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「一騎当千の爽快感をオンラインへ」:「真・三國無双BB」開発者が語るコンセプトの一歩先
本作は発表当初より「一騎当千の爽快感をオンラインで」というコンセプトで,無双シリーズの特徴を損なわないオンラインゲームにしていくと言われており,それ以外のゲームに関する情報は,ほとんど明かされていなかった。今回の発表会で行われた8人のスタッフによるデモプレイは,コンセプトをある程度具現化したものではあったが,ゲームの細かいところ,とりわけMMO的な部分に関しては何も見えてこなかった。とはいえ,正式サービスを秋に行うと発表している以上,ある程度は決まっているはずである。
そこで4Gamerは,本作のプロデューサーである松原健二氏とディレクターの藤重和博氏に,発表会直後の慌ただしい中,無理を言ってインタビューを行った。ゲームコンセプトからもう一歩踏み込んだ点を聞くことができた,インタビューの模様をお届けしよう。(noguchi/photo by kiki)
■長く遊べるMMO的な要素とアクション要素の両立を目指して
今日はよろしくお願いします。本作については昨年のElectronic Entertainment Expo(E3)や,2月のAsia Online Game Conference 2006 Tokyoでも質問させていただきましたが,コンセプト的なお話が中心でしたよね。ようやくデモプレイも見せてもらえたので,今日こそは突っ込んだ内容を聞かせてください。
松原氏:
分かりました。今まで答えられなかった点にも,極力答えていきますよ。
4Gamer:
では,まずゲームの全体的な流れを教えてください。オンラインで真・三國無双をやるという以外はあまりはっきりしていないので。
松原氏:
まず,プレイヤーはオリジナルのキャラクターを作成するんですよ。そして,三国志に登場する有名武将に仕えて中国の統一を目指して戦っていくというのが,ゲーム全体の大まかな流れですね。
4Gamer:
なるほど。そうなると今日のデモプレイで見せてもらったような4人対4人の対戦というのは,その流れの中で,どこに絡んでくるのでしょうか? 8人のプレイヤーが4人ずつに分かれ,設定画面から戦いの場を設けて対戦プレイをしていたので,いわゆるMOタイプのように見えましたが。
藤重氏:
今日はとにかく動いている部分を見せたかったので,ああいったデモプレイを行いました。本作の戦闘は8人程度で場を設けて戦うので,そこだけ切り出して見るとMO的ですが,そのほかの部分でMMO的な要素があります。
4Gamer:
一応確認ですが,つまり,一つのフィールドで同時に戦えるプレイヤーキャラクタは8人程度なんですね。てっきり千人規模のプレイヤーキャラクターが入り乱れて戦うのかと思ってました。
松原氏:
もしフィールドにプレイヤーキャラクターだけですと,斬られて飛ばされてしまうプレイヤーのほうが多くなってしまい,本作のコンセプトである一騎当千の爽快感が表現できなくなってしまいます。かといって,全員が地味に戦うだけなら,もはや真・三國無双じゃないですよね。大勢の敵をなぎ倒す爽快感を出しつつ,プレイヤー同士の対戦も楽しめる,そのバランスとシステムの実現性を考慮しています。
4Gamer:
言われてみればそうですね。あの一振りで何人もの敵を吹き飛ばす感覚を表現しようと思うと,やられ役も必要ですからね。
藤重氏:
その爽快感を生かしたうえで,MMO的な要素を加えたかったのです。今までの真・三國無双シリーズは,決められたシナリオに沿ってプレイしていくタイプのゲームでした。今回はせっかくオンラインでやるので,それはやめようと考えていたんですよ。多くの人達が集まって,NPCと入り乱れて戦闘を行い,その結果として世界が動き大きな争いになる。そういうゲームにしようと思っているんです。
4Gamer:
大勢のNPCと8名程度のプレイヤーキャラクターが参加する戦闘の積み重ねが,世界全体に影響を及ぼしていくんですね。そういう意味では,やはり合戦システムがあり,それによって国盗りもできる「信長の野望 Online」に近いところがありますか?
松原氏:
そうですね。信長の野望 Onlineは合戦場に入って7対7のバトルをやりますが,それが国同士の争いに影響するという意味では似ています。
藤重氏:
本作では,そのような勢力同士の基本となる戦いを「激突」と呼んでいます。激突の結果によってプレイヤーは戦果を上げ,それが各勢力の国力に影響を与えます。これを繰り返して一定の条件に達すると,都市の覇権をかけた「争奪戦」が発生するようになっているんですよ。
松原氏:
国同士の争いとはまったく関係なく,練習がてら楽しむモードもありますよ。例えば,2対2で対戦できます。また,プレイヤー同士が協力してNPCと対戦することもできますので,かなり特徴的なものになっていると思いますよ。単純にアクションゲームとしても楽しめるのですから。
4Gamer:
例えば,同じ勢力に属する4人が集まって,2対2で対戦しようよ,といったこともできるということですかね。
松原氏:
できます。本作の戦闘は,プレイヤーが操作するキャラクター以外にも,数多くのNPC兵士が登場するので,その兵士を倒しながら仲間同士の連携を鍛えられます。一人で遊ぶこともできますので,NPC相手にアクションプレイを上達させることも可能です。
4Gamer:
その国同士の争いとは関係ない戦いでも,スキルアップ的なことはできるのでしょうか?
アクションゲームなので,まず鍛えてもらいたいのは,プレイヤー自身のスキル(テクニック)ですよね。誰でも簡単にプレイできるとはいっても,自分のプレイがうまくなっている感覚がないと,アクションゲームとしてはあまり面白くなくなってしまいますので。もちろん,MMOなので,武器などが成長するような要素はありますよ。
4Gamer:
武器などが単純に成長するとなると,黙々と一人で戦い続けて,ひたすら武器を鍛えていけば,その武器を持った人はものすごく強くなってしまうということでしょうか? そうなると対戦時のアクション性が薄れてしまうような気がしますが……。
松原氏:
いやいや,武器の成長といっても,武器を鍛えたら戦闘中ずっとその強さを発揮するわけではないんですよ。武器の強さの限界値が上がる,といった感じです。
藤重氏:
デモプレイ中にも見られたと思いますが,戦場ではヒョウタンのようなアイテムが出てくるんですね。プレイヤーはこれを取り,パワーアップボタンを押すと,武器をパワーアップできます。武器を鍛えていると,そのパワーアップできる上限値が上がっていくんですよ。ですので,鍛えた武器を持っていたとしても,戦闘中にパワーアップできなければ,その武器が持っている力は発揮できないことになります。
4Gamer:
なるほど。戦闘中にそのヒョウタンを取ることで本来武器が持っている能力を開放していく,といった感じですね。
藤重氏:
そうなります。ですので,あまり成長させていない武器でも,戦闘中に効率良くパワーアップできれば有利になります。まあ,成長させた武器を持っていればその分有利にはなりますが,それだけで戦局が変わってしまうようなことはありません。
松原氏:
これはどうやってMMOでアクションをやるかというアイデアの根幹にあたる部分で,今までのMMOとはまったく違うところです。
4Gamer:
真・三國無双シリーズは武器によってキャラクターのアクションがまったく別物になりますよね。そのあたりも同じと考えていいですか?
松原氏:
基本的には同じです。今までは武将を変えていましたが,今回はキャラクターを変えられないので,装備する武器を変えるという形で表現しています。
■プレイヤーの遊び方や時間を制限しないゲームに
ちょっと細かいことばかり聞いてしまったので,もう少し大きな部分について質問させていただきますね。国同士の戦いですが,これは必ず決まった時刻に開催されて,プレイヤーはそこに参加する,といった形になるのでしょうか?
松原氏:
答えづらいところを聞いてきましたね(笑)。とりあえず現時点ですと,必ずこの時間にゲームにログインしていなければダメ,といったようにプレイヤーを制約するものではない,とだけ言っておきます。もちろん相手が必要になることなので,どんなときでも自由にできるというわけにはいきませんけどね。
4Gamer:
できれば,もう少し具体的に教えてください。
松原氏:
そうですね,現時点でどこまでお話してよいか難しいのですが……,一つの戦争で国同士の争いに片が付く,ということはないです。期間内に戦闘が何度も行われて,その成果によって結果が決まる,といった感じです。
4Gamer:
かなり長いスパンでの戦いになりそうですね。
松原氏:
たった2時間の戦闘だけですべてが決まってしまうことはありません。拘束時間がほとんどないので,プレイヤーにはかなり自由な形で遊んでもらえると思いますよ。
4Gamer:
なるほど。個々の短い戦闘の結果の積み重ねが,大きな戦闘の結果につながっていくわけですね。
松原氏:
戦いのシーンを少し見ただけでは,MOとの違いがちょっと分かりづらいということがあるかもしれません。ですが,実際にプレイすると戦闘においてもMOとの違いを感じるでしょう,それ以外のもっと大きな要素である,MMO的な部分もいずれお見せできると思います。
4Gamer:
そういう意味では,あくまでもMOではなくてMMOだと。では,MMOを強調できるポイントはどんなところですか?
藤重氏:
今お話しできることは限られているのですが……,そうですね,ゲーム内に“1日”といった時間の概念があります。ただ本作は,単純に朝から晩にかけての,いわゆる“1日”といった流れがあるだけではないです。ちゃんと1日1日が積み重なっていき,月日が過ぎていきます……。ここからある程度想像してもらえるんじゃないですかね。
松原氏:
天下統一に向かって情勢がどんどん変わっていくんですよ。そうすると絶対に負けられない戦い,なども出てきます。そういった勢力の中でプレイするということがMMOとしての一番大きな特徴だと考えています。
4Gamer:
では,自分が所属する勢力が滅びてしまったらどうなるのでしょうか?
藤重氏:
4Gamer:
分かりました。最終的に決まっていないものは,なかなかお話しできないでしょうからね。では,現時点で決まっているMMO的な要素がほかにあったら聞かせてください。
藤重氏:
そうですね,プレイヤーは全員自宅を街の中に持っていますよ。そして,その街がロビー的な役割を果たしていて,そこでほかのプレイヤーとコミュニケーションを取ることができます。
4Gamer:
そういったMMOとして基本的な要素は押さえつつ,さらに工夫をしているというわけですね。
藤重氏:
まあ,そう思ってもらえれば。あとはテスト後にお話しします。
4Gamer:
では話題を変えますね。一つの勢力が中国大陸を統一するまでの期間はどの程度を想定していますか?
松原氏:
飽きもせず,短くもないといったところです。
4Gamer:
ずいぶん曖昧ですね(笑)。世界がダイナミックに動いている感じは味わえつつも,気が遠くなるほど長くはない,といった感じでしょうか?
松原氏:
まあ,そんなところですね。実際の季節が二回りするようなことはないですよ。もちろん,このスパンについても,プレイヤーの要望に合わせていくというのが基本ではありますが。
4Gamer:
ちなみに勢力の数はどれくらいでしょうか?
これくらいなら言っても大丈夫かな……。五つです。ただ,単純に五つではなく,色々と秘密と工夫がありますよ。
4Gamer:
五つの勢力内の有名武将の誰かに仕えるということですね。
藤重氏:
そうなります。
4Gamer:
では,歴史に沿った部分は多くなりますか? 例えば若くして死んでしまった武将が,ゲーム内でも本当に早く死んでしまうとか。
藤重氏:
そういうことはないですよ。本作では,プレイヤーが自分達の歴史を作るという点をウリにしているので,史実に沿うことよりも,プレイヤーの自由度を大きくすることに重点を置いているんですよ。真・三國無双シリーズをプレイしている人は,そこまでのリアリティは望んでいないと考えていますしね。
松原氏:
史実に忠実ではないですが,史実に基づいたイベントなどによって,要所要所で歴史を感じてもらえるようにしていきますよ。
4Gamer:
有名武将が名セリフを言う,とか?
藤重氏:
そうですね,ぜひそういった工夫をしていきたいです。
■ついに発表されたテクニカルテストの内容とは
ではテクニカルテストについても聞かせてください。今回発表された“2万人”という募集人数は,結構多いですよね。
松原氏:
すでに社内LAN,Yahoo! BBの回線どちらを使用しても,現時点で問題なく動いています。Yahoo! BB回線を使用した場合は,社内LANと数値的には大きく異なりますが,人間が体感できるレベルではLAN環境と同じ感覚でプレイできています。ですので,ある程度大規模な数のプレイヤーを集めて,テストをしてみたいと思っています。
4Gamer:
なるほど。そのへんを中心にテストされるということですか?
松原氏:
やっぱりネットワーク回りを中心にテストしたいですね。先ほどから話題になっている,いわゆるMMO的な部分は,テクニカルテストで検証する内容としては多くありません。そこはオープンβで検証していくことになるでしょう。
4Gamer:
では,テクニカルテストが終わった時点でまたお話を聞かせてください。
松原氏:
分かりました。そのときならもっと詳しくお話しできると思いますよ。
4Gamer:
では最後に,「爽快感をオンラインで」という以外に,本作の魅力を簡潔にお願いします。
松原氏:
おっと,先に言われちゃいましたね(笑)。MMO的な,ある程度長いスパンで遊ぶ面白さもあるのですが,あまり難しいことを考えず,カンタン・手軽に対戦や協力プレイが楽しめる点が挙げられます。それでいて,ただ単に戦って終わり,というゲームではない。サクっと終わるアクションゲームが好きな人,長いスパンのゲームが好きな人など,プレイヤーの好みを問わずに遊べるところが,本作の魅力です。
4Gamer:
本日はお忙しい中,ありがとうございました。
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とはいえ,この2点をうまく両立させるのは,そうたやすいことではない。デモプレイを見る限り,お手軽感に関してはある程度手応えを感じたが,MMO的な長く遊べる要素は,未だにはっきりとはしていない。そのあたりは,テクニカルテスト後に最終的な詰めを行い,公開を予定しているようだ。まずはテクニカルテストで,本作最大のウリである爽快感の完成度を確かめ,その後の情報公開を楽しみに待とう。(2006年3月9日収録)
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