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[CJ 2006#08]「完美世界」契約調印式と日中両社へのインタビュー
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印刷2006/07/29 13:13

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[CJ 2006#08]「完美世界」契約調印式と日中両社へのインタビュー

北京完美時空網絡技術有限公司代表 池宇峰氏
 すでにお知らせしたとおり,中国産MMORPG「完美世界」が,日本ではC&Cメディアからサービスされることになった。

 完美世界の契約調印式は,ChinaJoy会場の一室で,報道関係者を集めて行われた。日本に直接輸出される初めてのオンラインゲームということもあってか,会場には中国政府から国家新聞出版署副所長,上海市新聞出版局局長といったお偉方も顔を揃え,作品と日本への期待度の高さをうかがわせていた。



C&Cメディア社長 近石健介氏
 もともとC&Cメディアという会社は,MK-Styleというポータルサイトを運営し,ネットカフェを中心にオンラインゲームに深く関係しているものの,自社でサービスしているタイトルは「プリストンテール」,ただ1本だった。同社が,本格的なタイトルを日本で展開していくという構想を立てて,多くのゲームの中から選んだのが,この完美世界だという。
 仕事柄,毎月数十本の海外ゲームを評価してきていたC&Cメディアをして,「これまでにない完成度」といわしめた作品だ。日本ではまだほとんど知られていないタイトルであるものの,2006年度版のオンラインゲーム白書では,「グラナド・エスパダ」「World of Warcraft」と並んで,最も期待度の高いタイトルとして取り上げられている。
 C&Cメディアは,完美世界を,日本のオンラインゲームでトップタイトルになれる作品だと評価しているという。
 その理由として挙げられたのが,

・キャラクター作成などでの高い柔軟性
・高度なグラフィックス機能
・生産などの高い自由度


の3点。とくに日本市場には,キャラクターデザインの自由度の高さが絶対にマッチすると睨んでいるようだ。



 4Gamerでは,過去に完美世界のキャラクターメイキング部分「だけ」を取り上げて紹介したことがあるが,こういったことは,4Gamerにとっても非常に珍しい。それくらい,完美世界のキャラクター作成は完成度が高い。局地的に話題になった「The Elder Scrolls IV: Oblivion」「EverQuest II」などと比べても,造形の自由度の高さは頭一つ抜けている。用意された100個以上のパラメータは,複雑になって作りにくいということもなく,見事にまとめられている。筆者の知る限り,洋の東西を問わず,ナンバーワンのデキといえるだろう。
 また,日本人がキャラクターエディットを重視するという見方も間違いではないと思われる。以前,「中国では芸能人などに似たキャラクターを作っても問題にならないのか?」と質問した覚えがあるのだが(中国では問題ないそうだ),日本ではちょっと心配になるくらいだ。



 さて,会見では,全体的に「完美世界を日本ナンバーワンタイトルに」という力強い論調が目立った。調印式自体は,互いに契約書に署名を行い,贈り物を交換するといった簡単なもので,式典後,中国メディアなどから日本市場自体を含んだ質問が相次ぎ,関心の高さをうかがわせた。興味深い回答も飛び出したので,かいつまんで紹介しよう。

 日本での課金体系については未定だが,無料(アイテム課金)でもなく定額制でもない,新しい方式を導入する可能性もあるとのこと。
 完美世界を輸出することで「日本のゲーム界への影響には,どんなものがありますか?」という質問に対しては,日本で一番のゲームにしたいとの回答があった,日本では,世界的に(中国でも)人気の高いWorld of Warcraftが進出していないために,その期待も大きいのだという。

 完美時空の制作方針としては,MMORPGであることを重視していること,2作目は,完美世界とは切り口を変えて作られていること,タイトルは公開されていないが,第3のゲームについても少し違った切り口で開発が進んでいることが明らかにされた(3作目があることは,初めて公の場で語られたように思う)。
 ネットカフェでのゲームの展開の見通しでは,C&Cメディアが持つネットカフェ70%のシェアと,現在33本の提供実績からすると,完美世界は必ず成功すると予測していることなどが語られた。

 中国の独特な世界観は日本のゲーマーに受け入れられるか? という質問に対しては,完美世界のゲーム自体の中身,およびビジュアルはハイファンタジーといってよいもので,どちらかというと欧米産RPGのプレイフィールに近いため,問題ないだろうとうい回答。また,日本に受け入れられる仕様にしようと,両社で協議しているという(ちなみに,個人的に完美世界をテストプレイした経験からいうと,最もプレイ感覚が近いのはEverQuestIIだと思う)。



 そのほか,日本のゲーム事情については,コンシューマ機が70%以上で,オンラインゲームはここ数年で延びてきているにすぎず,その大半は韓国から輸入されたゲームであることを指摘しつつ,「中国は開発者人口も多いので,今後何年間かで中国のポジションが韓国に取って代わることになるだろう」との見解が示されていた。

 日本独自の展開については,状況に応じてペットや日本用の髪型などが追加される予定だという。なお,C&Cメディアとの契約金は200万ドルくらい(約2億2000万円)だそうだ。

 式典後にわずかな時間ながら,両社社長に完美世界の日本展開に関してQ&Aインタビューを行ったので,最後にその内容をお伝えしておこう。(aueki)



4Gamer:
 まず池会長にお伺いします。本作は,正式に日本にゲームを輸出した初の作品とのことですが,それについてどうお考えですか?

池氏:
 日本は,アニメやゲームなどについての,神様のような一流の人達が住んでいる国ですので,そこでサービスインできることはとても光栄なことだと思っています。

4Gamer:
 中国でも日本のアニメは強い影響力を持っているんですね。

池氏:
 日本のアニメーションが,中国でどのような位置にあるのか,皆さんには想像がつかないかもしれません。実は,開発チームのスタッフは,みんな日本のアニメやゲームが大好きなんですね。これまで開発したゲームにも,いろいろな形で日本に影響を受けたものが入っていると思いますよ。

4Gamer:
 「完美世界」の開発に当たって,何か影響を受けた作品などはありますか?

池氏:
 アニメではないのですが,World of Warcraftには少し影響を受けていますね。日本の作品ならば,ファイナルファンタジーシリーズなどのイメージも,強く影を落としている感じでしょうか。

4Gamer:
 本作のゲームシステムやグラフィックスなどは,このまま日本でも使われる感じですよね。

池氏:
 そこは悩ましいですね。中国と日本のマーケットには,やはり差があるんですよ。中国人プレイヤーはPKが好きなのですが,日本人プレイヤーはパーティプレイを好むなど,性格的な違いもありますし。そのため,システムなども変更した,完全な日本バージョンとするつもりです。

4Gamer:
 ということは,単なる日本語版ではなくて,“日本版”になると。

池氏:
 そうです。パッチなども中国版とは異なるものとなります。

4Gamer:
 台湾やベトナムなどへの進出も予定されているそうですが,それらの地域へ輸出する場合も,そういったカルチャライズが行われると考えていいのでしょうか?

池氏:
 はい,そうです。

4Gamer:
 ちょっと話はそれますが,だとすると,日本でのサービス時のタイトルはどうなるんでしょうか? いまのお話をそのまま受け取るならば,たぶんそのまま,ということはないんじゃないかと思うのですが。



近石氏:
 おっしゃるとおりですね。どこかに「完美世界」の名前を入れようとは思っていますが,具体的にはまだ決まっていません。

4Gamer:
 あのままの名前だと,ちょっと日本では中国色が強すぎる気がしますしね。

近石氏:
 そうですね。なにかしら,もうちょっと馴染みやすい言葉を選びたいところです。

4Gamer:
 しかし今回は,日本での提携先として,なぜC&Cメディアを選んだのでしょうか? 声をかけてきた日本の運営会社は,きっとたくさんあったと思うのですが。

池氏:
 確かに,日本からもかなり多くの話をいただきました。しかしC&Cメディアは,日本のネットカフェの70%のシェアを持っています。それが一番大きい理由ですね。

4Gamer:
 運営ノウハウというよりは,ネットカフェでのノウハウを重視したということですか。

池氏:
 はい。中国では,ネットカフェを多く抱えた会社が成功しているという傾向があるんですね。そのためネットカフェは非常に重要だと考えており,その点を重視しました。

近石氏:
 我々の予想に過ぎませんが,当社のランニングコストの低さも決め手になったのではないかと思っています。

4Gamer:
 この提携がうまくいったら,いま作っている次の作品などでもC&Cメディアと組みたいと考えていますか?

池氏:
 今回の交渉に関しても凄くフレンドリーに進みましたし,現在ではまさに友達同士のような付き合いになっています。次の作品も,C&Cメディアにお願いする可能性は十分ありますね。



4Gamer:
 蜜月状態なんですね。
 さて,次の質問に移ります。中国では,何台のサーバーで運営しているのでしょうか。また,GMの人数も教えてください。

池氏:
 サーバーは50組でGMは80人くらいですね。

4Gamer:
 日本ではどうする予定ですか?

近石氏:
 まず2セットですね。同時接続8000人くらいを想定していますので。

4Gamer:
 なるほどなるほど。では,本家の開発チームは何人くらいなんですか?

池氏:
 だいたい150人です。その150人がこれ専属で動いて,完成までに3年間かかりました。

4Gamer
 150人が3年ですか!

池氏:
 中国は人件費が安いので。

4Gamer:
 とはいえ,150人というのは凄いですよ。

池氏:
 この規模で開発されているゲームは,中国では初めてのものとなるでしょうね。

4Gamer:
 そうでしょうねえ。現状の日本語版の進捗はどうですか?

近石氏:
 今日が契約ですし,まだこれからです。ローカライゼーション自体は1か月半くらいで終わると思っています。

4Gamer:
 みんなが気になる,サービスの開始時期はいつくらいでしょうか?

近石氏:
 クローズドβテストの時期は未定なのですが,オープンβテストを遅くとも11月頃には行いたいと思っています。

4Gamer:
 “中国から初めて日本にくる大作MMORPG”というのを抜きにしても,日本語でプレイするのが待ち遠しい感じです。ありがとうございました。

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