インタビュー
「エミル・クロニクル・オンライン」SAGA8アップデートインタビュー。それぞれの視点で関わりを持てる“戦いの世界”
倒した相手から経験値を奪う,PvP
4Gamer:
方向性に関する質問となりますが,“ドミニオンの世界での再デビュー”というか,いままで例えば生産系の職業とかをやっていたけど,せっかくドミニオンの世界が実装されたので,今度は戦闘系の職業をやってみようとか,そういうプレイヤーを期待しているわけではない感じですね。
水落貴嗣氏:
そうですね,それはとりあえず考えていないです。各プレイヤーキャラクターは,エミルの世界で経験したものをバックボーンとして持ち続けているという発想なんですね。次元をまたぐことで肉体の質が変わるだけであって,別の人間になるわけではないので。
4Gamer:
もちろんそのほうが整合的ですが,ゲーム性として“ドミニオンデビュー”の形を考える余地はなかったのだろうかと。
実際のところ,セカンド以降のキャラクターを作っている方も多いですから,そこは設定上,無理をしなくてよいのかなと思っています。
4Gamer:
とはいえ,例えばバックパッカー系にPvPは辛いような気もします。商人みたいに強いスキルを持ってる職業はいいんですけど,バックパッカー系って基本ブロウ以外にないですよね。その人達がどう楽しむかという点も気になります。
平原智子氏:
あとはパーティを組んで,その中で役割を果たすというところでしょうか。
4Gamer:
パーティはドミニオンの世界でも同じように組めると。
水落貴嗣氏:
ええ。そこはエミルの世界と変わりません。
4Gamer:
PvPフリーの世界だと,極端な話,パーティでの狩りを終えた直後にパーティメンバーを倒して上がりを独り占めするとか,いろいろな可能性が出てきますよね。
水落貴嗣氏:
そうした部分はこれからの調整次第ですね。どこまで制限するかという。
4Gamer:
ゲームによっては,そこまで読んで行動するものだったりしますからね。いや,楽しいかどうかはともかくとして。PvPで倒されたプレイヤーは,アイテムをドロップしますか?
水落貴嗣氏:
いまのところ,それは考えていません。
4Gamer:
ちょっと安心しました。では大枠の話として,魔法/スキルの威力と効果範囲などに関して,PvP用に調整が入る可能性はありますか?
水落貴嗣氏:
実際にPvPのシステムをオープンするに当たって,こちらが意図したような状態になっていなかったりした場合は,ある程度平均化させるという意味で,実装後しばらくは様子を見ながら調整が続くと思います。
4Gamer:
特定のスキルを持っていないと話にならないとかだと,つまらなくなっちゃいますもんね。ところでドミニオンの世界で自キャラのレベルを上げていくためには,やはり最初はモンスターと戦うのがオーソドックスですか?
水落貴嗣氏:
そうですね。レベル5まではPvP自体できません。ただし,ほかのプレイヤーキャラクターを倒すことでも経験値が得られます。そしてドミニオンの世界におけるPvPでは,経験値もウォーレコードポイントも,倒した相手から奪う形になっています。
4Gamer:
自分のレベルより高い人を倒せたら,経験値的にはメリットがあるのでしょうか?
水落貴嗣氏:
ええ,ボーナスが付きます。
4Gamer:
ちょっと嫌な話なんですけど,PvP主体のゲームでしばしばあるのが,「咬ませ犬」のキャラクターを自分で作って,これ倒し続けることでモンスター相手より効率よく成長できてしまうケースです。その点は大丈夫そうですか?
水落貴嗣氏:
大丈夫です。というのも,レベル4までPvPモードにならない,つまりLv4以下になってしまうと,もう攻撃を受け付けなくなるんです。同一のキャラクターを倒し続けても,デスペナルティで経験値が減少してレベルが下がり,やがて攻撃対象にできなくなりますから。
4Gamer:
一方,ドミニオンの世界では対モンスター戦でもデスペナルティが,あるわけですよね。レベルも下がるとなると,いままで着ていた装備がいきなり着られなくなったりとかも。
水落貴嗣氏:
ああ,それもありますね。
4Gamer:
やはりかなりゲーム性が変わりそうですね。では,そもそもドミニオンの世界でのレベルアップペースは,エミルの世界と比べてどのくらいになりますか?
水落貴嗣氏:
ペースはけっこう速いです。とくにレベル10ぐらいまでは,すごい勢いで上がっていく感じです。それ以降は徐々に鈍化するのですが。
4Gamer:
ただ,そうなると短時間で大きなレベル差がついてしまうという懸念もありますよね。レベルキャップはエミルの世界と同じですか?
水落貴嗣氏:
いえ,こちら用にキャップを用意します。
4Gamer:
それはちなみに幾つですか?
水落貴嗣氏:
うーん,現在のところ30ぐらい,とだけ。
4Gamer:
それはいろいろな意味で堅実な策ですね。なるほど。
水落貴嗣氏:
例えばライオットハンマー一発で勝負がついてしまうような事態を防ごうと。
4Gamer:
バランシングを考えたとき,PvPに特化したゲームってレベルキャップを抑えて,そこまでは早く到達できるようにっていうのが,ひとつの定石だったりしますしね。ところで今回,エミルの世界のレベルキャップに変化はありますか?
水落貴嗣氏:
今回はありません。
4Gamer:
長期的に見て,ドミニオンの世界におけるレベルキャップの変化に従って,使える戦術が変わっていくのが予測できる点は,一つ面白いですね。ところで先ほど,ドミニオンの世界には倒しごろのモンスターがけっこういるという話でしたが,クエスト要素なども,エミルの世界とほぼ同様だと考えてよいのでしょうか?
水落貴嗣氏:
ええ,同様です。
4Gamer:
モンスターといえば,ドミニオンの世界では例えばどんなフィールドボスが出ますか? 第四の種族関連のメカっぽいやつとか。
水落貴嗣氏:
メカではなく,黒っぽくて,ごつくて,上の世界にも似たようなヤツがいた感じのものです。
合成が楽しみな,新デザインアイテム
4Gamer:
SAGA8で入るのは,とりあえず1対1のPvPとのことでしたよね。パーティを組んだ状態でPvPに臨んだ場合,経験値はどうなるんでしょうか?
水落貴嗣氏:
パーティ戦闘での経験値は,基本的に従来どおりなのですが,PvPの場合については調整中です。レベル差も関係してきますので,けっこう複雑な問題になるんですよ。
4Gamer:
ではさらに基本的な論点ですが,MMOタイトルである以上,1対多の戦闘も生じますよね。これはこれでアリというお考えですか? というのも,強い相手に複数で掛かるならよいのですが,同じくらいのレベルの人に複数で掛かった場合,おそらくかなり効率良く勝てる。仲間内で勝ちを回せるわけだから,徒党を組んだ者勝ちといいますか。
平原智子氏:
まあ,それはあるかもしれません。
4Gamer:
なので現実的に考えると,個人戦より先に集団戦があるような気がするんですよね。ともあれ,さしあたりは1 vs. 1のシステムを前提に,実際の展開を見てみると。
水落貴嗣氏:
そうですね。
そこでランキングがどう機能するかも,今後の調整課題なんですよ。上位に入るとレベル差に関係なく,誰からでも攻撃されてしまうという特性もあるので。
4Gamer:
上位何人くらいまで出る予定ですか?
水落貴嗣氏:
現在のところ50位前後でやってますけど,できれば100位くらいまで表示させたいと考えていますね。
4Gamer:
さきほど画面にランキングボードみたいなのがありましたが,ランキングはプレイ中に見られるのでしょうか?
水落貴嗣氏:
ええ。いまのところボードを見るような形になると思います。
4Gamer:
どのくらいのペースで更新される感じでしょうか。
水落貴嗣氏:
システム自体をいま調整をしている段階なので,まだお見せできない状態なのですが……。ある程度リアルタイムに近い形でやらないと,あまり意味がないので。
平原智子氏:
オフラインイベントの「おでかけECO」とかで,いろいろな地方を回ったりする伝統もECOにはあるので,PvPをそういったオフラインイベントに活用していくのも,楽しいかもしれません。
。
4Gamer:
オフラインでPvP大会というのは一つ分かりやすい形ですし,期間やシチュエーションを限ればオンラインでのイベントも可能ですよね。
平原智子氏:
そうですね。戦績はデータとして残るものですから,目に見えるシステムとして新しいものを入れないとしても,評価の仕方を新たに考えて,イベントを考えていきたいですね。
4Gamer:
細かい話になりますが,ブリーダーだったらペットが強いので序盤は有利かもしれないという話をお聞きしました。これは結局そういう仕様でいくことになりますか。
水落貴嗣氏:
序盤がどこまでを指すのかという問題はありますが,今回のレベルキャップは30くらいを想定しているので,アップデート当初の段階でブリーダーが有利になるかというと,違いますね。ただし,ペットに命令できるスキル,「ゴー!」を持っている二次職バックパッカーは,有利といえるでしょう。
平原智子氏:
最初はネコマタを連れていると有利かも知れないですね。魔法で支援してくれたり。
4Gamer:
エミルの世界で使っていたアイテムは全部使えますか?
水落貴嗣氏:
はい。使えないものはないですね。もちろんレベル次第ですが。
4Gamer:
ドミニオンの世界オリジナルのアイテムや装備品は何かお考えですか。
水落貴嗣氏:
ええ,あります。ドミニオンの世界の武器屋さんとかで売っているのは,最初のレベルキャップに合わせたアイテムですが,デザインは個性的なものも置いてあります。
平原智子氏:
あと,ウォーレコードポイント(WRP)を溜めて交換できるのも,オリジナルのもののはずです。
4Gamer:
PvPを通して溜めるウォーレコードポイントですが,こちらは負けても下がらないんですか?
水落貴嗣氏:
いいえ。経験値とレートは違いますが,こちらも下がります。
4Gamer:
ちなみに負けたとき,経験値やウォーレコードポイントはもらえないのでしょうか? PvP主体のゲームでも,いわば努力点がちょっとだけある例は多いですよね。
水落貴嗣氏:
もらえない仕組みですね。
4Gamer:
あ,あとリングチャットは使えますか。
水落貴嗣氏:
全部使えます。
4Gamer:
では,エミルの世界にいる人と,ドミニオンの世界にいる人でもリングチャットは可能ですか?
水落貴嗣氏:
可能です。
4Gamer:
H.E.ARTシステムはどうですか?
水落貴嗣氏:
システム的なものはすべて使えるようになっています。
平原智子氏:
なのでドミニオンの世界でもやはり,一人で冒険するよりも仲間で楽しんでもらいたいですね。
そうですね。多分ECOの場合だと,システム的にPvPが可能になったからといって,ドラスティックに殺伐とした世界になるかというと,多分ならないと思ってるんですよ。いままで築き上げてきた流れ,プレイヤーさんの傾向を含めてなんですけど。
ライバル関係にあるリング同士とか,すごくPvPが好きな人達が集まり,それに対抗する形で集団が出来上がるという図式はすごくあり得ると思うんですけども,個人個人で,誰でもいいから襲うという形にはなりづらいかと。あくまで,リングやパーティなど,よく一緒に遊んでいる仲間の絆を基盤に展開すると予想しています。
4Gamer:
そうした既存の人間関係と組み合わせる形で,PvPが新しい遊び方として加わる,と。
水落貴嗣氏:
そんな感じですね。
4Gamer:
ところで,ドミニオン世界で手に入れたアイテムって,エミル世界に持ち出せるんですか?
水落貴嗣氏:
基本大丈夫ですよ。
4Gamer:
では,アイテム自体の能力は,レベルキャップに応じて低いものの,融合システムで強い性能のアイテムと組み合わせて新デザインを生かすという楽しみが増えることになりますね。
水落貴嗣氏:
ああ,もうそれはアリアリです。
4Gamer:
つまり,買い物のためだけでも,ドミニオンの世界に足を踏み入れる意味はあるわけですか。
水落貴嗣氏:
そのとおりです。
4Gamer:
ドミニオンの世界だと,精悍で格好いいという方向かな? あるいはハロウィンのECOくじみたいに,魔族っぽいイメージとか。
水落貴嗣氏:
そうですね。ミリタリー系のものだったりとか,そういう感じになると思います。
集団戦は,騎士団演習と併せて再検討される
4Gamer:
1 vs. 1のPvPについてはある程度イメージが掴めたとして,集団戦の導入について,時期的な見通しはすでに立っていますか?
日程的にはまだ見えていません。というのも,いまある騎士団演習システムを少し考え直さないといけない時期に来ていると思うからです。すでにいくつか調整を入れていますが,今後の騎士団演習を含めて,どうしていくかを考えたいですね。
例えばECOで集団戦をやったときに,やはり参加していない人も「観たい」と思うんですね。あのチームとあのチームがどういう戦いを繰り広げているかとか。でもいま,そのためのシステムがありません。
4Gamer:
いまのところプレイヤーさんの個人サイトのBBSとかで報告されていて,今回こういう技が使われたといった情報は,みんなそこで知る形になっていますね。これが例えばムービーや,RTSのリプレイファイル再生みたいに見られたら,ずいぶん違うでしょうね。
平原智子氏:
ゲーム内のシアターとかで。
水落貴嗣氏:
例えば弊社が以前サービスしていた「A3」というコンテンツがあります。これはもともと戦いの世界で,いわゆる「騎士団戦」をメインに考えている作品でした。だから観戦モード云々以前に何人でも入れて,視点位置を変えながら,まるで自分が透明なキャラクターとしてそこにいるような感じで,ずっと観戦できたんですよ。
平原智子氏:
そう。チャットもできて。
水落貴嗣氏:
ああいうようなことが,ECOでもできるといいのかなぁ,と。今回のPvP解禁から始まってトーナメント的なものができるところまでいけると,また違った楽しさが出てきますから。
4Gamer:
そしてそのときには,騎士団演習とセットで変更されそうだと。
水落貴嗣氏:
そうなると思いますね。
4Gamer:
だとすれば,そこでランキングが持つ意味も,1 vs.1の場合とは違ってきそうですね。
平原智子氏:
週間ランキングとか,月間ランキングとかは出していけたらと思うんですが,そこは名前が出ることに関わるデリケートな問題があるかもしれませんので,状況を見つつでしょうね。
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