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「Wizardry Online」の気になるアノ部分はこの人達が作っていた! 運営・開発スタッフに聞くサービス開始までの顛末と今後の展開
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印刷2011/11/17 13:09

インタビュー

「Wizardry Online」の気になるアノ部分はこの人達が作っていた! 運営・開発スタッフに聞くサービス開始までの顛末と今後の展開

 2011年10月14日,オンラインRPG「Wizardry Online」の正式サービスが開始された。本作は往年のRPG「Wizardry」シリーズの名を冠したオンラインゲームであることに加え,高難度,キャラクターロスト,PKといったコアなキーワードを前面に打ち出し,注目を集めている。

画像集#001のサムネイル/「Wizardry Online」の気になるアノ部分はこの人達が作っていた! 運営・開発スタッフに聞くサービス開始までの顛末と今後の展開

 しかし正式サービス開始前は,2011年6月の初回バランステスト実施以降に,いきなりスケジュールが不明瞭となり,当時「一体どうなっているんだ」と思っていた人も多かったことだろう。

 今回,4GamerではWizardry Onlineの運営を手がけるゲームポットと,開発元であるヘッドロックの主要スタッフに,正式サービス開始までに何が起きていたのか,そして今後の展開はどうなるのかなど,気になるアレコレを聞いてみた。お答えいただいたのは以下の5名だ。

ゲームポット Wizardry 総合プロデューサー 岩原ケイシ氏
ゲームポット Wizardry Online 運営プロデューサー 前田有希氏
ヘッドロック 開発プロデューサー 時田健司氏
ヘッドロック アートディレクター 久保貴美氏
ヘッドロック 企画部 第2課 松田耕育氏


(左から)松田耕育氏,久保貴美氏,時田健司氏,岩原ケイシ氏,前田有希氏
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「Wizardry Online」公式サイト



全員フォロー必須?
岩原総合プロデューサーのTweetには新情報が満載


4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。まず,Wizardry Onlineにおける皆さんの役割や,これまで携わってきたゲームタイトルなどをあらためて教えてください。

時田健司氏(以下,時田氏):
 開発現場の管理や企画の監修を行っています。ヘッドロックのオンラインゲームでは,「ベルアイル」と「パンドラサーガ」のサービス開始前後に,開発に関わっていました。

久保貴美氏(以下,久保氏):
 アートディレクターとして,ゲームのグラフィックス全般の監修をしています。ヘッドロックではパンドラサーガの総合ディレクターと,ベルアイルのアートディレクターを務めた経験があります。

松田耕育氏(以下,松田氏):
 仕様全般の作成とダンジョンの設計,イベントの作成など,いろいろやっています。

前田有希氏(以下,前田氏):
 Wizardry Onlineの運営全般に関わっています。

岩原ケイシ氏(以下,岩原氏):
 Wizardry Onlineをはじめ,WizardryというIP全般を管理しています。

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4Gamer:
 それでは,Wizardry Onlineも正式サービスを開始してはや数週間になりますが,これまでを振り返って手応えなどを教えてください。

岩原氏:
 まずは昨今のオンラインゲームでは珍しく,クローズドβテスト(CBT)を何度も繰り返したことが挙げられます。「こんな内容ではダメだ」というテスターの皆さんの声に応えて,さまざまな要素を追加していった結果,オープンβテスト(OBT)では結構な好評を得られました。
 そして正式サービスを開始したわけですが,「今時こんな厳しいゲームが流行るはずはない」という私達も含めた世間の予想に反して,「実際にやってみると面白い」と言ってくださる方がかなりいらっしゃいました。

前田氏:
 開発も運営も準備にバタついてしまい,OBT直近は本当にひどい有様でした。今こうして,お客様から良い評価を得られる状況になったのは非常に嬉しいです。私達が予想した以上に反応が大きいことを実感しています。
 また往年のWizardryを知らない方にも,結構な割合でプレイしていただいているという印象が強いですね。

4Gamer:
 正式サービス開始までの期間で,運営上,増えた業務などはありますか?

岩原氏:
 私はTwitterですかね……当初は個人アカウントでフォロワーにちょっとしたサービスができればいいなくらいのつもりだったのですが,いつの間にか公式アカウントみたいになってしまって。なぜか問い合わせが私のアカウントに集まってしまい,今ではユーザーサポートみたいなこともやっています(笑)。
 でも,そういう形でプレイヤーの皆さんと触れ合う場があるのはいいことですね。いい評価をいただくこともあれば,罵倒されることもありますが,どちらも貴重なご意見と捉えて運営に役立てています。

前田氏:
 私達が気付いていない不具合などを,Twitterを介して教えてくださる方もいて,Twitterのすごさを実感しました。ぜひ岩原には,今後もTwitterを続けてほしいです。

フォローすべし
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岩原氏:
 かなり時間を取られてしまうのですが,必要な作業ですからね。今はもう,ほかの業務を周囲に振って,私自身はTwitterで皆さんの意見を汲み上げるような役割になっています。
 中にはウィットに富んだ返答を期待されて,議論を持ちかけてくるような方もいて,すごく嬉しいんですよ。まあ,ちょっとした発言が大きな失言に繋がらないかドキドキもしているのですが(笑)。

時田氏:
 内部で打ち合わせたばかりの話が,なぜかすでにTwitterで話題になっていて「アレ?」と思ったら,岩原さんがさっそくツイートしていた……なんてこともありますよね。

松田氏:
 なので,岩原さんのアカウントは常に監視しています(笑)。ただ議論が高まったり,あるいは議論の中からヒントを得られたりもしますので,開発チームとしても度を越さないレベルでぜひ続けてほしいです。

岩原氏:
 運営・開発の双方からいつも怒られています(笑)。
 とはいえ,実際にTwitterのやり取りの中からゲームに取り入れたものもありますから,プレイヤーの皆さんは積極的に参加していただけると嬉しいですね。

4Gamer:
 今,何人くらいのフォロワーがいるのですか?

岩原氏:
 3000人くらいです。登録会員数からするとまだまだ少ないので,ぜひフォローしてください。ただ問い掛けられても,常時返答できるわけじゃないということはどうかご了承ください。

岩原ケイシ氏のTwitterアカウント



作り直したシステムの根幹部分を検証するために
短期のCBTが繰り返された


4Gamer:
 外から見ていると,初回のCBTからOBTまで,突発的に短期のテストが実施されたり,あるいは何週間も沈黙したりと,前田さんが先ほどおっしゃっていたように本当に長期間バタバタしていた印象を受けました。実際,内部ではどのようなことが行われていたのでしょうか?

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岩原氏:
 まずは追加開発です。コンテンツのボリュームを増やす一方で,根幹から直さなければならない部分の修正などをやっていました。

4Gamer:
 なるほど。しかし根幹から直す部分があったとなると,逆に追加開発の期間としては短かったのではないですか?

岩原氏:
 ええ。確かに期間は十分とはいえませんでした。そこで最も大きな問題だった,サーバーにエラーが出る部分の修正を優先し,徹底的に直しました。あれが一番大変でしたね。

前田氏:
 根幹を直すと,もう一度きちんとテストを行わなければなりません。結果として,計5回ものCBTを実施することになってしまいました。

松田氏:
 5回もCBTを実施するケースはあまり例がありませんから,開発チームとしても非常にありがたかったです。過去には,開発チームとしてはサービス開始前に修正したい箇所が見つかっても,スケジュール優先で修正できないまま正式サービスに突入してしまう,なんてこともありました。
 Wizardry Onlineでは,お待たせしてしまったファンの方々にはご迷惑をおかけしましたが,おかげさまでサービス開始前にさまざまな修正が行えました。

時田氏:
 もう一つ,プレイ環境に合わせてさまざまな設定ができるよう,各種のオプションを用意したことも結構大変でした。

前田氏:
 指摘されることはあまり多くないのですが,オプション周辺はかなり機能を追加しています。私が手がけてきたゲームの中では,最もカスタマイズ性が高いんじゃないでしょうか。

岩原氏:
 さすがに「World of Warcraft」などにはかないませんが,それでもかなりの部分を変更できますよね。しかし,ショートカットの配置などにまだまだ改善の余地がありますから,今後も引き続き機能の拡張を試みていきます。

4Gamer:
 沈黙していた期間は,そういった作業をしていたわけですね。

岩原氏:
 当初の予定では,7月12日のシアターカンファレンスでOBTの日程を発表するはずだったのですが,このままではダメだと開発期間を延長する判断を下しました。あのときは「えー?」と落胆される方も多かったのですが,結果としてよりクオリティを高めた形でサービスを開始できたわけです。

4Gamer:
 それは4Gamer読者の反応にも表れているんですよね。正直なところ初回CBTの反響からは,苦戦しそうだなという印象を受けていました。ところが正式サービス開始後は,高い得点の読者レビューも結構多いんです(※11月17日掲載時点で「69」。手厳しい意見も多いのだが,最初のCBT実施付近は,すみません正直もっと苦戦するだろうと思ってました)。

前田氏:
 あの3か月間の開発チームのフットワークのよさは,信じられないくらいでしたね。

岩原氏:
 ここまでやってくれるとは,というのが本音です。

4Gamer:
 非常に密度の濃い期間であったわけですね。

松田氏:
 何人かロストしましたけど(笑)。

4Gamer:
 あぶない表現ですね(笑)。

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岩原氏:
 この期間中は,我々が「こうしたほうがよくなる」と考えていた部分については,迷いなく即座に修正しました。また気付いていなかった部分に関しても,テスターの指摘を積極的に取り入れていきましたね。もちろん,長期的に見てバランスを崩すと思われることに対する意見は,その限りではありませんけれど。

前田氏:
 そういう意味では初回CBTだけ遊んだ方と,OBT以降から遊んでいる方では,まったく違う感想を抱くでしょうね。

岩原氏:
 工数で言えば,作り直しと表現してもいいくらいでしたから。

4Gamer:
 環境設定オプション以外で,明らかにここが変わったという修正はありますか?

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時田氏:
 主だったところではユーザーインタフェース,そしてゲームバランスの修正ですね。もちろんすべて完成したというわけではありませんから,引き続き調整と改善を重ねます。操作まわりでは,目下,ゲームパッドへの最適化に取り組んでいます。

前田氏:
 序盤のゲームバランスは,初回CBTと比較すると大きく変わりましたよね。敵の強さで言うと,今は半分くらいの強さというイメージです。そのおかげで最初のダンジョンでいきなり詰まってしまうという方はかなり少なくなりました。

松田氏:
 以前は「最初のゾンビに殺されて進めない」という苦情が多かったんですよ。

岩原氏:
 もともとハードプレイ志向のゲームなんですが,最初から敵を倒せないようでは誰もプレイできませんから,序盤はかなりバランスを緩和しました。
 そもそも,あのゾンビには部位の概念があって,当初は上半身を倒しても下半身だけで襲ってくるようなギミックがあったんです。……まあ,部位の概念自体は残してあるんですが,この段階ではまだ出さなくてもいいだろう,と。

4Gamer:
 というと,今後実装されるダンジョンなどでそのギミックが披露される可能性もあるんですか?

前田氏:
 ええ,いずれは。特定の部位を狙うようなプレイは,やはり序盤では難しいですからね。今でも「覚えることが多い」という意見が出るようなゲームですし。


“分かる人に分かればいい”をキーワードに
さまざまな層に向けて散りばめられた小ネタ


4Gamer:
 難度が緩和されたとはいえ,まだまだハードなゲームですよね。

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前田氏:
 個人的には,だからこそ面白いと思いますし,周囲からも「7〜8年前のオンラインゲームのような感触」という感想をもらいました。昨今の,いわゆる韓国型のゲームとは違ったところに魅力を感じてくださるお客様が多いのではないかと捉えています。

4Gamer:
 7〜8年前の話ができるとなると,結構プレイヤーの年齢層も高めなんでしょうか?

前田氏:
 ザックリ区分すると,OBT開始前はお客様の約5割は30〜40代です。弊社のほかのオンラインゲームタイトルと比較しても,だいぶ高めになっています。 ただ,個人的にはもっと30〜40代の比率が高いと予想していたのですが,Wizardryを知らない人や最近のシリーズしか遊んだことがないという20代の方も結構いらっしゃいます。そういった若い方の大半は,いわゆるコアゲーマーなんですよね。そういった方々に遊んでいただけるのはたいへん光栄です。

松田氏:
 チャットの内容が年齢層によって偏るのが面白いんですよ。「やっぱりエルフはディード何とかみたいな感じでないと」という30代がいる一方で,「誰それ?」となっている若い人がいたりして(笑)。

岩原氏:
 NPCのセリフにも,特定の世代や,偏った分野に詳しい人に刺さるような小ネタを挟んでいますしね。対象から外れる人は気付かずにスルーしてしまうのですが(笑)。

4Gamer:
 そういった小ネタは,誰が考えているんですか?

松田氏:
 主に私が考えています。結構,頑張って考えているんですけどね。古物商もそうですし……実はCBTのときに出て来たNPCの名前も「ウィズボール」のネタなんです。

岩原氏:
 今や誰も知らないマイナーなところから(笑)。

前田氏:
 古物商もいいですが,私はもっとスーパスが有名になってもいいと思うんですよね。話しかけるたびに名前が変わるので,“千の名前を持つ男”と呼ばれているという。

松田氏:
 実は1000以上の名前を用意しているんですけどね。 そういったネタは,総じて分かる人だけが分かるように仕込んでいます。例えば20代は酒場にいるマリーのセリフに,30代はドルフェンの話題にそれぞれ食いつくように,といった感じですね。

岩原氏:
 もともとWizardryは,何かのパロディやウィットに富んだ小ネタを散りばめていることでも有名ですしね。そういう路線は,今後も充実させたいです。

「げんこつ」もどうかと思う
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4Gamer:
 松田さんの思い出深いネタは何かありますか?

松田氏:
 タライのネタですね。あのイベントはあまり評判がよくないのですが,最初からタライを使おうと考えていたわけじゃないんです。“死”を表現するイベントですけど,すぐに殺すわけにはいかなかったので,どうすれば伝わるか考えながらエフェクト一覧を眺めていたら,そこに“タライ”があったんです。

前田氏:
 タライは,もともと罠用のエフェクトなんですよ。

4Gamer:
 というと,必ずしも往年のクレージーキャッツやドリフターズのネタを再現しようとしていたわけではないんですね。

松田氏:
 ええ。とりあえず組み合わせてやってみたら,「それはやり過ぎだ」と言われちゃって。 あとはモンティ・パイソンの「スペイン宗教裁判」ネタなんかも入れています。

4Gamer:
 そもそもWizardryのVorpal Bunnyも,モンティ・パイソンの「殺人ウサギ」のパロディですしね。

松田氏:
 ともあれ小ネタについては,ゲーム全体からするとあえてアピールするような部分ではなく,分かる人だけ分かってくれればいい存在だと思って入れています。


ダンジョンの難度はまだまだ序の口?
“不衛生さ”まで表現する意匠にも注目


4Gamer:
 松田さんは,ダンジョンの設計を担当しているとのことでしたが。

松田氏:
 ダンジョンは,これからどんどん難度が上がりますよ。まだ本気じゃないですから。

岩原氏:
 松田さんが本気で作るダンジョンは,本当にえげつないんですよ。

松田氏:
 最初に受けたのが,そういうオーダーだったんです。それで「よっしゃ」と思ってどんどん難しくしたら,「やり過ぎだ」と言われまして(笑)。 そこで,今のところ実装されているダンジョンは,かなり易しくしてあるんですよ。

時田氏:
 決して易しくはないですけどね(笑)。

4Gamer:
 久保さんはどうでしょう? 何かアートディレクションで苦心された点や,ここに注目してほしいというポイントはありますか?

画像集#011のサムネイル/「Wizardry Online」の気になるアノ部分はこの人達が作っていた! 運営・開発スタッフに聞くサービス開始までの顛末と今後の展開
久保氏:
 Wizardryは歴史の長いシリーズで,皆さんがしっかりしたイメージを持っていますから,「これはWizじゃない」と言われないようなディレクションを心がけています。 またオンラインゲームの場合は,プレイヤーキャラクターを自分自身の分身として感じていただく必要がありますから,多くの人が違和感を抱かないような造形やグラフィックスを意識しています。 加えて背景は,ダンジョンは暗くて凄惨というイメージを強め,その一方で街ではリラックスできるような雰囲気を出すといったように,メリハリを意識しました。

4Gamer:
 キャラクターと背景では,どちらが大変でしたか?

久保氏:
 それはもう,キャラクターのほうが大変です。今回,ダンジョンのイメージが先に固まったのですが,その暗いダンジョンの中でも映えるキャラクターにしなければならないということで,色合いなどを何度も作り直しました。

岩原氏:
 私が何度もダメ出しをして,余計な工数を増やしていたんです。キャラクターの顔に至っては,私がああしろこうしろと事細かに指示を出してしまって。

久保氏:
 あと,キャラクターの種族は5種類なのですが,男女で身長と体格が異なるので,計8種類のモデリング(ドワーフは男性,ノームは女性のみ)をしなければなりませんし,それぞれに合わせて装備も作らないといけません。

画像集#008のサムネイル/「Wizardry Online」の気になるアノ部分はこの人達が作っていた! 運営・開発スタッフに聞くサービス開始までの顛末と今後の展開

時田氏:
 Wizardry Onlineには部位欠損の表現もあるので,結果的にキャラクターまわりのグラフィックスのボリュームはすごいことになりました。

前田氏:
 調整も,本当にOBT直前のギリギリまでやっていましたからね。

岩原氏:
 背景でも「床が光りすぎてまぶしい」という指摘があったので,私も「確かにそうだ」と思ってやり直しをお願いしたら,街全体の床を作り直さなければならなくなったというのもありましたね。

4Gamer:
 装備やダンジョンは,今後どんどん追加されるわけですよね。

久保氏:
 ええ,まだ全然お見せしていないダンジョンもたくさんあります。どこに入っても同じでは面白くありませんから,ダンジョンごとにそれぞれ特徴のあるグラフィックスにしていますし,迷路として重要な部分には何か意味を持たせる工夫も必要です。

前田氏:
 OBTで驚いたのが,それまで以上にダンジョン内の死体オブジェクトが増えていたり,虫が這っていたりしたことでした。いつの間にかダンジョンがより不衛生なイメージになっていて,「これはすごい!」と。

久保氏:
 なぜダンジョンにゾンビがいるのかということを考えて,そういった工夫を試みています。あるいは壁に手の形があれば,プレイヤーはダイイングメッセージではないかと考えますよね。デザイナーとして,どうすればWizardry Onlineの世界をより深く表現できるか,常に考えています。


本格ダンジョン「旧地下水路」を2011年末に実装
ストーリーに沿ったボスモンスターも登場


4Gamer:
 それでは,今後,Wizardry Onlineをどのように展開していくのか教えてください。

岩原氏:
 まずシステムの安定化を第一に,不具合修正を継続的にやっていきます。 また11月8日に実装された「忘却の寺院」に続き,2011年末にもう一つ,「旧地下水路」を実装します。

時田氏:
 旧地下水路は大きく5層に分かれていて,その間に小さな層が2つあるという,全7層のダンジョンです。

松田氏:
 これまでのダンジョンが主に2層構造でしたから,約3倍の大きさになるわけです。

岩原氏: また今までのダンジョンでは,瓦礫などで道が塞がれていた場所もありましたが,旧地下水路ではどこでも侵入できるようになっています。その広大さを一言で表現すると……“酷い”ですね(笑)。

画像集#012のサムネイル/「Wizardry Online」の気になるアノ部分はこの人達が作っていた! 運営・開発スタッフに聞くサービス開始までの顛末と今後の展開
松田氏:
 開発チーム内では,「広すぎてデバッグ作業がやりにくい」と怒られました(笑)。探索するときは,ぜひ休憩を取りながら進めてください。 ただ,皆さんがWizardryと聞いたときに思い浮かべるダンジョンのイメージには,かなり近づいているのではないでしょうか。モンスターもこれまで以上に強くなっていますので,信頼できる仲間と一緒に挑戦してみてください。 あとは装備もいいものを揃えてください。実はすでに実装しているのに,これまでゲーム内で一度もドロップしていない装備アイテムが,まだたくさんあります。これもぜひ探し出してください。

時田氏:
 旧地下水路は,もともと「最初のダンジョン」として開発したんですよね。

岩原氏:
 そうなんですが,初めて探索するにはあまりにも広すぎて,皆すぐにさじを投げてしまうだろうという話になって。

松田氏:
 自分では,これくらいならまだ大丈夫だろうと思ったのですが……。 ともあれ,攻略にあたっては「よく見て歩く」ということを意識してください。よく見て,考えて行動すればきちんと攻略できるように作っています。

岩原氏:
 本当によく見ないと分からない仕掛けがあります。何度も往復して,ようやく分かるレベルですね。

松田氏:
 方眼紙を用意していただいて,自分の手でマップを書いてみることもオススメです。

岩原氏:
 あとは一度の探索で攻略しようと思わないことですね。階層ごとに道標があって,そこにチェックをしておくと,次回からそこまでワープできます。道標を一つ一つチェックしながら,探索を進めてください。

4Gamer:
 なるほど。これまで「ダンジョンが簡単」と言っていたプレイヤーにとっては非常に攻略しがいがありそうですね。

岩原氏:
 さらに,この旧地下水路には,ストーリー上の節目となる最初のボスモンスターが登場します。これまでのガーディアンズゲートの中にいたようなタイプではなく,もう明らかにボス然としたボスモンスターになっています。

4Gamer:
 ネタバレにならない程度で,ストーリーの内容を教えてください。

岩原氏:
 まず世の中が今どうなっているのかが分かってきて,プレイヤーが何をしなければならないのかがハッキリします。そして旧地下水路のボスを倒すことで次に繋がっていくという感じですね。

4Gamer:
 なるほど。 ダンジョン以外のコンテンツはいかがでしょう?

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岩原氏:
 11月に「ブラックリスト」を追加します。これは自分を殺した,あるいは自分から装備アイテムをルートしたプレイヤーがリスト化される機能で,おおよその居場所も分かるようになります。 正直,PKまわりが予想以上に盛り上がっているので,ブラックリスト実装がどんな影響をもたらすのか確認してみたいという本音もありますね。

4Gamer:
 まずはある程度の仕様で実装してから,随時調整していくという流れですね。

岩原氏:
 そのほか2011年内に実装されるものでは,DIR EN GREYのコラボダンジョンと,松田さんが作った特殊ダンジョン「アッザームの試練場」があります。

4Gamer:
 松田さんPRESENTSの特殊ダンジョンですって……。どんな極悪なダンジョンなのでしょうか。

松田氏:
 今回は,ダンジョン自体は簡単な構造ですけどね。

岩原氏:
 ダンジョンの中にはいくつか宝箱があって,NPCに鍵を渡すと,どれか一つを開けられるようになるんですね。しかしダンジョンの中にいるモンスターが極悪で,まともに戦ったのではまず勝てません。そこで逃げ回りながら宝箱を探し,財宝を入手して再び帰ってくるというチャレンジ的な内容なんです。 またレッサーデーモンも,きちんと敵として配置する予定です。

4Gamer:
 そのモンスターは倒そうと思えば倒せるんですか?

松田氏:
 もちろんです。腕に自身のある人は,ぜひ挑戦してみてください。また,これは特殊ダンジョン第1弾という位置付けですので,第2弾以降も期待してください。

岩原氏:
 基本的に我々が楽しいと思うものを実装してみて,お客様が楽しんでくれればそれでいいですし,仮に批判が集中するようであれば調整してもう一度提供するというスタンスですね。 ともあれ,2011年内の予定はこんな感じです。


2012年はさまざまな遊びを追加
待望の上位クラスは2012年夏実装を目標に開発中


4Gamer:
 2012年以降の大まかな予定はどうでしょう?

岩原氏:
 これまでのように矢継ぎ早にアップデートしていくというよりは,操作まわりやUIの調整・改善を施して,より遊びやすくする方向にシフトしていきます。 まずユニオン(ギルド)の機能を強化します。ユニオンレベルを設けて,それに応じて参加メンバー数の上限を定めたり,あるいはバフ効果を提供したりといった感じですね。また,これまで機能していなかった装備のマント部位を開放して,ユニオン別マントを装備できるようにします。 あとはエンシェントスキル──往年のWizardryシリーズの呪文を,いよいよ実装しますよ。

できたてほやほやの2012年ロードマップ
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時田氏:
 Wizardry Onlineには,せっかく犯罪者という概念があるのですから,それをうまく使った遊びを取り入れたいですね。私は以前から犯罪者と一般のプレイヤーを競わせて,映画「バトルランナー」のようなことができないかと模索しているのですが,2012年内には実現したいです。

岩原氏: バトルランナーの舞台って,もう作ってあるんですよね。しかし,きちんとした仕組みを作らないと,ただの虐殺システムになってしまう恐れがあるので保留になっているんです。

前田氏:
 実はこの要素は,最初から実装する予定だったのです。が,しっかり仕様を詰める必要があったので,まずは代わりに“牢獄を爆破できる機能”を実装したんですよ。

岩原氏:
 松田さんから「牢獄を爆破できるようにしてみました」という報告を聞いたときは,爆笑しましたけどね。

画像集#010のサムネイル/「Wizardry Online」の気になるアノ部分はこの人達が作っていた! 運営・開発スタッフに聞くサービス開始までの顛末と今後の展開
松田氏:
 牢獄爆破は,昼休みに試作してみた機能なんですよ。作り始めたらデザイナーが悪ノリして,どんどんエフェクトが増えていって。 でも内容は,最初に考えていたものより相当マイルドにしていますよ。実験で作ったときは,一発で灰になったりしましたからね。

岩原氏:
 ともあれ,PKやPKKにまつわる課題はセンシティブな部分ですから,常に調整を続けていきます。また,我々が気付かなかったり,目が届かなかったりする部分もまだまだあります。そこを塞いだほうがいいのか,それともあえて開放しておくほうがいいのか,あるいは別の手段でカバーできないかといったことも常に考えています。「こんなことがまかり通っては困る」と,なんでもかんでも塞いでしまっては,遊びの幅が狭くなる一方ですから。

4Gamer:
 Wizardryならではの,種族やクラスの追加はまだですか?

岩原氏:
 当然,当初から構想にはあります。しかし種族については,設定的にゲーム内の大陸と紐付いているので,新大陸が登場するタイミングで実装することになるでしょう。 クラスについては,当然,上位職4種類の実装を予定しています。しかし1クラスずつ実装したのでは,ロードはいるけれどもニンジャがいないという状態になって,不公平感が生じるかもしれません。そこで今は,まとめて実装することを考えているのですが,そうなるとある程度の時間をいただく必要があります。

4Gamer:
 てっきり上位クラスは1〜2種類くらいずつ実装されるものだとばかり思っていました。

岩原氏:
 それも考えたのですが,クラス間のバランス調整も考えなければなりませんから,やはりまとめて実装した方がいいだろうと。

時田氏:
 何とか,2012年夏には実装したいところですが……。

岩原氏:
 クラスを追加するには,グラフィックス,装備アイテム,スキルと,新しく作る部分がたくさん出てきますので,どうしても時間が必要になりますね。

前田氏:
 新しい武器が加われば,新しいモーションも必要になりますし。

岩原氏:
 また基本クラスと上位クラスを4種類ずつに限定するつもりはないんです。シリーズに登場したモンクなども追加する予定ですし,上位クラスのさらに上,3次クラスのような概念も考慮に入れています。Wizardry Onlineは長くサービスしていく予定ですから,その年月の中で順次実現していきたいですね。


まだまだ隠されている将来の展望
アイデアは“悪ノリ”から生まれる?


4Gamer:
 それでは,そのほかの点についていくつか教えてください。 ダンジョンは,どのようなペースで追加されていくのでしょう?

画像集#015のサムネイル/「Wizardry Online」の気になるアノ部分はこの人達が作っていた! 運営・開発スタッフに聞くサービス開始までの顛末と今後の展開

岩原氏:
 基本的には,1か月に1つ,可能なら2つというところです。もうすでに実装待ちになっているダンジョンもありますので,しばらくはこのペースが続きます。 できているダンジョンがあるなら,あるだけ出してほしいという要望があるのは理解していますが,一度実装してからバランスブレイカーであることが発覚してしまっては大変です。そこで,ゲーム内の状況を見ながら順次実装していくという手順を採用しています。

前田氏:
 モンスターの強さや,アイテムのドロップ率なども検証しなければなりませんので,どうしても時間が掛かってしまいます。

4Gamer:
 ボスモンスターはどうですか?

岩原氏:
 もちろん,旧地下水路のボスに続く存在を用意しています。これもストーリーに沿って登場します。

4Gamer:
 企画・開発中のコンテンツで,今,お話してもらえるようなものはありますか?

岩原氏:
 構想レベルのものまで含めるとたくさんありますし,それこそTwitterなどでアイデアをいただくのですが……。ただ,それを実現可能かどうかというと,また別の話なんですよね。 例えばブラックリストがうまく機能するようだったら,次は「賞金首」の実装を予定しています。システムの名称はまだ仮のものですが,プレイヤーが,特定のプレイヤーの討伐に賞金を懸けられるようにするという内容です。2011年内実装を目標にしていたのですが,ちょっとボリュームが増えてしまったので実装時期は未定です。

時田氏:
 安易に実装すると,簡単に不正行為に利用されてしまいますから。 また複数のプレイヤーから賞金首に指名されると賞金額が上がったり,逆に賞金額を自慢したりするといったように,遊びの幅を広げられると考えたんです。

4Gamer:
 「ONE PIECE」のような世界になるかもしれませんね。

岩原氏:
 賞金首になった回数や賞金額,あるいは賞金首を狩った回数に関する称号も用意したいですよね。

4Gamer:
 なるほど,バウンティハンターとして名を上げることもできるわけですね。

時田氏:
 賞金首が倒されたときも,普通に蘇生するのではなく,何か苦行を設けるといったように一工夫したいんですよ。

岩原氏:
 それに,PKやルートは遊びの一つではありますが,そればかりが横行するようではゲームが運営・開発の意図とは違う方向に行ってしまいかねません。ある程度,犯罪行為を抑止するような内容となるよう,仕様を考えているところです。

前田氏:
 Wizardry Onlineの場合,キャラクター1体が犯罪者になると,そのアカウント全部のキャラクターが犯罪者になるという仕様ですから,その関係で賞金首システムもボリュームが増えてしまうんですよね。

4Gamer:
 実際,PKや犯罪行為に関するプレイヤーの反響はいかがですか?

画像集#018のサムネイル/「Wizardry Online」の気になるアノ部分はこの人達が作っていた! 運営・開発スタッフに聞くサービス開始までの顛末と今後の展開
前田氏:
 普通にPKが存在するゲームは,今となっては珍しいですから,よくも悪くも大きな関心を集めています。実際にプレイを続けている方からは,ぜひこのままの方針を継続してほしいという意見をいただきます。 またPKありのゲームということで,運営上のマナーポリシーも一般的なオンラインゲームとは大きく異なります。プレイヤー間でPKにまつわる諍いが起きても,ある程度当人同士の裁量に任せて,悪人のロールプレイや,あるいはPKとPKKの衝突などを楽しめるよう配慮しています。

岩原氏:
 さすがに世界観を壊してしまうようなシャウトの連呼などは,厳しく処罰しますけど。

前田氏: そもそもユーザー間トラブルに関するお問い合わせが,ほかの弊社運営コンテンツに比べてだいぶ少ないんですよ。

4Gamer: なるほど。プレイヤー側も,きちんとWizardry Onlineのあり方を理解しているわけですね。

岩原氏: あと,本当に細かいところでは「かわら版ジェネレーター」を鋭意作成中です。現在,ゲーム中のかわら版は私が作成しているのですが,これをプレイヤーに開放して記事を作っていただけるようにします。完成したjpgファイルを私のTwitterアカウントに送付していただいて,私が面白いと思ったらゲーム内で公開するという,いわばプレイヤー参加型コンテンツの一つですね。

時田氏:
 実装時期は未定ですが,オークションシステムも導入します。またネタ的な部分では,「昨日のロスト件数」を表示することも考えています。

4Gamer:
 なかなかの悪ノリですね(笑)。実際,1日のロスト数はどのくらいなんですか?

岩原氏: OBT期間中に600件以上を計上しましたから,1日100件近くはあってもおかしくないですね。今後,全体のソウルランクやキャラクターレベルが上がるにつれて,もっと増えるでしょう。

前田氏:
 これは強く指摘しておきたいのですが,“蘇生率100%”以外は信用しないでください。蘇生率99%ということは,逆に考えると100人に一人失敗するという意味です。実は,蘇生に失敗する確率は交通事故に遭う確率とは,比較にならないくらい高いんです。

4Gamer:
 なるほど。蘇生するときは,必ず蘇生率100%の状態にしましょう,と。

前田氏:
 ええ。私も最初は蘇生率85%もあれば楽勝だと考えていたのですが,今や運営チームでは「蘇生率100%でない限り蘇生しない」という不文律ができています。

4Gamer:
 それでは最後に,今後のWizardry Onlineに期待する人に向けてメッセージをお願いします。

画像集#014のサムネイル/「Wizardry Online」の気になるアノ部分はこの人達が作っていた! 運営・開発スタッフに聞くサービス開始までの顛末と今後の展開
松田氏:
 ダンジョンを一度クリアしてしまうと,すぐ次のダンジョンに向かう方が多いのですが,やはりレアアイテム探しがWizardryのキモです。ぜひ,繰り返し同じダンジョンに潜ってレアアイテムを探してみてください。現状でも,所持しているだけで自慢になるアイテムがたくさん実装されています。 あとNPCのミリオは“女子力の高いおっさん”という設定ですから,男性ボイスが正しい仕様です。むしろ女性ボイスになっていたら不具合ですので,ぜひ報告してください。

久保氏:
 これからも新しい装備や,見たことのないモンスターやダンジョン,アイテムが登場します。ぜひ,そういった部分にも注目してゲームを楽しんでください。

時田氏:
 Wizardry Onlineには,ほかのゲームにないシステムが入っています。中には,時代に合わなくなって今は採用されなくなっているような仕様もあります。そういった“このゲームでしか実現できない遊び”を,ぜひ楽しんでいただきたいです。

前田氏:
 Wizardry Onlineは,ちょっと尖った,ピーキーな内容になっています。そこに思うところは皆さんそれぞれにあるかと思いますが,私達のほうから「嫌ならやめろ」と言うことは絶対ありません。嫌な部分,気になる部分を伝えていただければ,当然,改善に努めます。皆さんと一緒にWizardry Onlineをより良い新しいゲームとして作っていきたいと考えています。

岩原氏:
 実はこのゲームで一番楽しんでほしいのはロールプレイなんです。効率を求めたり,先に進むことだけを考えたりすると,全然面白くないゲームです。たくさんの仲間と一緒に,こういうダンジョンを探索したい,自分が冒険者だったらこういうことをしたい,あるいはこういうキャラになりたいという部分を楽しんでください。 皆さんがそういうプレイを楽しめるよう,開発チームも運営チームも環境を整えます。「こうなったら,もっとロールプレイを楽しめる」というような意見・要望をぜひ我々にお寄せください。

4Gamer:
 ありがとうございました。

画像集#019のサムネイル/「Wizardry Online」の気になるアノ部分はこの人達が作っていた! 運営・開発スタッフに聞くサービス開始までの顛末と今後の展開


 昨今のオンラインゲーム──とくに日本におけるMMORPGというジャンルは,より多くのプレイヤーを集めるため万人受けする内容に特化したがる傾向にある。すなわち,より遊びやすく,より易しく,誰でも手軽に迷うことなく遊べるようなゲームを志向するということだ。そうすることによって,より幅広いプレイヤー層を獲得できると同時に,類似タイトルの動向から売上などの予測もできる。

 しかし岩原氏の以前の発言にもあるように,Wizardry Onlineは,当初からプレイヤーに裁量を委ねる余地を多くし,かつゲームの難度を高くするという,今の主流とは逆の方針で企画・開発が進められた。運営チームと開発チームが毎週実施する定例会議は,正式サービスが開始された今なお8時間にも及ぶという。また初回バランステストのあとに施されたというシステムの改善や,その検証のためのテストの繰り返しには,当然ながら余計なコストが発生したはずだ。

 つまり,主流ではなくヒットの見込みが不明なタイトルに,ゲームポットとヘッドロックは膨大な時間と多額のコストを割いているわけだ。突飛な作品が案外受け入れられにくいオンラインゲーム市場において,野心的な本作が今後どのような方向に進むのか,非常に興味深いところだ。

「Wizardry Online」公式サイト

  • 関連タイトル:

    Wizardry Online

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