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「大航海時代 Online」開発者インタビュー:Chapter2「Angkor」の詳細と,今後の長期計画について聞いてみた
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印刷2006/11/22 21:59

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「大航海時代 Online」開発者インタビュー:Chapter2「Angkor」の詳細と,今後の長期計画について聞いてみた

東南アジア地域の歴史の深さを考えると,ゲーム内に盛り込める要素は,いくらでもありそう。地域の特色もうまく表現されているようなので,港の様子や特産品など,見どころは多い
 拡張パック「La Frontera」(ラ・フロンテーラ)Chapter1がサービス開始となってから,早3か月が経過した,海洋冒険MMORPG「大航海時代 Online」。10月13日に掲載したレポート記事で,新米航海士の視点からその特徴や魅力をお伝えしたが,時の経つのは早いもので,12月上旬にはChapter2の実装が控えているというではないか。
 4か月に一度という比較的短いインターバルで,大規模アップデートが行われる(しかもスケジュール通りに)本タイトル。それだけに,もはや恒例といっても差し支えない展開ではあるが,Chapter2で導入される新要素について,本作プレイヤーにはおなじみの渥美貴史氏,竹田智一氏にお話を伺うことになった。
 果たしてChapter2では,どのような追加/変更要素が大航海時代 Onlineに盛り込まれるのか。気になる情報をたっぷりと仕入れることができたので,プレイヤーはぜひ目を通してほしい。

■Chapter2「Angkor」により,東南アジア方面の海域が開放に

4Gamer:
 La Fronteraに関しては,4か月に1度のアップデートを予定しているとは聞いていましたが,Chapter2が本当にこんなに早く実装されることになるとは思いませんでした。本日はChapter2で導入される追加/変更要素などを中心に,色々と聞かせてください。

渥美貴史氏:
 La Frontera Chapter2は,もちろん新海域や新システムも用意していますが,それだけではありません。Chapter1で実装した各要素を,さらに発展させるという内容も含んでいます。

4Gamer:
 盛りだくさんな内容なんですね。では最初に,開放される新エリアについて教えてください。Chapter2の正式名称は「Chapter2:Angkor(アンコール)」ということで,東南アジア方面だということは予想できるのですが,具体的にはどのあたりなのでしょうか。

渥美氏:
 現状の航海可能エリアの最も東側はインドの海域なんですが,Chapter2ではついに,マラッカ海峡を超えたさらに東の海域が登場します。
 そのあたりは「東南アジア」という言葉でひとくくりにされがちですが,文化/宗教的には非常に面白い場所なんです。宗教だけ見ても,仏教,イスラム教,ヒンドゥー教が存在していますし,交易品や食べ物といった部分をクローズアップしてみても,地域ごとにはっきりとした特色が見て取れます。衣装に関してはもちろん,それぞれの地域に合わせたものを用意しましたし,そういった特色を肌で感じられる,かなり楽しいエリアになるはずですよ。

竹田智一氏:
 とにかく歴史のある地域が多いですから,クエストのバリエーションを増やすのも困りませんでしたよ。生物発見に関しても,特徴的な外見の昆虫や,巨大な爬虫類なんかが多く棲息していますしね。歴史的な発見物については,今回のアップデートのテーマでもある遺跡「アンコール」を筆頭に,さまざまなものを用意しています。

渥美氏:
 アンコールは今回のアップデートの象徴ともいえる遺跡なので,プレイヤーの皆さんにはぜひがんばって,発見してもらいたいところですね。

4Gamer:
 アンコールの発見は,やはりそうとう難しいのでしょうか?

竹田氏:
 どちらかというと難度の問題ですね。しかしプレイヤーの職業にもよるので,一概にはいえませんが,一握りの上級者しか楽しめない内容にならないよう,かなりバランス調整をしています。なので,それほど心配しなくても大丈夫ですよ。

大航海時代 Onlineプレイヤーにはもはや説明不要ともいえるお二人だが,肩書きが変わった(詳細は記事後半参照)ので,改めて紹介を。左が,運営プロデューサーのコーエー ゲームシティ事業部 シティ企画部 オンラインゲーム運営課 マネジャーの渥美貴史氏。右が,コーエー ソフトウェア事業部 ソフトウェア4部 マネジャーの竹田智一氏。竹田氏は,10月から同作の開発ディレクターも務めている


4Gamer:
 ところで,東南アジア海域への入港許可状ですが,必須条件や勅命クエストなどは,どのようになっているのでしょうか。

渥美氏:
 8月30日に実装されたLa Frontera Chapter1ですが,プレイヤーの中には,まだ南米海域への入港許可状を獲得できていない人もいると思います。ですが,東南アジア海域については,La Frontera導入以前の全エリアおよび南米海域への入港許可状を持っていることが,前提条件となります。
 Chapter1で導入された「勅命システム」ですが,Chapter2の東南アジアにおいては新しいクエスト請け負い/報告手段を用意しています。従来だと大西洋をまたいで勅命をこなし,報告のためにまた帰還しなければならなかったのですが,それだと負担が大きすぎるというプレイヤーの声がありまして。
 東南アジア海域で同じことをやると,国によっては大変な移動距離になってしまいますよね。そこで,新NPC「執政官」がインドに登場します。彼を通じてインドで勅命を受けたり,インドでの達成報告をしたりできますよ。

竹田氏:
 また,国ごとの勅命達成度についても改善しました。これまでも,所属国によって有利不利が出ないよう,勢力によって目標値に差をつけていたのですが,小国所属のプレイヤーには,それでも少し厳しい内容だったところもあるんです。
 Chapter2では,国の規模(影響度合計)に応じて目標達成度が設定し直されるので,どこに所属していても,おおむね同じタイミングで新海域への入港許可状が得られるようになるはずです。

渥美氏:
 勅命クエストの種類も,(Chapter1の南米エリアと比べて)2倍以上にボリュームアップしています。

4Gamer:
 かなりの改善が施されていますね。新たな港はどれくらい追加されるのでしょうか。

竹田氏:
 従来の拡張パックで追加されてきた港の数と同じぐらい……,とだけお答えしておきます。というのも,東南アジア海域の開放は今回が初めてなので,まずは第一弾という形で,代表的な港を中心に実装しました。その後,アップデートや次期Chapterを通じて,徐々に小さな港を加えていく予定です。
 皆さんが「東南アジア海域」と聞いて,頭の中にパっと思い浮かぶような主要都市と,そこにまつわる交易品は,ほぼ網羅できていると思いますよ。

渥美氏:
 交易品のリストを見ると,実においしそうな物が多かったんですよ(笑)。衣装については先ほども少し触れましたが,第一弾として20種ほど追加される予定ですので,キャラクターのファッションにこだわっているプレイヤーには,喜んでもらえると思っています。

日に焼けた肌色のキャラクターには,とてもよく似合いそうな新衣装の数々。バリやインドネシア方面の舞踏用衣装なども含まれており,実にきらびやかだ


■アパルタメントの拡張システムと家具が登場。あの“執事”もいよいよ交代可能に!
ごくオーソドックスなタイプの家具を,特別に見せてもらった。アパルタメントを持っている人にとっては,見た目をとるか,収容能力にこだわるか,実に悩ましいところだろう
4Gamer:
 次は,プレイヤーからの期待が非常に大きい,アパルタメントの新システムについて教えてください。いよいよアパルタメント内に,家具を設置できるようになるということですが,どんな家具が登場するのでしょうか。またその入手方法はどのようになるのでしょうか。

竹田氏:
 アパルタメントの拡張システムは,Chapter2最大のポイントと言えます。拡張するには,すでにアパルタメントを購入していることが前提になりますが,家具を置くためには新システム「改装」を実行し,アパルタメントのグレードアップをする必要があります。
 改装システムには,今後複数の段階が実装されていき,段階に応じて収納能力が上がるなどの機能を導入する予定です。とりあえず,一段階目の改装を行えば,室内に家具を配置できるようになります。
 また,拡張とは別に「内装の変更」も可能です。これまでは,地中海でアパルタメントを購入すると地中海風の,北欧で購入すると北欧風の内装(壁紙/カーペット)になっていましたが,それを好きな内装に変えられる機能です。もちろん費用はかかりますが,お金に余裕があれば,毎日1回ずつの変更が可能になります。

4Gamer:
 アパルタメントへの愛着が,どんどん強くなっていきそうな仕様ですねぇ。家具のデザインを見てみると,衣装ダンスや籐カゴなどが用意されていますが,やはり,衣装ダンスには服が収納できるわけですよね?

竹田氏:
 そのとおりです。家具の名前や外見と,収容可能アイテムは対応しています。またそれとは別に,交易品特化/衣装特化など,用途に合わせた改装プランのカスタマイズも可能です。アパルタメントそのものの収容能力+配置する家具のパターンで,最終的な収容力をコントロールできるというわけです。

渥美氏:
 改装コマンドは1日1回実行可能で,改装費用は作業の進行に合わせて分割で支払います。改装コマンドを実行するごとに徐々に改装度が増えていき,改装度が目標値に到達した時点で改装完了となります。
 また,特定の材料を納めると改装が加速したり,雇用している副官によって時間が短縮されたりといったように,さまざまな要素が絡み合っています。

4Gamer:
 なるほど。改装は「部屋の広さ」を拡張するためではなく,「部屋の機能」を拡充するためのシステムなんですね。部屋のサイズ自体を広くすることは不可能なんですか?

竹田氏:
 実は,アパルタメントをグレードアップし続けていく中で,「部屋を広げる」という選択肢も導入する予定です。未実装のものも含めて,改装という機能は大きな可能性を秘めているシステムなんですよ。

4Gamer:
 部屋が広がるのは楽しみですねぇ。ところで,家具はどうやって入手すればいいのでしょうか。

竹田氏:
 基本的には生産なので,職人プレイヤーに作ってもらうことになりますね。家具にも耐久度が設定されているので,デザイン性と機能性の両面で,家具の価値が決定されます。

4Gamer:
 設置の自由度に関してはどうなのでしょうか。ある程度自由に家具を配置できるんですか?

竹田氏:
 家具の配置については,改装時に選んだプランによって,ある程度配置パターンが決定されます。もちろん家具を取り替えることはできますよ。

4Gamer:
 そういえば,アパルタメントといえば気になる存在がもう一つ。Chapter1の体験プレイをさせてもらったときには,いずれ“彼”の衣装も変更可能になると聞きましたが……。

渥美氏:
 はい,大変お待たせしました(笑)。アパルタメントで出迎えてくれる「執事」と「マネキン」にも,Chapter2で新仕様が入ります。
 執事に関しては,「執事候補」を増やすためのクエストが導入され,これをクリアすると,執事の交代が可能になります。今回は2,3名分のクエストを実装する予定となっており,女性執事候補も用意しています。

4Gamer:
 軍手をはめたおじさんが出迎えてくれるよりは,圧倒的に華やかになりそうですね(笑)。

渥美氏:
 ですね(笑)。それとマネキンについての変更点ですが,こちらは体形と性別の設定が可能になり,プレイヤーキャラクターが着用できない衣装アイテムでも,部屋の中に飾れるようになります。

4Gamer:
 衣装コレクターにとっては,実に嬉しい変更要素ですね。しかし,実際に執事が変更できるようになると,今の執事との別れが,とたんにつらく思えてくるから不思議です……。

実装される家具のごく一部を見せてもらった。ここで紹介されているのはオーソドックスなものばかりだが,これ以外にも,地域色の強いものや,変わり種も用意されているという


■さらなる強化が可能になった「ジョイントビルド」システム
4Gamer:
 Chapter1で登場した「ジョイントビルドシステム」ですが,プレイヤーからの期待が大きかった割に,船のバリエーションが少ないように感じられました。Chapter2では,その点についても強化されるのですか?

渥美氏:
 もちろんです。Chapter2では,ジョイントビルドで造船可能な船は,完全に新しいタイプと,既存の船の亜種にあたるタイプのものを含めて,計28種類が追加されます。

竹田氏:
 Chapter1での実装部分に関しても,実はまだプレイヤー達に開放されていない船種があるんですよ。ジョイントビルドには,前提条件を満たさないと選択肢に登場しない船があるんです。開拓と絡んで,ある程度発展させなければ出現しないジョイントビルドもあるので,Chapter2の導入前に,ぜひ見つけ出してほしいですね。

4Gamer:
 Chapter1実装分で,まだ出現していない船があったとは……。

渥美氏:
 開拓地の発展も,各ワールドようやく軌道に乗り始めた印象があるので,この先1,2か月くらいで,造船可能な種類が一気に増えたと感じてもらえるはずです。

4Gamer:
 船の強化についてはどうですか?

渥美氏:
 もちろん改善しています。これまで割と一本道だったわけですが,Chapter2では選択肢が加わります。例えば船を,Lv2からLv3へ強化する際に,ある港では一つしか選択肢がなかったのに,別の港で試したら,異なるタイプの強化方法が選べたりします。同じ船でもオプションを変えることで,他人とは違う船に仕上げられるわけです。
 さらにオプションスキルについても,かなりバリエーションを増やしています。帆をたたむことにより,装填が素早く行える「集中装填」,相手の装甲を一時的に下げる「装甲劣化弾」,攻撃のコンボが出やすくなり,威力も上がる「連携強化」,敵の船に大浸水を起こす「特殊衝角」などなど。それ以外にも,「仕込み爆弾」や「機雷除去」など,さまざまなスキルがあります。

4Gamer:
 これはまた大きな追加要素ですね。大航海時代 Onlineは海戦(対人戦闘)のバランス面で評価が高いタイトルですが,多数のスキルが導入されることによる,バランスの悪化が心配なのですが……。

渥美氏:
 はい。従来の戦闘バランスを崩さないように注意しつつ,さらに対戦が楽しくなるようなオプションスキルを追加しました。たとえば連携強化スキルなどは,指揮官が持つことで艦隊全体のコンボに影響を与えるため,戦闘バランス/戦闘スタイルの変化は見られるでしょうが,より戦術的な海戦が楽しめるようになるので,研究のしがいがあると思いますよ。

4Gamer:
 船といえば以前,国家ごとに独自の色の船に乗れるようになる,と聞いたことがあるのですが,これもChapter2で実装されるのでしょうか。

渥美氏:
 はい。国ごとに決められたイメージカラーの船を新造できるようになります。「大海戦」などで,自国のイメージカラーで統一した艦隊がずらりと並んで戦ったら,壮観だと思いますよ。

竹田氏:
 ちなみに自分で造れる船は自国カラーだけですが,船自体はトレード可能なので,他国カラーの船も入手できます。

Chapter1で実装されていながら,いまだに発見されていない船もあるとのこと。開拓にも注力し,まだ見ぬ船やオプションスキルを開放したいところだ


■新職業「翻訳家」によって広がる世界
ここで唐突に,Chapter2で開放される「新海域」に関する資料を公開してみる。……肝心な部分にモザイクがかかっているが,これがギリギリの線だったので,どうかご容赦を……
4Gamer:
 続いて,Chapter2で追加される新職業「翻訳家」について教えてください。元々,複数の言語が習得可能なゲームなんですが,翻訳家には,何か独特のスキルが用意されてるんですか?

渥美氏:
 翻訳家は生産スキルとして「言語学」を習得しており,それを使って「辞書」を作れることが,最大の特徴です。作成した辞書はアイテムとして所持でき,トレードも可能。これを使えばキャラクターが習得していない言語でも,書庫での読書や会話などが可能になります。スキル習得数の問題で言語スキルの習得が厳しかった冒険家には,かなり便利なアイテムになるのではないでしょうか。

4Gamer:
 使用頻度の低い言語が,スキルでなく辞書で対応できるようになるのはありがたいですねぇ。ちなみに,辞書は1言語につき1冊必要,という仕様ですか? 場合によっては何冊も辞書を持ち歩くことになりそうですが。

竹田氏:
 いえ,辞書は文化圏/言語系統ごとに1セットという形になります。ゲルマン系の言語で1セット,南欧系で1セットという感じですね。スキルとは異なり,1冊で有限の回数しか使えませんし,アイテム欄を圧迫しますが,アパルタメントおよび家具の実装によって,アイテム収容能力が増えたことを踏まえての新職業といえます。今後さらに新エリアが開放されて,習得しきれない数の言語が出てきたとしても,その問題は翻訳家/辞書によって解決できるわけです。

4Gamer:
 辞書は,行動範囲を広げるための強力なアイテムになりそうですね。ゲームバランスへの影響も大きそうですが,そのあたりのバランスはどう考えていらっしゃいますか。

竹田氏:
 それは辞書作成の難度で調整しています。ヨーロッパ系言語は低いランクでも簡単に作れますが,ヨーロッパから離れたエリアになるほどに,より高い専門性が要求されるようになります。

4Gamer:
 新エリアとなる東南アジア地域は,言語学的に,かなり細かく系統が分かれていたと思うのですが……。辞書の種類も,結構な数になりそうですね。

竹田氏:
 東南アジアに関しては,Chapter2実装時点で,辞書は存在しません。ヨーロッパ人が,インドより東の人々に出会ったばかりの状態だから,辞書は出来上がってないんですよ(笑)。いずれは辞書も作れるようになりますが,それはまた,今後の話ということで。

新職業「翻訳家」。地味ではあるが,極めれば世界のあらゆる言語を操れる貴重な存在になるだろう



■「公認商会」――Chapter2で大きく様変わりする「商会」の存在
商館は今後,公認商会へチャレンジするための前提条件,いわばチケットのような存在となる。商会メンバー同士の結束が必要となり,ゲーム内コミュニティに与える影響は小さくはないだろう
渥美氏:
 ところで「商会」についてもお話をさせてください。それ自体は従来から存在するシステムですが,Chapter2での機能追加は,既存のコミュニティのあり方に,大きく影響する可能性がある内容となっています。

4Gamer:
 それは聞き逃せませんね。どのような仕様変更が行われるんですか?

渥美氏:
 まず商会にランクが設けられ,このランクを上げるとさまざまなメリットが受けられるようになります。メリットの内容ですが,特定のアイテムが商会員全員に支給されたり,商館ショップへの委託料,倉庫の手数料,さらには定期船の運賃がキャッシュバックされたりします。
 ただし,公認商会になることは,同時に義務も負うことになります。ランクを上げる方法として,商会管理局が指定する仕事を定期的に行わなければならず,この達成を何度か失敗すると,商館が商会管理局に没収されてしまうんです。

4Gamer:
 これまた大きな仕様変更ですね。「仕事」なるものは具体的にどういった内容ですか? 特定の交易品を指定の数だけ運ぶといった,お使い的な内容が多いのでしょうか。

竹田氏:
 新鮮なプレイを楽しんでもらうため,内容は毎月変わりますが,初期のランクでは,メンバーの誰かが航海のついでに片付けられる程度のものです。
 ただ,先ほどお話したとおり,商会にはランクが設定されますが,上のランクを目指すかどうかは,各商会の判断によります。上位ランクを目指し,維持するための仕事はもちろんそれなりの難度で,この部分が既存コミュニティに影響するのではと考えています。商会メンバーの中には,力を合わせてより上位ランクを目指したい人と,そうでない人がいたりしますからね。
 将来的には,公認商会のメンバーだけが受けられるメリットをさらに強化していく方向です。仕事を何度もクリアして功績を残せば,オリジナルの紋章といった,ほかでは入手できないアイテムなども与えられるでしょう。自信のある商会には,今後ぜひとも挑戦してほしいです。

4Gamer:
 なるほど。確かに,既存のコミュニティに影響を及ぼしそうな仕様ですね。公認商会への挑戦は任意なのでしょうか,それとも商会になった時点で強制されるのでしょうか。

渥美氏:
 公認商会への挑戦には,商館を保有していることが条件となります。したがって商館を持っていない場合,まずは商館獲得にチャレンジしてもらうことになります。
 現在,商館を持っているケースでは,公認商会にチャレンジする道と,しない道がありますが,「しない」を選択できるのは公認商会のルールが皆さんに定着するまでで,予定ではChapter3までの限定的な措置,となります。つまり今後は「商館を持つ以上,公認商会として活動していただく」という位置づけになります。逆に公認商会には興味がないよという人の場合,商館さえ持たなければ,これまでとまったく同様のプレイが可能です。このあたりは,公式サイトでもルールの詳細をアナウンスする予定なので,今しばらくお待ちください。



■シルクロードの代わり?──@モバイルサービス「陸路をゆく」
4Gamer:
 ほかになにか新情報はありますか?

渥美氏:
 実は「大航海時代 Online @モバイル」のほうに,新しい動きがあります。サービス名がそのものズバリなのですぐに分かってしまうと思いますが,「陸路をゆく」というものでして。現在もある自動回航の,陸路版になります。

竹田氏:
 具体的にどこ,とはまだ言えないのですが,すでにいくつかの港で,思わせぶりに馬車を置いてあります。……といえばピンとくる人もいるかもしれませんね。

渥美氏:
 「同じ大陸でつながってるんだから,陸路が使えたら便利なのになぁ」と思う場所ですね(笑)。交易品は一切運べないという縛りは,自動回航と同様となります。
 またさらに,Chapter1で実装されたゲーム内の「定期船」も,本数が増えることになります。

4Gamer:
 現状の定期船だと,プレイヤーによってはまったく利用できませんでしたからね。本数が増えれば,ゲームに接続する時間帯が合わなかった人でも,利用できるようになりますね。
 海域の拡大に伴って,航路自体も幅が広がったりするのでしょうか。

竹田氏:
 はい。新大陸についてはだいぶ開拓が進んだという時間設定で,ブラジル〜カリブ間の新航路が,新たに利用できるようになります。便数は平日が1日2便,土日が1日3便となります。

4Gamer:
 本作のサービス当初に比べて,ずいぶんと移動の融通がきくようになりますね。ただ,便利になりすぎてしまうと,プレイアビリティとリアリティのバランスが崩れてしまうのではないかと,少々心配だったりします。そのへんのバランシングについては,どうお考えですか?

竹田氏:
 そこは無論,我々も考え抜いた部分ではあります。ただ,ほかのゲームだと,一度行ったエリアはどんなに離れていても,アイテムもすべて所持した状態で一瞬でワープできたりしますよね。それに比べて大航海時代 Onlineはかなり厳しく制限をかけているつもりです。この世界観,リアリティという部分は今後も大事にしていきたいと思っています。

4Gamer:
 今回の増便は「時間帯が合わない」「もっと増やしてほしい」という要望に応えた形なわけですよね。今後さらに「定期船は常時利用したい」といった声が出てくることは,簡単に想像できますが,どこまでそういったプレイヤーの声に対応していくプランなのでしょうか。その線引きがちょっと気になります。

竹田氏:
 定期船はあくまで定期船で,その枠を逸脱するつもりはない,とまずお答えしておきます。定期船で行くほうが圧倒的に便利になってしまったら,危険海域で海賊プレイを楽しむ人がいなくなってしまうし,普通に航海する意味がありません。ですから,あくまで選択の幅を広げるための定期船といえるでしょう。
 地方の電車みたいに,一本乗り過ごしちゃったら次までだいぶ時間が空くなぁ,だったら自分で航海しようかどうしようか,という程度の利便性にとどめます。なので,定期船の増便については,今回の変更がギリギリと思ってください。

4Gamer:
 なるほど,分かりました。ところで,ちょうど海賊行為の話題が出たので,この機会にぜひ質問しておきたいことがあります。La Frontera以降,海賊行為のペナルティ強化に伴って,海賊プレイヤーにとっては若干厳しい状況になってきていますが,そのあたりについて考えていることがあれば,話を聞かせてください。

竹田氏:
 海賊は大航海時代のエッセンスとして不可欠な存在であり,戦闘系プレイヤーが目指す究極の目標の一つとして,そのステータスを維持していきたいという考えに変わりはありません。
 ですがここしばらく,安易に海賊行為をしてもリスクがあまりなく,“おいしい”思いができてしまう状況が続いていた,と我々は見ています。メリットとリスクの安易な差し引き勘定で,気が向いたときに“にわか海賊”となって,商船を襲って獲物を奪っていく。このバランスを正常に戻すために導入したのが,上納品と賞金の増額です。
 これは海賊への風当たりを強くするという単純な意味合いだけではなく,本来あるべき,海賊という生き方のステータスを提案する意味もあります。

4Gamer:
 確かに,大きなリスクと背中合わせにありながらも,それでも海賊というロールプレイを続けるプレイヤーの存在は,今まで以上に際立ちますよね。かつての「ウルティマ オンライン」のように,有名PKが何人もいて,彼らに狙われたり襲われたりすること自体が,プレイヤー間で話題になる。その域まで「海賊であること」のステータスが高まれば,また状況は変わってくるかもしれませんね。

竹田氏:
 ええ,普通に資産を増やすのであれば,商人プレイのほうがはるかに安定しています。それでも海賊行為を続けるプレイヤーに対して,畏怖と同時に尊敬の念を抱く……。海賊をそういう存在にしていけたらいいなぁと,色々策を練っています。

渥美氏:
 上納品ですが,これは御守りとして,持っているだけでちょっと安心するという保険として捉えてもらいたいアイテムです。

竹田氏:
 実際のところ,上納品を作るにはインドからアイテムを持ち帰らねばならないので,作成そのものが大変というデメリットも備えています。危険海域に行くか行かないか,という選択肢がまず用意されていて,その次に危険海域には行きたいが怖くていけない人のために,高いお金と手間をかけて上納品を作るかどうかという選択肢を,さらに用意しました。

4Gamer:
 しかし上納品が出てきてから,なんとなく海賊が減ったような印象がありますね。とくに,遊び半分でプレイヤーを襲っていたような,低レベルキャラクターの海賊については,ほとんど見かけなくなりました。そういう意味では,今おっしゃったような,プレイヤースキルと経験を持ち合わせた,一部の海賊プレイヤーが生き残っているのでしょうね。

渥美氏:
 上納品システムそのものよりも,賞金額が大幅に増額されて海賊のリスクがましたことが大きな要因ですね。海賊プレイの実入りと賞金のバランスに関しては,今後も調整を行うかもしれません。



■Chapter3とこれからの大航海時代 Onlineについて
4Gamer:
 最後に,La Fronteraの今後についての質問をさせてください。冒頭でも述べたように,La Fronteraは約4か月に一度のアップデートが予定されていますよね。次のChapter3についても,可能な範囲で結構なので,なにか教えてもらえないでしょうか。

渥美氏:
 Chapter3で一番力を入れたいのは,ゲームシステムの強化と,東南アジア地域の内容の拡充です。Chapter1に続き,Chapter2でも新海域が追加されたことに,驚いた人も多いと思います。我々としても,思い切ってエリア拡張を行ったので,次はその中身を充実させるのが大切だと考えています。アパルタメント,公認商会,ジョイントビルトに関しても,Chapter3で引き続き強化していきますよ。

竹田氏:
 それに加えて,Chapter1,2にはなかった新たなゲームシステムの導入を考えています。詳細については,まだ発表できる段階ではないのですが,Chapter3の内容も,相当濃いものになりますよ。楽しみにしていてください。
 正直なところ,この東南アジア海域の追加も含めて,世界は相当に広がったと思っています。お弁当箱はドーンと大きな物が用意されたのだから,次に詰めていくべきはおかずですよね。かといって同じおかずばかりが並んでいては,飽きられてしまう。さまざまなおかずを入れて,あれもこれもつまんで楽しめるような感じで,お弁当箱を埋めていくつもりです。

4Gamer:
 栄養バランスも考えて,色とりどりのおかずを取り揃えていくというわけですね。それはかなり楽しみです。

渥美氏:
 ゲーム内イベントに関しても,「秋の収穫祭・グルメ探訪ツアー」やクリスマスイベント,ニューイヤーイベントなどを計画していますし,とくにクリスマスは,懐かしいキャラクター達が登場する,ほのぼの系イベントとなりますので,そのあたりにも注目してもらいたいですね。

4Gamer:
 ところでChapter2の実装日ですが,以前発表された「12月上旬」という予定に,変更はありませんか? もう差し迫った日程ですよね。

渥美氏:
 開発は順調に進んでおり,当初の予定通りに実装できそうです。Chapter3についても,2007年春の実装に向けて,随時最新情報をお届けしますので,そちらも楽しみにしていてください。

4Gamer:
 おお,見事に予定通りですね。安心しました。

渥美氏:
 また,ゲーム内容には直接関係ないのですが,お伝えしておきたいことがありまして。これまで大航海時代 Onlineは,開発チームの中で,運営業務を抱えこんでいる状況,つまり各メンバーが両方の役割を兼任するという形でサービスを続けてきました。
 そのため,例えば大規模アップデートの最終調整の真っ最中にオンラインイベントを進行したり,アップデートの実装日が近づくにつれて,告知方法を検討したりキャンペーンを企画したりと,何もかもが一度に重なるという現場になっていました。そこで改めて,組織形態の見直しを行ったというわけですが,今後は運営チームが独立した組織になり,開発チームは開発に専念。一方,新設された運営チームも,よりユーザーに近い視点で,開発が考える新システムを判断できるようになります。より一層,プレイヤーの皆さんに喜んでもらえる大航海時代 Onlineにしていきたいと思っています。

竹田氏:
 今までは,開発も運営も兼任する一方,無意識に「開発者」側の視点に引っ張られすぎるケースがありました。たとえば「開発者としてのこだわり」や「システムの実現性」をつい優先してしまいがちです。しかしこれからは,運営側がそれを客観視できるようになるので,対等な立場で意見交換ができるようになるわけです。

渥美氏:
 とはいえ,元々は一緒にやっていたスタッフ達ですから,意思の疎通という部分ではまったく心配はありません。この開発/運営チームの強化により,より高い品質のサービスを提供していきますよ。

4Gamer:
 開発と運営の役割分担をはっきりさせつつも,互いの距離感が近い強みを生かすということで,より高いクオリティを目指せるようになるわけですね。
 ところで大航海時代 Onlineは,中国でのサービス展開も予定されていましたが,今現在どんな状況なんでしょう。

渥美氏:
 中国はどんなタイトルがヒットするのか,なかなか想像しにくい国なので,こちらも手探りといった状況です。ちょうどオープンβテストが開始されたところで,我々もどのような反応が返ってくるのか,楽しみにしているところです。

4Gamer:
 中国展開のほうにも期待させてもらいます。ぜひがんばってください。
 では最後に,4Gamer読者と,大航海時代 Onineのプレイヤーへ向けてメッセージをお願いします。

渥美氏:
 La Fronteraでは,12月実装予定のChapter2,そしてその次のChapter3で,さまざまな新システムが登場します。これからの大航海時代 Onlineにも,大いに期待していてください。

竹田氏:
 La Fronteraでは,まず「お弁当箱を大きくする」ことに注力してきました。その拡張作業は無事に終わったので,今後はどんどん,中身を充実させていきます。この先の展開を,楽しみにしていてください。

4Gamer:
 本日は長時間ありがとうございました。

 今回のインタビューに目を通して,Chapter1の南米に続いて,もう次の新海域が登場してしまうのかと,驚いた人も少なくないはずだ。
 竹田氏がお弁当箱にたとえていたように,マップとしての広さは,すでに十分といえるだけの面積が実装されているが,その中身が味気なければ,プレイヤーは決して満足してくれない。今後,どのような“おかず”がプレイヤーを楽しませてくれるのか。Chapter2の新要素はもちろんだが,4か月後のChapter3についても大いに期待できそうな手応えを感じるインタビューだった。(ライター:麻生ちはや/大路政志)

  • 関連タイトル:

    大航海時代 Online

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