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印刷2007/06/08 18:29

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[COMPUTEX 2007#17]ASUSTeK,ビデオ高画質化技術「Splendid」の次世代版&ゲームにも利用可能な単体ハードウェア「Splendid HD」を発表

ブラケット部に刻まれる「Splendid」の刻印。今後投入されるASUSTeK製グラフィックスカードでは,同機能がより強くアピールされる
 COMPUTEX TAIPEI 2007の3日めに当たる2007年6月7日,ASUSTeK Computer(以下ASUSTeK)は,会場近くのレストランに世界各国の報道陣を集め,同社独自のビデオ高画質化技術「Splendid」の次世代版を発表した。
 Splendidに関して4Gamerでは2005年にレビューを行っているので,ぜひ参考にしてほしいが,簡単にまとめると,ビデオ再生時にのみ,画面のコントラストや色を動的に補正することで,見映えを向上させる技術である。2005年の発表以降,同社製グラフィックスカードではもれなくサポートされ,同社のノートPCでもサポートされるなどしてきたが,発表によると,2007年下半期に機能面でジャンプアップするようだ。

次世代Splendidでは,GPUのピクセルシェーダユニット(や,ピクセルシェーダユニットとして利用される統合型シェーダユニット)を利用することになる
 「2007年版Splendid」(’07 Splendid)とされる次世代Splendidが持つ最大の特徴は,GPU(グラフィックスチップ)のピクセルシェーダ(Pixel Shader)ユニットを利用する方式になったことだ。従来のSplendidでは,ASUSTeK製グラフィックスカードを差していなければ利用できないだけで,実際には100%ソフトウェア処理になっていたのだが,今回はシェーダプログラムとして実行されるため,CPUの負荷は無視できるレベルにまで引き下げられるとのことだ。
 一方で,対応するビデオの解像度は,1920×1080ドット,いわゆるフルHDスペックにまで引き上げられている。

既存のSplendidと比較したスライド。対応OSが2007年版ではWindows Vistaだけになってしまうのが残念
 ピクセルシェーダユニットを活用するといえば,AMDの「Avivo Technology」やNVIDIAの「PureVideo/PureVideo HD」とバッティングするようにも思うが,「XG Station」や「Xonar」のプロダクトマネージャーであり,Splendidも担当する同社のSean Lai氏によると,Splendidはあくまでコントラストや色だけを処理し,ビデオデコード周りには関与しないため,まったく問題ないとのことだった。

 なお,Splendidを有効化するソフトウェアは,2007下半期のリリース以降,GPUを問わずすべてのASUSTeK製グラフィックスカードにバンドルされる予定。既存のカードでも利用できるそうなので,将来的にはASUSTeKのWebサイトから入手できるようになるのではないだろうか。

Splendid HDチップのイメージ
 ところで,Splendidはあくまでビデオの高画質化技術であり,先のレビューでも,あくまでオマケとして採り上げていた。むしろ4Gamer読者にとっての“本命”は「Splendid HD」になるだろう。
 Splendid HDは,(日本では未発売だが)同社が展開する液晶テレビや液晶ディスプレイに採用する映像エンジンを,PC向けにチューンした製品だ。PC側のグラフィックスカードやグラフィックス機能統合チップセットから,HDMIあるいはDVIインタフェースでSplendid HDに入力し,内部で処理を行ったあと,今度はSplendid HDからPC用ディスプレイやテレビなどに,やはりHDMIやDVIでデジタル出力する仕様になっている。
 なお,ハードウェア処理ということで,コントラストや色を補正する以外にも,映像のエッジを際立たせてはっきりとした画面を作る機能などを備えているという。

Splendid HDの特徴を示したスライド。詳しくは説明されなかったが,右に示したとおり,ディスプレイ解像度よりも低い解像度の映像を再生するときの,スケーリング表示品質向上もアピールされている。これはビデオ再生時はもちろん,ゲームでも有効そうだ


Splendid HDのハードウェア概要を示したスライド。ゲームをサポートすると明示されている
 ここでポイントとなるのは,Splendid HDは外部デバイスとして機能するため,“ソース”となる映像のフォーマットがいっさい問われないということ。高解像度ビデオコンテンツはもちろん,細かなビデオフォーマットの違いを気にする必要はない。さらにいえば,「映像」には,ゲームの3D/2Dグラフィックスも含まれるのだ。

 もちろん,例えば「エッジを強調して文字を読みやすくする」という要求と,「ジャギーを軽減して風景が自然に見えるようにする」という要求では,必要とされる措置が逆方向になるため,具体的な機能に即して判断しなければならないが,ゲーマーとして少なくとも注目しておく価値はあると思う。

「動画を再生しながら,緑の線で囲まれた範囲に対してだけSplendid HDで高画質化処理を行う」というデモ。テレビの中央部分だけ,コントラストがはっきりしているのが見て取れる。ちなみにテレビの手前に置かれている箱がSplendid HDのプロトタイプ。内部を覗き込んでみたが,小型の基板上にいくつかチップがあること以外は分からなかった


 Splendid HDに関しては,同じく2007年下半期の登場ということしか判明していない。また,さすがにプロトタイプしか出来ていない状況では価格も決まっていないそうで,実際に製品の形になるには,もう少し時間がかかりそうな気配だ。
 ただ,AMDやNVIDIA,Intelといった大手がビデオ再生のみに特化した高画質化機能に注力していくなかで,ASUSTeKが別の選択肢を提示したこと,それ自体はゲーマーとして大いに歓迎したい。今回はムービーを利用したデモだったが,ゲーム画面はどれだけ変わるのか,続報が楽しみだ。(佐々山薫郁)

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