男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ：第325回「何のために何を賭けるか」

著者近影

　カジノ。言わずと知れたギャンブル場のこと。これまで日本にカジノはなかったんだけど，それを作ろうという動きが出てきているのね。要は，経済対策なんだけども。
　大人になると，世の中の複雑さがよく目に入ってくるのよ。何かが起きると別の方面に，その影響が生じたりすることもあるわけで。この件に関して言えば，カジノを作ると，確かに経済活動は活発になるのよね。なぜかと言うと，お金が回るようになるから。不景気になると，みんながお金を使わないから，世の中でお金が回らなくなるのね。でも，カジノがあることによって，使う人が出てくる。結果，お金が回る。
　ただ，治安が悪くなる可能性がある。ギャンブルで負けた人が，自暴自棄になって犯罪に手を染める可能性が高くなるのは想像できるでしょ？　まあ，何事にもメリットがあればデメリットもあって，必ずしも良いことだけではないって話ね。
　で，世の中のルールを作るのが政治家って人達じゃない。その人達にちゃんとヤってもらわないと我々が困るのね。我々はルールに従う側だから。だから，現在置かれた状況でメリットとデメリットを天秤にかけたうえで，適切な政策を打ち出してくれる政治家を，報道機関には紹介してほしいんだけれども。
　残念ながらスキャンダルがあった場合は，そっちばかりを熱心に報じるケースが多くてね。こっちとしては，スキャンダルじゃなくて，彼らが何を目指して，どんなことを成し遂げようとしているのかを見比べたいんだけどなぁ。
　まあいいわ。ともあれ，今，日本は2020年の東京オリンピックまでに，カジノを開業するとかしないとか。そのための法律を整備するとかしないとか。そういう段階なのね。

　という話をまったく踏まえず，今週は「東京カジノプロジェクト」（iOS / Android）について。あ，先にもう言っちゃうけど，上で書いたカジノの話と，このゲイムの内容はあんまり関係ないわよ。キーワードとして「カジノ」が共通してるだけで。
　実はこれ，先週「RADIO 4Gamer Tap（仮）」に出演しているときに，ニュースコーナーで紹介されていて，面白そうだなと思ってiPhoneでダウンロードしてヤってみたのよ。で，結果，めちゃくちゃ面白いんだけども。
　繰り返し言うけど，政治的な意図が入ったゲイムではまったくないわ。リゾート地を開発して得たお金をカジノにぶち込んで遊ぶっていうゲイムだから，冷静に考えたら施設を誘致する立場としてはちょっとどうかと思う部分はあるけど，別にそれも毒がある感じではないのよ。

　要はリゾート地を開発するシミュレーションゲイムである「リゾートパート」と，いろんなギャンブルで遊べる「カジノパート」の部分の二つで，このゲイムは構成されているの。我々が有権者の立場でモノを言うのであれば，カジノにお金をブッ込む政治家なんて御免被りたいところなんだけど，幸いにもこのゲイムのプレイヤーは，リゾート地のオーナー。あくまで民間のお話なわけ。
　でね。冒頭でも述べた金の回り方，これがこのゲイムにおいては絶妙だと私は思っているの。まず，何のためにお金を稼ぐのか。それは，カジノで使うため。では，なぜカジノでお金を使わなきゃいけないのか。それは，街を発展させるための景品が，カジノでしか得られないから。
　つまり，リゾートパートはカジノパートのためにあって，カジノパートはリゾートパートのためにある。この相互関係がゲイムとしてのバランスをうまくとっているのね。どっちかがダルいとゲイムを続けるのがしんどくなりそうなところなんだけど，それがないの。うまいバランスでまとまっている。



　そして，カジノのゲイムが色とりどりなのもまたいい。CPUを相手に遊べるブラックジャックやバカラもあれば，プレイヤー同士で駆け引きができるポーカーもある。オートで放っておいても構わないスロットだってある。カジノというよりは，ミニゲイムのニュアンスが強いパターゴルフなんてものもある。これらカジノのゲイムが，いちいち楽しいってのがいいのよね。
　でまた，何がいいってギャンブルでスッてもお金が無くなるというリスクしかないのがいい。いや，ギャンブルだからそういうものなんだけど。お金って言ってもゲイム内のお金，通称「カネー」だからね。時間が経てばリゾート地が生み出してくれるのよ。何なら，そのために街を発展させてるんだから。
　……あれ？　今私，けっこうヤバいこと言ってる？　いやいや，そういうゲイムなんだからしょうがないじゃない！　街の人々が汗水たらして働いて生み出したお金を，ルーレットの奇数か偶数かを予想して全額ブチ込んだ結果，奇数でも偶数でもないヤシの木（いわゆる0）の枠にボールが入ってしまう，そういうゲイムなのよ。
　ポーカーではスリーカードが来たら勝負かけてもいいっていう雰囲気の中で，フラッシュというさらに強い役が手元に来たから全掛けしたら，ほかのプレイヤーにフルハウスがいて4時間かけて地道に貯めた800枚近くが全部持っていかれる，そういうゲイムなのよこれは！
　で，泣く泣くホール内に落ちているチップを拾ってまたポーカーでコツコツ100枚程度にまで貯めたやつを，フルハウスが来て全掛けしたらフォーカードに粉砕されてしまう，そういうゲイムなのこれは！

　……その，なんだ。ゲイムから人間学ぶことがあるとすればだね。ギャンブルは止め時が肝心ってことですよ。そして，人生の大勝負は，決して運否天賦に頼っちゃいけないってことだ。ゲイム内だったら，まだいいの。街の住人達がお金を運んでくれるから。
　でも，人生でもし，何かを賭けなければいけないときが来るのであれば，それは大体においてお金ではないはずなの。自分の夢だったり，今まで培ってきたモノだったりする。それらは一度失ったら，誰も運んできてはくれない。
　それにギャンブルって冷たいもので，結局は当てたとしても賭けたモノしか返ってこないのよ。お金だったら大量のお金。夢だったら自分が描いていた夢。信頼だったらより多くの信頼。当てたもので別の何かを得ることはあるんだけどね。でも，ギャンブル自体はそういうシステムなのね。
　お金を当ててより多くのお金を得た人は，お金しか勝ち得ていない。でも，失うものが得るものよりも大きかったりもするのね。ホラ，ギャンブルも慈善事業じゃないわけで，トータルでは胴元が勝つようにできてるから。
　勝って得たものが何か，得たもので何をするか。金銭的な問題ではなく。ギャンブルの勝敗が人生の目的であってはいけないわ。その先を見ているかどうか。何のために勝ちたいのか。勝って何をするのか。そのために張れるものを張れるだけ張る。そうすれば，勝とうが負けようが，ブレない。
　言ってしまえばギャンブルとは，利用するべきものであって利用されてはいけないものなの。そう思いつつスリーカードが来たらやっぱり全張りするんだけどね……。


　という感じで，今週は久々に面白いスマートフォン用ゲイムを発見したっていうお話でした。以上，お金は回すものだという主義の元，現実の世界でも借金はないまでもお金は貯まっていない男色ディーノ，もうすぐ38歳がお届けいたしました。大丈夫！　みんなの笑顔を作るためなら，髪の毛すら賭けたっていいんだ！　また来週！

今週のハマりゲイム
（文字通りゲイムスロットにハマっているゲイム）
PlayStation 4：「龍が如く0 誓いの場所」
PlayStation 3：特殊なDVD ※死亡確認→復活予定
PlayStation Vita：「剣の街の異邦人 〜黒の宮殿〜」
PSP：「サモンナイト5」
Wii U：「ゼルダ無双」
Wii：「ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン」
ニンテンドー3DS：「シアトリズム ドラゴンクエスト」
Xbox 360：「剣の街の異邦人 〜白の王宮〜」

■■男色ディーノ（プロレスラー）■■ ディーノ選手が所属するDDTプロレスは，今週末に九州3連戦。4月10日に大分イベントホール大会「Road to Ryogoku 2015 in OITA 〜ドラマティック・ドリーム・とり天〜」，4月11日に北九州パレス大会「Road to Ryogoku 2015 in KOKURA〜ドラマティック・ドリーム・鶏かしわめし〜」，4月12日に熊本市流通情報会館大会「Road to Ryogoku 2015 in KUMAMOTO〜ドラマティック・ドリーム・太平燕〜」を開催します。腰に爆弾を抱えているディーノ選手は，「壊れかけたものを酷使し続けたらどうなるか，会社に見せつけてやるわ」とぼやいていました。