インタビュー
「カウンターストライクオンライン」の開発者に,職人魂が刺激される「スタジオモード」や今後の方向性について聞いた
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「スタジオモード」をはじめ,2017年もさまざまなアップデートを継続
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。CSOWC 2016の盛り上がりはいかがでしょう?
アン・ピョンウク氏(以下,アン氏):
韓国と中国が圧倒的な強さを発揮した昨年と違い,今年は各チームの実力が伯仲していて興味深い試合が多かったですね。
4Gamer:
韓国はe-sportsが盛んなお国柄ですが,台湾の大会との違いなどはありますか?
アン氏:
おっしゃられるように,韓国はe-sportsの歴史が長く,対応する組織もできあがっていますので,大会を開くにしてもスムーズにいくのが良いところです。一方,台湾は観客が純粋に盛り上がっていて,司会者のやりとりもすごく自然に行われていたのが印象的です。
4Gamer:
台湾の観客は地元チームを応援するときにすごく盛り上がっていましたね。司会者も気軽に客席へ降りてきてコミュニケーションを取っていたのが,ちょっと独特の光景で面白かったです。
そんなCSOですが,今後はどういったアップデートを予定されているんでしょうか。
アン氏:
CSOはサービスを開始してから長い時間が経過しています。ですので,今後の方向性をどうするかについては日々悩んでいますね。今は大型コンテンツである「スタジオモード」の開発に着手しているところです。
4Gamer:
スタジオモードですか。オンラインFPSのモードとしては聞き慣れない名前ですが,一体どういう内容なんですか?
アン氏:
詳しくは12月23日に予定されているイベントで発表する予定ですが,いわゆるUGC(User Generated Contents)であり,職人魂を持つ日本のプレイヤーには,向いているモードになるとお伝えしておきます。
また,これまでにも指摘されてきた,ユーザーインタフェースに関する改善を長いスパンで行っていきます。また,より実力の近い方同士が試合できるマッチングなど,細かな部分のブラッシュアップを短いスパンで続けていく予定です。
4Gamer:
歴史が長いタイトルなだけに,アップデートを続けていくという点で,開発が難しい部分もあるかと思いますが,心がけている点などはありますか?
アン氏:
守るべきものを守りつつ,変えるべきを変えるということですね。何を残して何を変えていくのか……というテーマが,CSO開発における哲学であり,私はいつも悩んでいます。
4Gamer:
では,守るべきものとは?
アン氏:
一つは,CSOWCのような公式大会のベースになっている「オリジナルモード」です。競技性の高いシビアなモードですが,下手にここをフレンドリーにしてしまっては競技性が台無しになってしまいます。また,アートワークをはじめとするゲーム全体の雰囲気も守るべきものに含まれています。
4Gamer:
変えていくべき部分はどういったものになるのでしょう。
アン氏:
ゲーム業界とプレイヤーさんが共に変化していますので,それに合わせてCSOも変えていかなければならないということです。例えば,FPSというジャンル一つをとっても,「オーバーウォッチ」のようにe-sportsを強く意識し,FPSの新たな可能性を拓いたタイトルが出ていますから,そうした動きは意識していかないといけません。もちろん,後追いをするということではありません。CSOにはCSOの魅力や優れた点がありますから,CSOとしてのやり方で可能性を追求していこうということです。また,ファンタジーなどいろいろなジャンルから要素を取りいれ,CSOとしての表現の幅を拡大できればとも思っています。
4Gamer:
現在のFPS,e-sports界隈のトレンドも意識したアップデートが続けられていくということですね。現在,CSOは日本,韓国,中国,台湾,インドネシアといった国々でサービスされていますが,日本プレイヤーの特徴などはありますか?
アン氏:
日本のプレイヤーさんは基本的にゲームに対して一途ですね。また,ユーザーコミュニティでは,かなり細かい部分を指摘してくださいます。
4Gamer:
国ごとに人気が出るコンテンツに違いはありますか?
アン氏:
人気トップはどの国でも「ゾンビモード」です。2位以下は国によってさまざまですが,だいたいは「ゾンビヒーロー」と「ゾンビサバイバル」の人気が高いですね。ただ,例えばインドネシアでは「ベーシックモード」やオリジナルモードが上位に来るなど,国ごとに特色はあります。
4Gamer:
インドネシアで独特の傾向を示すのはなぜなんでしょうか?
アン氏:
インドネシアのプレイヤーさんはとにかく若くて,8〜9歳のお子さんがプレイされているんです。そのため,シンプルなルールが人気なのかもしれません。
4Gamer:
10歳にも満たない子供がPCのオンラインFPSを遊んでいるというのもすごいですね。CSOWC 2016ではインドネシアが快進撃を見せましたが,プレイヤー層の厚さも理由の一つなのかも知れませんね。
最後に,日本のプレイヤーへのメッセージをお願いします。
アン氏:
来年はスタジオモードやさまざまなブラッシュアップといったアップデートを行っていきますので,ご期待ください。ユーザーコミュニティではちょいちょい「サービスが終了するのでは?」といった話題が出ますが,そうしたことはないので安心してください(笑)。
よりユーザーフレンドリーな運営と,日本プレイヤーの声をダイレクトに届けることを目指して
4Gamer:
続いては,プロジェクトマネージャーのリさんにお話を聞きたいと思いますが,まずはどういったお仕事をされているのか,教えて下さい。
リ・ジヒョン氏(以下,リ氏):
開発のNexon Koreaと,日本サービスを運営するネクソンジャパンの橋渡しですね。どうすれば新コンテンツを日本のプレイヤーさんに喜んでもらえるか,そして実装時の施策やキャンペーンの企画をどうするかなど,仕事の内容はさまざまです。また,日本のプレイヤーさんからいただいたご意見や要望をまとめて,実現性を判断し,開発サイドと協議するといったこともしています。
4Gamer:
日韓の調整役的なところですね。そうした視点から日本プレイヤーを見てどう思われますか?
リ氏:
最初は「対戦よりも,みんなで協力して楽しんだり,一人でストーリーを進めたりしていくようなコンテンツが好まれるんじゃないか」と考えていました。しかし,実際に日本のCSOに触れてみると,対戦好きなプレイヤーさんが多いということに驚きましたね。
また,一度プレイされたゲームに対するロイヤリティも高く,真摯なご意見を出していただけます。そうした意味では,健全なプレイヤーさんが多いと言えるでしょう。
4Gamer:
日本CSOを担当された際に,力を入れた点は?
リ氏:
「プレイヤーさんのご意見に耳を傾ける」ということです。私たちはプレイヤーさんのご意見はほぼすべてを見ていますので,ご質問いただいた時もできる限り返信するというふうにスタンスを変えました。また,Twitterでも,これまでは公式アカウントが一方的な告知を行っていましたが,可愛らしい「ライトゾンビ」に変更し,CSO関連の内容のみならずとことんコミュニケーションを行ってもらっています。
4Gamer:
よりユーザーフレンドリーな運営を目指していくということなんですね。
リ氏:
時には誤った情報を出してしまい,お叱りをいただくこともありますが,愛していただいているのがありがたいですね。
4Gamer:
今後の運営の方向性はどういったものになる予定でしょうか。
リ氏:
これからは,日本のプレイヤーさんからいただいたご意見を開発サイドと協議し,今まで以上に実現していければと思います。また,去年からは大会を中心にゲームを盛りあげていきましたが,今後は世界に通用するようなチームを作る取り組みや,新しい形の大会も工夫していきたいですね。
4Gamer:
ありがとうございました。
日本でのサービス開始が2009年と,古株の部類に入るCSOだが,今後も現在のゲーム情勢と日本プレイヤーを見据えた上でのアップデートが行われていくようだ。2017年に行われるというブラッシュアップなどを期待しつつ,いまは謎多きスタジオモードの情報公開を待ちたいところである。
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