インタビュー
「女神転生IMAGINE」インタビュー:“メガテンらしさ”がより深まる中型アップデートと今後の予定(後編)
今回は,前編に引き続いて,IMAGINEプロジェクトの開発マネージャーである寺本雅裕氏へのインタビュー後編をお届けしよう。正式サービス開始から約7か月が経過して,IMAGINEの現状はどのようなものになっているか,三身合体や騎乗システム,悪魔コロシアムといった要素はいつ頃実装されてどのようなものになるのか,そして今後はどのようにIMAGINEの世界が広がっていくのかなど,現時点での構想を語ってもらった。本作のプレイヤーはぜひ目を通してほしい。
9月下旬からかなり伸びたアクティブプレイヤー数
4Gamer:
中型アップデートのお話を一通りお聞きしたので,ここで正式サービスが開始されて約7か月経った,IMAGINEの現状について教えてもらえますか?
目立ったトピックとして,9月下旬からなんですけど,アクティブなプレイヤー数がぐっと増えたということが挙げられます。
4Gamer:
どのくらい増えたんですか?
寺本氏:
具体的な数字はお答えできないんですが,正式サービス開始以来の最高記録を塗り替えています。
4Gamer:
おお,それはすごいですね。その時期に何があったんですか?
寺本氏:
いろいろな要因はあるのですが,イベントの影響が大きかったのかなと思っています。
4Gamer:
イベントですか?
寺本氏:
ええ。アクティブプレイヤー数が激増する直前に,クラン対抗のイベントを実施したんです。指定されたアイテムをどれだけ多く集められるか,という内容だったんですが,このとき,上位8クランには「クラン専用ルーム」が利用できるようになる,という特典を付けたんです。
4Gamer:
クラン専用ルームって,通常は利用できない機能ですよね?
寺本氏:
ええ,このイベントで入賞したクランのみが利用できるというものです。おかげさまで,予想以上に多くのプレイヤーの方々がイベントに参加してくれました。
中でも,入賞を目指したクランマスターさんが精力的に参加を呼びかけたようで,それまでIMAGINEを休止していた人達も復帰して参加してくれたみたいなんです。イベントが終わってもアクティブプレイヤー数が増えた状態を継続しているので,運営側としては嬉しい限りです。本当にクランマスターさんには感謝してもしきれないぐらいですよ。
4Gamer:
まさに嬉しい悲鳴といったところですね。イベントが終わってもアクティブプレイヤー数が増えたまま,という点については,どのようなところが理由だと考えていますか?
正式サービスに入ったタイミングでは未実装の要素も多かったので,昔からのファンの方々に,IMAGINEが女神転生シリーズのタイトルだというのを認めてもらえていなかったんじゃないのかな,と思います。ファンの方々にとっては,そういった「メガテンらしさ」がすごく大事だというのは分かっていたんですが。
ただ,8月の大型アップデートでLNCシステムなどを実装したことで,IMAGINEのメガテンらしさがより増したといえます。以前プレイしていたけど止めてしまった人が,イベントで復帰したあと,IMAGINEのメガテンらしさを認めてくれて,楽しんでいただいているのかなと。
4Gamer:
なるほど。復帰したプレイヤーをつなぎ止められるよう,これからが大事ですね。
寺本氏:
はい。その意味では,10月25日の中型アップデートは非常にいいタイミングだと思います。ただ,急務の問題点としてサーバーの負荷があります。平日の日中はそうでもないんですけど,ピークタイムになるとラグが発生しやすいことは認識しています。これは急いで解決すべき課題として対策を準備していますので,プレイヤーの皆さんには申し訳ないのですが,もう少々お待ちください。
4Gamer:
そのほかに現在抱えている問題点はありますか?
スケジュール面での実装スピードの問題ですね。現在,短期間で新しい要素が次々とIMAGINEに実装されています。プレイヤーの皆さんに,新しい要素を早く楽しんでもらいたいというスタッフの姿勢の現れなんですが,さきほど言ったサーバーやバグなどの問題に対して,なかなか腰を据えて対処できないという弊害も出ています。
現在,その対処方法を検討している最中なんですが,もしかしたら,実装スピードを今後若干ペースダウンさせることもあるかもしれません。その分,プレイヤーの皆さんが安心して遊べるようなゲームにしていくつもりなので,ご理解いただければと思います。
三身合体や騎乗システムなど
期待が膨らむ新要素は年内に実装予定
4Gamer:
では,次は今後の予定について教えてください。今回の中型アップデート以後の予定はどのようになっていますか。
まず,11月末にダンジョンを追加します。プレイヤーの皆さんからの要望が多かったものなんですが,今,高レベルキャラクター向けのダンジョンが少ないんですよ。レベル40以上の人が楽しめるのは,「スギナミ魔階坑道(銀)」くらいしかない状態なので,それよりもさらに高難度のダンジョンを追加します。
あと,11月から12月にかけての間のどこかで,クラン機能のパワーアップを図ろうと思っています。具体的にはまだ言えないんですが,クランメンバーの人達が頑張ってクランを盛り上げると,それによってさまざまな恩恵をクランメンバー全員が受けられるという感じにしたいと思います。
4Gamer:
なるほど。その次はどうでしょう? IMAGINEのスケジュール的にいえば,12月は大型アップデートの時期となりますが。
そうですね。12月末には大型アップデートを予定しています。ここでは,お待ちかねの騎乗システムと三身合体が入ります。
4Gamer:
おお,ついに来ますか。
寺本氏:
はい。これも具体的にはまだ言えませんが,騎乗システムでは,悪魔に乗って移動する“だけ”のものにはならないので,期待してお待ちください。
4Gamer:
三身合体についてはどうでしょうか?
寺本氏:
三身合体は,これまでの女神転生シリーズにもあった要素ですが,その常識を覆すような内容にするつもりです。二身合体のパワーアップ版が三身合体っていうのが,今までのスタンスだったんですけど,それを大きく変えていきます。キーワードとしては,MMOならではの要素というところですね。あとは,エピソードの追加やレベルキャップ開放も予定しています。
4Gamer:
そう言われるといやがうえにも期待が高まりますね。
寺本氏:
三身合体で,これまで作れなかった魔神,破壊神,魔王といった,女神転生シリーズで人気があった悪魔を作れるようになるんですよ。そうやすやすとは作れないかもしれませんが(笑)。
あと,7月に2007年内の予定を発表したんですが,悪魔コロシアム実装については,来年になってしまいます。これは「もっと面白くできる」というアイデアを盛り込むために鋭意作業中です。いい意味で予想を裏切るシステムになると思うので,申し訳ないのですがしばらくお待ちください。
4Gamer:
悪魔コロシアムの実装はいつ頃になりそうですか?
寺本氏:
うかつに言ってしまうと,約束に繋がりかねないんで言いにくいのですが(笑)。そう遠くはないです。冬の間には実装できればと考えています。
4Gamer:
早く実装決定の報が聞けることを期待しています(笑)。
あと時期は決まっていないのですが,今後の実装項目としては,ガンスミスといった生産,ハウジング機能,転生などを予定しています。転生は,レベル99の上限に達したあともIMAGINEを楽しめるものにする予定です。具体的には決まっていないんですけどね(笑)。
4Gamer:
転生はどんなものになるか,気になりますね。
寺本氏:
形にしようとするとすごく難しいんですよ。ただ,レベル99まで達しないと転生できない,ということになるとハードルがものすごく高くなってしまうので,レベルにあんまり関係なく転生できるようにしようかなと考えてはいます。まだ「こうなる」といえるレベルまでコンセプトが決まってはいないのですが,いろんな人に楽しんでもらえる形にはしたいと思います。
4Gamer:
ハウジングも気になりますね。少しだけでもいいので教えてもらえませんか?
寺本氏:
そうですね……。あくまでもアイデアのレベルですが,新宿バベルの部屋を借りたりとか,総本山にバラックを建てたりという風に,女神転生シリーズのイメージに沿う感じにしたいです。これについてはまだ決まっていないことも多いので,プレイヤーの皆さんの意見も聞きたいです。ぜひ要望を送っていただきたいですね。
あとはNeutral属性のプレイヤーキャラクターに向けた街/フィールドやダンジョンですね。プレイヤーの皆さんにお叱りを受けているのですが,LawとChaosはあるのに,Neutralだけまだないので。
4Gamer:
そういえば,LNCシステムの実装で,LawとChaosに分かれた勢力争いみたいなPvPシステムは実装されないんですか? 今は不可侵条約を結んでいて,抗争はなしという設定ですが。
寺本氏:
PvPについてはプレイヤーの皆さんからも要望が多くあって,どういった実装方法が適切かを考えているところです。
LawとChaos,どちらの勢力が強いのか個人的には見てみたいですね。エピソードとともに,IMAGINEの歴史も明かされていくので,もしかしたら不可侵条約もなくなるかもしれませんし,なくならないかもしれません(笑)。
PvPでプレイヤー同士が直接対決することになると,さまざまな問題も出てくるので,できるだけスポーツのような形で実現できればと考えています。先ほど話に出た,悪魔コロシアムがPvPの先駆けにはなると思うんですけど。
4Gamer:
では最後に,読者へのメッセージをお願いします。
クローズドβテスト以降,IMAGINEを応援してくれている皆さんのおかげでここまで来られたと思っています。
スタッフ一同,IMAGINEというコンテンツをより素晴らしいものにしようという思いを持っていますが,プレイヤーの皆さんのお力添えによって,さらに素晴らしいものに変えていけると信じています。皆さんから送っていただいた要望は,すぐに運営/開発に届くようになっているので,どんなに細かいことでも送っていただけると大変助かります。
女神転生シリーズの作品ではありますが,IMAGINEはまだ答えがない未完の状態です。ファンの皆さんは,それぞれ「女神転生」について異なるイメージを持っていると思います。我々としては,IMAGINEから始めた人を含む,できるだけ多くのファンの方々に満足していただきたいと考えているので,「女神転生だったらこれだろ」という意見があったら,ゲームに直接関係ないものでも送っていただければ,開発の参考にさせていただきます。
4Gamer:
ありがとうございました。
IMAGINEでは,9月下旬に正式サービス開始以来の最高のアクティブプレイヤー数を記録するなど,数字のうえでは非常に順調に感じられる。だが,人が多いときはラグが発生することがあるといった問題も出ている。オンラインゲームを快適にプレイするうえでの重要な要素なので,早期の解決を願うばかりだ。
IMAGINEは,約20年という歴史を重ねてきた女神転生シリーズ初のMMORPGということもあり,開発ではさまざまな試行錯誤がなされているであろう。2007年4月に,本作の今後についてのインタビュー記事を掲載したが,そのときとは多少方向性が変わっている部分もあった。それもプレイヤーからの要望を検討し,柔軟に対応していることの現れといえるだろう。
なお,インタビュー本体には掲載しなかったが,プレイヤーからの要望が多い,キャラクター移動のベース速度アップや,追加悪魔倉庫などの案も実装できるよう検討しているそうだ。
8月の大型アップデート,そして10月25日に実施された中型アップデートにより,ますます“メガテンらしさ”が増してきたIMAGINE。今後,世界がさらに広がること間違いなしの追加要素がなるべく早く実装されることに期待したい。
(2007年10月16日収録)
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真・女神転生IMAGINE
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