テストレポート
「GeForce 8800」&「ATI Radeon HD 2900 XT」でDirectX 10版「ロスト プラネット」ベンチマークモードを試す
これまでも何度かお伝えしているが,ロスト プラネットは(パッチレベルの対応を除くと)世界初のDirectX 10タイトルだ。デモ版はDirectX 10とDirectX 9の2バージョンが用意されているが,そのいずれにも,フレームレートを計測できる「PERFORMANCE TEST」モードが用意されていることは,すでにインストールを終えた人ならご存じのことと思う。
さて筆者の手元には現在,DirectX 10対応のNVIDIAおよびAMD(のATIブランド)製ハイエンドGPUを搭載したグラフィックスカードがちょうど4製品揃っている。なかなかこんな好機はない……というわけで,「DirectX 10はどうなのか」をチェックしてみたい。
ただ,2007年5月14日のプレビュー記事でお伝えしたように,「ATI Radeon HD 2900 XT」のドライバは未完成。このタイミングで,カプコンがNVIDIAと提携して開発したタイトルを使ってベンチマークテストを行えば,結果は見えていると言わざるを得まい。
つまり今回は,製品の機能/性能を比較しようというのではなく,配布が始まったロスト プラネットをいますぐDirectX 10環境で動かすとどうなるのか単純に確認してみようというのが趣旨だ。数値の比較という意味では,主にDirectX 10バージョンとDirectX 9バージョンでのスコアの違いを中心に見ていく。
■GeForce 8800シリーズ&ATI Radeon HD 2900 XTを用意
■Windows Vista上でDirectX 10/9のスコアを見てみる
なお,GC-HD2900XT-VIE3の動作クロックはコア740MHz,メモリ1.65GHz相当(実クロック875MHz)で,先にプレビューで試用したリファレンスカードと同じだ。
ロストプラネットのグラフィックス設定は,GPU/DirectXのバージョンを問わず標準状態が同じだったので,これを採用。時間の都合と,ハイエンドグラフィックスカードの検証ということを踏まえ,1280×960ドットと1600×1200ドット,2パターンの解像度でテストを行う。
このほか,アンチエイリアシング&異方性フィルタリング設定に関しては,4Gamerのベンチマークレギュレーションに準拠し,一切適用しない「標準設定」と,4xアンチエイリアシング&8x異方性フィルタリングを適用した「高負荷設定」の二つを用いる。
以上がテストのセットアップだが,ベンチマークスコアを紹介する前に,触れておかねばならないことがある。それは,ATI Radeon HD 2900 XTを利用したときの不具合だ。
それに対してATI Radeon HD 2900 XTの場合は,そもそもゲーム側からアンチエイリアシングの設定変更不可。それだけでなく,本来動くオブジェクトに対してのみ適用されるべきモーションブラーが(背景などの)静的オブジェクトにも適用されてしまい,結果として画面がボケた感じになるほか,“ブラーを取る”ときの境界面がきつく出るのか,画面にブロック状のノイズが現れるなどしており,ゲームをプレイできるレベルになっていない印象を受けた。
今回のテスト環境では,DirectX 10モードにおいて「Fraps」からムービーを撮ることもできなかったので,S-Video出力したものをキャプチャして,以下のとおり並べてみた次第である。
現時点でグラフィックスドライバ側の問題なのか,はたまたゲームプログラム側の問題なのかは分からないが,ロスト プラネットの製品が発売されるまでには修正されてほしいところだ。
なお,ATI Radeon HD 2900 XT&DirectX 9モードだと,この問題は発生していない。
■DirectX 10ではフレームレートがやや低下
■メモリ容量が効いてくる場面も見られる
前置きが長くなったが,以下,ベンチマークスコアを順に見ていくことにしよう。グラフ内ではGPU名を省略して表記するので,注意してほしい。「GeForce 8800 GTS」の2モデルは,グラフィックスメモリ容量をGPU名の後ろに括弧書きで付けてある。
グラフ1,2は雪中のシーンにおけるパフォーマンスを見る「Snow」の平均フレームレートをまとめたもの。標準設定におけるGeForce 8800シリーズの3製品について見てみると,測定誤差とも取れる2〜3fpsの変動はあるものの,「片方のDirectX 10(あるいは9)だけスコアが低い」という現象は生じていない。ただし,描画負荷が高くなる高負荷設定時は,DirectX 10環境のスコアが目に見えて落ち込んでいるのも分かる。とくに高負荷設定の1280×960ドットにおけるGeForce 8800 GTXのスコアでは,DirectX 10がDirectX 9より15%程度も低い。
一方,ATI Radeon HD 2900 XTは,DirectX 10のスコアが明らかに異常だ。これは先述したとおり,画面内のオブジェクトすべてにモーションブラーを適用してしまっているからだろう。
ロスト プラネットのデモ版で用意されているPERFORMANCE TESTにはもう一つ,洞窟内のシーンにおけるパフォーマンスを見るための「Cave」が用意されている。こちらのスコアをまとめたのがグラフ3,4だ。
Caveは,SnowよりもCPUがボトルネックになりやすいテストのようで,Snowのときと同じ理由でスコアの上がらないATI Radeon HD 2900 XTを除くと,標準設定における1280×960ドット時のフレームレートはすべてDirectX 9/10とも50fps強で揃っている。
ただ,Caveは同時にオブジェクトの数が多いため,描画負荷の高まりによってグラフィックスメモリ容量の違いがスコアに影響してくる。
興味深いのは,高負荷設定時における1600×1200ドットのスコア。描画負荷が高まるとGeForce 8800 GTSのスコアが下がるという点ではDirectX 10もDirectX 9も同じだが,DirectX 10では,DirectX 9よりも負荷が高くなっているようで,グラフィックスメモリ320MB版GeForce 8800 GTSのスコアがより大きく下がっている。DirectX 9環境では生じない差が,DirectX 10環境では10fps強もの違いになっている点は忘れずに指摘しておきたい。
■「DirectX 10環境でアンチエイリアシング」には
■ハイエンドのカードが必要な気配
ただ,GeForce 8800であっても,安閑とはしていられないことがフレームレートからは見て取れる。とくにアンチエイリアシングを有効化するような局面では,GeForce 8800 GTSであっても苦しい場面が出てきそう。現時点では比較対象がほとんどないので,「DirectX 10世代のゲームのなかで,ロスト プラネットはどれくらい“重い”のか」は分からないが,水準以上のグラフィックス品質でDirectX 10世代のゲームを快適にプレイしようと思うなら,GeForce 8800シリーズでも苦しい場合が想定し得ることは,記憶に留めておいたほうがよさそうだ。(ライター・宮崎真一)
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