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[COMPUTEX]Intel,デュアルコアIvy BridgeでUltrabookを本格展開へ〜COMPUTEX TAIPEI 2012で明らかになった情報を総まとめ
Ultrabookが正式発表されたのは昨年のCOMPUTEXのこと |
Ultrabookの歩み |
COMPUTEX TAIPEI 2012の初日となる2012年6月5日,Intelは,台湾・台北市で開催された基調講演や,同社主催の報道関係者向けイベントで,Ivy Bridgeこと第3世代Coreプロセッサを採用する“第2世代Ultrabook”と,今後のUltrabookへの取り組み計画を明らかにした。
2011年のCOMPUTEX TAIPEIで「PCを再定義するソリューション」として発表されたUltrabookは,2011年末までに全世界で約20製品が市場投入されたが,あれから1年。COMPUTEX TAIPEI 2012の開幕に合わせて,Intelは第3世代CoreプロセッサのTDP 17W版デュアルコア製品を発表し,それに合わせて主要PCベンダーからは同プロセッサを採用した製品が数多くアナウンスされている。
ここで整理しておくと,今回Intelが発表したデュアルコア版Ivy Bridgeは下記の5モデルだ(※一部仕様は筆者が取材して確認したもの)。
- Core i7-3667U:CPUコアクロック2GHz(最大3.2GHz), 2C4T, 4MB LLC,Intel HD Graphics 4000クロック350MHz(最大1150MHz)
- Core i7-3517U:CPUコアクロック1.9GHz(最大3GHz),2C4T, 4MB LLC,Intel HD Graphics 4000コアクロック350MHz(最大1150MHz)
- Core i5-3427U:CPUクロック1.8GHz(最大2.8GHz),2C4T,3MB LLC,Intel HD Graphics 4000クロック350MHz(最大1150MHz)
- Core i5-3317U:CPUコアクロック1.7GHz(最大2.6GHz),2C4T,3MB LLC,Intel HD Graphics 4000クロック350MHz(最大1150MHz)
- Core i3-3271U:CPUコアクロック1.8GHz(Intel Turbo Boost Technology非対応),2C4T,3MB LLC,Intel HD Graphics 4000クロック350MHz(最大1150MHz)
今回発表された新製品は全モデルで「Intel Hyper-Threading Technology」が有効になるほか,Core i3-3271U以外ではTDP(Thermal Design Power,熱設計消費電力)の枠内で自動クロックアップ機能「Intel Turbo Boost Technology」も有効になる。Core i7-3667Uで最大3.2GHzに達するのはポイントといえそうだ。
- 最大22%のCPU性能向上
- 最大15%の省電力化
- 最大2倍のメディア処理&3Dグラフィックス性能向上
- セキュリティ機能向上
第2世代Ultrabookでは,軽量かつ強度に優れた筐体素材の開発によって各種部品の小型&薄型化を実現し,たとえば液晶パネルは5mm厚から3mm厚に,キーボードのキーストロークは5mmから3.5mmにできたことなどにより,従来のUltrabookよりも薄型・軽量の製品を作りやすい環境が整ったとKilroy氏。
「このような短期間に,Ultrabookに適した技術や部品供給,開発・製造環境が整ったのは,ひとえにUltrabook誕生の地となった台湾が,IT技術が結集する拠点であったことが大きい」と,Kilroy氏は台湾のメーカー各社に謝意を表わしていた。
IntelやOEM関係者は,この17W版デュアルコアIvy Bridgeを「Uシリーズ」と呼んでいたりするため,本稿でも以下,この呼称を用いたい。
Ultrabookで入力系と形状を進化させるIntel
Uシリーズ搭載Ultrabookで3Dゲームもプレイ可能と謳う
具体的には,下に挙げる2要素を,Ivy Bridge世代のUltrabookで推進するという。
- ナチュラルユーザーインタフェースの実装
- タブレットデバイスとの収斂(コンバージェンス)
実際,Uシリーズ搭載のUltrabookでは,すでに30製品がタッチインタフェースに対応し,タブレット端末に変形するコンバーチブル(convertible)タイプもすでに10製品以上の開発が進んでいるとのことだ。
Intelは合わせて,より大型かつ高精細の液晶パネルでタッチインタフェースを実装できるよう,TPKやWINTEK,HannsTouch Solutions,Candoなどといったインタフェース部分のメーカーと協業する意向も明らかしている。
Windows 8の正式投入を控え,Intelはタッチインタフェースの実装を推進していく |
タッチインタフェースに対応するUltrabook。その一部はタブレットに変形するタイプだ |
また東芝が,シネマスコープと同じ21:9アスペクト,1792×768ドットのワイドディスプレイを搭載した「Satellite U845W」を開発中であることも明らかにされている。
Ultrabookプラットフォームだと,熱設計が容易なだけでなく,基板サイズも大幅に小さくできるため,より柔軟なデバイス設計が可能になるとしたSkaugen氏は,「今後は,液晶一体型PCなどにもUシリーズは採用され,コンピューティングデバイスの可能性をさらに広げていくことになる」と予告していた。
なお,OEM関係者によれば,Intelは,「液晶パネルのサイズが14インチ以上では21mm以下,14インチ未満では18mm以下」とする,Ultrabookの厚さに関する要件を緩和しているとのこと。タッチインタフェース対応モデルやコンバーチブルモデルでは,それぞれ+2mmを許容することで,新しいタイプのUltrabookを急速に立ち上げようとしているようだ。
さらにIntelは,タッチインタフェース以外のナチュラルユーザーインタフェース,具体的にはジェスチャーや音声などによる操作にも積極的に取り組んでいく姿勢を見せている。
Windows 8をインストールしたUltrabookにおける「顔認識によるパスワード解除」のデモ |
音声認識による操作も可能になる。Intelは同技術を日本語にも対応させる予定 |
また氏は,「タッチインタフェースへの対応によって,PCゲームでも新しい楽しみ方が広がるはずだ」と述べてもいる。Ultrabookと,その派生製品となる液晶一体型PCが,PCゲームにも新しい世界をもたらすと考えているようだ。
ゲームのデモに利用された,Uシリーズ搭載のUltrabook |
タッチインタフェースによって,PCゲームでも新しい楽しみ方が広がるという |
Intel公式Webサイト
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