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[E3 2007#16]秘密公開された「タイトル未定」のFPSは驚きの実力派だった
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印刷2007/07/13 16:25

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[E3 2007#16]秘密公開された「タイトル未定」のFPSは驚きの実力派だった

 撮影禁止,録音禁止,スクリーンショットなどの素材提供なし。厳しい条件の課せられた“謎のFPS新作”のスニークプレビューが,Warner Bros. Interactive Entertainmentのスイートで行われた。

画面は「F.E.A.R.」より
 ……何の話かというと,ズバリ,F.E.A.R.シリーズの新作だ。2007年6月6日の記事でも触れたように,「F.E.A.R.」のデベロッパであるMonolith ProductionsはWarner Bros. Interactive Entertainmentに買収され,彼らの作るゲームのパブリッシャもWarnerになった。だが,F.E.A.R.という名称の使用権がそれまでパブリッシングを担当していたVivendi Gamesに残ったため,F.E.A.R.の新作ではF.E.A.R.という名前が使えなくなったのである。分かりましたか?

 MonolithとWarnerは,それではということで,(たぶん)ゲーム史上初の「タイトル一般公募」を行った。入賞者3名が発表されるのがこの7月のことで,それまで公式にはタイトル未定のままなのである。ここでは面倒だから“F.E.A.R.の新作”と書くのだが,そういう背景があることをご承知おき願いたい。
 ちなみに,タイトルが採用された人にはMonolithの見学ができて,ゲームのエンドロールに自分の名前が入るというちょっぴり微妙な特典があったりする。

Troy Skinner氏
 冒頭の話に戻ると,E3 Summit 2007会場で行われたスニークプレビューは,何もかも禁止だし素材も提供もしないしという――まあこうしたショーではさほど珍しくないのだけれど――厳しい制約が課せられたのである。仕方がないので,制作に当たるMonolithのプロデューサー,Troy Skinner氏のいかつい顔(本人はいい人)を見ながら画面を想像してくれれば幸いだが,それが難しいだろうことは重々承知のうえ書いているので安心してほしい。

■AIの賢さ,物理エンジンの完成度は前作以上
■爽快感を追求した「First Person Combat」


 さて,デモに使われていたのはXbox 360。対応プラットフォームはほかにPCとPlayStation 3が予定されている。
 新作は,Troy氏いわく「前作が終了する30分前から始まる」とのことで,主人公はどう考えても前作までとは別人である。大ケガをして病院に運び込まれ,医師達がベッドの上の彼を必死に助けようとしている様子がカットシーンとして映し出されるのだが,Troy氏の言う「前作」が初代F.E.A.R.のことなのか,「F.E.A.R. Extraction Point」のことなのかはちょっとはっきりしない(インゲームのデモ中に聞こえてきたニュースからは,「オーバーン地区で爆発」といった台詞が聞こえたりもしていたが……)。

 やがて意識を取り戻した彼は,病院内がすっかり荒れ果てていることに気づく。持っていたメガネをかけると,今回から導入された新しいユーザーインタフェースが登場するが,つまりメガネの内側にさまざまな情報が投影されているというデザインだ。「Deus Ex 2」の円形のインタフェースを横長四角にしたような感じといえば,分かってもらえないかもしれないが,そんな感じ。

 外に出ると,あちらこちらに血だまりや鮮血の飛び散った跡があり,出血量の異常な多さは健在(?)である。不気味な声のするほうに向かうと,なにやら異形の者が逃げ去っていく。ちらりと見えたその姿は患者もしくは病院関係者だが,上半身裸で常識外れの運動能力を見せつつ天井裏に逃げ込んでいくのだ。そいつを追って廊下を進むと,特殊部隊らしき男達が病院関係者を射殺している現場に出くわし,それ以降は,特殊部隊を敵に回して戦いつつ,異形の怪物を追ってゲームが進んでいく。

 新要素としては,非常に多くのオブジェクトを動かせることがフィーチャーされている。例えば「机を蹴って横倒しにし遮蔽物として使う」という,F.E.A.R.では敵AIにしかできなかったことが今回からはプレイヤーもできるようになるのだ。
 もちろん,定評のあったAIはさらに戦略的かつ人間的に,物理エンジンなども洗練して戦闘の迫力をさらに高めるべく開発は進められているとのこと。ひたすら戦闘シーンのリアリティと爽快感を高める方向に向かっており,Monolithがこの新作をFPS(First Person Shooter)ではなく,「First Person Combat」と呼んでいるのもむべなるかなだ。

 とはいえ,いささか地味な印象のデモンストレーションであったのも確か。2004年のF.E.A.R.初公開時と変わらないスタンスで,実際のゲーム序盤を丸々プレイしてくれるところには誠実さを感じたのだが,F.E.A.R.のときは「数千のガラスの破片がスローモーションで飛び散るなかで行われる,血煙と硝煙が渦巻く,美しささえ感じる凄惨な戦い」だったのに対し,今回は本当に,序盤を普通にプレイしてくれただけ。F.E.A.R.という作品の問題点として指摘されることの多い「同じような場所を延々と移動する」ゲーム性は,少なくとも今回のデモを見る限り,払拭されたとは言い難い印象を受けた。もうちょっとケレン味のあるデモでもよかったかもしれない。

謎の少女。画像はあくまでF.E.A.R.のものなので,念のため
 特殊部隊を巻き込んだ激しい戦闘の果て,異形の怪物と主人公は殴り合いの肉弾戦を演じる。だが,そのとき壁の向こうから現れたのは,赤い服を着た小さな女の子だった……,というところでデモは終了する。いろいろ謎だらけだが,教えてくれと頼んでもダメだったので,とりあえずE3 Summit 2007後に発表されるらしい続報を待とう。発売予定は2008年の早い時期とされている。(松本隆一)

  • 関連タイトル:

    F.E.A.R.2 PROJECT ORIGIN

  • 関連タイトル:

    F.E.A.R.

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