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[E3 2005#008]コミック「Ultimate Spider-Man」の同名PCゲーム
時間設定を戻して,主人公ピーター・パーカーは再び高校生となっており,素行に問題のある暗い青年,コンピュータが得意でデイリーバグル誌のウェブデザイナーのアルバイトをしているという現代的なアレンジがなされている。ストーリーの大筋は原作と変わらないものの,斬新なデザインになったグリーン・ゴブリンやエレクトロなどの悪役と対峙していくのだ。
これを題材にしてスマッシュヒットになった「Spider-Man 2: The Game」の,ゲームエンジンとプレイ形式を応用した作品が,同名タイトルとなる「Ultimate Spider-Man」なのである。
引き続き,プレス向けのクローズドなカンファレンス"Activision International Round Robins"からの情報なので,画面もムービーも一切ないのが恐縮だが,プレイムービーと作品説明から読み取れた情報を,取り急ぎお伝えしよう。
ゲーム版Ultimate Spider-Manの特徴は,トゥーン・シェーダ系の技術を使ってコミックらしさを表現しているところで,モデルのテクスチャがベッタリと同系色で塗られているというよりは,周囲の反射光に合わせて微妙にグラデーションを変化させている。これは,発売元であるActivision社のプロデューサー,スコット・ウォーカー(Scott Walker)氏が“3D Comic Inking Technology”と呼んでいた独特なもので,銃口の光や煙幕もアメコミらしさを残しており,それでいて3D的な質感も感じられた。
本作でもう一点特徴的なのが,アメコミ風の挿絵をリアルタイムのシークエンスムービーのように利用していることである。ブリーフィング的なミッション冒頭に加え,敵キャラクターの出現やイベントの発生時には,画面サイドから押し出されてくるような形で数カットのコミック風アートが挿入される。ゲームのメイン画面と一体化しているようで,「Max Payne」などと比べても非常にカッコ良くてスピード感に溢れているし,ゲームプレイのリズムを壊すことなくストーリーを進行させるのに成功している。
マークで指定されたポイント,ビルや信号のようなオブジェクトに糸を絡ませながらターザンのように摩天楼をすり抜けて行くのはSpider-Man 2: The Game同様で,基本的な操作は踏襲していると考えて間違いないだろう。今回は,ピーターの地元クイーンズ(マンハッタン近郊)もゲームに登場し,街ではなく一階建ての家々が連なる住宅地や学校などもマップの一部になっていた。もちろんプレイヤーは,「Grand Theft Auto」のような感覚で街を自由に徘徊して好きなミッションを選べる。そして今回から,達成期限の決まったミッションにはダイヤル型の時間表示が画面に映し出されるようになっているので,時間との闘いが非常に分かりやすく表現されている。
なお,本作ではセカンド・キャラクターとしてスパイダーマンの宿敵の一人,ヴェノムでもプレイできるようになっている。スパイダーマンのようにクモの糸を使って飛び回ったり攻撃したりはできないが,超人的なジャンプ力でビルを飛び越えたり,爪でビルの側面を破壊しながらよじ登ったり,路上に停めてある車を敵に投げつけるような特殊なムーブメントが用意されている。どのような状況でヴェノムを利用できるのかは不明だが,「シングルプレイヤーモードでも50%近くはヴェノム用のミッションになっている」とウォーカー氏は話す。ほかにも,一新されて戦闘ロボット風になったライノや,タイムズスクウェアの電光掲示板を燃料にしながら稲妻系の攻撃を仕掛けてくるエレクトロなども,非常に現代的なデザインになっていた。
Ultimate Spider-Manの開発を手掛けるのはTreyarch社で,ここ数年はスパイダーマンのゲームを1年ペースでリリースしている。2007年には「Spider-Man 3」が公開されることになっているが,それまでの繋ぎとして利用するにはもったいないほどの作品に仕上がりそうだ。オンラインモードは含まれておらず,PC版も含めて今秋中のリリースが見込まれている。(奥谷海人)
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