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ECO 制作担当 淺間達雄氏(右)と水落貴嗣氏(左)
「エミル・クロニクル・オンライン」(以下,ECO)全体の魅力と,最新アップデート“SAGA7”の見どころについて,順に解説してきたが,最後にそのまた先のECOについて,開発陣に大いに語ってもらったので,最高にホットな情報をお届けしよう。
質問に答えてくれたのは,ECOプレイヤーには「淺間教授」としておなじみの,ガンホー・オンライン・エンターテイメント ECO制作担当の淺間達雄氏と,同じく「水落助教授」こと水落貴嗣氏だ。ドミニオンの世界でのPvP,これから導入される次元転生,そしてECOの世界設定に深く関わる第四の種族といった新要素の中身に,深く斬り込んでみよう。
SAGA7でタイタニアの世界が導入されましたが,やはり次はドミニオンの世界が入るのでしょうか?
淺間達雄氏:
ええ。SAGA8でドミニオンの世界が導入されます。上に行ったばかりで,すぐ下に行っちゃうわけですが(笑)。ドミニオンの世界は,タイタニアの世界と違って,もう少し誰にでも行きやすい形にしようと思っています。
一方SAGA8で物語をより核心に踏み込ませ,「エミル君のライバル」の登場も考えているのですが,それは第四の種族になる予定です。
4Gamer:
つまりちょうど人間と対応する立ち位置に四つめの種族が加わると?
淺間達雄氏:
うーん……そういう形になりますね。第四の種族は,ECOの三つの世界に攻め込んでくる勢力です。そして,第四の種族の世界から一番攻め入りやすいのがドミニオンの世界です。
ドミニオンの世界からエミルの世界に,最終的にはタイタニアの世界まで攻め込もうとしている。タイタニア達はその動きを察知し,食い止めるために自分達の世界とドミニオンの世界,エミルの世界とのつながりを断ち切った……というところです。そもそも三つの世界が一つになってしまったのは,第四の種族の陰謀であるというのが,その前提としてあります。
4Gamer:
ん? 最初の段階で各世界間は,つながりを持っていたのでしょうか? それともまったく行き来できなかったのでしょうか。
淺間達雄氏:
第四の種族にはタイタニアの世界に攻め込む理由があり,それを実現するための侵攻ルートを確保すべく,三つの世界をつなげることから始めたのです。
その足がかりとなってしまったのが,エミルの世界で作られた塔です。その意味で,三つの世界がつながるきっかけを作ったのは,エミルだったりします。
4Gamer:
先ほど「タイタニアが世界のつながりを断ち切った」というお話がありましたが,「天まで続く塔」からは,タイタニア世界に行けてしまいますよね。これは……。
淺間達雄氏:
エミルの世界とタイタニアの世界は,現在ウォーターレイアーの部分で切り離されている,ということです。
4Gamer:
つまりウォーターレイアーがその関門で,これを作ったのはタイタニアであると。
淺間達雄氏:
そのとおりです。
4Gamer:
なるほど。エミルとドミニオンの世界には,そうした危機に対処する勢力がいなかった。だから比較的自由に行き来できてしまうと。
淺間達雄氏:
そうです。そもそも大昔に起きた3種族間の戦争自体,第四の種族の陰謀なんですが,誰もそのことに気付かなかった。で,その後第四の種族の影響だと判明した瞬間に,タイタニアは自分達の世界を,ほかの二つの世界から切り離したというわけです。
ドミニオンはそのときすでに第四の種族の侵攻を受けていて,それはそのまま続いています。
4Gamer:
知らなかったとはいえ,エミルはなぜ「天まで続く塔」を作ってしまったのでしょう?
淺間達雄氏:
エミル達が憧れる世界に行くためであり,また枯渇した資源を採掘するために,軌道エレベーターである塔を作ったのです。で,この塔,実は地下まで伸びています。つまりドミニオンの世界にも届いてるわけですね。
4Gamer:
つまりエミルの,資源を求める飽くなき進出が,めぐりめぐって危機を招いているわけですね。
淺間達雄氏:
そうです。エミル達は別にタイタニアの世界やドミニオンの世界など意識していなかったのですが,それを利用されてしまったというところです。
エミルの世界とドミニオンの世界の間には障壁がなく,第四の種族の手はドミニオンの世界にまで伸びている。そこで,間もなく第四の種族登場,というわけですか。
淺間達雄氏:
そうです。ただ,実のところすでに第四の種族の手はエミルの世界にも伸びていて,これまでのストーリーでも要所要所で出てきているんですよ。
例えばマイマイ遺跡の中で出会うモンスターとか,ネコマタ「山吹」入手イベントとか,ときどき出てくる謎の言語とか。
水落貴嗣氏:
そう,すでに伏線が張ってあります。
淺間達雄氏:
実はゲームのオープニングイベントから,その伏線が入っていたり,とかね。
4Gamer:
第四の種族の存在について,ゲーム内で明言されるのは,ストーリー上どのあたりになりそうですか?
淺間達雄氏:
SAGA8の段階ではもう明らかになります。
4Gamer:
全体の構想はサービス開始前からのものですか?
淺間達雄氏:
ええ。かなり初期からあったプロットです。もちろん実際のサービスでは,随時要素をカットしたり変更したりもしていますが,基本コンセプトは何も変わってないです。
そうすると,ドミニオンの世界でのPvPは,いきなり第四種族がらみなんでしょうか?
淺間達雄氏:
いいえ。そもそも闘争の世界なので,世界設定のベースラインの部分でPvPが発生しているということです。
4Gamer:
つまりドミニオンという種族の特性がそうなんですね。
淺間達雄氏:
そうです。全体的にPvP世界です。ただ,具体的にはプレイヤー様の意見に基づきながら作っていきたいので,現段階ではそうした方針しかいえませんが。
水落貴嗣氏:
通常のMMORPGでいうPvPと,まったく同じなものにはならないと思います。ECOを2年間運営して見えてきたものをベースに据えたいです。
一般に日本のゲーマーさんには,けっこうPvPに抵抗がある人が多いわけです。PvPがイヤな人は回避できるような方法も,いろいろ用意したいと思います。
4Gamer:
既存のゲームでPvP要素といった場合,攻城戦とかだと100人対100人とか,すごい人数になりますよね。それに対して8人対8人とか,16人対16人とかサイズが決まっているものもあります。ECOの場合,人数はどうなりますか?
淺間達雄氏:
PvPそれ自体は,例えば「ラグナロクオンライン」にPvPサーバーがありますけれども,そういう形が基本になります。そこでは自由に闘って戦勝カウントを上げられると。
ただしPvPに参加しない人達は,そこから外れて普通にその世界を冒険できる。そういう風にしたいと思っています。
4Gamer:
そこから外れて遊べるということは,例えばPvPには同意が必要といった形になるのでしょうか?
淺間達雄氏:
いえ,PvPを回避するために,何らかアイテムの入手が必要とか,そういった形にしようかと思っています。
ドミニオン世界にもイベントとシナリオが用意され,ウォーターレイアーとドミニオンの世界とエミルの世界,そこを行ったりきたりする必要は出てくると思います。
水落貴嗣氏:
あくまで基本的にですが,ドミニオンの世界に行ったら,いつ狙われてもおかしくないという状態になります。
4Gamer:
大元に立ち返ってお聞きしたいのですが,ECOであえてPvPというのは,どのあたりに狙いがあるのでしょうか?
淺間達雄氏:
一つは,ドミニオンの世界独特の表現を作りたいということです。また,騎士団演習を楽しんでくれている方達に,別の楽しみを提供したいというのもあります。
4Gamer:
フリーPKエリアになるのだとすると,プレイヤーさん同士でこういう戦いをしたら面白いんじゃ,といった創意工夫の発揮場所にもなりそうですね。
淺間達雄氏:
まさにそうです。あと,できればランキングも盛り込みたい。誰が何戦何勝してるかっていうのを出して,上位の方には運営チームから何か差し上げるといったことも可能だと思います。
ゲーム性の部分では,自分のキャラクターがどれぐらい強くて,ドミニオン世界でどのくらい生き残れるのかを楽しめる世界にしたいですね。「俺のキャラクターは,ドミニオン世界で2か月トップだぜ」とか。
4Gamer:
例えば台湾や韓国ではPvPランキングがポピュラーですが,それを日本に持って来るとき,心配するパブリッシャさんも多いですよね。日本では自分のキャラがゲーム内有名人になることを嫌う人達も多いという話で。
淺間達雄氏:
うーん,ほかのタイトルと比較して,ECOでは成り立ちやすい要因が多いと思っています。三つの世界があるところがポイントで,PvPはやってみたいけれども,別にドミニオンの世界で有名になりたくはないという方は,エミルの世界でもできますしね。
なので,ある意味オーソドックスなPvPの場所は,ドミニオンの世界できっちりと用意したいなと。ほかの部分のゲーム性がしっかりあるぶん,安心してPvPが提供できるといいますか。
4Gamer:
まあ,例えば上位プレイヤーだけ出すような方法なら,知られたくない人が入ってしまう心配はないですかね。現在の騎士団演習みたいに。
淺間達雄氏:
そうですね。積極的にPvPをやる人である以上,名前が出ることのデメリットは,まずないと思います。
4Gamer:
褒賞については,すでに考えていますか?
淺間達雄氏:
例えばレアアイテムというのがあり得ますが,これについてはプレイヤーさんの反応を見ながらさらに考えたいですね。PvPでしか手に入らないレアアイテムとなると,批判が高まる可能性があります。ただしPvPで頑張った方達には当然何かを差し上げたい。そこをいろいろ考えている最中です。
4Gamer:
ドミニオンの世界のPvPで,意図的にチームを組むことは可能ですか?
淺間達雄氏:
それはいまのところ考えられていません。ただ,より高い戦績を持つ人に勝つと高く評価されるような仕組みは,入れていきたいですね。パーティ単位などでのPvPを,どこまで可能にできるかは,検討課題です。ドミニオンの世界はSAGA8だけではなくて,“10” “11” “12”くらいまでかけて拡張していきますので,そこで新しい要素を入れていきたいなと。
4Gamer:
お,長期展望が(笑)。バランシングも重要ですしね。
淺間達雄氏:
最初に集団戦を入れてしまうと,個別のスケールでまず測れる部分がかなり難しくなってしまうので。
4Gamer:
そこでまず個人戦を,と。
4Gamer:
騎士団演習でも,スペルユーザー系が強すぎるので,憑依すると威力が弱くなるといった調整が取られていましたよね。
淺間達雄氏:
そうした調整は随時入れていかなければならないと思います。SAGA8導入後1か月くらいは,大わらわになるでしょうね。
ところで,ドミニオンの世界では,第四の種族との戦いが続いているというお話でしたよね? これが戦闘面で再現されるような要素はあるのでしょうか。
淺間達雄氏:
それに関しては,いま「防衛戦」というものを考えています。
水落貴嗣氏:
形からいうと,「ラグナロクオンライン」の攻城戦に相当するようなものになります。
淺間達雄氏:
何に対する防衛かというと,第四の種族に対してです。インスタンスゾーンで,100人ぐらいまで参加できる形のものです。攻め寄せてくる第四の種族からエリアを守ると。で,守るべきエリアは複数あって,特定のエリアを守りきれなかった場合,ドミニオンの世界の何らかの機能,プレイヤーさんにとって役立つ機能が何か失われるという形を想定しています。
淺間達雄氏:
特定のNPCがいなくなるとか。倉庫が燃えたから,ギルド商人はもう機能しないとかいう形です。
水落貴嗣氏:
都市の機能が目に見えて破壊されてきたときに,タタラベなどのバックパッカー系が「しょうがねえな,俺らが直してやるぜ。お前ら材料持ってこーい!」みたいな,別種の協力があってもいい。ECOのプレイヤー様同士は密接に関係を作っているので,PvPをやってるようなエリアであったとしても,それを別の形で表現できてもいいと考えていますね。
4Gamer:
インフラが動的に管理されるというのは,オンラインゲームとしてはけっこう新しい形ですね。まるでアルファシステムの「高機動幻想ガンパレードマーチ」みたいで。
淺間達雄氏:
どこまでダイナミックに表現できるかは,これから実際に取り組んでみないと,はっきりいえないところではありますが。
4Gamer:
戦闘主体のRPGの場合,拠点が陥落するとエンチャントが失われたり,占領すると新たに得られたりということがしばしばありますが,発電所が壊れたから電気が点かないみたいなのはなかったですよね。いや,面白いかも。
淺間達雄氏:
そのほうが,プレイヤーのみなさんが力を合わせて自分達の国を守っているとか,都市を守っているんだと,実感できると思うんですよ。そういったところを大事にしたいと。
水落貴嗣氏:
機能自体を絶対的に落とすってことは,普通しないですよね。プレイの利便性が落ちるという理由で,最初から外して考えているところだと思うんですよ。
でもよく考えてみると,敵に攻められて地歩を失いつつあるのに,いままでどおり生活できるのはちょっとおかしいですよね。ゲームだからといってしまえばそれまでですが,ゲームに入れ込んでいる場合,それが冷める要因にもなりかねないわけで。
淺間達雄氏:
ECOのプレイヤー様達の間で強い要望が「みんなで協力したい」なんですよ。みんなで頑張って成し遂げた結果として,みんなに何かが欲しいと。防衛戦ではそれを生かせると思います。
水落貴嗣氏:
従来のゲームでは,やはり特定のギルドとか,キャラクターが覇権を目指して争うという話ばかりでした。そのために手を組むのを「協力」といわれると,「ええ,そうなの??」と思っちゃう部分がある。
ゲームの機能が一部失われると聞くと,普通あまりよい気分ではないと思いますが,ECOの場合は特殊な下地が出来ていると思うので,こういうやり方のほうが結束力を呼び起こせるような気がします。逆にこういう形でないと,なし得ない事柄もありますよね。
4Gamer:
危機意識がコミュニティの活動を活性化する,と。それは確かに,ECOのゲームコンセプトらしい協力のあり方ですよね。新しいストーリー要素でもあるわけで。
水落貴嗣氏:
ECOでは例えば,すでにプレイヤーのみなさまが自主的に「キチン」集めで買取ゴーレムを用意し,自腹を切って買い取ってとか,そのために募金を募ったりとかいった活動をしていますので。そんなハートフルな部分を生かせる防衛戦にしたいんですよ。
淺間達雄氏:
そもそもドミニオンの世界はかなり厳しい世界,修羅道の世界ですが,そこに第四の種族が攻め入って,本当に戦争状態にあるという設定が重要な背景にあると思います。さもなくば,なかなかこういうアイデアは出てこないですし,やろうと思っても,納得できるストーリーが作れませんので。
個人的にひさびさに新鮮な切り口が聞けて,先が非常に楽しみなのですが,このあたりで別の大きな論点,「次元転生」についてもお聞きできればと思います。
水落貴嗣氏:
通常の世界からドミニオンの世界に行くに当たって,ステータスなどを若干,その場に合わせた形に変えるということです。次元をまたぐことで肉体が変化したというような意味合いですね。
新しい世界に踏み込んだタイミングで,その世界でのキャラクターレベルは1になります。その代わり,レベルを上げるのはかなり楽なように考えています。
淺間達雄氏:
これをどこまでドラスティックにするかは,これからのバランシングによりますので。プレイヤー様が修羅道の世界を楽しめるようなゲーム性にはしたいなあと。レベル99までは実際,3週間くらいのプレイで到達できるとか。
キャラクターの能力値変更とか,スキルの変更とかも,そのタイミングでかなり自在にできるようにしたいですね。もちろん,エミルの世界に戻れば,元の能力のキャラクターとして行動できるわけですが。
4Gamer:
ドミニオンの世界の開放に伴って,次元転生が入るとすると,ウォーターレイアーは真の意味でタイタニアの世界ではなかったわけですね?
淺間達雄氏:
そうです。タイタニアの世界に入るときどうなるかは,これからさらに考慮しなくてはいけないところです。
水落貴嗣氏:
次元転生は,タイタニア,ドミニオン,いずれの世界に入るときにも起きるわけですが,みなさんがすでにプレイしているタイタニア,ドミニオンというのは,すでに逆方向での次元転生を経て,エミルの世界での姿がああなんだ,ということになります。
例えばドミニオンの世界に行ったとき,そこにいるのは僕達が知っているのとは違う姿のドミニオンかもしれないわけです。
4Gamer:
それに合わせて,アバターアイテムのバリエーションが広がったりもするんでしょうか。
淺間達雄氏:
そこは難しいですね。キャラクターのモデルが増えると,既存装備に不具合が出る可能性も上がるんですよ。羽が増えちゃったばっかりに,この装備が付けられなくなったとか。これまでに600〜700種もの装備アイテムが出ていますから,それを全部書き換えるぐらいだったら,キャラクターモデル自体は変更しないほうがいいでしょう,とかね(笑)。
水落貴嗣氏:
小犬みたいなキャラクターを,いきなり雲を突くような大男にしたりはできないので,どうやったら楽しいかが課題に挙がっていることの一つですね。
4Gamer:
ただ,プレイヤーさんからすると,キャラクターの外見は非常に楽しみな要素の一つですよね。ドミニオンの世界,タイタニアの世界での自分に合わせて新しいコーディネートを考えるとか。
淺間達雄氏:
そうですね。外見は慎重に行きたいですが,ステータスはゲーム性に関わるので,ドラスティックにできればと思っています。
4Gamer:
細かい話なんですが,例えばドミニオンがドミニオンの世界に戻ったら,レベル1じゃなくて固有のレベルが当てられるべきであるような気がするのですが。
水落貴嗣氏:
あー(笑)。
淺間達雄氏:
……それはそうなんですけれど,そこは今回眼をつぶっていただいて(笑)。
4Gamer:
分かりました(笑)。ではドミニオンだからドミニオンの世界で何らかの特典があるとか,タイタニアだからタイタニアの世界で有利ということは?
淺間達雄氏:
そこは考慮はしていないですね。おそらくそこで差が出ると難しい問題になると思いますので。
4Gamer:
ではエミル族のリュックのように,ちょっとした差別化なら可能でしょうか?
淺間達雄氏:
そういうところでは用意できると思います。やはり3種族が持っているカラーの違いを,アバター要素で表現する部分の延長であれば,次元転生に関連しても可能でしょう。
4Gamer:
ネコマタも,ドミニオン仕様やタイタニア仕様になったりしますか?
淺間達雄氏:
それはないです(笑)。
4Gamer:
次元を超えたとき,飛空庭は持っていけますか?
淺間達雄氏:
そこは利便性の問題もあって,例えばウォーターレイアーにもいずれ飛空庭が設置できるようにはなると思うんですけど,タイミングは決まっていません。ドミニオンの世界を開放した時点では,飛空庭は持って行けません。
水落貴嗣氏:
ドミニオンの世界で使えるようにするとしたら,そこでしか表現できない飛空庭の形がとかが,できるといいんですけどね。背景のグラフィックスを変えたりして。
淺間達雄氏:
ときどき夜空を竜が飛んでいるとか,できたらいいなぁ(笑)。
4Gamer:
ではペットは連れていけますか?
淺間達雄氏:
それは可能です。ただペットの性能がキャラクターレベルなどに関わってきますから,PvPでペットはかなり重要になってくると思います。序盤はブリーダーがやたら強いとか。
4Gamer:
キャラクターの職業についてはどうですか?
淺間達雄氏:
そのまま同じ職業になると思います。ただしその時点でベースレベルは1になりますから,一次職の人と二次職の人では,全体的な差が生じます。
4Gamer:
二次職の人は二次職でベースレベル1になる?
淺間達雄氏:
そういう方向で考えています。
4Gamer:
先ほど「キャラクターの能力値変更,スキルの変更を,そのタイミングで自在にできるようにしたい」という話がありましたが,これについて,詳しく教えてください。
淺間達雄氏:
自分のキャラクターがいざドミニオンの世界へ出撃というときに,まずセッティングを行なえるようにしようということです。
4Gamer:
移動するたびにスキルリセットやステータスリセットができるということですか?
淺間達雄氏:
いえ,違います。自分のキャラクターをドミニオンの世界で成長させていくに当たって,今回はこういうキャラと戦うから,こういうスキル/ステータスにしてみようとか,ドミニオン世界の内部で,組み替えができる形を考えています。
4Gamer:
ドミニオンの世界で,スキルは全部使えるのでしょうか?
淺間達雄氏:
もともとのスキルは全部使えます。
タイタニアの世界に,本当に入れるのはいつごろになりそうでしょうか?
淺間達雄氏:
いまのところ,それはSAGA“9”の予定です。
4Gamer:
タイタニアの世界でも,キャラクターはLV1になるのでしょうか?
淺間達雄氏:
タイタニアの世界はエミルの世界より上位にあると考えられていますので,次元転生の結果にそれをどう反映させるかは,これから検討する感じです。
一方そこは「喜びの世界」でもあるので,ECO祭で「インゲームアトラクション」と表現したとおり,ゲーム内で何かいろいろできるものを導入していきたいですね。
4Gamer:
温泉とか,釣りゲームとかですね。
淺間達雄氏:
釣りもありますし,サファリパークみたいな企画もあります。
水落貴嗣氏:
タイタニアの場合だと,そこが楽園であると同時に,彼らはすごくクレバーで……といった設定もありますから。
淺間達雄氏:
ちょっとセレブ(笑)な感じがいいですね。
4Gamer:
ドミ二オンの世界だと,PvPもあるのでプレイヤーのレベルをいったん揃えたほうがよい,となりますが,タイタニアの世界では必ずしもそうではないわけですよね。
淺間達雄氏:
そのとおりです。
4Gamer:
そうなると,仕掛けとして何が面白いかが重要で,必ずしもドミニオンのときと同じような形とは限らないよ,と。
淺間達雄氏:
ただ,インゲームアトラクションを表現するだけであれば,タイタニアの世界にする必要はないんですよ。ですからそこにはやはり,シナリオ如何ですね。
たまたま「喜びの世界」ということで,今まで入れなかったインゲームアトラクションを入れましょうという話になってますが,もちろんそれだけで決まるわけではないのです。
4Gamer:
インゲームアトラクションを重視する計画は,かなり早くからあったのでしょうか?
淺間達雄氏:
昨年(2006年)の半ばくらいから,企画されてきているものです。実はこのアイデアの根底には,タイアップでのミニゲーム要素があったりするのですが(笑)。
4Gamer:
別ゲームの体裁だと,それを携帯電話と連動させる可能性はありそうでしょうか?
淺間達雄氏:
可能性としてはありますね。まだ具体的な話はないですけど。
さて。残る新要素といえば「H.E.ART」システムです。特定のエモーションを使うと,何かのポイントが溜まるといった話が,すでに出ていますよね。
淺間達雄氏:
H.E.ARTスキルを使うためには,固有のポイントが必要になります。ここでは仮に「なかよしポイント」(NP)としましょうか(笑)。HP/MP/SPと並んで,キャラクターはそのポイントを内部に持っているのですが,溜まり具合を表示するかどうかは,まだ決まっていません。グラフィカルに表現したほうがよいとは思っているんですが。
4Gamer:
そのポイントは,どうやって溜めるのでしょうか。
淺間達雄氏:
まず,プレイヤーキャラクターを待機状態にします。そこにほかのキャラクターが来て,マウスクリックとか,なんらかのアクションをする。その積み重ねでポイントが溜まるようにします。
こういう形にするのは,ソロプレイ主体の方でも広場で待機状態になっているだけで,通りがかりの人から手伝ってもらえるようにしたいからです。そしてみんなにありがとうといって,その場から出撃していくとか。
ソロプレイヤーさんは,本当に独りが好きなわけではなくて,どこかの集団の中のソロが好きなんですよね。みんながいる世界で,1人で生きていきたいということなので。そこを汲みたいですね。
4Gamer:
ポイントが入るのは,待機している側の人ですか?
水落貴嗣氏:
両方にしようという案もあって,まだ決めていません。
4Gamer:
ポイントが溜まるとき,キャラクターは何か特有のアクションをとるのでしょうか? 手を振るとか光るとか。
淺間達雄氏:
実は「ハイタッチ」をさせたかったんですけど,タイミングとかポイントが難しいから「無理です!」という回答が……。ともあれ,何らかのアクションが出ます。ただそれは,ぎりぎりまで決まらないですね。一番大事にしたいところだったりしますので。毎日見るモーションになりますから,バリエーションも欲しいですし。
4Gamer:
特定の日は違うとか,月曜日はこんな動きをするとか。
淺間達雄氏:
ああ,楽しいですね,それ。
4Gamer:
男の子と女の子の組み合わせだと,ちょっと違うとか?
淺間達雄氏:
ちょっと頬が赤くなってみたりとか。(笑)
4Gamer:
ポイントを一定量溜めると,特別なスキルが使えるという理解でいいんですよね?
水落貴嗣氏:
そうです。スキルを使うとNPを消費するというイメージです。
4Gamer:
ポイントは1回で全部使ってしまう感じですか?
水落貴嗣氏:
使うスキルによって,消費するポイントは変える予定です。
4Gamer:
ちなみにECO祭でチラ見せされた「俺のDOGEZAを受けてみろー」に該当するスキルは,実在しますか?
淺間達雄氏:
ええ。仮名ですが「超DOGEZA砲」です。通常のDOGEZAは,相手の攻撃力を下げるだけですが,今回のこれはDOGEZA状態でそのまま突っ込んで行ったりします(笑)。バックパッカー系職業の人しか使えません。
4Gamer:
H.E.ARTスキルは全体的に,ネタになりそうな面白いスキルが多い感じですか?
淺間達雄氏:
そうです。かつ,みなさんの協力で発動するスキルなので,威力も高くしたいと思っています。その騎士団演習で使えるようにするかどうかは難しい問題ですが,バランス調整はまた後ですね。
4Gamer:
H.E.ARTスキルは全部でいくつくらいありますか?
淺間達雄氏:
職業系統によるもの,共通のものを含めて6〜7種類くらいです。
4Gamer:
ネコマタ音頭とかは共通スキルの例ですか?
水落貴嗣氏:
あれはそうです。
4Gamer:
ネコマタ音頭には,何か効用が設定されていますか?
淺間達雄氏:
全体回復です。戦い終わって疲れた人達が,ネコマタを装備して踊らせると,一斉に回復します。
4Gamer:
ECO祭のときのスライドでは,飛空庭関連もありそうでしたよね。どんなものになりそうですか? また発動時には,専用グラフィックスも用意されそうでしょうか?
淺間達雄氏:
ええ,あります。ムービーなんかを間に挟めたら素晴らしいのですがクライアントプログラムの負荷が上がるので,上空から何かがいきなり突っ込んできて,爆発して終わりになる可能性が高いです。
4Gamer:
ああなるほど。軌道兵器だ。
淺間達雄氏:
飛空庭に特殊な砲を装備することを条件にするか否かは,まだ決めていないのですが。
4Gamer:
つまりポイント以外の条件が付くがあるかも,と。
淺間達雄氏:
いずれにせよ,必要性も含めて検討中ですけどね。
4Gamer:
プレイヤーキャラ同士のインタラクションがポイントを溜める手段だとすると,効率良く溜めることを考え始める人が出そうですね。一定のインターバルが必要とか,同じ人がタッチしても増えないといった制限はありますか?
淺間達雄氏:
そういう制限は入りますね。あとフレンドリスト登録者やリングメンバーの数で,溜まるポイントの上限が決まる予定です。ソロ中心のプレイヤーさんにはちょっと申し訳ないのですが,これは入れようと考えています。フレンドやリングのシステムを活性化する方向に使いたいなあと。
4Gamer:
使える頻度は,やはりあまり高くしない感じですか? 必殺技的位置付けというか。
水落貴嗣氏:
一日に何発も使えるようにはしたくないですね。ここぞという時に使って「あのとき,お前の放ったあれのおかげで,助かったよ〜」とか,ボスを倒しに行ってるとき「任せろー。俺が何とかしてやるー!」って感じで。
4Gamer:
要するに,戦闘の中でもちょっとした遊びや変化を持たせるため,ってことでしょうか?
淺間達雄氏:
そうです。そうするとみんなで遊ぶのが楽しくなりますから。これは一年半くらい前から温めていた企画なので,ぜひ楽しくしたいですね。
取材を申し込んだ編集部側がびっくりするほど,率直かつふんだんな情報が出てきた今回のインタビューである。“SAGA11”までを睨みつつ構築されていくドミニオンの世界のPvPや,それを盛り上げるための道具立てとしての意味もある次元転生。また,ECOならではのコミュニティ性を追求し,ゲームとしての基本インフラの機能までを演出材料とする「防衛戦」には,その高度な社会性も含めて注目せざるを得ない。もちろん,その防衛戦において敵となる,謎に包まれた第四の種族のことは,いわずもがなだが。
戦闘を華とし,必然的に競争要素が主軸となるMMORPGが多いなか,それとは異なる協力要素,“ハートフル”さについて考え抜かれたMMORPGが「エミル・クロニクル・オンライン」なのだ。着せ替え遊びや癒しの要素など,さまざまな魅力を備えたこの作品の世界に,ぜひ足を踏み入れてみてもらいたい。
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