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AMD,ハイエンド向けデュアルGPUソリューション「ATI Radeon HD 3870 X2」
リファレンスデザインとしては初のデュアルGPU構成
バスインタフェースはPCI Express 1.1
ATI Radeon HD 3870 X2の基本的なスペックはATI Radeon HD 3870と変わらず,1GPU当たりのStreaming Processor(汎用シェーダユニット)数が320基である点や,メモリインタフェースが256bitリングバス(512bit相当)である点,省電力機能「ATI PowerPlay」をサポートする点などはまったく同じだ。
これは,2基のGPUインターコネクトを司るPCI Expressブリッジチップが,現時点でPCI Express 1.1のサポートに留まるためだ。Sabnis氏いわく「PCI Express 2.0ブリッジチップを待つこともできたが,パートナーからリリースを急ぐよう要請する声が多かったため,製品リリースを優先した。PCI Express 2.0ブリッジチップは2008年2月末にリリースされるので,3月には切り替わったモデルが登場するだろう」とのこと。PCI Express 2.0ブリッジチップ搭載版で製品名が変わるかどうかは,まだ決まっていない(=パートナーからの意見待ち)だそうだ。
発表時点におけるバスインタフェースはPCI Express 1.1 x16。「パートナーが提供しているデュアルATI Radeon HD 2600 X2カードと似た技術」による |
ATI Radeon HD 3870の2倍近いパフォーマンスを実現し,“1枚のグラフィックスカード”として,ベンチマークスコアは「GeForce 8800 Ultra」を圧倒するという |
このほか詳細は表にまとめたとおり。ピンク地を敷いたのがATI Radeon HD 3870 X2で,残りは既存のAMD製ハイエンドおよびミドルレンジ向けGPUだ。ATI Radeon HD 3870 X2の公称消費電力は196W以下と,ATI Radeon HD 3870“×2”の210Wよりも低くなっているが,カード全体としては,PCI Express 2.0ブリッジチップ込みで225Wとされているので,この点はご注意を。
昔話になってしまうが,かつてのATI Technologiesは,DirectX 9(Pixel Shader 2.0)世代のGPU開発競争でNVIDIAに大きく先行し,ゲームデベロッパやエンドユーザーの支持を獲得した。要するに“Radeon 9700対GeForce FX 5800”のことだが,あのシナリオがDirectX 10.1世代で繰り返される可能性は十分にある。
ただ同時に,ゲーマーの間では2008年1月をもってなお,DirectX 10環境(=Windows Vista)への移行がそれほど進んでいないという事実もあり,DirectX 10.1環境の整備に時間がかかると,NVIDIAがキャッチアップするための時間が生まれてしまう。AMDには,ゲームベンダーへの積極的な働きかけが強く望まれるところだ。
- 関連タイトル:
ATI Radeon HD 3800
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