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印刷2024/11/11 12:00

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「PlayStation 5 Pro」分解レポート。最新APUを搭載する高性能モデルの内部構造を明らかにしよう

 いつの間にか4Gamer恒例になった最新ゲーム機分解レポート。今回は,11月7日に発売されたばかりの「PlayStation 5 Pro」(以下,PS5 Pro)を分解してみた。

こちらが今回の犠牲者であるPS5 Pro。発売日当日に,一度もゲームをプレイすることなく解体されました
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 4年前に登場した初代「PlayStation 5」は,ソニーらしい非常に凝った作りのハードウェアとなっていたが,その上位モデルであるPS5 Proの内部はどうなっているのだろうか。4年分の進化を確認してみよう。

※注意
 ゲーム機の分解はメーカー保証外の行為です。分解した時点でメーカー保証は受けられなくなりますので,本稿の記載内容を試してみる場合には,あくまで読者自身の責任で行ってください。分解によって何か問題が発生したとしても,メーカーはもちろんのこと,筆者,4Gamer編集部も一切の責任を負いません。また,今回の分解結果は4Gamerが入手した個体についてのものであって,「すべての個体で共通であり,今後も変更はない」ことを保証するものではありません。



ユーザーが触れられるところは比較的簡単にアクセスできる


 標準タイプのPS5は,筐体内にあるPCI Express(以下,PCIe)接続型M.2 SSD用スロットに,側面パネルを開けるだけでユーザーが触れられるようになっていた。実際,内蔵ストレージが足りなくなったので,自分でSSDを増設したという人も少なくないだろう。

 その点は,PS5 Proも継承しており,横置き時の底面側パネルのサイズが小さい側を外すだけで,SSD用スロットを覆うカバーが見える仕組みだ。また,PS5 ProはBlu-rayディスク(以下,BD)ドライブを内蔵していないが,別売りのBDドライブユニット「CFI-ZDD1J」を底面に取り付けられるようにもなっている。
 BDドライブユニットは,底面側の大きな側のパネルを外して,そこにはめ込む。つまり,PS5 Proの底面側パネル2枚は,ユーザーが外しても製品の保証が無効になったりはしないわけだ。

PS5 Pro底面側パネルを外している様子。壊しそうでおっかなびっくりの作業だ
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 PS5もPS5 Proも同じだが,側面パネルは,ネジを使っていないので,パネルの前面側を持ち上げるようにして外すだけでいい。ただ,ツメでガッチリ固定されているので,かなり力をかけないと外せない。プラスチックのパネルなので,「割ってしまわないか……」と不安を感じるところだ。

横置き時に上側になる側面パネルは,PSマークのところが孔になっていた(左)。ボディが孔から見えて黒いマークに見えるわけだ。各パネルの内側には刻印があり,PS5 Proの製造事業者である「Foxconn International」の名があった
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 次の写真は,底面側パネルを2枚とも外した状態だ。縦置き時には上になる写真左側には,大きな空冷ファンとSSD用スロットのカバーが,右側にはBDドライブユニット接続用の端子と,小さな金属製カバーで覆われた部分がある。

底面側パネルを外した状態。中央のフィン状の部分はデザインで,冷却フィンではない
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BDドライブユニットの取り付け用コネクタ
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 SSD用スロットは,PS5と同様に,長さ110mmの「M.2 22110」仕様に準拠したSSDまで取り付けられる仕組みだ。本体付属の「セーフティーガイド」によると,厚さ11.25mmまでのPCIe 4.0 x4対応SSDを取り付けられるとあるので,PS5用として市販されているヒートシンク付きSSDをそのまま取り付けられそうだ。
 ただ,今どきのM.2 SSDは,動作時にかなり高熱を発するので,SSDの冷却が間に合うのか,ちょっと不安を感じる。

プラスネジで固定されたSSD用スロット(左)。ネジを外してフタを開けると,M.2 SSDを取り付けられるスロットが出てくる(右)
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 プラスネジで固定された小さな金属製カバーを開けると,中にはボタン電池がはめ込まれていた。初代PS5では,ボタン電池がマザーボード上にあったので,電池を交換する必要が生じても,ユーザー自身で交換することは基本的にできなかった(※製品保証が無効になる)。それに対してPS5 Proでは,側面パネルとカバーを外すだけでボタン電池に手が届くので,修理に出さなくても交換できるのはありがたい。

プラスネジで簡単に外せるボタン電池のカバー(左)。開けるとボタン電池が現れる(右)。コンビニでも買える「CR2032」タイプのボタン電池だ
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 大型のファンが,ボディの天面から底面まで,貫通するように取り付けられている構造は,PS5と変わらない。

上下に貫通した大型ファン(左)。ファンの電源ケーブルは,シールの下に伸びていた(右)。ファンを外してマザーボードに触れるには,シールをはがさなくてはならないので,分解したことが分かる仕組みだ
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分解したことが分かるシールは,BDドライブユニット取り付けコネクタの近くにもある。黒いシールは,剥がすとシール表面に「△○×□」マークが浮き出る凝ったものだ
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ファンを取り外した状態。ボディ側には大きな孔が残る
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ファン部分の直径は約113mmあった
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 ファンが,細長い板状の羽根がハブと平行に立ち並んだシロッコファンになっているのもPS5と同じだ。ファンの直径は実測で約113mmと,サイズ的にもPS5とほぼ同じである。ただ,シロッコファンの羽根の形状は,初代PS5のファンよりも立体的で複雑になっている。おそらくPS5 Proのファンのほうが,空気の流量が多くて冷却効果が高いのだろう。

PS5 Proのファン(左)と,初代PS5のファン(右)。PS5 Proのファンは,羽根部分が緩やかなカーブを描いてハブにつながる複雑な形状をしている
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マザーボードを金属板でサンドイッチ


 PS5 Proのマザーボードに触れるには,まずは外側のパネルと内側の黒いカバーを外す必要がある。底面側の黒いカバーを外すと,マザーボードを覆う金属製のパネルと,その上に取り付けられたヒートシンクとヒートパイプが現れた。

底面側の内部カバーを外した状態。ちらりと見える緑のマザーボードを,銀色の金属板が覆っている
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 天面側のカバーも外すと,こちらも金属板とヒートシンク,ヒートパイプが貼り付けられていた。天面側はヒートパイプが7本もあり,これらがまとまる部分にPS5 ProのメインプロセッサであるAPUがあるようだ。

天面側の内部カバーを外した状態
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7本のヒートパイプ(左)で,APUのある部分から2つのヒートシンクへ熱を伝える仕組みだ(右)
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 マザーボードを上下2枚の金属板でサンドイッチしたうえで,上下にそれぞれヒートシンクを取り付けた構造は,初代PS5とはだいぶ異なる。とくに,上下2分割したヒートシンクは,PCやほかのゲーム機では見たことのないものだ。
 初代PS5は,熱伝導に優れる銅素材を使った大きな金属パネルに,銅製ヒートパイプとアルミニウム合金と思われる巨大なヒートシンクを貼り付けた構造を採用していた。部材だけでもかなりのコストがかかっているのは明らかで,「贅沢な冷却機構を採用したもんだな」と感心したものだ。それに比べるとPS5 Proは,銅素材の使用をヒートパイプだけに留めており,冷却効率とコストのバランスを突き詰めた構造になっているようだ。

ヒートシンク2つ分の実測重量は,約406gだった。初代PS5は1基で約657gだったので,約6割まで軽くなった
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 マザーボードを挟んだ金属板は,20個近いトルクスネジで固定してあった。そのうえ,ネジだけでなく,粘土のような熱伝導材を多数使ってマザーボードに貼り付けてあるので,かなり力をかけて剥がさないと外せない。「マザーボードを割ってしまわないか……」と不安になりながらも力を入れて外すと,ようやくマザーボードの登場だ。

大量のトルクスネジを1本1本外していく
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底面側の金属板を剥がした様子。APUにヒートシンクを圧着させている固定用プレートが,「×」型に取り付けられていた
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 底面側の金属板を外してから,APUを圧着しているプレートを取り外すと,ようやく天面側の金属板を外せて,マザーボードの全体像が現れた。「VSM-010」というマザーボードの型番らしいものも書かれている。

マザーボードの天面側。中央やや左に見える黒いスポンジ状の素材が貼り付けられているのがAPUだ。APU中央の半導体ダイ部分は,液体金属が残っている
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 初代PS5のマザーボードは,かなり複雑な形状をしていたが,PS5 Proはシンプルな長方形になっていた。サイズは実測で約241×182mmと,デスクトップPC用のMicro-ATXマザーボード(244×244mm)よりもやや小さい。

マザーボードはシンプルな長方形で,Micro-ATXマザーよりも少し小さい
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 天面側にはAPUのほかに,電源回路やコンデンサ,HDMIや有線LAN,USB Type-Aのコネクタ類,そしていくつかの目立つチップがある。

マザーボードの底面側
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 一方,底面側には,APUを囲むような配置で8つのチップが貼り付けられている。初代PS5では,APUの裏面側に8つのメモリチップが貼り付けられていたので,PS5 ProのこれもメモリチップのGDDR6メモリであろう。

 ちなみに,本体前面のUSB Type-Cポートやボタン電池のソケットは,小さな別基板になっていた。

前面のUSB Type-Cポート×2や電源ボタン部のある小型基板(左)。ボタン電池のソケットも小さな別基板になっていた(右)
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APUの姿が露わに。ダイサイズは約279.1mm2


スポンジ状の素材の中央に,長方形の孔を開けてそこに液体金属を充填していた
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 PS5では,APUの半導体ダイ部分とヒートシンクのあいだに充填するTIM(Thermal Interface Material,熱伝導素材)に,熱伝導性に優れた液体金属を用いている(関連記事)。この構造はPS5 Proでも同じだ。PS5でTIMに使用していた液体金属は,アルミニウムを腐蝕させる性質があるそうなので,漏れ出ないようにしないと壊れてしまう。そのため,APUのパッケージ上にカバーを貼り付けて,カバーの上にスポンジのような素材を貼り付けて液体金属を覆う仕組みとなっていた。
 APU自体を確認するには,これらを全部除去しなくてはならない。

有機溶剤で接着剤を溶かしながらスポンジを除去すると,パッケージ表面を覆うプラスチックのカバーが現れた(左)。カバーを外すと,今度は黒色の薄いフィルムが貼り付けられていた(右)。おそらくグラファイト素材だろう
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 スポンジとカバー,黒いフィルムのすべてを外して,表面に残った液体金属を除去すると,ようやくAPUの全体が現れた。これがPS5 Proの心臓部であるメインプロセッサだ。外枠部分には「SONY INTERACTIVE ENTERTAINMENT」と,APUの型番らしい「CXD90072GG」が刻印されている。製造は台湾のようだ。

PS5 Proのメインプロセッサ
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 長方形のダイ部分のサイズを計ったところ,実測で25.42×10.98mmだった。つまりダイサイズは約279.1mm2となる。初代PS5のダイサイズは,実測で約308.2mm2だったので,少しだが小さくなったわけだ。標準タイプのPS5より高性能になったにも関わらず,少しとはいえダイサイズが小さくなったのは,半導体プロセスの微細化による恩恵だろう。

天面側にあるもうひとつのSIEロゴ入りチップ
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 天面側にはAPU以外にもうひとつ,「SIE」のロゴが刻印された目立つチップがあった。表面には「CXD90069GG」と書かれている。初代PS5に比べると,配線を目視しにくい基板になっているが,おそらくはPCにおけるチップセットに当たるものだろう。

Samsung製のGDDR6メモリ
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 APUの裏側にある8つのメモリチップは,Samsung Electronics(以下,Samsung)製のGDDR6メモリ「K4ZAF325BC-SC20」というものだ。1チップで16Gbit(=2GB)の容量があるので,8個で総容量16GBになる。スペック上の最大データ通信速度は,20Gbpsらしい

SKhynix製のDDR5メモリ。容量は2GBだ
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 また,GDDR6メモリの近くには,メモリメーカーであるSKhynixの名を刻印したチップ「H5CG46AGBDX017」が1つあった。これは,容量16Gbit(=2GB)のDDR5-5600メモリチップだ。PS5 Proのセーフティーガイドにある仕様表には,メモリの欄に「GDDR6 16GB」と「DDR5 2GB」と書かれている。つまり,このDDR5メモリチップが,2GBのメモリというわけだ。
 標準タイプのPS5には,この2GBのメモリはない。おそらくはOSやゲーム以外のアプリに使うメモリではないだろうか。OSなどをGDDR6メモリ側から,やや低速なDDR5メモリに移せれば,それだけゲームに使えるGDDR6メモリが増えるので,PS5 Proなら増えたメモリを生かした表現が期待できるかもしれない。

SSDコントローラと思われるチップと,フラッシュメモリチップが2つ。さらに小さなメモリチップが1つある
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 チップセットの裏側には,ここにもSIEロゴの付いたチップ「CXD90070GG」があった。その周囲には,片面に2つ,表裏合わせて4つのチップがある。これもPS5に似たチップ群があったので,おそらくSIEロゴのチップがSSDコントローラで,4つのチップはストレージを構成するフラッシュメモリチップだろう。
 フラッシュメモリチップ表面の刻印はSamsung製チップのものだが,型番らしい「K9OUGD8-J1ETCB0」は,公開情報が見あたらない。メモリやフラッシュメモリの型番から仕様を調べられるサイトで確認してみたところ,容量4096Gbit(=512MB)の3bit MLCフラッシュメモリのようだ。これが8枚で,総容量2TBになる。

SSDコントローラと思われるチップ(左)と,その周囲にあったフラッシュメモリチップ(右)
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SSDコントローラ横にあった容量512MBのDDR4メモリチップ
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 ところで,SSDコントローラの隣には,フラッシュメモリチップとは異なる小さなメモリチップがあった。これはSamsung製のDDR4メモリチップ「K4A4G085WF-BCTD」で,容量は4Gbit(=512MB)だ。仕様表にないメモリだが,PS5のSSDコントローラ横にも,同じく容量4Gbitのメモリチップが取り付けられていたので,用途は同じだろう。
 このメモリの用途は不明だが,SSDコントローラに隣接しているという点を考慮すると,やはりSSD用キャッシュメモリではないだろうか。

 そのほかの目を引いたチップについては,簡単に紹介しておこう。ワイヤレスLAN用のコントローラは,ソニー製の「M23TFU1」であった。Wi-Fi 7(IEEE 802.11be)とBluetooth 5.1に対応しており,1枚の金属製アンテナに配線がつながっていた。

ワイヤレスLANとBluetoothのコントローラ(左)と,内蔵アンテナ(右)。アンテナの複雑な形状が面白い
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Nuvoton Technology製のHDMI 2.1対応トランスミッタ「MN864739」。初期型PS5と同じものだ
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有線LANポートの近くにあったチップは,1000BASE-T対応のEthernetコントローラと思われるが,正確な情報が見つからなかった

 最後に,本体に内蔵されていた電源ユニットも見ていこう。PS5 Proの電源ユニットは,APUの上側に設置されている。かなりの薄型電源ユニットであるが,最大出力は420Wというなかなかの高出力電源だ。

PS5 Proの内蔵電源ユニット
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最大出力は420Wと,なかなかの高出力だ
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 初代PS5は,公称の消費電力が350Wで,電源ユニットの最大出力は372Wだった。それに対してPS5 Proは,公称消費電力が390Wで,最大出力は420Wと,高性能化にともなって消費電力もそれなりに増えている。昨今のゲーマー向けデスクトップPCは,電源の出力が700Wでは少ないほうというくらい消費電力が上がっているので,それに比べればかわいいものだ。とはいえPS5 Proは,標準型PS5よりも消費電力が増えていることは,覚えておいたほうだいいだろう。


高性能化しつつも,可能な限りコストダウンに配慮したPS5 Pro


 PS5 Proを分解してみたわけだが,分解して感じたのは,初代PS5に比べると,随所にコストダウンの工夫が盛り込まれているな,ということだ。初代PS5を分解したときは,直前に初代Xbox Series Xを分解していたこともあり,ゲーム機では見たことのない大型シロッコファンや,銅をふんだんに使った冷却機構,複雑な形状のマザーボードにオンボードのフラッシュメモリなど,コストのかかる凝った構造を採用しているのに驚かされたものだ。

 それに比べると,PS5 ProはPS5の構成を踏襲しつつも,冷却機構やマザーボードの形状にコストダウンの取り組みがうかがえて,興味深く感じた。ボタン電池を交換しやすくした構造も評価できるポイントだ。

 PS5分解記事の最後で筆者は,「将来のPS5でどんな改良を加えてくるのか」を確認したいと述べたが,PS5 Proは,PS5の構造を継承しながら,新しい工夫を盛り込んできたのがよく分かった。今後も小改良を加えつつ,PS5とPS5 Proは続いていくのだろう。

SIEのPS5 Pro公式Webページ

  • 関連タイトル:

    PS5本体

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