクラウドゲームゆえに,通信環境によっては謳われているほどのグラフィックスが楽しめなかったり,タイトルラインナップが少々寂しかったりといった点が指摘されるなど,ローンチ後の評価は今ひとつという感じだ。ただし,当初22本しかなかったタイトルも原稿執筆時には40本弱に増えており,2020年前半には10本の追加,さらに2020年中には120本までのタイトル提供を目標としているという。
今後,日本を含むアジアに向けてどんな展開が計画されているのか,どういった巻き返しプランが用意されているのか,焦らず続報に期待しよう。
Stadia公式サイト
気になるサブスクリプションサービスは見つかっただろうか。今後日本向けサービスが開始されると思われるサービスには,クラウド型が多い。2010年頃から「OnLive」や「Gaikai」といったサービスが提供されていたことを思い出す人もいるかもしれないが,当時とは状況も大きく変わり,スマートデバイスやコントローラとの連携を強く意識したものに進化している。クラウドには遅延などの問題が付き物だが,そのあたりをどう受け止めるかも含めて,自分のプレイスタイルのひとつの基準として,選択の材料にするといいかもしれない。
何にせよ,サブスクリプションサービスは,うまく使えばゲームの新しい楽しみ方になることは間違いない。積みゲーならぬ積みサブスクとならないよう,プレイヤー側も全力で遊んでいきたいところだ。
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