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グリー 田中社長などが登壇した,「一般社団法人ソーシャルゲーム協会(JASGA) 記者発表会」の模様をレポート
一般社団法人ソーシャルゲーム協会公式サイト
事業者が自主的に対応していくことで
ソーシャルゲーム産業の発展を図る
発足にあたっては,各界の有識者や学識経験者の協力を得た準備委員会において議論を重ねてきたとのこと。今回の記者会見は,準備委員会の座長を務めた一橋大学名誉教授,堀部政男氏による挨拶から始まった。
堀部氏は,50年以上にわたって情報に関する法律的な問題に携わってきた第一人者であり,とくに,インターネットが一般に普及していった1990年代半ばからは,ネットの社会的影響について数多くの研究,発言をしてきたという。
ただし,堀部氏によるとこれは「事業者が自主的に対応していく」という前提のもとで作られた法律だったため,法の制定以降は,事業者がどのように環境整備をしていくかという議論に移っていった。その流れの中で堀部氏は,インターネットに関わる産業界や教育関係者による任意団体「安心ネットづくり促進協議会」の設立にも携わってきたという。
現在,ソーシャルゲームについても国内外でさまざまな議論が交わされているが,堀部氏は「(事業者が)自主的な対応していくことがベストではないか」と述べ,JASGAを中心に情報産業の発展を図っていきたい,と挨拶を締めくくった。
JASGAが取り組む「自主規制」「啓発活動」「CS品質向上」
そもそも,JASGA発足の背景には,2012年3月21日に設立された「6社連絡協議会」(関連記事)の存在があるという。6社連絡協議会は,コンプガチャやゲーム内表示,RMTなどに関するガイドラインを策定してきた。だが,今後,業界全体としての自主規制などを行っていくために,7月から新団体設立に向けた準備委員会の会合が行われ,その協議の結果として,本日のJASGA発足に至ったわけだ。
上に掲載した組織図を見て分かるように,JASGAの主な活動内容は,「ソーシャルゲームに対する自主規制」「青少年等に対する啓発活動」「カスタマーサポート(CS)品質の向上のための活動」の3つとなる。
これまで,ソーシャルゲーム提供会社(SAP)とプラットフォーム事業者との間で審査が行われてきたが,そこにJASGAが加わることで,プラットフォーム事業者の書類審査も行われることになる |
青少年を含むユーザーに向けて,リーフレット作成,配布や,各種イベントへの参加を行っていく予定。また,SAPに対してもサービスの健全化に向けた勉強会などの開催を予定している |
団体が発足した11月中に事務所やホームページを開設し,12月にはガイドラインやプラットフォームの審査基準を策定。年明けからプラットフォームの審査やソーシャルゲームのパトロール,啓発活動のリーフレット作成といった具体的な業務を始め,2012年度内には情報提供受付業務も含めて,全体の動きを開始したいとしている。
このあと,取材陣による質疑応答が行われたが,ここではとくに,自主規制の基準や審査内容に関する質問が多く出されていた。JASGAの担当者によると,最初は6社協議会が以前に定めたガイドラインを元にした自主審査が行われるが,JASGA内で議論をしながら,さらに規制の枠組みを作っていく可能性があるという。また,審査の結果は,JASGAのサイト上で公開する予定もある。
また,団体名に「ソーシャルゲーム」と入っているが,この「ソーシャルゲーム」という言葉に厳密な定義は今のところ存在しないと中村氏は述べた。JASGAの理事会でもそれが争点になったそうだが,JASGAの中で厳密に定義していくべきか,あるいは関連団体とも協議していくのか,今後,継続して議論していく必要があるという。
今回の記者会見では,本日立ち上がったばかりということもあって,大まかな活動の方針こそ決まっているものの,現時点では細かな活動内容まで詰め切れていない……という印象を受けた。ソーシャルゲームは非常に若いジャンルであり,今後もさまざまな変化を遂げていくのは間違いない。JASGAの発足によって,業界がどのように変化していくのか,継続して注目していく必要があるだろう。
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