連載「PCゲームを持ち出そう！」。第5回はPSP用の「Sid Meier's Pirates!」を紹介

　PCゲームと関連のあるNintendo DS/PlayStation Portable用タイトルを紹介していく連載「PCゲームを持ち出そう！」。5回めとなる今回紹介するのは，カリブ海での冒険をテーマとするゲーム「Sid Meier's Pirates!」のPlayStation Portable（以下，PSP）版だ。


■今回は「再現度」を先に紹介

　4Gamerでは，今回紹介するPSP版Sid Meier's Pirates!の再現度を，75％と判定した。ここでいう再現度は，紹介するNintendo DS/PSP用ゲームが，ベースとするPCゲームをいかに忠実に再現したものであるかを示すもの。つまり本作は，PC版の基本部分に大きな変更を加えず，比較的忠実に再現した作品だ。
　……と，先に結論を述べたのには理由がある。PSP版（2007年1月発売）のベースとなっているPC版「Sid Meier's Pirates!」が発売されたのは，今から2年半以上前の2004年11月。日本では正規に販売されなかったこともあり，本作がどのようなゲームか知らないという読者も多いだろう。

　再現度が高め，つまりゲームシステムなどの部分に大きな違いがないので，今回はSid Meier's Pirates!のゲーム内容を紹介し，最後にPC版とPSP版の違いに触れることにしよう。

　なお，PSP版も日本国内では正規に販売されていないため，本作を入手するには，「game4you.jp」などの海外ゲームを取り扱う販売店で並行輸入品を購入する必要がある。
　編集部で試した限りでは国内版のPSPでも動作したが，4Gamer編集部やソニー・コンピュータエンタテインメントでは国内版PSPでの動作を保証しかねるので，あらかじめご了承を。また本作は英語版のソフトであり，ゲーム画面や各種メッセージ，マニュアルなどはすべて英語なので，注意してほしい。



■海戦あり，冒険あり，ロマンスあり
■さまざまな要素がてんこ盛りの欲張りゲーム

※画面写真はPC版Sid Meier's Pirates!のものです

　Sid Meier's Pirates!は，“シミュレーションゲームの父”と呼ばれるゲーム業界の巨匠，Sid Meier（シド・マイヤー）氏が手がけ，20年前（！）の1987年にリリースされたPCゲーム「Pirates!」のリメイク作品だ。なお，これ以降「PC版」と表記した場合は，Sid Meier's Pirates!のPC版を指すので，ご注意を。
　ゲームの舞台は17世紀のカリブ海周辺。本作でプレイヤーは若き海賊となり，商船を襲撃したり，ほかの海賊達と戦ったりしつつ，歴史に名を残す海賊への道を歩んでいく。

　本作のゲームジャンルを一言で言い表すのは，ちょっと難しい。さまざまな情報を集めて家族を探したり，宝探しをしたりするという意味ではアドベンチャーといえるし，海戦シミュレーションやストラテジー，格闘アクションの要素もある。いろいろなミッションを請け負ってクリアしていくところはRPG的だし，カジュアルゲームのようなちょっとしたダンスゲームも盛り込まれているのだ。

　Sid Meier's Pirates!には，主人公（＝プレイヤー）が子供の頃，家族を襲撃した海賊への復讐を果たし，生き別れとなった家族を見つけ出すという目標が設定されている。とはいえ実際はオープンエンドで，非常に自由度の高いゲームだ。
　必ずしも海賊として生きる必要はなく，カリブ海周辺の港町を行き来し，モノを売買して金を稼いだり，請け負ったさまざまなクエストをこなしたりしていくだけでもオーケーなのだ。

　ただし，いつまでも同じキャラクターでプレイできるわけではない。ゲーム内の時間が経過するにつれてキャラクターは年老い，やがて海賊引退の日を迎えてゲームオーバーとなる。
　新たにキャラクターを作り直してプレイするたびにそれまでとは異なる海賊人生を送れる，リプレイアビリティの高いゲームといえるだろう。

（写真下段）戦果を挙げるにつれてより高い称号を獲得し，やがて港町の長の娘と，ダンスパーティに参加できるようになる。ダンスゲームである程度の成績を収めると娘の自分に対する好感度が上がり，ロマンスに発展するのだ

■PSP版とPC版との違い

　両者をプレイして感じた違いの一つは，海戦シーンのテンポ。PC版での海戦は，PSP版よりもゆったりとしたテンポで展開する。戦いを有利に進めるには，風の向きや相手の進路を見極め，自分の船の進路や，大砲を撃つ位置/方向を考えることが重要だ。
　つまり，海戦の難しさや醍醐味を再現しようとしているわけだが，PSP版ではこの部分がやや簡略化され，スピーディに戦いが展開するようになっている。また，PC版では海戦がスタートするとゲーム画面がズームアップし，緻密な操舵が可能となるのに対し，PSP版では表示範囲がまったく変化しない。

　インタフェースについても，PSPの画面解像度にマッチするようデザインし直されている。PC版では，画面右下に1〜9のキーパッドの図と，各キーに対応するアクションが表示され，基本的にはキーパッドのみで操作できる（マウスも使用可能）。
　一方PSP版では当然ながらそのような表示はなく，操作はアナログパッドとボタンを併用する仕組みだ。

　最初に述べたように，PSP版はPC版の移植作品であり，ゲームシステムに大きな変更はなく，グラフィックスやサウンドもなかなかよく再現できているといえる。
　ただ，PC版自体がそうなのだが，どの港町に行ってもメニュー画面や酒場のグラフィックスにはほとんど変化がない。プレイする上で最も多く目にする画面の一つであるだけに，単調な印象を持つかもしれない。

　とはいえ，カリブ海で海の男としての人生を送るというテーマにロマンを感じる人なら，楽しめるゲームなのではないだろうか。（山）



Sid Meier's Pirates!

再現度：75％

「再現度」とは……紹介するNintendo DS/PSP用ゲームが，ベースとするPCゲームをいかに忠実に再現したものであるかを独断で判定したもの。この数字が100％であれば，PC版となんら変わらない完璧な移植であることを意味し，逆に0％であれば，PC版との共通点が一切見出せないほど異なるゲームにアレンジされていることを意味している。そのゲームの面白さ，ゲームとしての出来を示すものではないので注意してほしい。

対応機種：PlayStation Portable
メーカー：2K Games（Take-Two Interactive Software）
発売日：2007年1月22日
価格：39.99ドル
公式サイト：http://www.2kgames.com/pirates/psp/

「game4you.jp」で購入する

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