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「UO:宝珠の守人」開発者インタビュー 新拡張パックの方向性とは
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印刷2005/06/09 18:52

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「UO:宝珠の守人」開発者インタビュー 新拡張パックの方向性とは

「ウルティマ オンライン 宝珠の守人」開発者インタビュー
〜フレッシュなメンバーで作る新拡張パックの方向性とは〜


これは,発表会でもらったポスターの絵柄。このポスターは「今週のプレゼント」コーナーで紹介する予定だ
Text by 麻生ちはや

 6月7日,朝の9時という(ゲーム業界にしては)早い時間に,エレクトロニック・アーツオフィス内で「ウルティマ オンライン 宝珠の守人」の発表が行われた。そこでの発表内容は,すでに「こちら」に掲載したとおりだ。
 さて,この新要素が非常に数多く盛り込まれた今回の拡張パックについて,より詳細な情報を得るべく,開発者達にインタビューを行った。
 インタビューはテレビ会議方式で,北米からはプロデューサーのジェシカ・ルイス氏,マーケティングマネージャーのアーロン・コーヘン氏,リードデザイナーのマリア・ハミルトン氏,デザイナーのジェニファー・レイン氏が参加。日本からはオンライン事業バイスプレジデントの正田純二氏が参加し,通訳も務めていただいた。
 拡張パック自体の追加要素から,現役プレイヤーが気になるだろうことまで聞いてきたので,ブリタニアの住人および住人候補なら,ぜひご覧いただきたい。

左から,プロデューサーのジェシカ・ルイス氏,リードデザイナーのマリア・ハミルトン氏,デザイナーのジェニファー・レーン氏,そしてマーケティングマネージャーのアーロン・コーヘン氏


■エルフとクエストについて

女性エルフ
4Gamer.net:
 では早速,詳しい話を聞かせてください。まずは,やはりこの質問から。エルフという種族の導入によって,「ウルティマ オンライン」(以下,UO)の世界はかなり大きく変化をとげますよね。プレイヤー達の希望による導入という話ですが,マイナスのイメージを持つ古参ユーザーも多いのでは?

ジェシカ・ルイス氏:
 どんな場合でも,何か大きな変化があるときには,それを嫌う人が必ずいるものです。これは仕方がないでしょう。ただし,良いものを生み出せば,きっといつかは受け入れてもらえると信じています。
 種族の導入は多くのプレイヤー達から要望があったものですし,開発する身としては,いつまでも同じレベルで満足しているより,新しいことに挑戦を続けていきたいですからね。スタッフ一同,"現状で満足していてはいけない"と常に考えています。

4Gamer.net:
 なるほど,確かに大きな変化は痛みを伴いますが,かといって現状維持が何年も続けば,プレイヤーも開発者も,つまらないですものね。前向きな変化は,個人的にも大歓迎です。
 さて,そのエルフについてですが,人間との共存を図るエルフと,人間を憎む2種類に分かれている,という話でしたね。これはどういう扱いなのでしょうか。例えばプレイヤーが新キャラクターとしてエルフを作ったときに,どちらか所属を選べるということなんですか?

ジェシカ・ルイス氏:
 まず,2種類のエルフが誕生したワケを説明しましょう。宝珠が割れてしまったとき,多くのエルフ達が殺されました。その結果,その憎しみを乗り越えてなお人間との共存を望むエルフと,人間を呪い,エルフの町「ハートウッド」を飛び出してダンジョン「サンクチュアリ」に潜ったエルフが生まれてしまったわけです。
 ただもちろん,彼らは性向および住む場所が違うだけで,同じエルフはエルフですので,プレイヤーキャラクターがシステム的にどちらかのタイプになる,というわけではありません。
 プレイヤーが感じる二つのエルフの違いは,例えば受けるクエストの内容ですね。同じ報酬のクエストであっても,サンクチュアリで与えられるクエストは,「人間の耳を集めろ」といった,ちょっと恐いものだったりしますよ。

4Gamer.net:
 確かに恐いけど,"恐いもの見たさ"で,そちらのクエストも受けてみたいですね(笑)。
 ところでクエストといえば,今回新しいクエストエンジンを採用しているとのことでしたね。具体的にどう変わったのか教えてください。

マリア・ハミルトン氏:
 いくつかありますが,一番分かりやすいのは,連続クエストの存在ですね。これは従来の,一つのクエストの中でいくつもお使いや頼まれごとをする,というのとはまったく違います。完全に独立したクエストが段階ごとに用意されていて,インタフェースも変わっています。
 例えばグループ魔法を唱えるための「スペルウィービング」スキルの習得には,いくつかの段階に分かれたクエストをすべて終えなければなりません。クエストの遂行にはある程度時間がかかりますが,新しいインタフェースで,今どの段階かすぐに分かるようになっています。

発表会で配られた資料より,ストーリー部分を抜粋


■新しいダンジョンについて

相変わらず絵素材はほとんどないので,またもや画面を直撮りした画像でご勘弁を
4Gamer.net:
 では,プレイヤーの多くが気にしていると思われる,九つの新ダンジョンについて聞かせてください。上級レベル向けという発表がありましたが,「DOOM」と比較してどれだけ難度が上がったのか,具体的な例で示していただけますか?

ジェシカ・ルイス氏:
 今回登場する九つの新ダンジョンのうち,最低でも六つはDOOMよりはるかに難度が高いといえます。ダンジョン内には"Peerless"という種類の中ボスが出現しますが,これがだいたいDOOMのボスクラスですね。倒すには,成長したキャラクターを使っても,最低で10人,できれば15,6人程度のパーティは必要でしょう。それでも必ず倒せるとは言い切れないほど,今度のボス達は手強いですよ。

4Gamer.net:
 なるほど,従来のダンジョンをやり込んでしまった上級者にも,また新たな挑戦の場ができたわけですね。では既存のモンスター達に変化はあるのでしょうか?

マリア・ハミルトン氏:
 実はモンスターのAIを向上させているので,既存のダンジョンでも,今まで以上に苦労するかもしれませんね。


■生産スキルの冷遇は解消されるのか?

4Gamer.net:
 プレイヤー達の不満に,"生産スキルの存在意義"というのがあります。装備の能力が数値化されて以来,生産スキルで生み出される装備品の価値が落ち,今では"修理専門"のような立場になっている気がするのですが……。
 今回"大工ルニック"や"レシピ"を実装したのは,こういった生産スキルの冷遇を解消するのが目的なんでしょうか?

ジェシカ・ルイス氏:
 そうですね,今回生産に関してはかなり多くの新仕様を盛り込んでいます。一つは新ルニックアイテムで,これはすでに鍛冶/裁縫にはありますが,大工と矢制作にも入ります。
 さらに,生産系スキルを持つキャラクター専用のクエストも用意しました。クエストをこなせば「レシピスクロール」が手に入り,特別なレア・アイテムの作成が可能になります。
 これまでは何かと戦って,強い武器や防具を手に入れることはできましたが,戦闘能力が低い生産系キャラクターでもそれが可能になったわけです。

4Gamer.net:
 UOのスキルは極めると「Legend」の称号が付きますが,そのレア・アイテムの作成には,Legendクラスが要求されるんでしょうか?

マリア・ハミルトン氏:
 いえ,レシピにも種類があり,持っているスキルによって作れるものが異なります。あくまでスキル依存で,Legendになっている必要はありません。
 レシピには,AF(アーティファクト)と同じぐらい強力なアイテムを生み出せるものもあります。ただし,原材料の中には,モンスターを倒さないと手に入らないものもあるので,戦士や魔法使いが戦って材料を得てきて,生産を得意とする人に渡してより良いアイテムを生成するという,いわば相互協力が必要なわけです。
 戦闘と生産の本来あるべき関係に戻ったと言えるでしょう。

4Gamer.net:
 生産系スキルを持つキャラクターの立場は,今回の拡張でかなり向上するわけですね。



■その他,UO全体の話など

4Gamer.net:
 コレクションシステムについても教えてください。これは,単に一定の求められるアイテムを収集するだけなんでしょうか。収集に協力することで,プレイヤーが得られる褒賞などありますか?

マリア・ハミルトン氏:
 コレクションシステムは,単純に物を集めてNPCに渡すだけではありません。例えば空っぽの動物園があったら,さまざまな種類の動物を集めるだけでなく,そこで動物の世話をするプレイヤーも必要とされるんです。
 それにもちろん,コレクションに参加し,協力してくれたプレイヤーには褒章が与えられます。実は褒賞も5段階用意してありまして,特別アイテムだったり,称号だったりします。"奉仕ポイント"という形でポイントを溜めることも可能です。

4Gamer.net:
 なるほど,楽しみにしています。ではせっかくですので,UO全体についての話も聞かせてください。以前の発表会で,グラフィックスの改善はしばらくないと聞きました。現時点でも,今後しばらくグラフィックスに関しては放置する方向なんでしょうか?

ジェシカ・ルイス氏:
 いえ,実際のところ,我々もいかに2Dバージョンのグラフィックスを向上させるかということを考えています。多くのプレイヤーは2Dでプレイしているようなので,3Dよりは2Dに力を入れていくつもりです。ただし,残念ながら今回の拡張パックではとくに変化はありません。

4Gamer.net:
 では最後に,この拡張パックについて,4Gamer読者へメッセージをお願いします。

スタッフ全員:
 我々はUOの"原点回帰"を目指して,今回の新モンスターやダンジョンを考え,作り出しました。この原点回帰という方向性がプレイヤーのみなさんに果たして受け入れられるのか,宝珠の守人を日本のプレイヤーがどんな風に楽しんでくれるのか,そのリアクションを見られる日を,とても楽しみにしています。



 これまでほぼ年1回のペースで拡張パックをリリースしてきたUOだが,宝珠の守人は2004年11月に発売された「ウルティマ オンライン 武刀の天地」から1年以内の発表/発売となるわけで,これは異例の早さといえる。2004年7月に「Ultima X:Odyssey」(UXO)の開発中止が発表されたとき,「今後は拡張パックや未発表のプロジェクトに開発チームの力を注ぐ」とコメントを残したのは,どうやら嘘では無かったようだ。
 ただし,以前よりアンソニー・カストロ氏(前プロデューサー。今は別のプロジェクトに携わっている)がほのめかしていた"より大きなプラン"や"未発表のプロジェクト"について水を向けてみても,「オフィシャルには,何も言えない」というお返事(それとも種族追加のことを指していたのだろうか?)。ここ最近,アンソニーに限らずずいぶんと人の入れ替わりがあったようだが,こういった長期的なプロジェクトが今でも動き続けていることを期待したい。
 とはいえ,冒頭で「現状で満足していてはいけない」と述べた開発側の姿勢は,素直に評価できる。この拡張パックの方向性は「原点回帰」であるようだが,今後もUOは,MMORPGの代名詞と呼ばれるにふさわしい,「未来を向いた」魅力ある進化を続けてくれると感じさせてくれたインタビューであった。

  • 関連タイトル:

    ウルティマ オンライン 宝珠の守人

  • 関連タイトル:

    ウルティマ オンライン

  • 関連タイトル:

    ウルティマ オンライン 武刀の天地

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