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ターン制の国家マネジメントゲームと,3D RTSが融合した「ウォーリーダーズ 〜クラッシュオブネイションズ〜 日本語版」のレビューを掲載
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印刷2008/11/26 11:24

レビュー

斬新なゲームシステムを持つ異色のストラテジー

ウォーリーダーズ 〜クラッシュオブネイションズ〜 日本語版

»  第二次世界大戦に参戦した7か国の戦争指導者(ウォーリーダー)の一人となって祖国を勝利に導くストラテジー,「ウォーリーダーズ 〜クラッシュオブネイションズ〜 日本語版」は,これ一本で大局的な国家指導から,分隊単位の小規模戦闘まで堪能できる異色のタイトルだ。あれもこれもと欲張った内容だが,4Gamer最強の戦争指導者と呼ばれたり呼ばれなかったりする虎武須(Kobs)氏はどう感じたのだろうか。


 第二次世界大戦に参戦した主要7か国のいずれかの指導者となり,祖国を勝利へと導く壮大なストラテジーゲーム,「ウォーリーダーズ 〜クラッシュオブネイションズ〜 日本語版」(以下,ウォーリーダーズ)が10月31日に発売された。
 スペインに本拠を置くEnigma Software Productionsが開発した本作だが,海外の良質なPCゲームを日本に紹介してくれることでおなじみのズーから,日本語にローカライズされてのリリースだ。日本ではあまり知られていないデベロッパだが,設立から10年以上の歴史があるメーカーで,主にヨーロッパ市場をターゲットとしたRTSや3Dアクション,そしてサッカーゲーム(アジア向けに「Hello Kitty Football Cup」というゲームもある!)などをリリースしている。

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 ウォーリーダーズは「ARKANO 3D」という,自社開発のエンジンを駆使したフル3Dのストラテジーゲームで,国家の命運を握る大局的かつ緻密な世界戦略と,非常にダイナミックな局地戦シーンを楽しめるところが特徴だ。同様のゲームとしては,人気の高いトータルウォーシリーズが挙げられるが,ウォーリーダーズは第二次大戦を扱ったもので,舞台となるのは全世界。地球上すべての国と地域なのだ。
 選べる国家は,第二次大戦中の列強7か国で,枢軸側ではドイツ(ヒトラー),日本(東条英機),イタリア(ムッソリーニ)の3か国。連合国側はイギリス(チャーチル),アメリカ(ルーズベルト),ソ連(スターリン),フランス(ド・ゴール)の4か国である。これら列強のうち一つを選択してその戦争指導者(ウォーリーダー)となり,自分の国を勝利へ導くのがプレイヤーの役目である。

 ウォーリーダーズのシングルプレイには3種類のモードがあるが,メインとなるのはキャンペーンモードだ。上述のとおり,キャンペーンの大きな特徴はターン制のマネジメント部分(キャンペーンモード)と,リアルタイム制のストラテジー部分(バトルモード)が混在したゲームデザインであること。つまり内政や外交,軍隊の管理といったマネジメントをじっくり考え,戦闘はRTSでダイナミックに楽しめるという,ひと粒で二度おいしいゲームなのである。

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戦車に敵の榴弾が命中。戦車が破壊されるときは細々としたパーツが四方八方に飛び散る。RTSとは思えないほどの迫力だ
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有効な対抗手段がなければ,水平爆撃はきわめて脅威。爆弾一つ一つが描かれているのが見て取れ,車長が慌てて車内に潜ろうとしている
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野砲や戦車砲を撃ったときの発砲煙はかなり見事。集団で撃ち始めると,視界がきかなくなるほど曇ってくるのだ
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細かい傷や錆,塗装のハガレなど,ディティールにこだわった描画がなされている。ちょっと前のFPSにも負けない雰囲気

キャンペーン1回に2〜3日は必要な
ヘビー級の国家マネジメント


 キャンペーンモードではゲームの難度や複雑さ,そして「歴史に基づく正確さ」のレベルなどを細かく設定できる。歴史に基づく正確さというのは,スタート時の年代や各国の関係を設定するもので,例えば正確さを「高」にすると,その国家が実際に戦争に参加した日付からスタートすることとなり,同盟国も敵対国もあらかじめ決まる。正確さ「低」では,どの国を選んでも1939年9月1日からのスタートになり,各国に対しても中立的な関係でゲームが始まる。
 最終的な目標も設定によるが,基本的には地球上に敵が存在しなくなることを目指す。敵を叩き潰すにせよ,講和条約を結ぶにせよ,とにかく敵と見なせる存在がなくなればいいのである。

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B-29はそのニックネームの通り,「超空の要塞」である。機銃座があちこちに設置されており,戦闘機の襲来にもある程度対処できる

 キャンペーンが始まると,プレイヤーは開始当時の国境線に従って本国や植民地などの領土を保有しており,自国領内には,いくつかの師団とともに自分の分身となる戦争指導者が配置されている。この戦争指導者は要するにチェスのキングのような存在で,殺されると,それまでどれほど強大な国家を築いていても否応なくゲーム終了となる。
 逆に戦争指導者さえ生き残っていれば,たとえ首都が陥落しても,ほかに領土が残っている限りゲームの続行が可能なのだ(もちろんこれも設定次第だが)。ただし,戦争指導者は直接戦闘には参加できず,それ自体はほとんど意味がない。戦争指導者が駐留する領土では「国家への親和性」が高まるので,そのための駒と考えていいだろう。

 世界中の土地すべては「領土」として区分けされ,主要7か国に限らず,どの領土も必ずどこかの国に属している。領土の面積はまちまちで,広大な僻地の領土から,戦略上重要だが非常に狭いものなどさまざまあり,その総数は全世界で175にのぼる。ちなみに海上も領土と同数程度の海域に区分けされているが,領土のように所有権はない。
 それぞれの領土には,人口,富のレベル,採取できる素材,国家に対する親和性といったものが設定されている。人口はターンごと次第に増加するが,領土内で戦闘があったり爆撃を受けたりすると減少する。

 マネジメント部分では,攻守やユニットの生産などといった軍隊の管理はもちろんのこと,外交,経済,領土の管理,施設の建設,テクノロジーの開発など多岐にわたる激務をこなす必要がある。この手のゲームに不慣れなプレイヤーは,どこから手をつけていいやら面食らうことだろうが,そのかなりの部分を難度設定で自動化(あるいは項目そのものを無視)できるところはありがたい。
 まず最初は,自動化をフル活用してゲームの流れに慣れるといいだろう。ちなみに自動化はゲーム中に表示されるさまざまなダイアログでも設定できるので,複雑な設定で始めたはいいけど理解できなかったとか,ちょっと疲れてきたな……といった場合は,いくつかの項目を自動化に変更するのがオススメだ。

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全体マップで最もカメラを引くと,こんな感じで北半球を見わたせる。黄色が日本の勢力範囲で、ユーラシア大陸の西を制力下に置いている
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ヨーロッパのように一つの領土がせまい地域では、1マスに多くの師団を送り込むとワケが分からなくなる。このへん,ちょっと改善してほしいところ
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マネジメント部分の中でも,かなりの労力を要するのが領土の管理。そのためワンキーでまとめて領土の詳細を見る方法も用意されている
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技術開発には多くの資金が必要だが,たまに他国から有償で提供を求められる。逆にプレイヤーの要求を無償で受け入れてくれる場合も多い

 さてウォーリーダーズも現実同様,「資金」と「石油」が戦争を進めていく上で必要不可欠になる。資金がなくては徴兵もユニット生産もできないうえ,すべての軍備や施設には維持費がかかるのだから,国土や軍備が膨れ上がるほど出費もかさんでいくのである。資金は主に国民からの税金で賄われるため,収入を多くしようと思えばさらに領土を拡大して人口を増やすか,税率を上げることが基本になる。
 もちろん税率を上げすぎると,市民の国家への親和性が下がり,暴動が発生したり,最悪の場合は反乱が起きて領土を失ったり,なんてことになる。まあ,どのみち親和性が低いと納税してくれないのだが。
 どうしても税収だけで賄えない場合は,他国へ借金を申し込むこともできるが,これも外交手腕が問われるので,なかなか一筋縄ではいかない。

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 石油は軍の行動に直接の影響があるため,資源の中で最も重要なものではあるのだが,あくまで数ある資源のうちの一つ。ほかの多くの資源と同様,産出できる領土が決まっている。この資源がなかなかのくせもので,資源がない場合,それを必要とするユニットは生産できない。例えば天然ゴムは船や車輪のあるすべてのユニットに必要な資源だが,東南アジアやアフリカ大陸,南米など一部の地域でしか採取できず,そこから遠く離れた国家を選んだ場合は入手困難になる。
 この場合,ゴムが採取できる領土を獲得するのが基本だが,外交によって他国から提供を受けるのも一つの手だし,あるいは合成ゴムの開発を急ぐのもアリだ。
 ほかの資源としてはモリブデン,ウラン,ダイアモンド,金,銀,胴,鉄,アルミニウム,マグネシウム,クロム,マンガン,バナジウム,タングステン……うーん。と,非常に種類が多い。もっとも,高度な兵器の生産にしか使われない資源もあるので,すべての資源が早い段階で必要とは限らない。

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 テクノロジーの開発も忘れてはならない大事なプロセスだ。スパイ技術や歩兵の精鋭化,燃費を向上させるディーゼルエンジンの開発,歩兵ユニットの治癒コストが下がるペニシリンなどなど,開発できる分野は多岐にわたり,最終的には核兵器開発まで可能である。
 このテクノロジーでユニークなのが,外交による提供が可能なことだ。ある技術を開発すると,他国から提供を求められることもある(タダでは与えないが)し,逆に自国で一切テクノロジー開発をせずに他国からの提供に頼る手もあって,そのあたりは戦争指導者の判断に委ねられている。

 そんなわけで,外交は非常に重要なファクターだ。他国との関係は信用と親密度というパラメータで決まってくる。この二つによって,交易や交渉が成立するか否かが左右されるわけだ。外交でできることは,不可侵条約や同盟,宣戦布告,和平宣言といった普通のものから,同盟を結んだ国との交易,借金や資源の提供,テクノロジーの貸与,あるいは領土の譲渡といったことまで可能になっている。

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多くのミリタリーRTSと同じく,ウォーリーダーズでも高低差が戦闘に大きな影響をおよぼす。もちろん高いほうが有利
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複数の戦闘機を要請すると,自動的に編隊を組むこともある。これはなかなか勇壮なシーンだ
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陸上の戦闘と異なり,艦隊同士の海戦にプレイヤーが介入できないのは残念なところ。次の作品ではぜひ追加してほしいッス
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国家の選択画面。ドイツは初期の領土が少なく,序盤は資金や資源の面でかなり苦戦することになる。反面,戦車の強さは随一だ

 このようにして国家のマネジメントを進め,さらに軍隊を動かしていく。シングルプレイの場合,一つのターンには制限時間がないため,各省庁や領土や軍隊の状況などにアクセスして,何をどうするかじっくり考え,軍を進め,一連の操作が完了したらターン終了ボタンを押す。この繰り返しでキャンペーンゲームを進めていくのである。
 文章で説明するとかなり複雑に思えるだろうが,キャンペーンを1回終わらせれば,ほとんどのことは自然にマスターできるはず。いったんゲームの流れが理解できたら,2度めのキャンペーンからはぜひ最高の難度に挑戦してほしい。
 ちなみにAIについていえば,さほど強いという印象はなく,資金の管理さえしっかりできれば,最高難度での世界征服も夢ではなさそうだ。

バトルモードでは,驚きの3D RTSが楽しめる
これは必見!


 さてウォーリーダーズのもう一つの目玉,バトルモードを見てみよう。バトルモードはおまけ的なものではなく,もはや「カンパニー オブ ヒーローズ」のような単体の3D RTSとして完全に成り立っており,これは本当にすごい。

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 ただしキャンペーン中のバトルモードは,国家マネジメント部分のデータを受け取って,まったく新しく別のゲームを立ち上げる,といった雰囲気なので,モード切り替えの際のロード時間がかなり長い。しかしいったん戦闘が始まると,独自開発のARKANO 3Dエンジンの本領発揮といったところ。細部にまで緻密に描き込まれたグラフィックスで,非常にダイナミックな戦闘が繰り広げられるのだ。
 ウォーリーダーズの戦闘は,各ユニットの士気や経験も加味されるので,単純に強力なユニットを数揃えていれば勝てるというものではない。また領土内にレーダーを建設していれば対空防衛が有利になったり,領土に隣接する領海に戦艦や巡洋艦を配備しておけば,艦砲射撃の援護ができたりと,思わず「おおっ!」と思わせるバトルが楽しめるのだ。
 
 戦車から戦車長が顔を出して周囲を見回したり,戦車や砲台から発射される榴弾の一つ一つが描かれたりなど,グラフィックスはかなり芸が細かい。水平爆撃で投下された爆弾が弧を描いて命中し,そのとき起こる爆発も見事なものだ。車両や歩兵が吹っ飛び,地面には穴があき,あたりは灰塵に包まれ視界を奪われる……といったリアリティある戦場が眼前に描写されるのである。
 進軍,防衛,攻撃といったそれぞれの状況に合わせた隊形をとることも可能で,昨今のRTSのトレンドに準拠している。また,建物やトーチカに歩兵を掩蔽することも可能で,しかも射撃の際には窓から身を乗り出し,カモフラージュボタンを押せば窓やドアを閉めて隠れるなどということもやってのける凝りようだ。
 このように,3D描写を含めたRTS部分はケチのつけようがないほどの出来である。ただし操作方法は独特で,一般的なミリタリーRTSに慣れている人でも少々戸惑うかもしれない。慣れれば問題はないだろうが,ショートカットキーが使えないのはかなり残念だ。

 こういった,まるでFPSのようなダイナミックな描写のRTSが近年の流行ではあるが,正直いってキャンペーンの中のRTS部分でここまでのクオリティのものを用意したのはただただ驚くばかりだ。お世辞抜きに,筆者が体験したどの3D RTSよりも迫力ある戦場がそこにあるのだ。

 さらに嬉しいことに,そんなバトルモードだけを単体のRTSとして楽しむ方法も用意されている。それが残る二つのシングルプレイモードである,「クイックバトル」と「カスタムバトル」だ。クイックバトルは,選択した戦場で,あらかじめ用意された国と兵力で戦うもの。敵味方とも同程度の戦力でスタートするので,局地における戦術だけを楽しみたいなら,このモードでプレイするのがいいだろう。

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さすがの戦車隊も,敵のすさまじい砲撃にタジタジ。何度もいうように爆発の描写にはかなりのリアリティがあり,見事な戦場が描き出される
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クイックバトルではマップごとに国家や軍の構成が決まっている。条件だけ設定して開始。PCパワーが足りないときはユニット数を下げると良い
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激しい砲火に見舞われるドイツ軍。だが,ひたすら猛進あるのみ。砲弾の着地点にはちゃんと穴があくところが芸が細かい
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隣接する領海内に戦艦か巡洋艦を有した場合は,艦砲射撃による支援が受けられる。が,けして無茶な強さという程ではない

 もう一つのカスタムバトルは,国も兵力も決まっておらず,自由に軍勢を構成して戦うものだ。このモードでは,各陣営は設定された借入金の範囲内で,自由にユニットを購入して戦うことになる。借入金の条件は同じでも,どのような構成にするかによって戦局は大きく変わることになる。クイックバトルに軍隊の編成という要素がプラスされたものといえば分かりやすいだろうか。
 いずれのモードも白熱したリアリティある3D RTSを楽しめるわけだが,ここではややマップの狭さが気になる。キャンペーンのバトルモードでなら適正な広さのマップなのだが,単体で楽しむとなると若干狭いように感じた。用意されているマップは森林,ジャングル,砂漠,ツンドラ,市街戦などロケーション豊富で,本数も全部で57とかなり充実したものになっている。

十分なPC環境があれば,かなり楽しめる作品


 ここまで読んで,とくにトータルウォーシリーズやカンパニー オブ ヒーローズシリーズなどが好きな人などは,食指がピクピク動いているのではないかと思う。実際のところ,かなりの大作,力作と呼んでいいだろう。

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迫り来る日本の軍団。視点は戦場のどこにでも持っていくことが可能で、せっかく用意されている双眼鏡視点はあまり意味がない

 とはいえ現状,この作品にはいくつかの注意すべき点がある。まずとにかく「重い」のだ。これは全体マップまで含めて完全な3Dということに加え,全体的なロジックの複雑さや登場する国の多さ,それに属する師団の多さ,各地で起こる局地戦の多さなどが関係しているのだろう。とにかくCPUとしてPentium4/3GHz以上,メモリ2GB以上,グラフィックスチップにGeForce 7600もしくはATI Radeon X1600以上という推奨稼働環境はダテではないのだ。
 仮にバトルモードに移行せず,キャンペーンモードのみでプレイしたとしても,かなり「もっさり」とした感じだし,戦闘時にバトルモードに移行しようものならさらに重さを感じることになる。正直な話,フリーズしたかと思うほど長いロード時間を考えても,すべての戦闘をバトルモードで楽しむ気にはなれない。あらかじめ勝敗が予測できる場合は自動で,ちょっとヤバいかも? というときにバトルモードで指揮を執るという楽しみ方が(今のところ)正解かもしれない。
 いずれにせよ,かなりのPCパワーを必要とすることは覚悟しておきたい。ただし,キャンペーンが進んでアクティブな国家が減ってくると,重さはかなり改善されてくる。

 また親和度の高い相手国から条約の申し出を受け入れたら,急激に親和度が低下したり,宣戦布告してきた国にテクノロジーの提供を申し入れたら,あっさり無償で提供してくれたりと,やや不可解な点もある。外交に関していえば,ロジックが非常に分かりづらく,筆者がプレイした限りではいささか破綻している印象を受けた。さらには,せっかくの同盟があっても,協調して敵と戦う感覚がなく,どちらかというと不可侵条約に近い。このあたりは改善の余地がありそうである。
 ほかにも,バトルモードでハングアップしたり,他国との交渉で金額をタイプできなくなったりなど,細かい部分でゲームの出来が不完全と感じる部分が見られる。

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ついにド・ゴールを追い詰めた。海上に将軍らしきユニットがいるが,これはいったいなんだろうか
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野砲は3人1組での射撃となる。動画でお見せできないのが残念だが,砲兵の動きも実に見事だ
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まるでフライトシミュレータのワンショットのようだが,これはれっきとしたRTSの画面なのである
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弾痕や塩害による底部の腐食などが見事なユニット。で,これが動いて戦うのだから興奮するのだ
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市街戦をやや上空から眺めると,遙か遠方まで建物が描かれている。動的LODが採用されており,その深度も調節可能
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勝利の瞬間。長時間かけて世界征服した割には,ただこのダイアログが出るだけというのが,ちょっと寂しい気も

 作り込まれたゲームであり,ハマり度は非常に高いだけに,「もったいない」と思わずにはいられない。筆者の素直な意見をいわせてもらうと,このゲームはあれもこれもと詰め込みすぎ,何もかも最高のものに仕上げようとして,部分的な綻びが生じているのではないだろうか。
 とはいえ,ウォーリーダーズは将来性を感じさせる良質のゲームであり,散見される不具合のせいで切り捨てるにはあまりに惜しい作品である。とりあえず製品をリリースしてからアップデートパッチの配信を繰り返して完成度を高めていくのは,欧米のデベロッパにはよくあること。少なくとも致命的な不具合を改善するアップデートを早期に期待したいところである。

 この作品に触れた人は誰もが感じるだろうが,条件さえ整えば大化けして傑作になりうるポテンシャルを秘めている。上記のような不具合に遭遇するかもネ? という可能性に目をつぶれば,ゲーム性そのものはかなりお勧めの「じっくり腰を据えて楽しむタイプの戦略ゲーム」なのだ。またRTS部分だけでも独立した製品として通用するものがあり,購入の動機として十分すぎるほどの訴求力がある。
 実は筆者,このゲームはレビューが終わってもやりこんでしまいそうなほど惚れてしまった。PC環境が整っていて,多少の不具合を気にとめないタイプのプレイヤーであれば,かなりお勧めできる大作である。キャンペーン1回に最低でも2〜3日はかかるゲームなので,年末年始のお楽しみにうってつけではないだろうか。

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  • 関連タイトル:

    ウォーリーダーズ 〜クラッシュオブネイションズ〜 日本語版

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