インタビュー
「モンスターハンター フロンティアZ」開幕&PS4版サービス開始を記念して,宮下輝樹氏と今村謙介氏に10年目の意気込みを聞いてきた
関連記事:「モンスターハンターフロンティアZ」のアップデートが本日実施。辿異種や極ノ型が解禁,アップデート記念イベントなどもスタート
2007年7月のサービスイン(当時は「モンスターハンター フロンティア オンライン」)から10年目に突入し,「MHF-Z」への改称は大きな変革の証と言えるだろう。そこで,今回のアップデートについて,本作のプロデューサーを務める宮下輝樹氏,同じく運営ディレクターの今村謙介氏に話を聞いた。
「モンスターハンター フロンティアZ」PS4版プロモーションサイト
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PlayStation Store「モンスターハンター フロンティアZ」(PS4版)ページ
10年目に突入,MHFはGからZへ
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。
さっそくですが,11月9日に実施された大型アップデート「MHF-Z」についてお聞きします。8月に大々的に発表されましたが,どんな反響がありましたか。
宮下輝樹氏(以下,宮下氏):
いろいろな声をいただいていますが,良い感触を持っていただいている人が多いのかなという印象です。とくにハンターのアクションが変わるという試みは,これまでにも何回か行ってきましたが,その中でも「一番良くなるんじゃないか」という声をいただいております。
ネガティブな意見としては,「MHF」から「MHF-G」へのアップデートを思い出されている人がいましたね(苦笑)。それでも,アクションの変更に関しては好意的でした。
記事への反響も大きかったです。
宮下氏:
我々の予想以上に大きな反響でしたね。その期待にちゃんと答えないといけないと,チーム一同,身が引き締まる思いでした。
当初はアップデートまでに1つずつ,順番に新要素を見せていこうと考えていたんですが,反響を受けてからはスケジュールを前倒しにして,Twitterでハンターのアクション紹介を行ったりしました。それによって,さらに反響が大きくなり,良い循環を生み出せていたのかなと思います。
今村謙介氏(以下,今村氏):
「極ノ型」を公開していく中で,「自分が使っている武器種はどうなるの?」という意見は凄く多かったですね。
宮下氏:
我々も一度に全部紹介できなかったので,順に公開したんですが,「あの武器種はまだか!」という意見はたくさんいただきました。
今村氏:
極ノ型は,今までのスタイルの最高峰という位置づけですが,あらためて13種類の武器種すべてにしっかりと光が当たるように準備させていただきました。使いやすさや攻撃力を上げたり,回避につなげやすくしたりと,基本的には上方修正という形でのバランス調整を行いました。
ただ,「穿龍棍」だけは若干,ほかの武器種に比べて強い状態だったので,少し下方修正を行いました。
宮下氏:
やはり「穿龍棍」一択といった遊び方になってしまうと,モンスターによって武器の属性や種類を変えたり,パーティー構成を考えるということが無くなってしまいますから。
4Gamer:
ちなみにガンランスはいかがですか。
宮下氏:
いい感じです。より派手に,よりインパクトが出せていると思います。走りながらのリロードとかカッコいいですよ!
4Gamer:
「MHF-Z」ではタイトルの改称が行われました。チーム内で「大きく変えなきゃいけない」といった意識があったのでしょうか。
宮下氏:
そういうわけではないんですが,「G10の次には何か仕掛けよう」という相談はありました。タイミングとしては,ちょうど今村がチームに加わったぐらいなので,約1年前です。
今村を含めた新しい開発体制で,「MHF-Z」をほぼ一から構築し始めていたというのもあり,このタイミングで改称に踏み切った感じです。
4Gamer:
なるほど。
宮下氏:
「MHF-Z」のロゴが一番最初にできたんですよ。最初,リーダー陣しか「MHF-Z」のことは知らなくて,チーム全員に説明するときには,すでにロゴがある状態でした。
「MHF-Z」のコンセプトは,これまでの「モンスターハンター フロンティア」の遊びを残しつつ,「モンスターもハンターも進化する」というものでした。今回,「Zを極め、頂点へ。」というキーワードを使っていますが,頂点で新しいものを体感してもらうというコンセプトとロゴが決まってから開発が始まりました。
ZにはZenith(頂点)という意味があるんですが,開発チームとしても頂点を目指して作ろうという意気込みを込めています。
宮下氏:
ただ,G級の上に「Z級」を作ると継ぎ足した感が出てしまうので,「それはやめましょう」と。最初から「MHF-Z」の新しい要素に触れられるというわけではありませんが,慣れてきた頃に体験してもらえるようにはしています。
G級のときには「頑張ってG級に来たのにポカラドンか!」というのがあったと思うので。
4Gamer:
当時の反省が生かされていると。
宮下氏:
もちろんです。当時に関しては,本当に申し訳ありませんでしたとしか言えませんが,それを繰り返さないように気をつけています。
4Gamer:
「MHF-Z」の実装からまだそんなに時間が経っていませんが,プレイヤーの動向や反響はいかがですか。
宮下氏:
「MHF-Z」の新しい要素は,ある程度プレイしないと体験できないので,最初はたくさんの休眠ユーザーに戻ってきていただけると考えていました。ただ,蓋を開けてみると新規ユーザーの割合が多かったんですよ。我々の予想の2倍ぐらいでした。
もちろん,過去に遊んでいたユーザーの復帰もそこそこ多く,両方合わせるとかなりの人数になるので,かなり盛り上がっています。
4Gamer:
嬉しい誤算と言いますか,事前の予想以上という感じですか。
宮下氏:
そうです。ありがたいですね。
さらにPS4版のスタートに合わせて,以前のアップデートから,ゲームを始めてからG級までの階段の上がり方を少しずつリファインしていました。たとえば,「HR(ハンターランク)を999まで上げて,さらにSR(スキルランク)を999まで上げる」というG級までの長い道のりを,「キークエストだけクリアすれば,HRが上がってG級にたどり着ける」ように変えたところですね。
それが功を奏し,「MHF-Z」で新しく始めていただいたユーザーにも楽しんでいただけている状態です。
今村氏:
私自身,あらためてやり直してみましたが,約10時間でG級に上がれました。新規ユーザーにも,すぐにG級のコンテンツ,とくに「極ノ型」とか「辿異(てんい)クエスト」に挑んでもらえると思います。
実際,クエストの受注割合を見ると,辿異クエストが全体の45%を占めています。
宮下氏:
辿異クエストもランクが4つあるので,最も低いものは幅広いユーザー層にやっていただけるものになっています。もちろん一番難しいものは,歯応えのある難度ですが。
こうした幅広い難度で提供していくというのも,今回のアップデートのコンセプトだったんです。
4Gamer:
最高難度をクリアしたハンターも,すでにいますよね。
今村氏:
はい,初日に(笑)。しっかり装備を整えたハンターが4人集まると,倒せるようにはなっています。ただ,辿異武器を持っていないと,発達部位の破壊が難しかったりしますから,そこは辿異武器を揃えてから,という形になるのかなと。
宮下氏:
発達部位を破壊しないと,貴重な素材が手に入らない仕組みになっているので,その段階に至っているハンターはさすがに少数でしょう。
4Gamer:
その辿異武具ですが,これは持っている人と持っていない人では相当差が出ますよね。スキルがそのまま増えるわけですから。
宮下氏:
ちょっとやりすぎなんじゃないか,と思われるかもしれませんね。
4Gamer:
辿異武具の実装によって,狩猟がどう変わるのか。チームとしての狙いはどのようなところにありますか。
まず,新しいモンスターである辿異種を狩猟したご褒美として,武器・防具というのは必要だと思っています。これまでのインタビューでも何度か申し上げていますが,ユーザーは最強と思う装備を作ってしまうと,なかなか装備を替えないんですよね。
そうすると遊ぶ目的が失われてしまいますが,やはりオンラインゲームなので,少しずつでも上を目指してほしいという思いがあります。
ただ,性能を上げるだけでは限界があります。スキルの枠を増やしたり,スキルをより強力なものにするといったオプションがないと,武器や防具を欲しいと思ってもらえないんですね。
あとは,武器防具を作っても,目標となるモンスターがいなければダメです。なので,やはり武具とモンスターの両面で底上げが必要でした。武器防具を一旦作り直して,あらためて最適解を悩んでほしい,というのが我々の狙いです。
今村氏:
モンスターに挑むにあたって,装備や武器種を考え,最適解を探していくという遊びが,モンスターハンターにはあったと思うんです。ただ,新しい要素が追加されるなかで,そういった遊びが薄れている部分があったので,そこをもう一度見直しました。
狩猟目標である辿異種のモンスターに対して効果的なスタイル,辿異種が使ってくる状態異常に対する辿異スキルといったことを,しっかりと考えてほしいですね。
宮下氏:
一つ補足しておくと,辿異スキルや辿異武具は辿異種のモンスターを倒して,ようやく手に入るもの。でも,辿異種のモンスターを倒すのに効果的なのは,辿異スキルであり,辿異武具です。
「どっちが先なの?」という感じですが,そこで4つのランクを用意したというわけです。最も易しいランクで武器や防具を作ってから,次に実装されるモンスター討伐を目指してもらえます。
4Gamer:
その狙いは当たっていますか。
宮下氏:
そうですね。「モンスターが強すぎる」という声がないことはないのですが,基本的には想定どおりです。
もう1つ,「猟団迎撃戦」は既存ユーザー向けのコンテンツですね(関連記事)。
宮下氏:
「真説」とあるとおり,これまでの「歌姫狩衛戦」に新要素を追加し,さらに強化したイメージです。確かに,どちらかというと既存ユーザー向けのコンテンツになります。
今村氏:
やはりオンラインゲームなので,ギルドやコミュニティといった部分も強化していかなければいけません。遊び方も普段の狩りとは少し違う見え方もあるのかなという部分,そして猟団の中で相談や会話が生まれることによって,新しい遊びにつながるのではないかと思っています。
4Gamer:
先ほど,今村さんは約10時間でG級に上がれたとおっしゃいましたが,完全な新規ユーザーだとどのくらいかかるものでしょうか。
宮下氏:
新規のユーザーでも20時間ぐらいで上がれると思います。
とくに,PS4版のサービス開始(11月22日)に合わせて,新規ユーザーが駆け上がりやすくなるイベントやキャンペーンを開催しますので,それを利用してもらうと,さらに上がりやすくなるでしょう。
今村氏:
G級までスムーズに進めるような武器や防具を提供します!
プレゼントしちゃいますからね(笑)。しかも,どのプラットフォームで始めていただいても対象になります。
もちろん,PS4で始めるとちょうどいいタイミングではありますが,そんな人のために「ビギナーズパッケージ」をご用意しました(笑)。
(一同笑)
宮下氏:
全13武器種がすべて入っていますので,すぐにいろいろな武器が試せますよ。
今村氏:
PS4で始める人は,ぜひお買い求めいただければと。
6番目のプラットフォーム,PS4版がサービス開始
4Gamer:
ここからは,PS4版についてお聞きしたいと思います。先日の「みんなでテスト」に参加したのですが,グラフィックスはPC版の「High Grade Edition」とほぼ同等と考えていいでしょうか。
宮下氏:
基本的には,High Grade Editionをベースにしています。さらに,PS4に最適化した調整を行っています。つまり,PS4で見ると一番綺麗な状態に仕上がっているということです。
また,UIに関しても最適化を行いました。具体的には,PC版のUIをそのまま適用すると,HD解像度以上では小さすぎて認識しづらかったので,High Grade Editionの高い解像度はそのままに,UI部分のみ認識しやすくなる調整を施しています。PS4版をプレイされる人は,HD解像度以上のテレビで遊ぶ人が多いと思いますので,それを想定した対応となります。
4Gamer:
コンシューマ機では唯一,High Grade Editionをベースにしたグラフィックスということですね。
宮下氏:
そうですね。「これなら大丈夫だ」という部分まで,到達できたと思います。テストによって報告された不具合も,ほぼ修正していますので。
4Gamer:
テストの参加者についてはいかがですか。
我々が想定していた数の2倍から3倍のユーザーに参加していただきました。途中でサーバーを足しながら,テストを実施していった形です。評判も悪くなく,PS4初のモンハンという部分を評価していただけたのかなと。
クライアントのダウンロード数も,ソニー・インタラクティブエンタテインメイトの担当者さんが驚かれたほどで,「凄いダウンロード数ですよ!」と電話がかかってきました。電話口では冷静を装っていましたけど,内心は「よかったよかった」と思っていました(笑)。
今村氏:
ガッツポーズしてましたよね(笑)。
4Gamer:
結果,テスト参加者は11万1600人です。注目度の高さをひしひしと感じますね。
宮下氏:
プレッシャーでもありますけどね(笑)。
今村氏:
ありがたいかぎりなので,ますます頑張ります。
4Gamer:
おそらく新規ユーザーも増えるでしょうね。
宮下氏:
PS4をお持ちで,オンラインゲームをあまりやらないけどモンハンは知ってるという人でしたら,メゼポルタ広場でキークエストをプレイするだけでも雰囲気を味わっていただけると思います。HR4までなら,無料で進めてもらうこともできます。
多くのハンター達と一緒にクエストに行くというところで,オンラインゲームらしさを感じていただけますよ。オリジナルのモンスターも登場しますので,ぜひ体験していただきたいですね。
4Gamer:
現時点で辿異種のモンスターが4体実装されていますが,PS4のサービスインに合わせて実装されるモンスターを教えてください。
今村氏:
PS4版のサービス開始記念として,「裂水竜 ゼナセリス」を実装します。コウモリをイメージした新しいモンスターですが,ドラギュロスやベルキュロスに近しいイメージを持たれるユーザーもいらっしゃると思います。翼にぶらさがっている触手が「うっとおしい」と感じられたかもしれませんが……。
宮下氏:
これ,切断できるんですよ!
今村氏:
先に言われた(笑)。そういった要望も多かったので,切断できるようにしました。もちろん,非常に歯ごたえのあるモンスターになっていますので,ぜひ討伐に挑んでいただきたいと思います。
4Gamer:
ドラギュロスやベルキュロスのイメージで臨むと……。
宮下氏:
ボコボコにされるでしょう(笑)。
今村氏:
その後,12月21日に遷悠種のゴア・マガラを実装します。
宮下氏:
元々,狂竜ウィルスでいやらしく攻撃してくるモンスターですが,そこからさらに「MHF-Z」らしくするつもりです。今村がどんな意地悪なモンスターに仕上げるのか,期待していただければと(笑)。
今村氏:
いやいや(笑)。ちゃんと楽しんでもらえるように,オリジナルからもう一段階,強力なモンスターへと変化を入れさせてもらいます。
ゴア・マガラはこれまでになかった骨格のモンスターなので,新モンスターのバリエーションも増やしていけると思います。今後の追加にも期待してください。
辿異種も来年1月にドドブランゴとリオレウス,2月にティガレックスとアクラ・ヴァシムを実装します。こちらもお楽しみに。
4Gamer:
毎月追加されるということですね。
宮下氏:
毎月2体ペースです。モンスターを1体作るのに,1か月では足りないんですけどね……。
今村氏:
この1年で作り上げてきたものを一気に出しています!
宮下氏:
年末年始はもちろん,その先も盛り上がっていけるんじゃないかなと思っています。
4Gamer:
来年以降の展望はいかがでしょうか。
宮下氏:
実は,次期大型アップデートの準備も進めています。おそらく来年の夏になると思いますが,そこでもうひと山,仕掛けたいなと。
その理由ですが,ちょうど10周年のタイミングなんですよ。「MHF-Z」でのユーザーの反響や状況を見つつ,これから作り込んでいきますので,来たるべきタイミングで発表させていただきます。
今村氏:
10周年記念にふさわしいものを考えています。
宮下氏:
プロデューサーの顔が入ったゴゴモアとか?
今村氏:
ミヤモアですか(笑)。
4Gamer:
そのアップデートの名称は「Z2」でしょうか。
宮下氏:
チーム内で使っている仮称は「Z2」ですが,正式名称は現在調整中です。Zと2がよく似ているので,どうしようかなと(笑)。
今村氏:
「ZZ」だと怒られそうですし(笑)。
(一同笑)
今村氏:
アップデートのたびに「ZZZ」「ZZZZ」と増やしていけば……。
宮下氏:
ただのアホじゃないの(笑)。
今村氏:
ちゃんと考えます(笑)。
4Gamer:
それでは,4Gamer読者に向けてメッセージをお願いします。
「MHF-Z」のアップデートでは,これまでと違う新しいハンターのアクション,新しいモンスター,さらに新しい装備構成を模索して挑んでもらおうと考えて,しっかりと作り込みました。「モンスターハンター」の根っこの部分ですね。
自信を持って準備しましたので,ぜひPS4のサービスインを機に「MHF-Z」を遊んでください。そこから意見を寄せていただき,オンラインゲームならではのアップデートで広がっていく流れに参加してほしいと思います。
宮下氏:
これまで遊んでいただいている皆さんには,新しくなった「MHF-Z」を体感してほしいですし,PS4から始めるユーザーにはナンバリングのモンハンとは違う遊び,その先にある「MHF-Z」の要素も体験していただけます。ゲーム内外含めて盛り上げていきますので,よろしくお願いします。
4Gamer:
どうもありがとうございました。
【コラボ決定!】あの人気キャラクターとのコラボレーションが決定しました!
— MHF-Z 公式ツイート (@MHF_official) 2016年11月22日
詳細は来週11月30日(水)発表予定!お楽しみに!#MHF #モンハン #雪ミク pic.twitter.com/W8bBXKksad
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