連載
男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第383回「売れてほしい」
企業という形態であれば基本的にはそう。
まあ,そりゃそうよね。かかる費用以上に儲けがないと,企業として存続できなくなっちゃうんだから。
これは,エンターテイメント産業でも同じ。エンターテイメントという商品の多くが無形のものである分,ややこしくなりがちだけれど,商売である以上はかけた費用以上の収益を生み出さなければならないの。こればっかりは,綺麗ごとでは済まされないのよね。どれだけ良質の商品を用意していても,売れて収益を出さなければ企業活動としての意味がない。
一方で,エンターテイメントには責任もついて回るわ。不特定多数の人に向けるのが基本だから,顧客を選ぶことができない。無形のものが商品であるからこそ,内容に関しては売る企業が責任を持って管理しないといけない。
……いや,ここは「お前が言うな」って指摘されても仕方がないところなんだけどね。だって私,ゲイという性的な嗜好を商品にしているわけだから。当然,他人の性的なものなんて見たくない人だっているし,私の存在を受け入れられない人もいるでしょう。「不特定多数の人が見るであろうところにお前が出るな」と思っている人も,実際そう言っている人もいると思うわ。それは正しい。
ただ,ここがエンターテイメントの恐ろしいところで,エンターテイメントならではのダイナミックな解釈で説明できちゃうのよね。それは,エンターテイメントにおいて正解は一つじゃないってこと。
さっきも書いたとおり,エンターテイメントって形がないものが商品なの。手元に残らない。残るのは記憶のみ。例えばライブだったとして,そのシーンが映像化されたとしても,その時の空気感であったり雰囲気であったりは伝わりきらない。音楽でも映画でもいいわ。見たり聞いたりしたとして,そのときの自分の境遇で感じ方が変わるでしょ。昔プレイしたゲイムを今プレイしたら,また違った印象を抱くように。
つまりエンターテイメントとは,“体験したその瞬間にあなたが感じる気持ちこそが商品”と言ってもいいんじゃないかしら。あくまで私のとらえ方だけどね。だから,多様性があってもいい。いろんな気持ちを味わえるのがエンターテイメントの魅力であり生命線なのよね。
だから,私がいてもいいの。ゲイのおっさんがリング上で対戦相手のおっさんの唇をむさぼっていても。それを見て笑うか不快になるかは見た人次第。極端な話,どっちでもいい。どう思うかなんてお金を払った側の自由なんだから。エンターテイメント産業にできるのは,“受け取る側に何かを思わせる”ってところまで。その後は,正直なところ消費者にゆだねられているわ。
で,話を戻すんだけど,エンターテイメント企業も利潤を追求しなければならない以上,リピーターを作りたいわけね。商品が生活必需品ではなく,無形だから。消費者がおかわりをしたくなるような商品を提供する必要がある。消費者は選ぶ権利があるのね。「見苦しいものを見せやがって!」ってなったら,もうおかわりはしない。
社会的責任があるから何をやってもいいってわけではないけど,ほかのエンターテイメント企業では受け取ることができない気持ちを提供しなきゃいけない。エンターテイメント企業としての責任って,そういうことだと思うの。何を提供するのか。みんなが同じものを売っても仕方がない。正統的なものってリーディングカンパニーが売るから,そうではない中小企業は,やはりそうではないものを売らないと利潤は大きくなりづらい。
これ,交易シミュレーションゲイムなのね。このご時世に。ことあるごとに言ってるんだけど,私はシミュレーションゲイムが好きなの。とくに,経営シミュレーションが。スポーツチームを経営するゲイムも好きだし,経営シミュレーションとしての側面も持つ歴史モノだって大好き。国家運営も好き。
さかのぼると「ザ・コンビニ」や「テーマパーク」や「シムシティ」も好きだし,もっとさかのぼると「横綱物語」っていう相撲部屋経営シミュレーションゲイムや「レッスルエンジェルス」という女子プロレス団体経営シミュレーションゲイムも好きだった。「トップマネジメント」やら「エアーマネジメント」とかの経営シミュレーションも当然好き。
何が言いたいかというと,最近あまり出なくなったよねっていうことなのよ。こういう硬派なシミュレーションゲイムって,たぶん地味なものと思われがちなんでしょうね。そしてきっと,大ヒットが生まれにくいジャンルなんでしょうね。
繰り返しになるけど,企業は利潤を追求するからね。効率の悪いタイトルは発売しづらい。頭では分かっているのよ。でも,好きなジャンルのゲイムがどんどん減っていくのは悲しいわよね。そんな中での交易シミュレーションゲイム。経済活動に特化したシミュレーションゲイムなんですって。これを楽しみにしないわけにはいかないのよ。
舞台は11世紀ヨーロッパで,小さな街の領主としてスタートし,最終的にはヨーロッパの皇帝になるのが目的なんですって! ホント,テンション上がるわ! この地味さよ! 派手なキャラクターが前面に出てくるでもない,この殺風景な感じよ!
例えとして正確かどうかは分かんないけど,ビジュアルが優れていない歌手を見るような感覚,とでも言えば分かってもらえるかしら。ビジュアルが優れている歌手は,ビジュアルでも歌でもどちらでも人々を魅了できるけど,ビジュアルが優れてない歌手は歌で勝負するしかない。そういう安心感。
シミュレーションゲイムも地味であればあるほどゲイム性で勝負するしかないからね。そういう意味では私のシミュレーションアンテナはビンビンよ。願わくば,売れてほしい。売れて続編が出てほしいって気持ちもあるし,市場としてこういう地味なタイトルが続々と出てきてほしい。だからこそ,売れてほしい。
そしてもっと言うと,私がプレイしたうえで他人にオススメできるような要素があってほしい。エンターテイメントは無形だから,挑戦する手がかりとして他人の意見って少なくない影響があるからね。来週もきっとこの連載で取り上げるとは思うんだけど,この連載で嘘はつきたくないからオススメできるゲイムであってほしい。
なんだか自分で語っておいて勝手にハードルを上げるのもどうかと思わなくもないけど,でもやっぱり少しでも売れてほしいから自分勝手ながら遠慮なくハードルは上げさせていただくわ。
ビッグネームは否応なしにハードルは上がるんだけど,私の都合で勝手に期待しているのは今年初めてかもしれないわね。まあ,それほど注目しているってことで勘弁してください。
(あと,ここからは小声だけど,こういう今の主流ではないタイトルが市場を席巻してくれると,同じくエンターテイメントにおいて主流ではない私にも勇気がわくから)ぜひ売れてほしいですね!!! 期待しながらまた来週!
今週のハマりゲイム
(文字通りゲイムスロットにハマっているゲイム)
PlayStation 4:「グランドエイジ メディーバル」「ウイニングイレブン 2016」
PlayStation 3:特殊なDVD ※死亡確認→復活予定
PlayStation Vita:「実況パワフルプロ野球2016」
PSP:「サモンナイト5」
Wii U:「Splatoon(スプラトゥーン)」
Wii:「ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン」
ニンテンドー3DS:「妖怪三国志」「学友運命共同体」
Xbox 360:「剣の街の異邦人 〜白の王宮〜」
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グランドエイジ メディーバル
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Grand Ages: Medieval
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