連載
男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第534回「“強さ”の種類」
で,最近“その強さは何のための強さなのか”ということを考えるに至ったの。そりゃね,強いに越したことはないわ。ただ,強さのその次の段階って何? っていう部分で疑問を持っているのよね。
ところで,私,今のところ人生に対して大きな不満はないの。なぜなら楽しく過ごせているから。根本的に“人生,楽しんだほうが得”っていう持論があるからね。私のすべての行動原理はここにつながっているの。
では,なぜ人生が楽しいのか。それは,好きなことで生活できているから。あくまで今のところは,だけど。では,なぜ今のところ好きなことで生活できているのか。それはそこそこの結果を出せているから。あ,ここでいう結果というのは“雇い主に必要とされている”という意味ね。では,雇い主に必要とされるために必要なことは何か。私の場合は“プロレス会社の商品として価値があること”でしょうね。では,どうやって価値を出すのか。
――ここまで考えたときに,いろいろな方法や選択肢が生まれてくるんだと思うの。自分のヤるべきこと,というべきか。普通に考えたら,プロレスラーとしては“強い”に越したことはないわ。“強い”ことで価値が生まれてくる。見ているほうがそれを求めるわけだから。では,“強さ”って何なのか。
ええ,今週,私が焦点を当てたいのはここです。まあ,ハッキリ言っちゃえば“強さ”なんて人それぞれなのですよ。お金を持っていることが“強さ”だと言えばそれも正解。権力も“強さ”でしょうね。もちろん腕力も“強さ”でしょう。駆け引きもそう,精神力もそう,ビジュアルの良さも,知名度も,何かしらの形で他人を魅了する力も“強さ”と言えるかもしれない。
数限りない“強さ”があるなか,我々はどの“強さ”を求めるのか。どの強さをどういった配分で持つのか。それがその人の商品価値を生み出すんでしょうね。そしてプロレスに関して言えば,それぞれの会社や団体が求める“強さ”を持っている人には,商品価値があると言えるんだと私は考えているわ。プロレスっていうジャンルだけじゃなく,これってたぶんプロの世界では大なり小なり同じなんだと思う。
去年の秋にスマホ版が出て,今年の5月にPlayStation 4版とXbox One版が,そして先日Nintendo Switch版が出たのね。で,私は満を持して登場したNintendo Switch版を選んでみたってわけ。
ついでに言うと,実は私,最近KEMCO作品のファンなのよね。コンスタントに面白い作品をリリースしている印象があるから。近年プレイしたアドベンチャーゲイムで傑作だと思っている「レイジングループ」(PC / PlayStation 4 / PlayStation Vita / Nintendo Switch / iOS / Android)もKEMCOから出ていたし。
フォーレジェリアの話に戻るわね,これはRPGです。ドット絵の。非常にオーソドックスなRPG。何がいいって,この“非常にオーソドックス”なところ。
冒頭から語ってきた“強さ”の種類の話をゲイムに当てはめると,それは“グラフィックス”だったり“音楽”だったり“ボリューム”だったりがそれに当たると思うの。そりゃまあ,全部が強ければそれに越したことはない。ただね,何のために強くあるべきかと問われるとゲイムの場合“面白くするため”だと思うの。正確に言えば,“プレイした人を満足させるため”。
グラフィックスも,音楽も,ボリュームも,ゲイムデザインも,キャラクターも。すべてはプレイする人を向いていないといけない。まあ,商業的に言えば若干異なっていて,その場合は“購入する人”に向けないといけなかったりもするんだけども。
そしてフォーレジェリアに関して言えば,味があるとはいえドット絵だし,音楽もそこまで壮大な感じではないし,プレイ感覚で新しいものはさほどないわ。そういう強さはない。でも,面白い。オーソドックスに面白い。
私には年に数回,“妙にRPGをプレイしたい期”がやってくるんだけど,ゲイマーだったらある……わよね? 誰とも共有してない感覚だから私だけの可能性もあるけど。でもまあ,みんなにある感覚だと仮定して進めると,このフォーレジェリアは“妙にRPGをプレイしたい期”にちょうどハマる感じのRPG具合なの。最近のKEMCO作品全般がそういう傾向なんだけども。
戦闘の早送りができたり,オートで戦ってくれたり。そういう意味でゲイムテンポはいいし,ダンジョンも難解な迷路では決してない。それでいて育てる感覚もあるし,仲間も多いし。敵が強い場合はすぐヤり直しできる。結果,RPGをプレイした感が非常に強い。そういう面白さ。
プレイしていて「こ,これは! ゲイムの夜明けじゃあ!」っていう維新が起こった感じはいっさいない。けど,逆にそれが心地いい。安心感ってやつね。おそらく,総プレイ時間も10〜20時間程度でしょう。移動中なんかにも遊びやすいボリュームね。
まあ総じてこういった点がフォーレジェリアの商品価値なんでしょうね。いわゆる最先端や大作の強さはない。けども面白く感じさせるための強さはきっちり持っている。この強さの種類や持ち方,向かう方向に,いちインディープロレスラーである私は,とても感銘を受けたわ。
大作と比べて「グラフィックスがドット絵だしボリュームもない」って言われても,このゲイムにはなんのダメージもないでしょうね。なぜならそういうところで勝負する気がないから。それでも,作品としての強さを,このタイトルは確実に持っている。面白いんだもん。なんかボーっとしながら遊んじゃうんだもん。派手ではないけど強いよ,この作品は。最近のKEMCO作品は。
上から目線で恐縮だけども,消費者として選ぶ側の意見として聞いてちょうだい。ゲイムで遊ぶ時間が限られているからこそ,大作だけをじっくりプレイするってスタイルもいいと思う。だけど,こういう小規模なゲイムでも,十分楽しいゲイム体験ができるのよ。もしも空いた時間があるならば,そこでぜひ。
そんな感じで今回は強さの種類と向くべき方向について考えさせられましたってお話でした。また来週。
今週のハマりゲイム
PlayStation 4:「エースコンバット7 スカイズ・アンノウン」
Nintendo Switch:「フォーレジェリア」
iOS:「ドラゴンクエストモンスターズ スーパーライト」
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