インタビュー
期待のMMORPG「TERA」のβテストは夏! 正式サービスも夏! 2月以降の予定をいろいろ聞けたので,せっかくだし全部記事にしてみました
TERA LEADER以降の動きがあまり見えず,待っているユーザーさんもたぶんやきもきしているであろう状況だと思うので,多少強引ではあるが,ただの年始のご挨拶をいきなりインタビューに変更し,記事にする許可をいただいた。以下が,そのほぼ全文である。
まずは,今回判明したスケジュールを下記にまとめておこう。
2011年2月26日 TERA LEADER向け,第一回体験会@NHN Japan(TERA DAY)
2011年3月下旬 TERA LEADER向け,第二回体験会@都内(TERA DAY)
2011年4月以降数回実施予定 一般向け体験会(TERA DAY)
2011年夏 CBT開始
2011年夏 OBT開始
2011年夏 正式サービス開始
――ひとしきり年始の挨拶の応酬を終えて――
4Gamer:
そういえばTERAなんですけど,いつごろ次の大きな動きが見える感じなんでしょうか。
ええと,これいいのかな,言っちゃって。大きな動きという意味では,やはり今年の夏になりますね。
4Gamer:
記事にしてもいいですか?
潮田氏:
ちょ,ちょっと待ってください。記事にできるかどうかは一応確認させてください……。でも話せる範囲であれば。
4Gamer:
じゃあテレコONにしちゃいますね。
それで,夏にどんな動きが?
潮田氏:
いきなりプレッシャーですね……。ええと,今年の夏には正式サービスに入る感じで考えています。
4Gamer:
あれ,いきなり正式ですか。CBTとかOBTはどんな感じですか。
潮田氏:
それらも全部「夏」です。
「夏」っておっしゃいますけど,本当は月も決まってるんですよね?
潮田氏:
はい,むろん内部的には決まっています。しかし,やはりまだまだ不確定要素が多すぎて,待ってくれてるプレイヤーのみなさんに明言するのは失礼だと思ってるんです。NHN Japanでのサービスを発表してから,多くの反応をいただいて,期待を持っていただいてることを実感していますので,ここで肩すかしを食らわせるようなことはしたくありませんし。
4Gamer:
まぁ確かにNHN Japanでの内部制作じゃないですし,どうにもならない遅延要素もあるかもしれませんしねえ。
潮田氏:
ええ,その可能性もありますね。なので現時点では「夏」ということにしておいてください。おっしゃるとおり,どうにもならないこともあるかもしれませんし……。
4Gamer:
その「夏」は,言葉どおりの普通の意味で考えておいていいんですよね?
潮田氏:
はい。変にトリッキーな意味は含んでいません(笑)。
4Gamer:
じゃあCBTが6月末くらいだと勝手に想像するとして……あと5か月か。まだ結構ありますね。サービスをする側からすれば「時間が足りない」と言いたいところでしょうけど。
潮田氏:
いやまったくです……。
度重なる変更が入る,数百万文字の翻訳
4Gamer:
その「夏」の動きに至るまでの,大きな壁として立ちはだかりそうな問題って,現時点ではどんなものがありますか。
潮田氏:
実は想像よりも「壁」となるものは少ないんですけど,一例を出すならば,例えば物量が半端なくて……。
4Gamer:
物量,ということは例えば翻訳とかですか?
そうです。それが我々の直面する「物量」の筆頭ですね。いままでNHN Japanが持ってたタイトルの,軽く数倍の規模のテキストがあるんです。しかもそれが,すごい勢いで修正されていくんです。
4Gamer:
韓国もまだまだ修正が入る状況ですしね(編注:本家韓国でも,1月25日に正式サービスが始まったばかり)。修正って,割と細かいものが山ほどくる感じですか?
潮田氏:
細かくではなくまとめてくるんですが,それが,修正部分だけで100万文字来ました。開発会社も,精魂込めて作品を良いものにしようとしているので。
4Gamer:
……でもそこまで来るともはや修正じゃない気が。全体でどれくらいの分量があるんでしょうか。
潮田氏:
さすがに正確には把握していませんが,確か作品全体で数百万文字はあったはずです。
4Gamer:
その分量を,日本のβテスト時に全部翻訳し終わっておく予定なんですか?
潮田氏:
非常に困難な挑戦であることは自覚してるんですが,やはりクオリティは落としたくないですし,そのうえで,スケジュールも守っていきたいと思っています。
4Gamer:
翻訳って,言葉さえ知ってれば誰にでも出来そうな作業に見えるので,割とユーザーさんからは叩かれやすい部分ですよね。サービス開始時に,全体の翻訳レベルを70点くらいにすることを目指すのか,それとも最初は半分くらいのところまでを100点目指して,ローンチ後にユーザーより先を進む形で間に合わせていくのか,どちらの手法で考えてます?
前者です。
4Gamer:
また難しいほうを(笑)……。ローカライズって内製でしたっけ。
潮田氏:
そうです。社内のローカライズチームがやってくれています。
4Gamer:
内製だと,言い方がアレですけどハンドリングしやすくていいですね。
潮田氏:
そうですね。外注さんにこの量を発注して,しかもクオリティコントロールをして納期を守ってもらうのは,相当厳しそうです(笑)。
4Gamer:
翻訳するときに気を付けていることはありますか。
潮田氏:
うーん,そうですね。読んで違和感のある翻訳にはしたくないと思っています。例えば,韓国語の表現を直訳で日本語に直すと,感情表現がストレートすぎるというか,あるいは逆に淡々としている場合が多いんです。
具体的な例を出すと,あるNPCが敵に襲われた瀕死状態でのセリフを直訳すると「結局,奴らにやられてしまいました。私はこれ以上は無理です。このことを隊長に伝えてください」とかなんとか。瀕死なんですよ? なんとなくおかしいですよね。ちゃんとした日本語に直すならば,もう少し苦しそうに,かつ情緒的に表現しますよね。「私は……もうここまでのようです……」とかなんとか。
4Gamer:
そうですねえ,確かに。「このことを伝えてください」って瀕死の状態で言われましても(笑)。
潮田氏:
ええ(笑)。むろん意味としてはおかしくないんですけど,やはり違和感がありますよね。そういう「いや,日本でそういう表現はしないでしょう」と思える表現を徹底的に洗い出して修正して,読んで違和感のない日本語訳を目指したいと思っています。
4Gamer:
全体として正確さと読みやすさを割と重視している感じですね。
潮田氏:
そうですね。別に何も目新しいことも斬新なこともしていませんが,より丁寧に,より分かりやすく,日本人としてより感情移入ができるようなものにしたいと思っています。
4Gamer:
ほかに何か困ってることってあります? って,なんかだんだん本当にインタビューっぽくなってきましたが。
潮田氏:
やはり韓国のクライアントがまず安定してくれないことには,という部分ですね。それがないと日本向けにチューンする話はできないので,結局のところ韓国のリリーススケジュールに完全にハンドリングされていた感じです。
それがここ1,2週間でようやく「もう大丈夫そう」というレベルに来たので,なのでこうやって「夏」のお話ができるようになったわけです。
4Gamer:
いま「チューン」とおっしゃいましたが,別に何かフィーチャーを変えたりということはないですよね。
潮田氏:
あぁすいません。日本向けのクライアントにバージョンを上げることをチューンと呼びました。ゲームの基本の部分は何も変わりません。
4Gamer:
TERAは最初から世界共通クライアントを標榜している作品ですし,多くのゲームで,半ばリップサービスのように表明されて決して実現されない「日本独自のコンテンツ」についてもないと考えてよいですよね。
潮田氏:
はい。とくにありません。すでに各国運営からの意見も出して相談していますし,最後は開発会社を信頼して,グローバルなクライアントを日本でリリースします。その代わり,日本のTERAに関しての運営の全責任は我々にあります。最高の運営であると,お客様から認められることに注力しなければいけません。
ズバッとそう言っていただけると気が楽です。
潮田氏:
まぁ未来永劫絶対にあり得ない,というわけではないですが,少なくとも正式サービスから最初の1年くらいはまずないと思いますよ。
4Gamer:
そもそもビジネスなわけで,まず日本のプレイヤーを重視してもらわないといけないわけですしね。
潮田氏:
正直,おっしゃるとおりですね。「日本ですげえ売れた!」という話になれば,じゃあ日本向けに何か作るか,という話にもなるでしょう。
4Gamer:
現時点では,BlueHole Studio的に日本の重要度ってどれぐらいなんですか。
潮田氏:
向こうの社長のリップサービスでなければ「非常に期待している」という言葉はもらっています。
4Gamer:
数字的な意味で? それとも評判としての意味かしら。
潮田氏:
両方です。
日本という国は,やはりゲームという意味ではコンソールゲームが強いわけですが,なにせ「目の肥えた」プレイヤーが多いという認識なんですね。なので,数字的な意味はもちろんですが,評価/評判も相当気にしていると思います。
触れる体験会が,2月から定期的に開催
4Gamer:
話がズレちゃったのでちょっと戻します。
先ほど「夏」にいろいろなことが起こることは聞きましたが,その前には何もないんですか?
潮田氏:
いえ,さすがにそんなことはありません。CBTの前に,プレイヤーさん向けの体験会を用意しようと思っています。
4Gamer:
リアルで?
潮田氏:
はい。TERAを実際に体験する場所です。ただ,リアルでのイベントですので,人数キャパシティ的に抽選になる可能性が大きいです。
4Gamer:
いつごろを予定してるんでしょうか。
潮田氏:
まず一回目は2月26日です。その回はTERA LEADERの方限定で,NHN Japanの社内でやろうと思っています。
4Gamer:
さらりと言いましたが,予想を遙かに超えて早いタイミングですね。しかも「一回目」とか「その回は限定」とか,聞き捨てならない言葉がずいぶんありますが。
では順番に説明しますね。
まず2月26日に,一回目の「TERA DAY」を――そういう名前にしました――開催して,TERA LEADERさんの中から抽選で,NHN Japanの社内で実際にTERAを体験してもらえるようにします。たぶん50名くらいになるんじゃないかと思っています。
そしてそれの二回目が,おそらく3月下旬に開かれることになるんですけど,それは東京のどこか,ということ以外まだ決まっていません。参加できる人数は,一回目より増やす予定です。
4Gamer:
遠方でも来たい人もいるかもしれないし,少し早めに告知してあげたほうがいいんじゃないでしょうか。
潮田氏:
はい。今週金曜日のUstreamでちゃんと告知して,募集を2月10日から始める予定です。
4Gamer:
一回目と二回目の体験会は,遊べる部分は同じですか?
潮田氏:
変えようとは思っています。1回ごとに,体験できるボリュームやエリア,コンテンツなどが変わっていく予定です。
4Gamer:
それは普通に考えて全部見たいのでは……。連続で出られるんでしょうか。
潮田氏:
そのあたりはまだ調整中です。
4Gamer:
僕なら毎回出たいなぁ。
潮田氏:
ありがとうございます(笑)。
あと3月の体験会は,抽選で当たったTERA LEADERさんはお友達を連れてきてもいい,という風にしようかと思っています。呼べる友人の人数などはまだ調整中ですが。
4Gamer:
その体験会は,ユーザーさんにNDA規制(編注:体験会で見聞きした情報やスクリーンショットを,ブログやTwitterや掲示板などで発信/公開してはならないという規制)はかかるんでしょうか。
たぶんないと思います。
4Gamer:
ということは,待ってるほかのユーザーさんも,そのタイミングで得られる情報が一気に増える感じですね。
潮田氏:
そうなりますね。LEADER向け体験会は,言い換えればLEADER達に,TERAの素晴らしさを知って広めてもらうための場所でもあるのです。
4Gamer:
それもそうですね。しかしTERA LEADERに関しては思ったより早く動きを見せるんですね。「夏」と聞いたときには,もうちょっと時間がかかるかなと思いました。
潮田氏:
はい。お待ちいただいてる方に,少しでも早くお見せしたいんですよね,やっぱり。
4Gamer:
4月,5月あたりはどうですか?
潮田氏:
やりますよ。でも場所は東京じゃないと思います。
4Gamer:
西?
潮田氏:
はい。しかも,その体験会からはTERA LEADERさん限定ではなくなると思います。一般の方でも体験できるようにする感じですね。
4Gamer:
では4月以降は,TERA LEADERじゃなくてもクライアントに触れる可能性があるんですね。そしてそうこうしているうちに,CBTの声が。
潮田氏:
聞こえてくるころになると思います。そしてOBT前くらのタイミングで,発表会をさせていただくことになると思います。日本語版の完成,という報告で。
4Gamer:
しかしCBTから正式サービス稼働までほとんど時間を置かない感じですね。韓国ですでに稼働実績があるタイトルになるから,クリティカルな問題はないという判断なんでしょうか。
潮田氏:
そうですね。むろんクリティカルな問題があれば即時修正しますけど,韓国サービスで安定したクライアントを使うので,そこまでの時間は空けない予定です。
課金モデルは?
4Gamer:
なんか結局インタビューっぽくなって長くなっちゃいましたね……。最後にせっかくなので,ビジネスプランについても教えてください。
潮田氏:
内緒です。
4Gamer:
えええ……。
いやごめんなさい。メディアさんばかりかユーザーさんこそがきっと気にしているだろうことは重々分かっているんですが,これはもうしばらく時間をください。
4Gamer:
じゃあせめて,何か方向性を感じさせる発言をしてください(笑)。
潮田氏:
ええと……ユーザーさんのTweetや,各所のみなさんのコメントを見た限りでの発言ではありますが「そんなに変なことにはならないと思いますよ」とだけ伝えさせてください。
4Gamer:
当たり前のことを聞くんですけど,社内ではもう決まってるわけですよね。
潮田氏:
ええ,もちろんある程度は。ただ,開発会社との最終の調整がまだちゃんと終わっていない状況なので,そういうデリケートなことを先行で発表したくないのです。2月くらいにはキチンとお伝えしたいと思っています。
4Gamer:
まぁでも,MMORPGのビジネスモデルはゲームシステムに非常に密接に関わってくるので,予想の遙か斜め上をいくようなことはないと僕は勝手に思っているんですけれども。
潮田氏:
ノーコメントとさせてください(笑)。
4Gamer:
口堅いなぁ……。ともあれ,いろいろとありがとうございました。
ほとんど全部を記事にしちゃいますね。
潮田氏:
えええ……。
――2011年1月26日収録
「TERA The Exiled Realm of Arborea」公式サイト
- 関連タイトル:
TERA :The Exiled Realm of Arborea
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