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Intel,グラフィックスコアの性能と互換性の向上に本腰
2010年までに現在比10倍の
3D性能向上をコミット
さらに,45nmプロセスへと移行する2009年には,家庭用ゲーム機レベルの3Dグラフィックス機能をサポートするというロードマップが示された。
Otellini氏らの基調講演を受けて,IDF Fall 2007の一般セッションでは,グラフィックスをテーマにしたものが数多く設けられた。その中にはグラフィックス機能統合型チップセットにおけるゲームへの最適化に関するセッションも用意されたが,そこでは2007年9月上旬にリリースされた最新のグラフィックスドライバにより,「Intel G965/GM965 Express」(以下G965,GM965)および「Intel G35 Express」(以下G35)チップセットにおいて,3Dゲームの互換性とパフォーマンス向上を実現したと説明した。
対応するドライババージョンはWindows XP用の「14.31.1」,Windows Vista用の「15.6」(※いずれも入手は4Gamerの最新ドライバページからどうぞ)。具体的には,上で挙げた3種類のチップセットにおいて,ハードウェアT&Lおよび頂点シェーダ(Vertex Shader)処理を新たにサポートし(※これまではT&L処理もソフトウェアベースだった),同時に負荷に応じてCPUを使ったソフトウェア処理に切り替える「Switchable Vertex Processing」(スイッチャブル バーテックス プロセッシング)をサポートする。
Switchable Vertex Processingは,デュアルコアやクアッドコアCPUのリソースを有効に使い,頂点処理の負荷が比較的軽いゲームを実行するときは,グラフィックスコアのハードウェアリソースをピクセル処理に回すことで,パフォーマンスアップを図れるというもの。これは,将来的にDirectX 10への対応が予定されている(※詳細は後述)プログラマブルなシェーダエンジンを採用したG965やGM965,G35ならではの機能といえるだろう。
実際,セッションでは「F.E.A.R」を使って頂点処理をそれぞれハードウェアとソフトウェアで行う比較デモが披露され,ピクセル処理の負荷が相対的に高い(≒頂点処理の負荷が相対的に低い)タイトルでは,CPUを利用したソフトウェア頂点処理のほうがゲームのパフォーマンスで有利になることが示された。
もっとも,対応チップセットはあくまで3製品のみで,プログラマブルシェーダ2.0(Shader Model 2.0)を採用する「Intel G33 Experss」(以下G33)などが含まれていないのも事実。IntelはG33(やIntel Q3xシリーズ)は3Dゲームプラットフォームではないと位置づけているようだ。なお,現在Intelでは,公式サイト内の「Game Compatibility List」という英語ページにおいて,ゲームの互換性リストを公開している。
Nehalemを目指して進む
Intelのグラフィックス強化
第一段階は,現行製品――といっても搭載マザーボードはまだ発売されていないが――となるG35で採用されているプログラマブルな実行ユニット数を,半導体製造技術の進化にともなって増やしていく手法だ。G35やGM965のDirect3D 10対応は2008年第2四半期に計画されているが,45nmプロセスで製造され,CPUへ内蔵されることになるグラフィックスコアも,G35が搭載するグラフィックス機能「GMA X3500」の進化系になる見通しだ。
しかし,第2段階以降は二つに分岐する。一つは,Intelが「μ-Thread Dispatch」(マイクロスレッドディスパッチ)と呼ぶスケジューラを搭載し,よりDirectX 10の統合型シェーダアーキテクチャ的なアプローチで進化させる方向で,この手法はグラフィックス機能と性能を高める一方で,消費電力を増大させる弊害がある。そこでもう一つ,低消費電力プラットフォーム向けには,G33などで採用されている「GMA 3100」などのように,固定機能の比率を高めることで消費電力を抑える方向性が用意されている。
Nehalemは,現行のCoreマイクロアーキテクチャとはまったく異なるアーキテクチャを採用し,2008年後半にも市場投入される予定だが,Nehalemでは,メモリインタフェースがCPU内蔵となり,またFSBが廃され,6.4Gbpsの帯域を持つ「Intel Quick Path Interconnect」へと変更される。簡単にいえば,マザーボードレベルでも大幅な変更が必要になるわけだ。
とくに問題となるのがグラフィックスの扱いで,(カード上にグラフィックスメモリを搭載する単体グラフィックスカードは問題ないのだが)グラフィックス機能統合型チップセットの場合,グラフィックスメモリへアクセスするためにはIntel Quick Path InterconnectとCPUを通る必要があり,それが性能面のオーバーヘッドを生む原因となる。
そこで,Intelでデジタルエンタープライズグループのディレクターを務めるStephen L.Smith(ステファン・スミス)コーポレート副社長は,「Nehalem世代では,グラフィックスはメモリインタフェースを内蔵するCPUコアに内蔵するのが自然な流れだ」と述べ,近い将来,グラフィックス機能統合型チップセットならぬ,“グラフィックス機能統合型CPU”が市場投入される見通しであることを明らかにしている。Intelのグラフィックス強化は,ほかならぬこのNehalem世代,2008年後半以降のIntelプラットフォームを支えるべく進められているものなのだ。
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