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[COMPUTEX]LucidLogixが新技術を披露。「グラフィックスカードのホットスワップ」と「iGPU環境のフレームレート向上」がトピックに
2012年のCOMPUTEX TAIPEIにおけるトピックは,CPU統合型グラフィックス機能と単体グラフィックスカードとを動的に切り替えられるだけでなく,グラフィックス描画負荷の低いときにはグラフィックスカードへの電源供給を無効化できる電力管理技術「Desktop GPU Power Control」と,単体GPUを搭載しないPCシステムでもフレームレートなどを引き上げられる「XLR8」(開発コードネーム)などだ。
今回4Gamerでは,LucidLogixのMoshe Steiner(モシェ・シュタイナー)CEO自らに,開発中のグラフィックス技術を紹介してもらうことができた。詳細はあらためてお伝えすることとし,ひとまずは,一部を速報としてお届けしたい。
Desktop GPU Power Control
おそらく今年の夏も節電が叫ばれる日本において,ハイエンドやハイクラスなグラフィックスカードの消費電力をどのように抑え込むかというのは大きなテーマになる。そこでLucidLogixが用意してきたのが,CPU統合型グラフィックス機能と単体グラフィックスカードとを,3D描画負荷や用途に応じて動的に切り替えられるようにするDesktop GPU Power Controlだ。
Desktop GPU Power Controlの利用にはマザーボード側のBIOSやグラフィックスカード側の対応が必要になるが,対応製品同士を組み合わせれば,描画負荷が低いときはグラフィックスカードの電源を自動的に無効化し。システム全体の消費電力低減を図ることができる。
会場では開発途上版Desktop GPU Power Controlの実動デモが行われていたのだが,写真撮影は許可されなかったので,今回はLucidLogixがYouTubeにアップロードしているビデオをチェックしてもらえればと思う。
ビデオを見ても分かるように,Desktop GPU Power Controlでは,PCI Expressスロットへの給電を完全に無効化できるため,グラフィックスカードのホットスワップが可能になる。
そんなケースはないと思うかもしれないが,実のところ,これはThunderbolt接続の外付けグラフィックスボックスを実現するうえでは非常に重要なポイントだ。というのも,IntelはThunderboltデバイスの要件として「ホットスワップ対応」を求めており,これが外付けグラフィックスボックス製品の実現を困難にしているのである。
Desktop GPU Power Controlを応用すれば,この難題も解決できることになるわけで,期待は大きい。
XLR8
「Accelerate」からその名が取られ,カタカナで書くと「エクセラエイト」という発音になるXLR8は,CPU統合型グラフィックス機能やローエンドGPUしか使えないような環境でも,フレームレートや画質を向上させようというもの。その根幹となるのは,すでに採用製品が出荷されている「Virtu MVP」などでもおなじみの「Virtual Vsync」と「HyperFormance」技術に加え,LoD(Level of Detail)処理の手法を応用して背景部分のテクスチャ解像度を下げることにより,フレームレートを引き上げようという新技術「Dynamix」だ。
ローエンドなグラフィックス環境でフレームレートの改善を図るXLR8 |
Virtual VsyncとHyperformance,Dynamixを組み合わせて,総合的な体感速度の改善を図るという |
Steiner氏は,Ivy Bridgeの統合型グラフィックス機能を用いて「Battlefield 3」をプレイするデモを披露した。Dynamix以外の設定を揃えて比較した模様は下にムービーでまとめたが,Dynamixを有効化すると,フレームレートが向上しているのを確認できるだろう。
Steiner氏は,描画負荷が下がることでCPUやGPUの消費電力を低減できるため,XLR8にはシステム全体の消費電力を引き下げる効果もあると述べていた。
Steiner氏によれば,XLR8はUltrabook限定の技術というわけではなく,タブレットPCなどでも活用できるとのこと。こちらも今後の展開に注目しておきたい技術といえそうだ。
LucidLogix Technologies公式Webサイト
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