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Xeon Phi
  • Intel
  • 発表日:2012/06/18
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印刷2015/12/11 00:00

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Intel,次世代Xeon Phi「Knights Landing」を中核にしたHPCシステム「Scalable System Framework」を紹介

 2015年12月10日から11日の2日間,Intelの日本法人であるインテル(以下,Intel)は,東京都内で「インテル ソフトウェア・カンファレンス東京」という開発者向けイベントを開催している。このイベントのテーマとなっているのは,いわゆるHigh Performance Computing(以下,HPC)分野向けのソフトウェア開発だ。

Hugo Saleh氏(Director of Marketing and Industry Development,HPC Platform Group,Intel)
画像集 No.002のサムネイル画像 / Intel,次世代Xeon Phi「Knights Landing」を中核にしたHPCシステム「Scalable System Framework」を紹介
 イベント初日の10日には,来日したIntelのHPC担当者による報道関係者向けの説明会が行われ,同社によるHPCへの取り組みが説明された。ゲーマーに直接関係のある話題ではないのだが,IntelやNVIDIA,ARMといったプロセッサメーカーが力を入れるHPC分野の最新事情がうかがえるので,簡単にレポートしたい。説明を担当したのは,IntelにてHPCマーケティング&インダストリーデベロップメント担当ディレクターを務めるHugo Saleh(ヒューゴ・サレー)氏である。


HPCシステムを構築する要素をまとめたプラットフォーム

Scalable System Framework


 Saleh氏はまず,HPC分野の現状を簡単に説明した。曰く,「HPCは知見やイノベーションの“エネルギー源”」であり,さまざまな分野において,HPCの活用によって問題解決や発見,発明などが行われているとのことだ。そしてHPC分野では,さらに現在,演算性能を向上させるために大きく3つの問題を解決すべく,取り組みが行われているという。
 1つは,現状の「HPCシステムに存在するボトルネックの解消」により性能を向上させること。2つめは「インフラの分散」の解消だ。現在,ビッグデータ解析や機械学習,データの可視化といった研究がバラバラに行われていることで,HPCのエコシステムやリソースが分散してしまっていることが問題だという。そして3つめは,クラウドの利用を前提とした,理解しやすい「プログラミングモデルの導入」といった要素だ。
 これらがHPCの普及を阻む障壁となっており,さらなる普及のためには,これを解消する必要があるとSaleh氏は述べる。

HPC普及の前に立ちはだかる3つの課題。システムの「ボトルネック」,リソースやエコシステムの「発散」,そして普及の「障壁」を解決する必要があるという
画像集 No.003のサムネイル画像 / Intel,次世代Xeon Phi「Knights Landing」を中核にしたHPCシステム「Scalable System Framework」を紹介

 そのためにIntelが提唱したのが,すべてのHPC分野におけるニーズに応えられる統一されたプラットフォーム「Intel Scalable System Framework」(SSF)だ。
 SSFは,XeonやXeon Phiなどのプロセッサによる「コンピュート」と「メモリおよびストレージ」,システム間を接続するインターコネクト技術の「ファブリック」,そして「ソフトウェア」の4つから構成されるプラットフォームである。これらは,Intelが2016年の市場投入に向けて開発中の次世代Xeon Phi「Knights Landing」(ナイツランディング,開発コードネーム)を想定したHPCシステムだ。
 簡単にいえば,HPCシステムの販売業者は,Intelやパートナー企業が提供するSSF対応のコンポーネントやソフトウェアを組み合わせることで,HPCシステムを容易に構築できるようになるというわけだ。

プロセッサ(コンピュート),メモリ/ストレージ,ファブリック,ソフトウェアの4要素で,HPCシステム構築の解法を提供するのがSSFであるとのこと
画像集 No.004のサムネイル画像 / Intel,次世代Xeon Phi「Knights Landing」を中核にしたHPCシステム「Scalable System Framework」を紹介

 SSFでは,「Intel Omni-Path Architecture」(以下,Omni-Path)と呼ばれるファブリックインタフェースを利用して,プロセッサ間およびシステムボード間の接続を可能にしているのも特徴である。HPC分野では,システム同士の接続に「InfiniBand」というファブリックインタフェースが広く使われているが,Omni-Pathはこれの置き換えも狙っていると,Saleh氏は説明していた。Omni-Path用のスイッチや外部接続ケーブルシステムといったコンポーネントも,Intelがパートナー企業と協力して用意するそうだ。

Omni-Pathは,SSF用のパッケージ間,あるいはシステム間の接続技術だ。Intelがインタフェース用,およびスイッチ用のチップを開発する。バスは双方向で,1リンクあたり片方向の最大データ転送速度は100Gbit/sになるという
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Omni-Path用のチップやインタフェースカード,スイッチやケーブルなどは,Intelやパートナー企業から提供されるという
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Knights LandingのCPUパッケージ。中央がCPUで,左右8個のパターンは3D積層DRAM用と思われる
画像集 No.007のサムネイル画像 / Intel,次世代Xeon Phi「Knights Landing」を中核にしたHPCシステム「Scalable System Framework」を紹介
 さて,SSFの要となるプロセッサのKnights Landingは,コプロセッサとしてしか動作しない「Knights Corner」こと現行のXeon Phiと異なり,ホストプロセッサを必要とせず,単体で起動するプロセッサである。
 Silvermontアーキテクチャをベースに,HPC向けの「AVX-512」命令を拡張したCPUコアを72基集積したCPUで,プロセッサパッケージには,3D積層のDRAMを16GB搭載するという(関連記事)。
 プロセッサパッケージ上のメモリ以外に,外部接続のメモリとしてDDR4 DRAMを使用できるほか,IntelとMicron Technologyが共同開発した「3D XPoint」(3Dクロスポイント)メモリを,DDR4 DRAM用のDIMMソケットに装着することで,大容量で高速な不揮発性メモリを搭載することも可能であるそうだ。

Knights Landingは,SSFの中心となる次世代Xeon Phiである
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 HPC向けのストレージシステムとしては,オープンソースのファイルシステム「Lustre」(ラスター)を使ったシステムが提供される。これは,多数のプロセッサが同時アクセスを行うHPCでの大容量データ運用を想定したストレージシステムで,ビッグデータ処理などに向いているという。Saleh氏によると,通常のストレージシステムでメモリへの読み込みに10分ほどかかっていた処理が,Lustreの導入で10秒に短縮された事例もあったそうだ。

Lustreは,オープンソースによるHPC向けのストレージシステム。エンタープライズやクラウド向けの製品も用意されている
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 SSFを応用したHPCシステムの事例として,2015年4月に,IntelとスーパーコンピュータメーカーのCrayが米国エネルギー省から受注した次世代スーパーコンピュータ「Aurora」が挙げられた。このシステムでは,Knights Landingのさらに次世代となる「Knights Hill」(ナイツヒル,開発コードネーム)をベースにするのだという。
 Knights Hillは,Knights Landingと互換性を持ち,10nmプロセスで製造される後継プロセッサで,当然ながらSSFに対応する。Saleh氏は,このAuroraで,180PFLOPS以上の演算性能を実現すると述べたうえで,Knights LandingとSSFは,こうしたスーパーコンピュータにもつながっていく技術であるとしている。

Intelが受注した米国エネルギー省のスーパーコンピュータ「Aurora」。次々世代のXeon Phiチップを採用して,180PFLOPS以上の性能を達成する予定
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 すでにいくつものメーカーがSSFを採用予定であるそうで,2016年第1四半期には,リファレンスデザインなどを含む「Intel SSF Design Guidance」が提供されるとSaleh氏は予告していた。

SSFを利用したHPCシステムの構築は,スペイン・バルセロナの「Supercomputing Center」や,英国ケンブリッジ大学およびDellとのプロジェクトなどで進められているそうだ
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インテル ソフトウェア・カンファレンス 公式Webサイト

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