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「World of Warcraft:The Burning Crusade」プレイレポート:さらに完成度を増したWoWの世界を紹介
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印刷2007/01/26 17:54

旧特集

「World of Warcraft:The Burning Crusade」プレイレポート:さらに完成度を増したWoWの世界を紹介

 2007年1月16日に,MMORPG「World of Warcraft」(以下,WoW)初の拡張パック「The Burning Crusade」発売された。
 満を持してのリリースとなっただけのことはあり,この拡張パックで追加される要素は数多い。ほかの一般的なMMORPGの拡張パックに比べても,追加/拡張されるゲーム内コンテンツのボリュームは多いほうだろう。主だったものを列挙すると,

レベルキャップがこれまでの60から70に上昇
新しいプレイアブル種族「Blood Elf」「Draenei」
新しい冒険エリア「Outland」
新しい生産スキル「Jewelcrafting」
空を飛ぶ乗用動物「Flying mount」
カスタマイズ可能な「Socketed items」
新たなPvPコンテンツ

 といったものが,The Burning Crusadeを導入することで追加される。本稿では,実際に数日プレイしてみて触れることのできた部分を中心に,この拡張パックの内容を紹介していく。

 ちなみに,拡張パックのタイトルとなっている「The Burning Crusade」とは,WoWの舞台である世界“Azeroth”に住むすべての生き物の共通の敵であるデーモンの軍勢,「the Burning Legion」が,複数の世界に対する自分達の侵略行為それ自体につけた名称である。
 異世界“Outland”へ繋がるゲート“Dark Portal”が開き,デーモン達による“Burning Crusade”の波が押し寄せてきた。Azerothの勇敢な冒険者達はそれを阻止すべく,自らポータルの中へ足を踏み入れていく……。というのが,この拡張パックのバックグラウンドストーリーとなっている。



■新種族「Blood Elf」と「Draenei」
 WoWの世界には,AllianceとHordeという二大勢力が存在しており,すべてのプレイヤーはどちらかに所属する。これまで,両勢力にはプレイアブル種族が4種類ずつ用意されていたが,The Burning Crusadeではこれが,それぞれ5種類に拡張される。
 追加種族は,Alliance側が「Draenei」,Horde側が「Blood Elf」だ。「WoWには可愛い女性キャラクターが少ない」という意見が一部で出ていたことを受けてか,新種族の女性の顔パターンは美形ぞろい。とくにHorde側は,これまでややアグリーな造形の種族が多かったので,Blood Elfの登場は歓迎されるところだろう。

 また,Draeneiの選択可能クラスに“Shaman”が,Blood Elfの選択可能クラスに“Paladin”が含まれているところも,非常に大きなポイントだ。これによって,「Alliance側でShamanを作る」ことや「Horde側でPaladinを作る」ことが可能になったからである(これまではできなかった)。

 新種族追加に合わせて,この2種族のホームタウンと,低レベルキャラクター用の冒険ゾーンも追加されている。これらはもちろん既存種族でも利用可能。DraeneiエリアへはAuberdineの桟橋から船で,Blood ElfエリアへはUndercityの地上の遺跡にあるポータルからアクセスできる。

●Draenei
 Draeneiは,この世界の破壊をもくろむ悪の軍勢「the Burning Legion」のデーモン達と,その源を同じくする種族だ。自分達がデーモンになってしまうことを恐れた彼らの中のある一派は,その影響から逃れるために,何千年もの間,さまざまな異次元世界を渡り歩いた。そして世界の片隅に安住の地を見つけだし,「the Burning Legion」の悪行を食い止める術を模索していた。
 数年前,Draenei達はとある世界に,自分達と同じように「the Burning Legion」に対抗しているAllianceという勢力があることを知る。そして彼らとコンタクトをとるために,その世界に向けて巨大な次元間航行船を送り出した。
 しかし妨害工作を受けた次元間航行船は,かろうじてその世界に辿り着いたところで墜落してしまう。故郷へ帰る手段はなくなってしまったが,使命は果たさなくてはならない。生き残ったDraenei達は,巨大な次元船それ自体を拠点として,活動を開始した。

 Draeneiは身体が大きく,聖性の高い種族としてデザインされている。種族の特性としてヒールが使えたり,シャドウ魔法への耐性が高かったりするのは,次元を跨いでの逃避行を援助してくれた,“Naaru”という異次元の種族に由来する。
 Naaruは非常に高い聖性をもつ神秘的な種族で,Draeneiの持つ光のパワーへの親和性の高さは,彼らから受け継がれたものだ。またJewelcraftingが得意な理由は,彼らの主要都市(=墜落した次元間航行船)の中を見れば納得できる。次元間航行を可能にするほどの彼らの科学技術は,どうやら紫色のクリスタルから引き出すパワーの上に成り立っているらしい。種族全体がそういったものの扱いに長けているということだろう。

・選択可能なクラス
Warrior,Paladin,Hunter,Priest,Shaman,Mage

・種族の特長
Gemcutting:生産プロフェッション「Jewelcrafting」のスキルにボーナス

Gift of the Naaru:対象を15秒間,Health回復状態にする

Inspiring Presence (Mages/Priests/Shaman のみ):自身とパーティメンバーの魔法の命中率が1%上昇

Heroic Presence (Hunters/Paladins/Warriors のみ):自身とパーティメンバーの攻撃の命中率が1%上昇

Shadow Resistance:シャドウ系攻撃への耐性にボーナス



●Blood Elf
 WoW世界のハイエルフ達は,長きにわたって繁栄を続ける平和的な種族だった。しかし,前回「the Burning Legion」が侵攻してきた際,Allianceの一員であったハイエルフ達の都は非常に激しい攻撃を受けた。それにより,ハイエルフは人口のほとんどを失ってしまった。生き残ったハイエルフ達は,殺された同胞たちのことを忘れぬようにと,以来自分たちのことを「Blood Elf」と呼ぶようになった。
 その後もAllianceの一翼として「the Burning Legion」との戦いに参加するBlood Elf達だったが,他種族への偏見に満ちた愚かなHumanの将師は,彼らを意図的に過酷な戦場へと送り込んだ。いくつもの不幸が重なった結果,次第にBlood ElfとHumanとの間の溝は深まっていき,最終的にBlood Elfは,生き延びるために,Horde勢力と手を組むことになったのである。

 もともとこの世界のハイエルフであるBlood Elfは,魔法の扱いに長けた種族である。武器や防具に魔力を付与するスキルへのボーナスや,マナ吸収能力など,種族の特徴にも魔法に関連したものが多い。肉体を使った活動はあまり得意ではないようで,全10種族中で唯一,Warriorになれない種族でもある。

・選択可能なクラス
Paladin,Hunter,Rogue,Priest,Mage,Warlock

・種族の特長
Arcane Affinity:生産プロフェッション「Enchanting」のスキルにボーナス

Arcane Torrent(Hunters/Paladins/Mages/Priests/Warlocks のみ):自分の周囲にいる敵を2秒間詠唱不能にする。加えて,溜まっているMana Tapチャージの数に応じた量,自身のManaが回復する。

Arcane Torrent(Rogue のみ):自分の周囲にいる敵を2秒間詠唱不能にする。加えて,溜まっているMana Tapチャージの数に応じた量,自身のEnergyが回復する。

Magic Resistance:すべての耐性にボーナス

Mana Tap:敵のManaを減らし,自身に魔法力をチャージする。このチャージは三つまで溜められる。



■新冒険エリア「Outland」
 追加された冒険エリア「Outland」は,七つのフィールドゾーンと一つの都市,そしていくつものインスタンスダンジョンで構成されている。「Outland」は,これまでの冒険の舞台であった「Azeroth」とは異なった世界に存在しているという設定で,巨大なポータルを利用することによってのみ進入できる。
 ポータルをくぐれるのは,これまでのレベルキャップに近いレベル58以上のキャラクターのみ。こう書くと,Outlandはかなりハイエンドなコンテンツのように感じられるかもしれない。しかし,WoWはキャラクターの成長が比較的スムースで,多くのアクティブアカウント保持者が,以前のキャップであるレベル60のキャラクターを持っていると思われる。現役のプレイヤーならば,それほど“上級者用”という印象を受けないかもしれない。

●フィールド
 フィールドゾーンにはソロ(もしくはデュオ,トリオ)でも攻略可能なクエストとモンスターが,豊富に用意されている。これは旧エリアと同様だ。実際にプレイしてみてまず気がついたのは,ドロップやクエスト報酬として得られるアイテムがかなりハイレベルだということ。これまでであれば,レイドに参加しなければ得られなかったような高性能なアイテムが,比較的簡単に入手できる。そのため,長らく愛用していた筆者の装備品は,数日でどんどん新しいものに入れ替わっていった。
 ただ,それに合わせて,モンスターの強さも(旧エリアと比較して)何割か強化されている印象を受けた。ある程度育ったキャラクターを対象とするエリアだけに,そのあたりの難度はやや引き上げられているのかもしれない。



●ダンジョン
 旧エリア同様,ダンジョンはすべてグループ専用のインスタンスで,フルグループ(5人)での攻略を前提として設計されている。
 公式サイトの記述によれば,新ダンジョンの多くは複数の“Wing”を持っている。例えばHellfire Citadelというダンジョンは,Hellfire Ramparts,The Blood Furnace,The Shattered Halls,Magtheridon's Lairという4つのパート(Wing)に分かれており,入り口はそれぞれ別だ。筆者はこのうち,最初の二つを体験済みだが,一つのWingを攻略するのに必要な時間は,1時間から1時間半程度だった。

 これまでのインスタンスには,2時間程度でひと区切りがつくようデザインされているものが多かった。しかし中には,もっと時間がかかるものもある。そういったダンジョンの攻略途中では,なかなか「もう抜けたい」とは言いにくいし,誰かが抜けた穴を埋めるのも難しかった。だがOutlandのダンジョンは,どこでも1時間半程度でそのセッションの区切りがつくようなデザインになっているようだ。Outlandでは,これまでよりもダンジョン行きのグループに参加しやすくなっていると言えるだろう。

 フィールドと同じく,インスタンス内の敵も,旧ゾーンに比べてやや手ごわくなっているように感じられた(Outlandクオリティの装備品が揃ってくれば違うのかもしれないが)。ボスのスクリプトもそれぞれ凝っていて興味深い。



■生産スキル「Jewelcrafting」
 「Jewelcrafting」は,指輪や首飾りといった装備品のほか,後述の「Socketed items」に装着してパワーアップさせるための宝石などを,作成できる生産スキルだ。NeckやFingerといった装備スロットはこれまでにもあったが,指輪や首飾りを作れる生産プロフェッションは,今回初めて導入された要素だ。

 実際に新キャラクターでJewelcraftingをやってみた。まず,材料としては鉱物を溶かして作った延べ棒や,石材などが必要。なのでJewelcraftingをするのであれば,材料調達用としてMiningスキルも取っておくとよさそうだ。
 WoWのアイテムには,装備するのに必要なレベルが設定されており,これまでゲーム内には,レベル30以下のプレイヤーが装備できる指輪や首飾りは存在しなかったのだが,Jewelcraftingではレベル10程度でも装備可能なアクセサリーが作れる。また,Jewelcraftingで作れるアイテムは,宝飾品ばかりとは限らないらしい。“使用者のことをしばらくヒールしてくれる石像”のような,戦闘に役立つ消費型アイテムも作成可能だった。

■空を飛ぶ乗騎「Flying mount」
 これまでにあった地上走行用の乗用動物に加えて,The Burning Crusadeでは空を飛ぶマウントが利用可能になる。一定の航路を有料で飛んでくれる路線バスのようなものはこれまでもあったが,Flying mountを利用すれば,プレイヤーが自分の思うとおりに空を飛べる。ただし,飛行できるのはOutlandの野外ゾーンのみで,旧来のゾーンでは使用できない。

 Flying mountを手に入れるには,レベル70に到達する必要がある。さらに,実際に飛行するには,結構な量のゴールドも必要になる。そんなわけで,原稿執筆の時点では,まだFlying mountを利用しているプレイヤーを見かけなかった。当面は,レベル70への到達と並んで,プレイヤーがゲームを続けるうえでの目標の一つ,といった位置づけであるようだ。

 Outlandは“宇宙にぽっかりと浮かぶ大陸”のような場所としてデザインされている。そのため,ゾーンには底が見えないほど深い谷や,空中を漂ういくつもの浮島などが配置されている。Flying mountでないとたどり着けないような場所もあることだろう。Outlandは“飛んで楽しい”場所のようだ。Flying mountは,単にゾーンの上を飛べるというだけではなく,飛ぶことによって体験可能になる数々の新しい面白さを,見据えたうえでデザインされているように思えた。

■カスタマイズ可能な「Socketed items」
 Socketed itemsとは,宝石をはめ込むことのできる穴(ソケット)のついたアイテムのことだ。このソケットに性能アップ効果のついた宝石を取り付けることで,アイテムをある程度自由にカスタマイズできる。WoWの開発元であるBlizzard Entertainmentの既存作品「Diablo II」にも,これと似たSocketed itemsの仕組みがあった。経験者にとってはなつかしいフィーチャーだろう。

 画像がSocketed itemsの一例だ。Outlamdのダンジョンで得られたものである。宝石をはめ込めるのは,このように“もともとソケットが付いているアイテム”のみで,拡張パックの導入によって既存のアイテムにソケットが付くわけではない。パワーアップ用の宝石にはいくつかの“色”があって,ソケットのほうにも“色”が設定されている。宝石の色とソケットの色は,揃えなくても取り付けられるが,すべてのソケットと宝石の色を合わせると,さらなるボーナス効果が得られるようになっている。なお,アイテムに宝石を取り付けるのに特別なスキルは必要ない。

写真左:Jewelcrafting 写真右:Socketed items


 The Burning Crusadeは,入門者向けのコンテンツと既存プレイヤー向けのコンテンツ,そのどちらもが充実した,内容の濃い拡張パックである。そもそもWoW自体が,MMORPGの話をするうえで引き合いに出さずにはいられないほどの内容と影響力を持ったタイトルなので,これを機にプレイを始めてみるというのはよい選択だと思う。
 ただ現在のところ,WoW本体のダウンロード販売は行われているが,The Burning Crusadeはパッケージ販売しか行われていない。本体のほうはダウンロードによるフリートライアルも可能だが,その方法だと二つの新種族のキャラクターが作成できない。DraeneiやBlood Elfでプレイを始めたいのであれば,本体と拡張パック両方を入手する必要があるということは,覚えておいてほしい。(ライター:星原昭典)

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