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マフィア映画の世界を堪能できる「The Godfather」続報
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印刷2005/07/22 22:18

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マフィア映画の世界を堪能できる「The Godfather」続報

 Electronic Arts(以下EA)が毎年夏に米国本社で開催するプレス向けのイベント「Hot Summer Night 2005」で,「The Godfather The Game」(旧題 The Godfather)について追加の説明が行われた。当日は,デモプレイを録画したムービーを流しながら,EAのクリエイティブディレクター,Phillip Campbell(フィリップ・キャンベル)氏が詳細を語ってくれたので,その内容をまとめて紹介していきたいと思う。
 なお,公開されたムービーは撮影不可だったため,今回掲載している画像はEA提供のものだ。この点はご容赦願いたい。



マーロン・ブロンドを含め,コルレオーネ一家のメンバーが気持ち悪いほどリアルに描かれている。いまやメランコリーも感じられる「イタリアンマフィア」の世界を楽しめるのが醍醐味
 さて,The Godfather The Gameは,フランシス・F・コッポラ監督による名画「ゴッドファーザー」(The Godfather)をゲーム化したものであり,プレイヤーはニューヨークのマフィア組織である「コルレオーネ一家」のメンバーとして成り上がり,周囲の尊敬を得ながら最終的にはドンになるのが目的となる。駆け出しのチンピラから始めるという設定上,映画3部作の第1作が主な舞台。当然のことながら,原作小説からも多くのモチーフを借りている。
 舞台となるのは1945年から1955年のニューヨークで,煉瓦造りのビルやニューヨークのスカイラインを形成し始めた高層ビルなどは,当時の風情そのままといったところだ。



 ニューヨークではほかにも四つの「ファミリー」が覇権を争っており,主人公はこんな街にあって,コルレオーネ一家から与えられた仕事をコツコツこなしていくことになる。仕事とはもちろん,ほかのファミリーのメンバーや敵対する要人の殺害,ほかのファミリーへ資金提供しているカジノやバーへの襲撃,警官や裁判官への贈賄などだ。
 ゲームのシステムは一言でいうと「Grand Theft Auto」タイプだが,1940年代のマフィアを題材にした独特の雰囲気や,テクスチャやアニメーションなどの品質に独自性が強くうかがえる。

 The Godfather The Gameのデモは,ゲームキャラクターの作成から始まった。アニメーション技術はEA本社オフィスで制作されている「Tiger Woods PGA TOUR」シリーズから拝借したもの。容姿はイタリア系移民風に限定されているものの,さまざまな顔や体型を作り出せるうえ,服や帽子,ズボンのサスペンダーにいたるまで,細かく設定できるようになっている。

 ゲーム開始とともに始まる冒頭のリアルタイム3Dデモは,一介のタクシー運転手に過ぎなかった主人公が,偶然乗ってきたドン・コルレオーネに認められ,「マフィアとは何なのか」の手ほどきを受ける場面だった。Campbell氏は,「プレイヤーが制作した容姿がそのままリアルタイム3Dデモに反映される」という。

 ミッション内容は豊富で,説明されただけでも,以下のようなものがあった。


  • 裏通りで襟を捕まえての簡単な脅し(Intimidation)

  • 邪魔な相手の頭を壁に押さえつけたり,屋上から半身突き放したりといった暴行行為(Manhandling)

  • 密輸トラックや現金輸送車の乗っ取り(Hijacking)

  • 相手の倉庫やアジトへの乱入(Takeover)

  • 銃や素手,果ては車を使っての暗殺(Contract Hit)

  • 政府要人への賄賂(Bribe)

  • 敵勢力に資金提供しているビジネスへの強請(Extortion)

  • 闇ルートからの物資調達(Black Market)

  • ドン直々の特殊任務(Work for Corleone)



 ミッションが成功すると,「リスペクトポイント」が得られるようになっていて,これがたまると階級が上がり,ファミリーの中での地位も上昇する。すると,主人公は汚いTシャツを脱ぎ捨てて,シルクのシャツやダブルのスーツなどを着るようになったりするのだ。

ゲームでは頻繁に「カピーシュ(Capiche)」というセリフが聞こえる。これはイタリア語のCapire(理解する)がニューヨークで訛った言葉で,1940年代にマフィア達によって使われ始めた。「俺の言ってること,分かるよな」という,少し語気の強い言い回しであり,現代でも広く利用されているスラングだ


 The Godfather The Gameでは,ミッションの成果はプレイヤーの判断によっても大きく変化する。例えば,敵ファミリーの重要メンバーを暗殺するミッションでは,銃による襲撃なら得られるリスペクトポイントは200だが,ねばり強く尾行して,一人になったところを背後から襲って絞殺すると,難度が高いから300ポイント獲得できるといった具合だ。銃撃一つ取ってみても,なるべく至近距離から行ったほうが獲得ポイントは高くなるらしい。敵の資金源を絶つに当たっては,店主を殺してしまうのは簡単だが,自分の勢力に引き込めば後々の利益になるから,うまく脅すほうがよかったりする次第である。
 ちなみに,相手に暴行するときや感情の入れ方の具合は,「Republic:The Revolution」のようにバーを調節して強弱を決定する仕様とのことだ。

 ゲーム世界を徘徊するNPCには,「The Sims 2」(邦題 ザ・シムズ2)のキャラクターシステムに影響されているという,「動機」に関する隠しパラメータが一人ひとりに用意されている。銃撃を聞くと叫びながら逃げてしまう人や,簡単には脅しに乗ってこない人がいたり,賄賂を受け取らない警察官がいたりするのだ。こういった理由で仕事をしくじればリスペクトポイントを失うが,それだけでなく,敵勢力が勢いをつけてゲーム難度が高くなったり,敵方の暗殺者や,それこそ警察に狙われるハメになったりもする。
 警察といえば,このゲームでは警察官に暴力を加えたり,殺害したりできる。暴力ゲームへの批判が高まりつつある昨今,EAにとっては少し不安な材料といえるかもしれない。実際,The Godfather The Gameは,EAの長い歴史の中で初めてMレーティング(17歳以上)を念頭に制作されている冒険的なソフトなのである。
 ただし重要なのは,単純に「残虐かどうか」ではなく,ゲームの内容が,当時のニューヨーク裏社会を牛耳っていたマフィアを描く映画や小説を下敷きにしていること。あくまで世界感の一部として,警察とのやり取りがあるのだ。

 The Godfatherの開発は遅れており,発売スケジュールはE3 2005で発表されていた「2005年秋」から,2006年第1四半期へと変更されている。これは残念だが,広大なニューヨークのマップがシームレスに表現され,建物の内外もロードされることなくスムースに出入りできるなど,ゲーム世界の自由度の高さが高い技術力で実現されており,野心的な作品になりそうな予感がする。(奥谷海人)

  • 関連タイトル:

    ゴッドファーザー

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