「アイドル×メタバース」をテーマとしたプレゼンテーションで語られた，「画像や動画をNFTにしても苦戦してしまう」という悩み

　2023年7月25日，26日に開催されたWeb3カンファレンス「WebX」のピッチステージにおいて，coinbookの執行役員CAO 奥秋 淳氏と，HIKKYのCOO兼CQO さわえ みか氏による「アイドル×メタバース」と題したプレゼンテーションが行われていた。

奥秋 淳氏（左）とさわえ みか氏（右）

　coinbookは，DMM Bitcoinと共に，オーバースが発行する「Nippon Idol Token」（NIDT）を取り扱っている暗号資産取引所。このトークンを通じて調達された資金は，秋元 康氏が総合プロデューサーを務める「IDOL3.0 PROJECT」の運営などに利用されるという。
　一方のHIKKYは，メタバース上でVRイベント「バーチャルマーケット」などを展開している企業。メタバースサービスをWebブラウザ向けに展開できる開発エンジン「Vket Cloud」なども手がけるなど，メタバースの空間設計や企画，運用などを行っている。


　プレゼンテーションのテーマである「アイドル×メタバース」については，リアルの“推し活”だけでなく，メタバースを使ったアイドルとファンの新たな交流の在り方などが検討中であることが語られた。
　例えば奥秋氏は，「メタバース上の自分の部屋にアイドルに来てもらう企画」などが面白いのではないか？　と提案する。するとさわえ氏は，そのアイデアを肯定しつつも，「ファンだけでなく，面白がった人達が集まれるような企画」が盛り上がりには重要であるとして，「バーチャルマーケット2023 Summer」で日清食品が展開した企画などを例示し，「こちらが本気で面白い中身のあることを提供すると，ユーザーがそれに乗っかってもっと面白く遊んでやろうと発信してくれるようになる」「アイドルと一緒にいろいろな仕掛け，中身をともなった面白い種をまけば，そこから生まれるものがある」とコメントしていた。

日清食品初のメタバースコンテンツ！バーチャルマーケット2023への出展詳細発表（PR TIMES）

　また，奥秋氏が「デジタル空間だとNFTを活用して……という話が多く，我々も昔からやっているが，画像や動画をただNFTにしても苦戦してしまう」と語ると，さわえ氏はNFTの利便性を認めつつも，「インタラクティブな体験や活動の一環として，NFTが適切かどうかを考えるべき。この仕掛けだからこのNFTがある，という感じにしたほうがいいのではないか」と返答。奥秋氏が「ついつい『NFTを売りたい』から入っちゃうのが良くなかった」と反省の弁を述べるシーンも興味深いものだった。
　技術が先か，企画が先かという議論は，それこそ鶏が先か，卵が先かといった部分もあるが，Web3やメタバース業界では，これまで技術面（と，それを背景とした投資環境）の話題が先行しがちだったのは確かだ。今回のプレゼンテーションは，企画を盛り上げるための技術活用という切り口の話題が増えてきていることの一つの象徴なのかもしれない。

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