レビュー
オリジナル青軸スイッチ「GX Blue」とはいかなるものか。G512キーボードの新たな選択肢を試す
G512 Carbon RGB Mechanical Gaming Keyboard(G512-CK)
Logitech International(以下,Logitech)の日本法人であるロジクールは,ゲーマー向け製品ブランドであるLogicool G(日本以外ではLogitech G)のワイヤードキーボード「G512 Carbon RGB Mechanical Gaming Keyboard」(国内製品名:G512 CARBON RGB メカニカルゲーミングキーボード,以下 G512)に,オリジナル青軸キースイッチ「GX Blue」搭載モデル(型番:G512-CK)を追加し,2018年7月5日に発売した。
5月24日に発売となった時点のG512はLogitechとオムロン スイッチアンドデバイスが共同開発したキースイッチ「Romer-G Tactile」「Romer-G Linear」を採用する2モデル展開だったが(関連記事),あれから1か月強で3モデルに増えたわけだ。
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「青軸系キースイッチそのもの」なGX Blue
今回追加となったGX Blueは,アクチュエーションポイントに強めのクリック感と大きな音がある,いわゆる“Cherry青軸”系スイッチである。
Romer-G TactileおよびRomer-G Linearとはまったく毛色が異なるどころか,製造元も異なるため,スイッチの見栄えも異なる点は押さえておきたいところだ。
Romer-GシリーズのキースイッチではLEDがキーの中央部にあるため,搭載するG512-TCとG512-LNでキーキャップ上の印字は中央に来るのだが,GX BlueではLEDの光を通す機構がキースイッチの本体正面向かって奥側にあるため,G512-CKに限り,印字は奥側へズレた格好になった。
また,Romer-Gではキースイッチの軸周りが透過しない黒塗りだったのが,GX Blueでは光を透過するようになっているため,LEDの色がキーボード盤面へかなり漏れるようになる。
G512がフローティングデザインでなければ,キースイッチは外装パネルで覆われているため「光の漏れ」も気にならなかっただろうが,天板からキースイッチが直立する仕様ということもあり,ライティングはとてもよく目立つ。結果としてG512-TCとG512-LNにおけるLEDイルミネーションの「落ち着いた上品さ」はG512-TKで薄まり,「明るく華やか」な印象を与えるものになった。
GX Blueキースイッチの打鍵感は,「いかにも青軸」なもの
実際にGX Blueを押下してみると,「カチッ」とした強いクリック感と明確な打鍵音が聞こえてきて,いかにも青軸らしい打鍵感があった。Kaihua製のカスタムモデルだけに,他の青軸系スイッチと比べて特筆すべきフィーリングはなく,やはり典型的な青軸スイッチといった印象だ。
また,ボイスチャットを利用するタイプのゲーマーからすると,青軸の大きいクリック音がノイズとなって,円滑な応答を妨げることがあるという,純然たるマイナス要素もあるのだ。
全体としてクセが強く,好き嫌いのはっきり出るスイッチだということは押さえておくといいだろう。
5月19日掲載の記事でもお伝えしているように,筆者のキーボードレビューでは4Gamer独自ツール「4Gamer Keyboard Checker Ver.2」(β1)を使う。
これは筆者が実際に複数のFPSおよびTPSタイトルをプレイしたときに使うキーの割合に基づいて出現頻度を設定した,実用的なタイピングテストツールだが,機能的には非常にシンプルで,「画面上に表示されたキーを被験者が押し,表示からキーが押されるまでの時間とミスの数をCSVファイルに記録する」だけのものだ。
なお今回,比較対象としては過去の累計データを比較対象として用意した。試行回数が増えることでタイピング技術が上達したり,そのときどきのコンディションにスコアが影響されたりすることもあり,過去の具体的なデータと直接比較することに意味はないため,累計のデータを使うので,その点はご注意を。
さて,結果はグラフ1,2のとおりとなる。平均遅延は「『押下すべきキー』が画面に表示されてからキーが押下されるまでの所要時間」の平均値を,平均ミスは「試行1回(=2分)あたりのタイプミス数」の平均値を示している。どちらの数値も,低いほど良好という理解で構わない。
今回はメカニカルキースイッチ搭載キーボードの累計スコアとは別に,そこから青軸系キースイッチ搭載モデルのみを抜き出したスコアもグラフに入れているが,見て分かるのは,GX Blueを搭載するG512-CKのスコア傾向が,青軸系スイッチの特徴――タイピング速度が低下するものの,安定性が高くミスしにくい――と一致していることだ。
一方,平均ミスは,とくにミスしづらい青軸系メカニカルキースイッチの過去最小値とほぼ同じで,厳密に言えば最も少ない回数になった。
総じてGX Blueの入力遅延と平均ミスのバランスは,青軸系メカニカルキースイッチの括りで見ると相応にレベルが高く見える。もっとも「普通の青軸系キースイッチの範囲で」という話なので,それこそRazer Huntsmanシリーズの青軸系光学キースイッチ「Opto-Mechanical」や,G512-LNの搭載するRomer-G Linearが示すハイレベルなバランスには及んでおらず,その意味ではやや物足りなさを感じてしまうが,それは仕方ないことなのかもしれない。
なお,タイピングテストを通じて,G512-CKに打鍵感の問題点は見当たらなかった。
青軸系キースイッチの場合,内部の構造によっては打鍵音にクリック音以外の擦過音が混ざったりして,打鍵したときにちょっとした違和感をもたらすこともあるのだが,GX Blueの押下感は終始ストレートで安定しており,軸のぐらつきといった不安要素は感じられない。青軸系スイッチとしてはきっちり作ってあると考えてよさそうだ。
GX Blueキースイッチは選択肢として「アリ」か?
青軸系の強いクリック感を前提にキースイッチを選ぶ場合,G512-CKのそれは期待を外れていないので,これまでも多くのゲーマーに選ばれてきた青軸系スイッチらしさはG512-CKでも存分に味わえるだろう。
また,キースイッチにこだわりがない場合でも,「G512のシンプルなデザインは好きだけれども,もう少し派手に光ってほしかった」と従来製品に対して思っていた人にとって,G512-CKはニーズに応えてくれる選択肢となるはずだ。
純粋に競技用途でG512を選ぶなら,先のテストで優秀な結果を残したRomer-G Linear搭載のG512-LNがベストである。それと比べるとGX Blueは性能面でインパクトを欠いており,どこまでも普通の青軸系キースイッチ採用キーボードということになる。
ただ,だからこそ,「青軸系スイッチが好きならアリ」でもあるのだ。今後のLogitech G
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Logicool GのG512シリーズ製品情報ページ
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