連載
インディーズゲームの小部屋:Room#645「Creaks」
いつも利用していた馴染みのガソリンスタンドが廃業してしまい,軽くショックを受けている筆者がお届けする「インディーズゲームの小部屋」の第645回は,Amanita Designの「Creaks」を紹介する。本作は,部屋の壁に空いた穴の下に広がる不思議な世界を探検するというパズルアドベンチャーだ。うう,これからはどこで給油しよう……。
ある夜,名も無き主人公が自室で読書をしていると,急に電球がチカチカと点滅し始め,続けて部屋が地震に見舞われる。すると,衝撃で壁紙の一部が剥がれ,その下に隠されていた不思議な入口が姿を現した。その穴に呼ばれている気がして,主人公は懐中電灯を片手に穴をくぐった。
穴の先には長いハシゴがあり,どこまでも深く下まで伸びている。再び襲ってきた地震のためにハシゴが傾き,部屋に戻れなくなった主人公がどんどん下っていくと,そこは古びた城のような建物の中だった……。ということで,プレイヤーはこの主人公を操作して,出口を求めて謎めいた城を探索することになる。
本作は「Botanicula」や「Machinarium」など,独特のタッチで描かれた風変わりな世界観の作品で知られる,チェコのAmanita Designによる新作アドベンチャーだ。緻密な手描きビジュアルは本作でも健在で,今回はどことなく不気味な雰囲気が漂っているが,もちろんホラー要素はなく,Amanita Designらしいユーモアを感じさせるゲームに仕上がっているのでご安心を。
城の中は,こちらを見つけると襲ってくるブルドッグのようなタンスや,ふわふわと飛び回るクラゲのような地球儀といった凶暴な家具で守られており,これらに捕まらないようにしながら先へ進まなくてはならない。どの家具も光を恐れる性質があり,電球に照らされた場所には入って来ないので,追いかけられたらそこへ逃げ込もう。
また,消えた電球の下に誘い込み,タイミングよくスイッチを押して光を浴びせると,本来の家具の姿に戻って動きを止められる。こうなってしまえばこっちのもので,押したり引いたりして足場に利用したり,床のスイッチを押すために重しの代わりにしたりとやりたい放題だ。凶暴な家具をいかに誘導して道を切り拓くかが本作のミソで,なかなか頭を使わされるパズルになっている。
この城には,もともと鳥頭の人間(?)達が住んでいたようで,探索を続けていくと城の中で右往左往する彼らの姿を見かけることがある。どんな事情があるのかは不明だが,この城は目下,巨大な怪物の攻撃を受けている真っ最中で,鳥人間達はその怪物を止めるための何かを探しているらしい。主人公と鳥人間の交流もあり,自分が無事脱出できるかどうかだけでなく,彼らの命運も見どころの1つだ。
ちなみに本作は恒例のポイント&クリックアドベンチャーではなく,W/A/S/Dもしくは方向キーで主人公を動かし,Spaceバーでアクションを行う方式で,これまでのAmanita Design作品よりもちょっぴりアクション性が高くなっている。とは言え,そこまで難しいものではなく,プレイヤーの意思がダイレクトに反映されるぶん,遊びやすくなったと感じられるだろう。
パズルが得意な人なら,クリアまで3〜4時間のボリュームだが,城のあちこちに隠された絵画を見つけ出すというやり込み要素もあり,満足度の高いゲームプレイが楽しめる。そんな本作のPC版は,Steamにて2200円で発売中。また,PlayStation 4版,Nintendo Switch版,Xbox One版も各オンラインストアで販売されているので,お好きなプラットフォームでぜひどうぞ。オススメです。
■「Creaks」公式サイト
https://amanita-design.net/games/creaks.htmlキーワード
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2020(C)Amanita Design, Licensed to and published by Active Gaming Media Inc.
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