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スクエニ,セガ,コナミの思惑はいかに。NFTokyoの講演「日本の大企業がWeb3業界に参入し、どのように課題を解決していくのか?」をレポート
本稿では,その中から「日本の大企業がWeb3業界に参入し、どのように課題を解決していくのか?」の模様をお届けする。
本講演には,スクウェア・エニックスのブロックチェーン・エンタテインメント事業部長である畑 圭輔氏,セガのビジネス開発本部に所属し,セガサミーホールディングスで「TUNNEL TOKYO」(外部リンク)も運営する堀江悦子氏,コナミデジタルエンタテインメントのweb3事業部長である金友 健氏が登壇した。モデレーターは,ゲーム特化型ブロックチェーンを展開するOasysの代表である松原 亮氏が務めた。
最初に簡単な自己紹介が行われ,畑氏は「資産性ミリオンアーサー」と「SYMBIOGENESIS」,堀江氏は「三国志大戦BCG(仮)」,金友氏は「悪魔城ドラキュラ」シリーズのNFTアート(関連記事)を主なプロジェクトとして挙げた。
堀江氏は,SuperGameは中長期的な戦略であり,遊ぶ人,視聴する人,創作する人など多様なプレイヤーが関わるゲームだと説明した。将来的に,こうしたプレイヤーがメタバース空間で経済活動を行うことを想定しており,ブロックチェーンはその実現に必要な技術の一つだという。
畑氏は,自身がプロデューサーを務める「資産性ミリオンアーサー」のコンセプトは「マスアダプション」であり,そのためにLINEブロックチェーンを採用したと語った。完全無課金で1円や5円でも儲かる経験をさせることで,ポイ活をする主婦のような,ゲームとは縁遠かった層もターゲットにしているようだ。
また,NFTデジタルシールとしてローンチした同作は,最初はデジタル資産への期待感からすぐに完売したものの,だんだんと売上が落ちていったそうだ。そこで,ユーティリティが問われる段階になったと判断し,2023年4月にゲームコンテンツを追加したのだという。電車通勤時の暇潰しが,ソーシャルゲームから動画視聴へと変化した感覚があったので,可処分時間の奪い合いという観点から5〜10分で遊べるように設計したとのこと。
金友氏は,もちろんチャレンジしていきたいがハードルが高いと答え,とくにFT(代替可能なトークン)の導入難度の高さを指摘した。
Web3では特定のゲーム内という枠組みにとらわれず,リアルを含めてさまざまなところで使えるNFTが登場する可能性があることを述べ,そういった事業を展開する会社と話してみたいと語った。
堀江氏は,セガが約2年前にブロックチェーン業界への参入を発表した際(関連記事)は,投機が盛り上がっている時期であり,多くのユーザーから批判を浴びたと述べた。しかし,東南アジアでは「Play to Earn(遊んで稼ぐ)」タイトルの流行により,ポジティブなユーザーが増えてきており,まずは「三国志大戦」を第一歩として日本市場やアジア市場へと展開していく予定だという。
松原氏がSEGA Singapore(関連記事)の設立に触れ,人気の高い北米ではなく,アジアに注力するつもりなのかと尋ねると,堀江氏はIPやブランドは欧米寄りだが,アジアとの親和性が高いIPもたくさん残っているので,欧米もアジアも含めたグローバルで展開していくと答えた。
また,堀江氏はブロックチェーンゲームがいまは一ジャンルとなっているが,長期的に考えるとすべてのゲームの裏側にブロックチェーン技術が使われている可能性を指摘した。
一方,金友氏は,モバイルゲームの出現でコンソールゲームがなくなったわけではないので,すべてがブロックチェーンに置き換わるわけではないと予測した。
そして,自身のプロモーションの経験から口コミの絶大な効果について述べ,Web3では広めてくれたユーザーに企業が感謝を伝えられるので,さらに口コミを発生しやすくできるだろうと語った。
最後に,松原氏がマスアダプションはゲームから始まることが多く,これだけの大企業が真剣に取り組んでいるのだからその日は近いだろうと述べ,講演を締めくくった。
「Non Fungible Tokyo 2023」公式サイト
- 関連タイトル:
資産性ミリオンアーサー
- 関連タイトル:
SYMBIOGENESIS
- 関連タイトル:
魁 三国志大戦 -Battle of Three Kingdoms-
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