男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ：第655回「『LOST JUDGMENT』の本編が進められない」

著者近影

　この時期がやってきた。待ちに待ったこの瞬間。あー，これこれ！　っていう，あの感覚。
　例えるなら，ボジョレー・ヌーヴォーの解禁日。例えるなら，ハロウィン。例えるなら，緊急事態宣言の解除。いや，私は酒飲まないからボジョレー・ヌーヴォーの解禁にワクワクはしないんだけど，飲めるんだったらきっとこういう気持ちなんだろうなとは思う。私はハロウィン世代じゃないからハロウィンが特別なものって感覚はないんだけど，お祭り好きはきっとテンションが上がってるんだろうなと思う。私はあまり外に出るほうじゃないから分からないけど，緊急事態宣言が解除されて行きつけのお店に夜行くことができるようになって嬉しいってのは，まあちょっとだけ分かる。
　要は，久しぶりに味わってやっぱ好きだなあって再確認して，「あー，これこれ！」ってなる感覚を思い出したって話なのですよ。

　何がって，「LOST JUDGMENT：裁かれざる記憶」（PlayStation 5 / Xbox Series X / PlayStation 4 / Xbox One）のお話。龍が如くスタジオの最新作ね。発売は2021年9月24日だったんだけど，9月30日からの東京ゲイムショウ期間中に4Gamerの配信で扱うって聞いたから，プレイしないでおいたわけですよ（関連記事）。
　で，TGSも終わったことだし腰を据えてプレイし始めたわけだけれども。面白いねえ。もう30時間くらいプレイしてるのに，まだチャプター4。ただ，このチャプター4というのがくせ者で。龍が如くスタジオの作品の傾向として，寄り道要素が充実してくるのがだいたいこれぐらいのタイミングなわけですよ。
　今作で言うと，本編とは別の数々のドラマが展開されてくるのがこのあたり。厳密にはチャプター3から学校に潜入していろいろな部活を体験できるようになる。これがね，本編そっちのけで遊べちゃう。
　で，冒頭につながるわけです。「あー，これこれ！」っていう。本編が進まないよなぁ，でも楽しいし気が済まないから寄り道しちゃうよなぁ……っていうこの感覚こそが，龍が如くスタジオ作品の味だったわ。知ってはいたけど，ヤッて思い出した。ひとまず現時点でできる本編以外の要素はクリアしつくしたっぽいので，このところ麻雀ばっかりヤってる。そろそろ本編を進めようかなーと思ったり思わなかったり。

　さて，そろそろ冷静にこのタイトルを紹介しましょうかね。この作品は，木村拓哉さんが演じる主人公・八神隆之という探偵となって，事件を解決していくアクションアドベンチャーゲイムの第2弾。木村拓哉さんだけでなく，いろんな大物俳優さんが出演しているってことでもおなじみかな。
　まあ，ここまではみんな知っていると思う。まだプレイしたことがない人は，この作品を知るきっかけとして「有名な人がいっぱい出るゲイム」でいいと思う。でも，ちょっとゲイム好きな人物として周りから認知されている人だったらもう一歩踏み込んで，このゲイムを知っておいていいと私は思っているの。
　すなわち，出演する有名な方に全然負けていないゲイム。毎回，龍が如くスタジオ作品は勝負しているんですよ。有名人の知名度と。このゲイムは有名な人が出ているね，「築地銀だこ」「養老乃瀧」「吉野家」など多くの実在企業とコラボしているね，新宿や横浜のリアルな街を再現しているね，ってことだけで終わらない作品なのよ。
　ストーリーも面白けりゃ，寄り道要素も面白い。何より，アクションゲイムとしての操作感が面白い。結果，このゲイムから何が生まれているかと言ったら，謎の没入感なんですよ。木村拓哉さんという主人公，舞台となるリアルな街並み。それでいて派手なアクションだったり，現実にはあり得ないような表現や展開。
　それらの要素が混ざり合うことで，コントローラを握っている間は“この世界”が実際に存在して，そこに入り込んでいるような気分になれちゃうのよね。まさにゲイム。映画でもなく，TV番組でもなく，木村拓哉さん主演のゲイム。ゲイムでしか味わえない面白さ。


　私，龍が如くスタジオ作品をプレイしていると，毎回本編を進められないんだけど，同じように毎回思うのよね。「これで作り手のやりたいことがどれくらい反映されているんだろう」って。サッカーゲイムでも思うんだけど，ゲイム機のスペックやゲイムエンジン，技術は年々向上しているわけじゃない。
　で，実際に新作が出る度にグラフィックスがリアルになっていたり，細かいところまで作り込まれていたりする。当然，それまでにはできなかったようなことが実現できたりもする。ただ，ゲイム作りは期限があるものなので，諦めなきゃいけない要素だってあるでしょう。
　ということを踏まえて，「今こんなに面白いのに，作り手的にはこれで何％の出来なんだろうか？」と，プレイしながら考えちゃうのよね。もちろん，発売にこぎ着けたからには100％と言うでしょう。そこに関しては，私も常に100％の力で試合に臨まなきゃいけない職業であるプロレスラーとして，分かる部分もある。
　でも，やはり100パーセントで試合に臨んで，その時点での自分の力をすべて出した場合でも，反省点だったりヤり残しだったりは存在する。それはある種，伸びしろだとも思っているんだけど，このゲイムにおいてそれはどれぐらいあるんだろう。
　LOST JUDGMENTが今のところの2021年のベストゲイム級に面白いがゆえに，考えちゃうわよね。いちファンが勝手に思うことだから，余計なお世話ではあるんだけど。あと，まだ最後までプレイしていないから最終的な面白さには言及できないけど。
　ただ，30時間プレイしつつチャプター4の段階では相当面白いゲイムだと思ってはいる。めちゃくちゃオススメです。今，ゲイムをプレイしてる！　って実感が欲しい人はぜひ。ゲイムの世界に入れるっていう没入度は抜群です。


　というわけで，今週はLOST JUDGMENTを始めたはいいけど，ろくに進んでいない，けどそれこそが「ああ龍が如くスタジオの新作をプレイしているな」って証だなと思えて，とてもゲイムライフが充実していますよってお話でした。
　やっぱ酒にしても祭にしても外出にしても，好きなものはやっぱり好きなんだなって思えるのはいいよね。人生でそういう時間をなるべく増やしたいもんだ。来週までにクリアできているといいな……いや，無理だなきっと。
　それでもこの一週間は私の人生でかけがえのない時間になるでしょう。なので頑張ってゲイム以外の時間も大切に生きていこうと思います。ではまた来週。

今週のハマりゲイム
PC：「METAL DOG」
PlayStation 5：「Overcooked! - オーバークック 王国のフルコース」「eFootball ウイニングイレブン 2021 SEASON UPDATE」※PlayStation 4版
Nintendo Switch：「おすそわける　メイド イン ワリオ」
iOS：「龍が如く ONLINE」
iOS：「今三国志」
iOS：「ウイニングイレブン カードコレクション」

■■男色ディーノ（プロレスラー）■■ 男色“ダンディ”ディーノ選手が所属するDDTプロレスは，今週末の10月23日に静岡・ふじさんめっせ大会「DRAMATIC DREAM TOUR 2021 in FUJI」を開催します。ディーノ選手は飯野“セクシー”雄貴選手とのタッグで，火野裕士選手＆平田一喜選手と対戦予定。ディーノ選手によると，（対戦相手は）「処理能力を買われて私達の反対側のコーナーに立つことになったと思うんだけど，絶対に困らせてやる」そうです。