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ASUS「R.O.G.」のP55モデル「Maximus III Formula」。実機の特徴を細かくチェックする
現時点で判明しているラインナップは,ATXフォームファクタの「Maximus III Formula」と,microATX仕様の「Maximus III Gene」。今回4Gamerでは,発売時期,価格とも未定ながら,「ほぼ製品版」(ASUS)とされるバージョンのMaximus III Formulaを入手したので,写真と製品概要をまとめて紹介したい。
マザーボード全体像&チップセット
Maximus III Formulaは,黒と赤を基調とするマザーボードである。物理的な拡張スロット構成はPCI Express x16 ×3,PCI Express x1 ×2,PCI×2という構成で,3本のPCI Express x16スロットは,赤×2がPCI Express 2.0 16/0レーンもしくは同8/8レーンとして動作するとのこと。8レーン×2動作時には,2-wayのNVIDIA SLIとATI CrossFireXをサポートする。白いPCI Express x16スロットは,4レーンで動作する仕様だ。
冷却機構というと,マザーボードの背面に特殊加工を施した「Stack Cool 2」や,最近だと,PCBを2レイヤー追加し,さらに電源レイヤーに2オンスの銅を採用することで,いろいろと注目を集める「Stack Cool 3+」など,ASUSは基板レベルでの冷却技術も持っているが,Maximus III Formulaで,そのあたりはとくに謳われていない。
電源周りとDIMMスロット周り
電源部は,「Extreme Engine Power Design」と呼ばれる多フェーズ仕様になっており,具体的には,CPU用に16フェーズ,(CPUの)Vtt用に3フェーズ,DIMM用に3フェーズのPWM回路がそれぞれ採用されている。
下に写真で示したとおり,ヒートスプレッダは背が非常に低いが,ASUSいわく「背を低くしているのは,発熱の低さに自信があるためと,どのようなCPUクーラーでも取り付けられるようにするため」。P55世代で,主な熱源はCPUになるので,CPUクーラーはこれまで以上に重要になるとのことだ。
その思想は,先ほど簡単に紹介した,セパレート仕様の冷却機能にも生かされている。VRM用の冷却機構をよく見てみると,Integrated Device Technology(旧ICS)製のPLLクロックジェネレータ(と思われる)チップ,「9LPRS140」用の熱伝導シートが貼られていて,本チップの発熱対策であるかのように見えるのだが,「9LPRS140はまったく発熱しない」(ASUS)。むしろこのデザインは,VRM部の熱を効率よく処理するために,“ノースブリッジがなくなった部分”のスペースを有効活用した結果なのだという。とにかく,CPU周りの熱処理を最優先するデザインになっているのだそうだ。
電源回路とI/Oインタフェースの近くには,消費電力を管理し,低消費電力を実現するという専用プロセッサ「EPU」(Energy Processing Unit」と,8フェーズを超える電源回路を実現するのに用いるとされる「PEM」(Phase Extension Module)を搭載するのが見て取れる。
GO Buttonは,マニュアルによると「POST時には『MemOK!』の起動用,Windows上では,オーバークロック用のプリセットファイルを即座に適用するためのボタンとして機能する」(原文:Press the GO button before POST to enable MemOK! or press it to quickly load the preset profile(GO_Button file) for temporary overclocking when in OS.)ものだ。
MemOK!というのは,メモリモジュールとマザーボードの相性問題によってPCが起動しないとき,モジュール側のSPD情報を無視し,最適な(=動作する)メモリ設定を試みて起動する機能。もう一つの,プリセットファイル云々というのは,標準設定とターボ設定の動作クロック&電圧設定を登録しておいて,Windows上から一発で切り替えられるソフト「TurboKey」機能を,ボタンに割り当てたもののように見える。
オンボードデバイスなど
これは,I/Oインタフェース部に用意された機能で,「RC TweakIt」と呼ばれる専用アプリケーションをインストールした別のPCから,USB経由で,BIOS設定を直接変更できるというもの。さらに,POSTコードや,動作電圧,温度,ファン回転数のモニタリングも,このRC TweakItから行えるようになっているという。
ベンチマークテストによっては,場面場面でCPUの負荷が異なることがある。
それをモニタリングし,必要に応じてクロックを引き上げるソフトウェアもないわけではないが,Windows上で動作するソフトウェアだと,それ自体がリソースを消費してしまう。そこで,外部から,モニタリングとBIOS設定の変更をリアルタイムで行えるようにすることで,より高いスコアを狙えるようにしたと,ASUSはROG Connectのポイントを説明している。
ゲーマーからすると,何もそこまで……といったところだが,場面場面で動作クロックなどを変更できるというのは,場所によってCPU負荷が異なるタイプのゲームだと,役に立つ可能性もありそうだ。
ユニークといえば,ストレージ周りもなかなかのもの。というのも本製品では,P55によるSerial ATA×6(※RAID 0/1/5/10対応)と別に,JMicron Technology製のSerial ATAマルチプライヤ「JMB322」×1,Serial ATAコントローラ「JMB363」×2が用意されているのだ。
JMB322の近くには,HDD/SSD用とされるSerial ATAポートが2基,JMB363×2の近くには,光学ドライブ用と位置づけられたSerial ATAポートが2基用意されているため,ぱっと見たところ,JMB322がHDD/SSD用,JMB363が光学ドライブ用コントローラであるかのように見える。しかし,実際の配線では,片方のJMB363がJMB322とつながっているので,JMB363は片方がHDD/SSD×2,片方が光学ドライブ×2のインタフェースコントローラとして機能し,同時に,JMB363とつながったJMB322マルチプライヤが,RAID 0/1機能を提供している可能性が高い。
ちなみに,Maximus III Formulaは,IDEデバイスをサポートしていない。Intel製マザーボードでは,ずいぶん前からそうだった記憶があるが,ゲーマー向けマザーボードでも,ついに対応が打ち切られたわけで,なかなか感慨深いところだといえよう。
※2009年9月2日16:00
JMicron Technologyコントローラに関する考察をアップデートしました。
このほか,主なオンボードデバイスとしては,Realtek Semiconductor製の1000BASE-T LANコントローラ「RTL8110SC」,VIA Technologies製のIEEE 1394aコントローラ「VT6308P」を搭載。サウンド機能は,製品ボックスに付属のPCI Express x1接続サウンドカード「SupremeFX X-Fi」によって,アナログ7.1ch出力と,同軸/光デジタルサウンド出力が実現される。
SupremeFX X-Fiは,EAX ADVANCED HD 4.0や,CMSS-3Dをサポートしたサウンドカードで,いうなれば「PCI Express Sound Blaster X-Fi Xtreme Audio」相当のものだ。
ただ,手持ちのノートPCやNetbook――サブのデスクトップPCでもかまわないが――の,新しい使用法を提案するROG Connectも含め,今回もR.O.G.の新作はなかなか面白そう。興味を持った人は,X-DAYを迎えた後も,ちょっと待ってみるといいかもしれない。
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