ニュース
Phenom+AMD 7+Radeon HD 3800。秋葉原で開催されたAMD Spiderプラットフォームイベントレポート
ATI Radeon HD 3800シリーズ(以下,Radeon HD 3800),AMD 7シリーズチップセット,そしてPhenomとSpiderプラットフォームの構成要素がすべて発売された直後のイベントということで,連休初日にもかかわらず多くの人を集めていた。とくに,ラストに組まれたお馴染みの土居憲太郎氏によるPhenomの紹介時には,通りにあふれるほどの人が集まり,その注目度の高さがうかがえた。
「AMDの英国紳士」森本竜英氏がRadeon HD 3800シリーズを紹介。Crysisのテクノロジーデモも
なんでも「AMDきっての英国紳士」といわれているのだそうで,実際に物腰は実に柔らか。この業界にはあまり見かけないタイプで,AMDの新しい顔として今後の活躍を期待したいところだ。
Radeon HD 3800に関して,とくに新しい情報がもたらされたわけではないが,森本氏は各社のRadeon HD 3800のグラフィックスカードの紹介を交えながら,Radeon HD 3800の省電力,DirectX 10.1対応,クァッドグラフィックス構成が可能といった特徴をアピールしていた。
4Gamerの3Dテクノロジー系の記事に目を通している読者ならお馴染みの内容だろうが,ジオメトリシェーダの役割,その機能を用いたステンシルシャドウボリューム(陰影を描画する技法)やファー(髪の毛のようなオブジェクトを描く技法)などを取り上げるなど,一般向けのイベントとしては珍しく丁寧に解説していたのが印象的だった。
圧巻だったのは,DirectX 10対応ゲームの例として再生されたCryENGINE 2.0のデモムービーだ。
CryENGINE 2.0は注目のゲーム「クライシス」に採用された最新鋭のゲームエンジンで,DirectX 10に対応し,従来にない強力な3D表現が可能なエンジンとして注目を集めている。
会場で再生されたムービーはテクノロジーデモとして作成されたもののようで,CryENGINE 2.0がサポートするモーションブラー,木漏れ日などを表現するアンビエントマップ,パーティキュラーを用いた埃や煙の表現などを個別に紹介していく内容。GDCのデモ用に作成されたものらしい。筆者は初見だったので,その圧倒的な表現力に驚かされた。おそらく会場に詰めかけたPCユーザー達も,その美しい画像に感心したに違いない(編注:Crytek公式サイトで公開されている。内容のすべてにDirectX 10が関係しているというわけではないが,一部の効果はDirectX 10ならではのもの)。
森氏は「Crysisを始めとするDirectX 10対応のゲームをSpiderプラットフォームでぜひ楽しんでほしい」とDirectX 10の解説を締めくくった。
最後に森氏から,「このイベントで初めて告知する内容」というマイクロソフト主催の年末イベントが紹介された。まず「マイクロソフトがSecond Lifeに進出」するのだそうで,11月30日20時からSecond Lifeのマイクロソフトのブースでプレオープンイベントを行うという。リアルの会場で行われているほかのイベントをSecond Life内のブースに中継するという内容だそうだ。
Second Life内マイクロソフトブースの正式オープンは12月1日。森氏もいるので「ぜひ訪れてほしい」とのこと。
また,12月2日には今回と同じカフェソラーレ リナックスカフェ秋葉原店にて「最新PC,最上位PCでPC Gameを楽しもう」と題するマイクロソフト主催のイベントが開催されるという。Games for Windowsをテーマにしたイベントで,AMDから土居憲太郎氏も参加するという。リリースが相次ぐDirectX 10対応ゲームも紹介されるそうなので,スケジュールが空いている読者は出かけてみるのといいのではないだろうか。
AMDの兄貴が熱くPhenomを語る
会場に詰めかけた人に「PhenomとAMD 7シリーズ搭載マザーボードを買った人はいませんか」と呼びかけたあと(残念ながら手を挙げた人は少なかった)買った人への注意としてPhenomのメモリコントローラからサポートされた「Ganged」モードと「Unganged」モードを取り上げた。
両モードについては4Gamerでもすでに報じているが,Gangedモードは従来でいうデュアルチャンネル(128bitアクセス),Ungangedモードは64bit幅で2つのメモリコントローラを動作させ2組のメモリモジュールにパラレルアクセスするモードだ。
Ungangedモードは,従来のアプリケーションやBIOSからはシングルチャンネルのように認識されるが「アプリケーションによってはUngangedモードのほうが高速に動作する」そうで「Ungangedモードで使うときにはBank InterleavingをAuto(またはEnabled)にし,Unganged Mode supportをEnabledにしてほしい」と設定法を紹介していた。
また,マザーボードのBIOSにまだ問題があるそうで「C3ステートでは本来800MHzまで落ちるはずだが,1GHz程度までしか下がらない」と述べ,BIOSのアップデートでさらに低消費電力になるはずだ,と述べていた。
その上で,Windows ムービー メーカー,Adobe LIGHTROOMの両ソフトを,会場に用意されたPhenom 9500/2.2GHz搭載機とAthlon 64 X2 6000+搭載機で実行させ,Phenom 9500のほうが高速という実演を披露。「消費電力は変わらず性能は伸びている」と,Phenomのパフォーマンスをアピールした。
確かにAhtlon X2 6000+と比較すれば納得の結果ではあるし,コア数分のスレッドを立ち上げるソフトを使用すればPhenomが有利になるのは事実だろう。しかし,PCユーザーがPhenomと比較するのはライバルIntelの製品であって,AMDの製品ではないというのも,また事実だ。
そのIntelについてだが,一部で報道されているように前日22日にインテルの“神様”こと天野伸彦氏も訪れたというマザーボードベンダー主催のオーバークロックイベントで,Core 2 Extreme QX9650が4GHz越えを達成したことに触れ「ドラッグレースの車みたいなもの。直線番長だ。バランスが取れたCPUはPhenom」と述べて会場を沸かせていた。
もっとも,イベントでは森本氏によるAMD OverDriveの実演も行われ,その多彩なオーバークロック機能をAMD 7シリーズの魅力とアピールした後の出来事だっただけに,オーバークロック批判とも取れる発言には自己矛盾めいたところもある。ライバル製品ほどのオーバークロックマージンが望めない一方で,オーバークロック機能をマニアにアピールしなければならないという,Phenomの難しさが端的に出たシーンだったかもしれない。
ご存じのように,現時点では「実に微妙」といわざるをえないテスト結果が出ているPhenomだが,イベントに詰めかけた大勢のPCユーザーの姿にPhenomへの期待の高さがうかがわれる。そういうPCユーザーのためにも,AMDは早期に既報のエラッタ問題などをクリアし,高クロック版をスケジュール通りに投入してと思ったイベントであった。
- 関連タイトル:
Phenom
- 関連タイトル:
ATI Radeon HD 3800
- この記事のURL:
(C)2007 Advanced Micro Devices, Inc.