業界動向
ゲーム事業の売り上げは約3.3兆円。Tencentが,2022年第4四半期および年度業績報告を公開
ゲームだけでなく,クラウドサービスやSNSツール「Wechat」など,多方面に事業展開しているTencentの,昨年度全体の売り上げは5546億元(約10.64兆円)で,YoY−1%。売り上げのうち31%は,ゲームによる売り上げだ。
※レートはすべて,2023年3月23日の数値(1元=19.18円)で計算しています
内訳でみると,2022年中国国内ゲーム事業の売り上げは1239億元(約2.38兆円)でYoY−4%。引き続きのマイナス成長だが,前年比−10%以下のマイナス成長をした中国ゲーム環境においては,まずまずの成績とは言えるだろう。
中国ゲーム産業,前年比−10%以上のマイナス成長。低迷に終わった2022年を振り返る
2月14日に発表された「2022年中国ゲーム産業報告」によると,2022年の中国ゲーム市場全体の売り上げは約5.19兆円で,YoY−10.33%と大きく下落したのが明らかになった。全体的に売り上げ減少の一方,足枷ともなる版号制度による新規リリースタイトルの減少も見える。
一方,海外ゲーム事業の年度売り上げは468億元(約8976.24億円)で,YoY+3%。なかでも第4四半期(2022年10月〜12月)の売り上げは139億元(約2666.02億円)でYoY+5%,QoQ+13%と好調さを見せている。
Tencentは,2021年に海外ゲームブランドの「Level Infinite」を立ち上げ,2022年に「Tower of Fantasy(幻塔)」「勝利の女神:NIKKE」などの人気タイトルを送り出した。ほかにも,Tencentの完全子会社Riot Gamesが開発・運営している「Valorant」や,過半数株を買収したFatsharkによる「Warhammer 40,000: Darktide」(2022年12月発売)による貢献も大きいと,事業ハイライトでは触れられている。
海外ゲームスタジオに積極的に投資している傍ら,他社タイトル含むゲームパブリッシングにも抜かりはない。同日に開催された決算説明会でも海外市場に対する展望が言及されたので,該当箇所のコメントを抜粋して掲載しておこう。
いまのTencentの海外ゲーム事業は,既に国内ゲーム事業の半分ほどの規模になっています。Riot Gamesの「Valorant」からStunlock「VRising」まで,大きいチームから小さいスタジオまで,非常に多く新作を出して成功しています。そのため,私たちも引き続き海外ゲーム事業に投資する予定で,それがほかの理由で中断されることはありません。
※AI Generated Content
※Games as a Service。ゲームをサービスとして継続的に運営するモデル
Tencentの国際市場においてのシェアは,まだ大きくするチャンスがあります。構造上の,競争に対する優位点があると思います。例えば中国市場での経験からきた優位点や,マルチプラットフォームに適合した開発の優位点など,Tencentを含む中国ゲーム市場全体が,世界のゲーム市場でより大きくシェアを確立できる未来が期待できます。私たちが重視しているのは,より良いゲームを送り出すことで,長く続けられるゲームを作ることです。リアル世界におけるスポーツ競技のような。
ゲーム運営においては,GAASモデルのゲームでも,買い切りゲームのパブリッシングでも,どちらも重視しております。優秀なゲームの開発・パブリッシング,そして運営に着地点を置けば,引き続き市場シェアを拡大することができます。グローバルゲーム市場は,1500億ドルを超える大きいチャンスなのです。
地政学的リスクでいうと,ゲームはSNSやプラットフォームとは異なると認識しています。ゲームはプレイヤーの個人情報を多く集める必要はなく,特定のデータだけ使ってユーザー体験を最適化しているため,収集するのは個人の行動を追跡するデータではなく,匿名のユーザー情報なのです。
Tencent,2022 Fourth Quarter and Annual Results Presentation(PDF)
Tencent Holdings Ltd 2022 Fourth Quarter and Annual Results Announcement(Webcast)
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