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[GDC07#01]ValveのKim Swift氏が,プロジェクト「Portal」を語る
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印刷2007/03/06 17:51

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[GDC07#01]ValveのKim Swift氏が,プロジェクト「Portal」を語る

Kim Swift氏
 「Half-Life 2: Episode Two」「Team Fortress 2」に続く,Valve Corporationの“第3のプロジェクト”として知られる「Portal」について,プロジェクトリーダーのKim Swift(キム・スウィフト)氏が,わずかではあるが解説を行った。

 これは同氏が行った,GDC初日の独立系デベロッパを対象とするセミナー「From Narbacular Drop to Portal」(Narbacular DropからPortalまで)と題した講演の中でのことで,Portalの詳細までは語られなかったものの,その輪郭が見えてきた点で興味深い。

Narbacular Drop
 そもそも,スウィフト氏ら総勢7人のPortal開発メンバーは,ワシントン州レドモンド市やカナダのバンクーバーに校舎を持つ,ゲーム開発専門学校DigiPen Institute of Technologiesの学生だった。DigiPenでは,在校中の4年間は毎年ゲーム制作に関わることが義務づけられているそうだが,ちょうどシニア(4年生)のときに彼らが開発していたのが,演題にある「Narbacular Drop」なのである。
 このNarbacular Dropは,3Dグラフィックスや物理効果を使ったパズルゲームで,計画どおり2004年春から1年をかけてほぼ完成。2005年春には同校の公式サイトなどで無料ダウンロードされるようになり,10日間で20万ダウンロードという驚きのアクセス数を記録した。なおこの作品は,GDCで開催されるIndependent Game Festivalという独立系ゲーム開発者達の賞の,学生部門にも出展されて話題を呼んでいる。
 その後,DigiPenがValveと地理的に近かったこともあり,スウィフト氏らのチームはValve社長のGabe Newell(ゲイブ・ニューウェル)氏によってオフィスに招待され,Valve開発者達の前で直々にNarbacular Dropのデモを行う機会に恵まれた。
 デモは非常に好評で,

「DigiPenを卒業した後,まだ就職口を誰も見つけていない」
「それなら,ウチに来てSourceエンジンで作り直してみないか」

 そんな簡単なやりとりの末に,7人全員がValveに雇用されることになったのだそうだ。Valveは過去にも「Team Fortress」や「Counter-Strike」「Day of Defeat」など,MOD系のアマチュア開発者達を社内に取り込んで即戦力として活用してきたことで知られているが,この元学生達の場合も,同様の“サクセスストーリー”というわけだ。今回,会場に集まっていた聴講者の中には,現役の学生やアマチュア開発者も少なくなかったはずで,そんなスウィフト氏の話を興味深く聞いていた。

 さて,演題がそもそもこうであるから,さすがにPortalのデモなどはなく,ほとんど新しい情報は出なかった。ただ,このNarbacular DropこそがPortalの原型であり,PortalがNarbacular Dropと同じく物理法則を利用した,一人称視点のパズルゲームになるというのは分かった。「入り口」と「出口」のポータルドアに異なる彩色が施されているのも,Narbacular Dropと同じようである。
 ゲーム内の世界は,Half-Lifeシリーズ風の研究室や地下路へと進化し,いかにもなSourceエンジンのMODゲームへと変貌している。プレイヤーは,Half-Life 2に登場するグラビティ・ガン「ASHPD」(Aperture Science Handheld Portal Device)を持ち,壁や天井に穴を空けて移動したり,オブジェクトを使用するなどして問題を解決していく。
 Portalは,Half-Life 2: Episode Twoの今秋リリースに前後して,Valveの運営するオンライン配信サービス「Steam」で無料配布される予定。Electronic Artsから発売されるパッケージ版にも付属される見込みだ。全体で3時間程度のシングルプレイヤー専用ゲームだが,ひとクセもふたクセもある,変わり種のミニゲームとして話題になることだろう。(ライター:奥谷海人)

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