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[CJ 2007#05]オンラインゲームクライアント135種類,動画見放題。上海市内のネットカフェを探訪
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印刷2007/07/12 15:51

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[CJ 2007#05]オンラインゲームクライアント135種類,動画見放題。上海市内のネットカフェを探訪

■人がやっとすれ違える階段の先に,250台のPC

入り口はだいたいこんな感じ。コストを重視しているのか,1Fのテナントであることは稀だ
 取材の途上でたまさか空いた時間に,上海のインターネットカフェを訪れてみた。中国の各都市ではオンラインゲームにフィーチャーしたインターネットカフェが急速に普及しており,表通りからちょっと入ると「網■」(※■は「口」偏に「巴」)と書かれた看板が目につく。
 今回入ってみたのは,福州路から少し外れたところにある店だ。テナントビルの3階にあり,同じビルには携帯電話の販売店や,転写式のタトゥーを入れてくれる店,模型店などが入った,やや垢抜けないデジタル/サブカルのごった煮空間である。
 小さな看板,ビルの裏から入るというシチュエーション,薄暗い店内という組み合わせから,比較的小規模の店かと思ったのだが,実はビル内の複数のテナントブロックを利用しており,個室を含めて250席ほどあった。ただし,赤い合皮でできた椅子と椅子の間はほとんど余裕がなく,知らない同士は適当に間の席を空けてPCの前に座っている。ざっと見て7割の座席は埋まっていたようだ。
 サービスのグレードは3段階。19インチCRT席は1時間3元(50円ほど),17インチ液晶ディスプレイ席が4元,「VIP」と表記された個室は6元であった。中国のネットカフェでは現在,18歳未満の立ち入りが禁止されており,客はカウンターで料金を支払うときに身分証を提示する。パスポートを提示して1時間3元の利用を申し込んだところ,とりあえず支払う額は10元。規定の時間を超えたら,ここから順次差し引かれて精算される。
 来ていたお客さんは,ざっと4分の1が10代から20歳そこそこ。20代前半から中盤といった年齢層が一番多いようで,30代に見える人はほんの数人といったところ。プレイしているゲームは,「World of Warcraft」が2割弱,不動の定番といえる「Counter Strike」が1割ほどで,動画を見ていた人も1割ほどいる。

左:CRTディスプレイの席は最も安価で,1時間3元だ
右:カウンターでは飲み物やスナックも扱っている


■外部メディアは接続不能。そのわけは?

店は,通常のテナント四つ分くらいをぶち抜きで使っており,店の奥には照明を落としたスペースも作られていた
 席に着いてPCを確かめてみると,電源ボタン部分にだけ円い穴が空けられた木箱のなかに入っており,外部メディアの類はいっさい接続できない。OSはWindows XPだが,スタートメニューや右クリックメニューはすべて無効化されていて,HDD容量(後述)以外のスペックについては確認できなかった。
 インストールされていたオンラインゲームは135種類,シングルゲームは80種類ほどで,独自のツールで「網游I」(オンラインゲームI)「網游II」「単機游戯」(シングルゲーム)などとデスクトップを切り替えると,そこにショートカットがずらりと並ぶ。ちなみにここで「游戯工具」を選ぶと,ハックツールも含め11種類の支援ツールまで入っていたのには,いささか苦笑させられた。

左が「網游I」(オンラインゲームI),「単機游戯」(シングルゲーム)のデスクトップ。オンラインゲームは複雑な問題はなさそうだが,シングルゲームや動画についてはスペース込みのレンタル業と化している


 だが,驚くのはこれからである。利用者が見ている動画は日本製アニメやごくごく最近の映画なのだが,そのファイルはお店のサーバー上に置かれている様子。「動作片」(アクションもの)「恋愛片」(ラブロマンス)「災害片」などとジャンルごとに整理されたメニューをたどって,該当する作品のページをクリックすると,ファイルのアイコンがそのままごろっと顔を出す。そしてこれをクリックすると,Real Playerなどが立ち上がって鑑賞できる。なるほど,外部メディアを接続させないはずである。
 見たところPCのHDDスペースは,Cドライブ,Dドライブが200GBずつで,Eドライブは400GB。少なくとも最後の400GBは,複数のPCで共有されたデータストレージのようである。
 さらに,動画には簡体字中国語の字幕が付けられているのだが,中国の人に聞いてみたところ,これは有志の集団が付けてP2Pで流通させているものだという。お店で持っている動画を再生環境の賃貸しで見せているという,その大前提からしてそもそも危うい商行為なのだが,ここではP2Pのアングラ世界が,その露頭を地表に現してしまっているのだ。

 ……なんというか,実に名状しがたい消費が,そこでは回ってしまっている。いくら我々が違法コピーについて声高に主張してみたところで,その行為は,もはやあまりにも根深く中国市民の間に浸透しており,残念なことにネットカフェのお客さんにとってそれは「お金を払って見たいものを見ている」という,いたって“普通の行為”なのである。そことどう向き合って,どう根絶(もしくは共存)していくのか。デジタルコンテンツを円滑に中国マーケットで展開する道は,まだまだ遠そうだ。(Guevarista)

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