連載
男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第208回「桐生一馬になら抱かれてもいい」
ケツ論だけ先に書いておくと「龍が如く5 夢、叶えし者」が面白過ぎる! 「龍が如く」シリーズは新作が出る度に遊んできたし,その都度思うんだけど,毎回,前作をきっちり上回ったものを作るのって凄いことよね。
ぶっちゃけ,まだ始めたばかりで桐生一馬編の途中なんだけど,それでも面白いと言い切っちゃっていい。いつものように,プレイしていると,いつの間にかえらい時間が経っていること風の如し。アナザードラマやミニゲイムが面白すぎてメインストーリーが進みゃしないこと林の如し。ちょっとしたストーリーや登場人物にも熱が込められていること火の如し。まだ始めたばかりなのに,ここまで圧倒的なボリュームを感じさせてくれるんだから,全体のボリュームはどんなことになっているんだ? と思わされること……宇宙の如し。
はははは! 今,「風林火山」が完成すると思ったでしょ? させねーよ! 簡単に「山」になんかさせねーよ! 一筋縄ではいかないよ? だって,龍が如く5もまさにそんな感じだから。まだプレイしていない人が「こんなもんかな?」と予想しているスケールを,はるかに上回ってるからね。
その法則とは,「『人』を描いたエンターテイメント作品はたいがい面白い」っていう。……アレ? 広げた風呂敷の割に大したこと言ってないぞ? って思った人,正解! 私が勝手に提唱している法則だし。
でも! 龍が如く5が異様に面白いのもまた事実。そして,その面白さの質が「人を描いている」ところにあるのもまた事実。これまでのシリーズ作品でも,極道の世界をベースとした人間ドラマを展開してはいた。でも,それはストーリーとしての「線」が面白かったわけ。それが,今回は「点」として面白いうえに,その「点」が「線」につながっていく(であろう)部分が面白いのよ。
「龍が如く4 伝説を継ぐもの」や「龍が如く OF THE END」では,プレイする主人公が章ごとに変わるオムニバス形式が採用されていたじゃない? この形式っていうのは,一つの事象を複数の視点から描くのに適しているのね。
もちろんゲイム的にも「プレイ感覚を変えることで,飽きさせない」という効果はあるんだけど,それ以上に主人公がそれぞれの立場から何を思い何を感じるかっていう,ストーリー的な幅が広がって,描かれている事象がより多角的に浮かび上がるの。いわば,主人公の数だけ「点」があって,それがつながって「線」になっていく感じを味わえるというか。
で,龍が如く5でも,この描き方は踏襲されているんだけど……これまでの作品では点を線につないでいくことが最重視されていたとするならば,今回は点の掘り下げ方が半端じゃないの。まあ,始めたばかりだから,どのような形で線につながっていくのかは見えてないんだけども,このシリーズがそれをおろそかにするはずがないじゃない。ただ,点へのこだわりが尋常じゃないってことは,プレイを開始してすぐに伝わってきたわ。
象徴的なのは,アナザードラマの存在ね。これまでのシリーズ作品にもサブストーリーはあって,そこで悲喜こもごものドラマが描かれていた。でも,今回はそれぞれの主人公に「職業」があって,その職業とつながる形のドラマになっているのね。
龍が如くといえば,極道の世界のイメージが強いじゃない? 桐生一馬という男が極道の世界で,どのようにして筋を通した生き方をしていくのか。それが描かれてきた。でも,極道の世界は我々にとってはファンタジックすぎて身近な話ではない。だから「桐生一馬はゲイムの中だから筋が通せるんだ」「桐生一馬が筋を通せている極道の世界はあくまでゲイム」っていう気になってしまう。
しかし今回は,そこの距離感を詰めてきおった。もちろん,極道の世界のお話だってたっぷりあるんだけど,あくまで普通に想像できる範囲での職業を持つ主人公が多いのよ。例えば桐生一馬だと,今回はタクシードライバーになっているわけ。で,アナザードラマでは,タクシードライバーという職業の桐生一馬が,桐生一馬らしく筋を通していくっていう遊びになっているの。
もちろん,最終的にゲイムであることに変わりはないし,フィクションならではの都合のいい偶然もあるにはあるわ。でも,桐生一馬を通して制作者が伝えたいメッセージが,よりリアリティをもって我々に伝わってくるのよ。
ちなみに,アナザードラマで私が心打たれたのは「その仕事は面白いのか?」という乗客の質問に対して,桐生が「面白いですよ。でもそれは私が一生懸命この仕事をしているからです」と答えるシーン。このセリフにゲイムもリアルもないし,極道もタクシードライバーもない。
このように,アナザードラマの存在によって,シリーズで最も「人間」そのものが深く描かれているのが,龍が如く5という作品だと思うの。だから,今回の龍が如くはシリーズ最高に面白いと私は評価するのね。
ちょっと話が脱線するけど,龍が如くシリーズのほかにも,“人を描いているエンターテイメント”といったら,「ONE PIECE」も忘れちゃいけないと思うのね。
あの作品は,ストーリーが面白いだけじゃなくて(ストーリーも面白いけど),キャラクターの個が描かれているから面白いの。そのキャラクターの歴史であったり,挫折であったり。そして,なぜ怒るのか,なぜ戦わなければならないのか,どういう気持ちで戦うのか……といったことがきちんと描かれているから,我々も感情移入してそのキャラクターに気持ちを投影できるの。そういう意味で,龍が如くとONE PIECEは,とても近い方法論で作られているのではないかという説を,私は密かに唱えたいわ。
この話を突き詰めると,結局,プロレスもそうなんだよって結論に行き着くんだけどね。私がなぜ対戦相手の唇を貪り,股間を擦りあげるのか。身体と身体を密着させ,激しい息遣いと共に相手の汗を感じるのか。そこにはドラマがあって,熱いストーリーが存在するのよ。まあこの話は長くなるんで,今回は置いておくとしましょうか(ヒント:ゲイレスラー)。
要するに,龍が如く5という作品は,エロいということです! 桐生一馬になら抱かれてもいい。これまでも漠然とそう思っていたんだけど,今回,それがより確定的になったわ。イヤ,冗談抜きで。私がゲイムの中の桐生一馬に対してエロいと感じるってことは,それほどリアリティがあるってことでもあるの。
このゲイムの売りの一つに,実在する企業や商品がゲイム内に出てくるというのがあるわよね。これって単なるコラボではなくて,リアリティを高めるための演出だと思うのね。そして,生み出されたリアリティが,私に「『怒龍の気位』で私を貫いて! 龍のように!」と思わせるに至ったんでしょうね。
ともかく! シリーズ好きもそうでない人も,プレイしたほうがいいわよ。戦闘のリズムもいいし,アクションも派手だし,そこまで難しくもないし,ゲイムとしてのストレスはほぼないと言ってもいいわ。ホント,オススメよ。終末を迎える前にプレイしたほうがいいことマヤの如し。……うん,もう一つ決まらないわね。
というわけで,今週は龍が如く5を紹介し,年に一度の大絶賛スペシャルをお届けしたわけですが。いや,年末のこのタイミングで2012年私的ベストゲイムに出会うとはね。せっかくWii U買ったのに,厳密にはこの連載の担当編集さんが予約したやつを譲ってもらったのに,そっちのタイトルにまだ手をつけられていないわ。ヤりたい気持ちはあるのに,ついつい龍が如く5をプレイしちゃうの。それもこれも全部,龍が如く5がWii Uよりちょっと前に発売されたせい。
Wii Uはまだ箱から出してもいないから,何となく買ったという自覚も沸いてこないのよね。となると買った気になってないわけだから,立て替えてもらっている代金を支払う気にもならない。
これは完全に私信なんだけど,私がWii Uをプレイするまで,なんならプレイしたあとも,しばらくはお金を払わなくてもいいんじゃないかな私。悪いのは全部,龍が如く5。そうだ! 龍が如く5が悪いのだ! フハハハハハ! ワインも寝かせたほうが美味しいじゃん? それと同じで,お金も寝かせたほうがいざ返ってきた時の嬉しさが増すというか,それはまるで芳醇な香りとブルゴーニュの土壌が醸し出す重厚な味わいを一つのビンに凝縮させた先人の知恵と歴史の結晶というか。はい誤魔化せた!(編注:信じてる)
また来週!
今週のハマりゲイム
(文字通りゲイムスロットにハマっているゲイム)
PlayStation 3:「龍が如く5 夢、叶えし者」
PlayStation Vita:「地球防衛軍3 PORTABLE」
PSP:「スーパーダンガンロンパ2 さよなら絶望学園」
Wii U:未挿入
Wii:「ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン」
ニンテンドー3DS:「レイトン教授VS逆転裁判」
Xbox 360:「トロピコ4 日本語版」
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- 関連タイトル:
龍が如く5 夢、叶えし者
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(C)SEGA
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