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親子3世代で楽しめる「ニンテンドーミュージアム」を先行体験。宮本 茂氏へのグループインタビューも掲載
任天堂と言えば,やはりNintendo Switchを始めとしたテレビゲーム機や「スーパーマリオ」「ゼルダの伝説」「スプラトゥーン」といった有名シリーズのゲームタイトルを思い起こすが,そもそも同社はテレビゲーム以前から,トランプや花札などを含めたさまざまな玩具を製作,販売していた会社でもある。意識はせずとも,子供時代にどこかで触れていたという人がほとんどのはずだ。ニンテンドーミュージアムはテレビゲームだけでない,そうした任天堂の歴史が展示された施設になっている。
今回,そのオープンを前に,内覧会で体験できたので,その模様を写真と共にお届けしよう。また,任天堂 代表取締役フェローである宮本 茂氏のグループインタビューも行われたので,そちらも掲載したい。
●ニンテンドーミュージアム概要
〒611-0042 京都府宇治市小倉町神楽田56番地
交通アクセス:
近鉄京都線「小倉駅」東口から徒歩5分
JR奈良線「JR小倉駅」北出口から徒歩8分
※ご来館の際は,公共交通機関(タクシー除く)をご利用ください。
営業時間:
10:00〜18:00
休館日:
毎週火曜日および年末年始(12月30日〜1月3日)
※火曜日が祝日の場合は営業。翌水曜日が振替で休館となります。
大人(18歳〜)
3300円(税込)
中学・高校生
2200円(税込)
小学生
1100円(税込)
未就学児
無料
親子3代で楽しめる任天堂の歴史と体験
ニンテンドーミュージアムは大きく分けて,3つの建物で形成されている。入場口を入ってすぐ左の建物が第1展示棟で,さまざまな展示物や体験展示が用意されている。第1展示棟とつながった奥側にはショップエリアになる第2展示棟がある。いきなりショップに進めなくもないが,順路としては第1展示棟で楽しんでから,お土産を物色する流れになるのだろう。
そして,右奥の第3展示棟は1階部分がカフェになっていて,ここで食事が可能だ。2階では花札を自分で作る「Craft Room ちょっと、花札をつくろう」,花札の遊び方の1つ「花合わせ」をベースに,ルール説明を交えながら花札を楽しめる「Play Room ちょっと、花札で遊ぼう」が体験できる。
第1展示場2階から階段を下りた先の1階では,さまざまな体験展示でゲームが楽しめる。ただし注意,かつ重要なのが,それぞれのゲームをプレイするためには,“コイン”が必要になるということだ。
“コイン”は入場時に発行された入館証に10枚分が登録されており,ゲームをプレイするとコインが消費されていく仕組みとなっている。消費されるコインの数はゲームによって異なるので,前もって遊びたいゲームとコインの消費数を考えておきたいところだ。
もっと遊びたい! となるところだが,どうしても一度に体験できる人数には限りがあり,ある程度の制限がないと混み合ってしまうからといった理由もあるのだろう。
というわけで,体験展示で遊べるゲームを簡単に紹介しよう。
●しぐれでんSP(コイン2枚)
第1展示場の中央に配置された,巨大な画面を使った百人一首だ。専用のスマートフォンから読まれる短歌の下の句が書かれた取り札を,画面上を歩いて探し出してスマートフォンをかざし取っていくというもの。取るまでの早さに応じて点数が加算される。最大20人でプレイ可能だ。
●ザッパー&スコープSP(コイン4枚)
任天堂と言えば光線銃ということで,巨大なスクリーンに映し出されるスーパーマリオの世界を舞台に,「ザッパー」「スコープSP」どちらかの武器を選んで,クリボーやノコノコなどクッパ軍団を撃ちまくる。と言っても,弾はペイント弾なのが任天堂らしいというか,「スプラトゥーン」を彷彿とさせる。なお,画面にはマリオやピーチ姫も飛び出してくるので,そちらを撃ってしまうと減点だ。ゲームは,最大13人で一斉にプレイ可能となっている。
●ウルトラマシンSP(コイン2枚)
室内用ピッチングマシン「ウルトラマシン」を再現したゲーム。飛んでくるボール(ピンポン球)を打ち返して,部屋の家具に当てるといろいろな演出が楽しめる。1人専用プレイとなっており,親子で一緒に部屋に入ることは可能だが,2人一緒でのプレイはできないので注意しよう。
●ウルトラハンドSP(コイン1枚)
手前のグリップを閉じると伸びる「ウルトラハンド」を使ったゲームだ。レーンを流れていくボールをウルトラハンドでうまくつかんで土管に運べば,ゲームの終了時に運べたボールの数や大きさによって花火の演出が変化する。
ボールをつかむこともそうだが,つかめても落としてしまったりと,なかなかに難しい。ウルトラハンドのボールをつかむ部分も少し特殊な操作が必要なので,まずは使い方に慣れることが重要だ。
●ラブテスターSP(コイン1人2枚)
手をつないだ2人の「ラブ度」を測定するゲーム。さまざまなテストに挑戦してラブ度を上げていく。2人プレイ専用となり,それぞれコインが必要になる。
●ゲーム&ウオッチSP(コイン1枚)
自分の影を「ゲーム&ウオッチ」のキャラクターにして操作するゲーム。「ゲーム&ウオッチ」で発売された,「ボール」と「マンホール」の2種類が楽しめる。
●ニンテンドークラシック(コイン1枚)
ファミコン,スーパーファミコン,NINTENDO 64など,Nintendo Switch Onlineで配信中の一部のタイトルが楽しめる。1回の体験につき5〜7分間プレイ可能だ。それぞれのハードを再現したコントローラを手に持ってプレイできる。
●ビッグコントローラー(コイン1人2枚)
巨大なコントローラを使って,2人で協力して操作が楽しめる。ゲームはハード別に3つから選択してプレイ可能。Wiiリモコンでの操作は,実際に持ち上げるらしく……いやこれ2人でも大変では。2人プレイ専用で,それぞれコインが必要だ。
任天堂らしさを分かってもうため,らしさを維持していくためのミュージアム。宮本 茂氏インタビュー
――なぜ,ここにミュージアムを作ることになったのか,その理由を教えてください。
宮本氏:
どうして任天堂がこんなものを作るのだろう? と思われたら正解です(笑)。任天堂は,あまり自分達の説明をしない,お客さんと商品を通じてコミュニケーションをするというのを続けてきましたが,何年か前からいろいろな資料を残してきたんです。
とくにアーケードゲームの資料は,(筐体が)動かないと意味がないので,それを動く状態で置いておくのはすごく大変です。それ以外にも,ゲームのライセンシーされるソフトが毎年何百本も残っていて,これらのパッケージをずっと置いていてもしようがなくて,何とか管理していかないとという話がありました。
また毎年,新入社員が入ってくるときに,任天堂の説明をする新入社員セミナーを行っていますが,2時間だったものが,2時間半になり,3時間近くになるという膨大な話になっているんです。そのほとんどが任天堂とは何ぞやという説明なのですが,それを20年もやっていると,もういい加減にそこは引退したいな,と。実は,そのときに話していたことが,展示のベースになっているんです。
そして,こうしてスタッフが増えていくなかで,任天堂らしさを維持していかなくてはならないという話題が任天堂社内にもありました。
そんなときに,製造ラインや配送を別に移した宇治の工場の扱いについて,創業時の思い出の場所でもあるので何とか残したいという話をしていたら,ミュージアムにしたらどうかというのが出てきたんです。鳥羽街道にも旧本社があり,そこにも工場があったので,どちらを使うかとなったのですが,結果的にバスなどのアクセスが良いということで,小倉に決まりました。
このように,いろいろな諸条件で決まりましたが,任天堂の過去の資産を全部残すことで,親子3世代で任天堂を知っている人達に見てもらって,任天堂を分かってもらったら良いなと思っています。
ハイスペックだとか,性能だとかの競争ではなく,任天堂は世の中のいろいろな技術を使い,任天堂らしい物づくりをずっと続けていて,ゲームに限らず,映像などさまざまなエンターテイメントのコンテンツを作っていく会社だというのを理解してもらえるようにミュージアムを作りました。
――小さいお子さんから,ご高齢のかたまで,いろいろな人が任天堂の製品を愛していますが,外国人も含めて各世代にどのようにこの施設を楽しんでもらいたいのでしょうか。また,この施設は京都の施設ですが,海外に同じような施設を作る考えはあるでしょうか。
宮本氏:
誰にどこを見てもらうということもなく,自分の思い入れがあるものを見ていただければいいですし,逆に僕らがそこで面白い発見ができたらもっと良いと思っています。
海外の人にも見てもらえるようにという点では,全部をローカライズできてはいないですが,できるだけ見て分かる展示に徹しています。インタフェースも含めて,分かりやすく,使いやすく,面白さを伝えるのが上手な会社だと思ってもらえたら。
施設は,さっきもお話ししたように,ビジネスで展開しているわけではなくて,任天堂のことを分かってもらうための目的で作っているので,あちこちに展開するつもりはまったくありません。
――ミュージアム内の展示でご自身が直接設計したものや,とくに記念的な展示品はありますか。また,1つ選ぶとしたらどの展示品を選びますか。思い入れやエピソードがあれば教えてください。
宮本氏:
意外と,どれとは限定できないなと悩みます。たしかに業務用の「ドンキーコング」を作り,そこからファミコンに移ってと,思い出深い場所ではありますけれど,それ以降の各ハードを設計していくときのコンセプトに全部思い入れがあるので,特定できないんですね。
設計したものと言われると,業務用のドンキーコングはほとんど,社外のプログラマと一緒に箱もイラストも含めて全部設計して,ブロック崩しは入社当時にした仕事で,筐体の設計までしましたし,すべてに思い入れがあります。
とくに各ハードウェアの外側の面はコンセプト展示になっていて,興味があればゆっくり見ていただくと,任天堂が世界で初めてやったこと,任天堂が多少無理をしてチャレンジしたこと,このハードで初めて生まれたキャラクターというのが分かりやすく囲ってあります。1人より2人とか世界を64で変えるみたいな心意気が書いてあるので,それを見ていただければ。
個別の展示で言えば,1階にコントローラだけの展示をしています。ここはコントローラの進化という展示です。これは新入社員研修でもやるんですけれど,業務用のドンキーコングから始まり,ゲーム&ウオッチに業務用の機械をどうやって移植しようかとなって,十字ボタンが生まれて,このプラスキーというのがジョイパッドのスタンダードに。L/Rボタンがスーパーファミコンで付いて,64でアナログスティックが付く。そしてWiiでモーションコントローラ,ポインティング。このように,ほとんどゲーム機では世界初ですというのを僕らのプライドにしているので,そこに取りまとめています。
――ミュージアムを中長期の任天堂の成長戦略に,どう生かしていくのでしょうか。
宮本氏:
倉庫で眠らせておくのはもったいないので,みんなが見える場所に出しておくことが一番大きな目的です。なので,中長期的な戦略とはあまり関係はないです。
ただ,親子3世代,いろいろな人達がこのミュージアムに来て,「任天堂は普段言われているゲームの競合メーカーとか,先端技術とかと,全然関係ないところにある会社なんだ」と思ってもらえるのが一番大事なことだと思っています。
当然ですが技術研究もしていますし,よく見てもらうとちゃんとやっています。けれど,今が売りどきじゃない,一番適正な売りどきが来たときに商品化しているという任天堂の歴史を見てもらえると思います。それを(ミュージアムで)見ることで,株主の皆さんにもIR的にも任天堂を信用して我々に任せてください,というのが中長期展望ですね。
――ユニバーサル・スタジオ・ジャパンにドンキーコング・カントリーができたりと,任天堂IPに触れる人口も拡大されていると思います。ニンテンドーミュージアムは親子3世代で楽しめるということで,非常に有効な手段だと思いますが,今後,任天堂IPの拡大でどのような企業像を目指していくのでしょうか。
宮本氏:
ミュージアムでは,第1展示棟1階のウェルカムゾーンなどで,たくさんのキャラクターを置いていますが,あまりああいった展示は考えておらず,今までの商品やハードウェアの展示を中心に作ってきました。ですが,もっと任天堂の全体を理解してもらうためにはIPを見てもらうのが一番ということで,そういう場所を作ったんです。
いまは,任天堂のゲームへの窓口として,こうしたIPやテーマパーク,映画で動いていますが,将来的には任天堂というIPを含めた大きなブランドがあり,その中にゲームが当然あるけれど,もっといろいろ魅力的なものが入っているというイメージを考えていけたらと思っています。
いつも言っていますけど「任天堂を選んでもらえる理由を作る」をテーマにしていて「子供が小学一年生になったら任天堂の何を買おう?」みたいな世の中になったら良いなということです。
――このミュージアムを訪れたとき,まず目に入るのがニンテンドーミュージアムの看板です。この色味がどういう由来で決まったのか,理由や込められた思いがあれば教えてください。
宮本氏:
あまり深い意味はないんです。このスクエア(Nintendoロゴの囲み)を真っ赤にした時点から展開していますし,任天堂ショップも全部赤で展開していますが,あれはセールスのために使っているロゴです。一方,歴史展示であるとか,事務関係にはグレーを使っているんですね。販売系統と分けようというのが大きな理由です。
でも,僕はパワフルにしたくてパープルの任天堂をやりたかったんです。しかし,現場としては建物全体をシックに抑えていて,パープルでは色がキツすぎると。(ロゴの背景色を)実は「ミュージアムパープル」と呼んでいるんですが,なぜかというと僕が「パープルじゃないじゃないか」と言うので,いい訳のようにパープルと言っているんです(笑)。
――さまざまな作品が京都から生み出されたということで,娯楽を生み出すうえでの京都という街の魅力をどのようにお考えですか。
宮本氏:
いろいろな視点でお話することがあるんですけれど,一般に言われる京都の文化を大事にするとか,京都の伝統を守って何かを作るとかいうのではないんですね。(任天堂の社長だった)山内は,とにかく「おごるな」と話していたんです。
僕が平家物語の「盛者必衰」や,方丈記の「ゆく河の流れは絶えずして,しかももとの水にあらず」というフレーズが大好きなのは京都にいるからかもしれませんが,僕らもその中で流れてるんです。その淀まずにずっと流れている状態をどうして維持したらいいのか。必ず栄えたものは滅びる。そのためには新しい栄えたもの作っていく。だから「おごるな」と。
この考え方は京都に根付いてはいるんですけども,やっぱりエンターテイメントの会社には一番大事なことなので,山内の教育を受けた者として考えてます。
もう1つ,僕は東京ローカルと社内で言っています。京都がグローバルということじゃなくて,東京はローカルだという意味です。東京で流行っている物に誘われて,日本で売れる物を作る。逆にそれで日本でしか売れないものを作っていることにわりと気づかないんじゃないか,と思うようになっています。
どうしてそう感じるようになったかというと,京都にいるコンプレックスがなかったんです。田舎のコンプレックスを持ち続けていたら,いずれは東京行きだとか思うかもしれないですけど,ここでのんびり仕事できたし,京都に好きな人達が働いていて,自分らが感じるものを作っている。その結果,世界中で売れているじゃないか,と。
そうすると,一番内部にあるものがグローバルであって,グローバルと言われているものは,別にグローバルではないんじゃないか,というふうに思うようになり,それを若手に吹き込んでいます。
――このミュージアムを見て,将来の任天堂の何らかのヒントを得られますでしょうか。
宮本氏:
見ていただくと分かるように,50年前,60年前からの遊びを,その世代に合わせてグレードアップしていったり,リニューアルしたりしています。
みんな年を取っていくので,小学生時代は6年しかない。その時代に経験することって,毎年繰り返されていくんですよ。その世代に合わせたレイヤーは常にあるので,それだけでもけっこう大きなビジネスになると思います。
また,これまで積み上げてきた流れから,あまり逸脱していないものを作ろうというのが任天堂らしさだと思いますが,チャレンジはいつもしています。変革を望まないのではなく,チャレンジで新しいものは作っていくけれど,ベースに流れるコンセプトは同じです。家族であったり,遊びであったり,分かりやすさであったり,そこをちゃんと守って作っていこうというのが社員に根付いていけば,新しい任天堂が膨らんでいくという結果に期待しています。
――2階の展示物は解説の文章が少なく,見て分かるものを伝えていると思うのですが,これはワールドワイドを意識しているのでしょうか。新入社員に伝えるには,文章があったほうがいいのではないかと思うのですが,そのあたりはどうでしょうか。
宮本氏:
将来にガイドは必要じゃないか,もっとより詳しい解説を聞きたい人がいるんじゃないかというのはそのとおりだと思うので,そのあたりはこれからまた考えていこうと思います。
ただ,今回はものすごいボリュームになるという心配がありますし,皆さん全部に興味があるわけではない。入ったら自由に見られる,それからクドクド解説せずに自分で感じてもらうということを大事にして,とりあえず作ってみようという仕上げになっています。いずれは,ちょっと詳しい解説ブログを作るということはしていきます。
――ミュージアムには館長がいないという認識で正しいでしょうか。リクエストがありまして,館長を置かないほうがいいと思っていまして。
任天堂の理解ということをおっしゃっていましたが,人の名前や写真が非常に少ない,人が消えた状態でこれだけのミュージアムができるというのは過去に例がないと思います。館長なき素敵なミュージアムというのを紹介したいと思い,いっそのこと一生,館長なしで作っていただきたいな,と。
宮本氏:
ありがとうございます。名誉館長になりたいなと思っていたんですけれど(笑)。
一同:(笑)
宮本氏:
おっしゃっていただいたことはすごく大事で,山内の色紙を置いていたりもしますけれど,横井さん(ゲームクリエイターの横井軍平氏)の名前を出すかとかで,ものすごく悩みました。結果的に一切個人名を出さずに,商品で全部をコミュニケーションすることにしました。
ただ,ちょっといい訳になるんですけれど,実は玄関に入ったところの左手に僕のサインがあるんですが,唯一個人名が出ているのですごく心苦しいんです。
実は,建物を作るときに基礎にみんなでサインをするというのがあり,最後に埋めて剥がしたときに出てくるというものとして書いたんです。でも誰もあとを書かないし,せっかく書いてあるんだから見せたらというので,窓をくり抜いて見せているんです。
ここ数か月,あれを何で塞ごうかという話をしていたんですけれど,「あれはあってもいいんじゃない」という社内の声も多くなってきたので,いまのところ残しています。それ以外には個人名がほとんど出てこないようにしています。
――このオープンに合わせて地元を取材してると,オープンにすごく期待する声が多く聞かれました。京都にとって,地域にとってどういう施設になっていきたいかというのはありますか。
宮本氏:
ここを建てるときに工場を使おうというのは,決まったコンセプトでした。派手なお城みたいなものではなくて,任天堂らしいものを作ろうと。それと,伊勢田,小倉エリアは高齢化が進んでいます。我々も工場を最初に持った場所なので,そこが活性化するのならぜひとも協力したいという想いもあります。
宇治市さんや近鉄電車さんも協力していただいています。ちょうど近鉄小倉の駅前のロータリーが都市計画で整備されていてそれができるとミュージアムまでまっすぐ来れるようになりますし,地域と一緒に,近隣の方に嫌われない場所になるよう展開していきたいと思っています。
また,近鉄の小倉駅はバリアフリーになっていなくて,迂回して踏切を通るようになっていますが,近い将来バリアフリーにしていただけることになっています。
――今までの任天堂の歴史が展示されていますが,これから出される任天堂の製品もミュージアムに展示されていくのでしょうか。
宮本氏:
もちろん,残していく価値があるものを作っていけたら展示したいですけれど,いまの段階で(ミュージアムは)ほぼ埋めているので,展示をずらして何かをするというより,将来,もう少し溜まったら場所を考えて展開していけたらと思っています。
例えば,スプラトゥーンとかは今こちらに入れていないですけれど,Nintendo Switchのハード以外は20年以上経ったものばっかりなんです。ただ,いまのお客さんにとっては「スプラトゥーンはどうなっているんだ」と言われると思うので,そのあたりはフォローしていこうと思います。
――第1展示棟の1階で遊ぶためのコインは,10個分しかもらえないじゃないですか。1回来ても全部を遊べないですが,これはどういう設定なのでしょうか。
宮本氏:
コインシステムというのは,フレキシブルに対応できるということで決めました。僕は長蛇の列が大嫌いで,どんなに有名ラーメン屋でも5人以上並んでいると並ばないんです。なので,これは本当に運営してみないと分からないのですが,スムーズに遊んでほしいと思っているんです。ですが,1日に大勢の人に入ってもらわないと採算の問題もあります。そういうところで,いまはとりあえずの数字を決めていて,これから運営が決めていくのですが,様子を見ながらコインの枚数を算出してもいいと思っています。
ただ,全部遊んでいただくと1日に500人ぐらいしか入ってもらえず,やはり1500人から2000人ぐらいは入っていただけるように運営したいと思っているのですが,いまのコイン枚数でもかなり厳しい状態になる覚悟なんです。
――(コインの枚数は)リピーターというか,何回も来てほしいということなのかなとも思いました。
宮本氏:
それもあります。たぶん(1回では)見切れないですよね。うわーっといくつか見て,満足して帰るけれど,いろいろなものを見逃していると思います。なので,もう1回来ていただけたら歓迎です。そのために,できるだけ入館料を安く抑えようとかなり努力したつもりです。
〒611-0042 京都府宇治市小倉町神楽田56番地
交通アクセス:
近鉄京都線「小倉駅」東口から徒歩5分
JR奈良線「JR小倉駅」北出口から徒歩8分
※ご来館の際は,公共交通機関(タクシー除く)をご利用ください。
営業時間:
10:00〜18:00
休館日:
毎週火曜日および年末年始(12月30日〜1月3日)
※火曜日が祝日の場合は営業。翌水曜日が振替で休館となります。
大人(18歳〜)
3300円(税込)
中学・高校生
2200円(税込)
小学生
1100円(税込)
未就学児
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