インタビュー
アクションだけじゃない。“新世代オンラインRPG”「C9」の魅力を運営/開発スタッフに聞いてみた
「C9 [Continent of the Ninth]」プレオープンテストに4Gamer読者枠で応募する
※テスター募集は7月11日正午まで目指すはプレイ自体が面白く,かつコミュニティ要素も充実した新世代のオンラインゲーム
4Gamer:
よろしくお願いします。まずは,C9のサービスを日本で展開することになった経緯を教えてください。
中川敬順氏(以下,中川氏):
先日のプレスカンファレンスでも弊社の麥谷(将人氏)が説明しましたが,ゲームオンとWEBZENとの付き合いはかなり長いです。正式な発表こそ2011年に入ってからでしたが,それ以前からずっと,C9をゲームオンで展開しようという話をしていました。
4Gamer:
韓国では2009年からC9のサービスが行われています。日本での展開が2011年まで持ち越されていたのには,何か理由があるのでしょうか。
ゲームオン 第三事業部 C9運営チーム プロデューサー 中川敬順氏 |
韓国WEBZEN C9開発チーム プロデューサー ユ・チュンギル氏 |
中川氏:
日本におけるオンラインゲームのトレンドの変化を踏まえてのことです。日本のオンラインゲーム市場をザックリと振り返ると,まず10年くらい前から続くMMORPGの歴史があります。
そして数年前からFPSが台頭してきました。ゲームオンも2008年から「Alliance of Valiant Arms」(以下,AVA)のサービスを展開していますが,最初はRPGに比べると今ほど人気がなかったんです。しかしサービスを継続していく中で,尻上がりにプレイヤー数が増えていきました。プレイヤーを巻き込んでいった運営の努力によるところも大きいのですが,それに加えて,日本市場にFPSの波が来た,といった感じです。
4Gamer:
AVAもそうですが,2年ほど前からオンラインFPSのオフィシャル大会が凄く盛り上がっています。取材に行くと,その熱気に驚かされます。
中川氏:
それから少し遅れる形で,今,ノンターゲッティングのアクションMOに注目が集まっています。ゲームオンでも以前,「GUNZWEI」というTPSタイプのオンラインアクションゲームを展開していたのですが,あれはちょっと時代を先取りしすぎたというか……。
そこで,せっかく高いクオリティを誇るC9ですから,ジャンル的に注目を集めるタイミングを見計らってローンチしようと決めたんです。
4Gamer:
そもそも,開発の発端はどういったものだったのでしょうか。
ユ・チュンギル氏(以下,ユ氏):
C9は,私が4番目に携わったタイトルです。それまで携わったタイトルはいずれもMMORPGでしたから,必然的にコミュニティに軸足を置いた内容となっていました。もちろん,それはそれで面白いのですが,私個人はプレイ自体の面白さという部分が少し弱いと感じていたんです。
また私は,近い将来,PCゲームとコンシューマゲームの壁がなくなると考えています。
そうした二つの考えをもとに,ゲーム単体として遊んだときに面白く,また一人で遊ぶだけでなく多くの人と一緒に楽しめて,グローバルに通用するコンテンツを目指し,2007年の2月頃にC9の開発に着手しました。
4Gamer:
プレスカンファレンスでは,格闘ゲームタイトルや「モンスターハンター」など,日本のアクションゲームから大きな影響を受けたとおっしゃっていましたね。
ユ氏:
意図的にそうしたわけではないのですが,C9の開発のために集めたスタッフの多くが日本産アクションゲームの愛好家だったんです。上段/中段/下段攻撃,回避,ダウン攻撃といった概念に慣れ親しんでおり,C9にもそれらが自然に組み込まれました。
4Gamer:
そういったアクションゲームの要素をC9に落とし込むにあたり,非常に苦労したともおっしゃっていました。具体的な例を挙げてもらえますか。
ユ氏:
私自身,アクションゲームの開発は初めてでしたから大変でした。MMORPGと比較すると扱うパラメータの数も多いので,既存のツールでは対応できませんでした。そこで一つ一つコマンドスクリプトを組んでいくところから始めたのです。さらに,想定していなかった問題も頻出しましたし。
4Gamer:
というと,開発ツール自体,C9のために新規に用意されたものなのでしょうか。
ユ氏:
ええ,独自エンジンを開発しました。開発スタジオの名前を取って「Cloud 9 Tech」といいます。スタッフが研究を重ねて作り上げた優れものです。
4Gamer:
なるほど。少し話が脱線しますが,今後のタイトルは同じエンジンを使って開発するのですか。
ユ氏:
もちろん,そのつもりですが,まずはC9のグローバル展開が先ですね。
4Gamer:
開発チームとして,日本ではC9をどのように遊んでほしいですか。
ユ氏:
すでに第9大陸までのストーリーが用意されていますから,まずはそれを楽しんでください。一通り楽しんでいただいたら,PvPなど横に展開するコンテンツで遊んでいただけると嬉しいです。PvP,協力プレイ,ソロプレイとさまざまなニーズに応えられる内容になっていますので。
PvP大会の開催でオンラインFPS同様の盛り上がりを狙う。格闘ゲーマーにもアピール
4Gamer:
それでは,日本におけるC9の運営方針を教えてください。
中川氏:
ユさんが説明した通り,ゲーム内には多彩なコンテンツがあり,またそれぞれに誘導する仕組みも用意されています。
その中でも,ほかのオンラインRPGやアクションMOと比較して際立っているのがPvPです。そこで運営チームとしては,PvPを積極的に盛り上げていきます。
4Gamer:
具体的に何かお考えでしょうか。
中川氏:
オーソドックスなところでは,オンライン/オフラインでの大会の開催です。実は今まさに,ゲーム内でトーナメント大会を開催できるシステムの実装を準備しています。そのシステムを利用して,オンラインで予選から準決勝までを行い,オフラインイベントで決勝戦を開催するといったことを企画しています。
また今後,中国でのサービスも予定されているので,日中韓で交流戦を行うのも面白いでしょう。
4Gamer:
イメージ的には,AVAのオフィシャル大会と同じような感じでしょうか。
そういえばC9の公認ナビゲーターに格闘ゲームに詳しい松井 悠さんを起用していますが,それも大会開催を盛り上げるための施策と捉えていいでしょうか。
中川氏:
その通りです。また,松井さんを通じて,格闘ゲームのコミュニティにもC9をアピールしていきたいという狙いがあります。
4Gamer:
格闘ゲーム的な要素といえば,プレイヤーが大会を主催できる「トーナメントシステム」の開発状況はどうなっていますか。
ユ氏:
着手したばかりです。しかし韓国でも,自分で大会を主催したいという需要が高いですから,早急に実現したいところです。
また今の仕様でも,リレーマッチと呼ばれる対戦形式を楽しめます。これは4対4で戦うPvPで,格闘技の団体戦のような勝ち抜きルールを採用しています。
中川氏:
トーナメント自体は手動でも進行できますから,システムが完成する前に大会を開催することも視野に入れています。もちろん,リレーマッチを生かした団体戦もありでしょうね。
ユ氏:
ネット実況に対応できるよう,観戦モードの実装を準備中です。
4Gamer:
PvPのルールは,プレイヤーが任意に設定できるのでしょうか。
中川氏:
はい。まずチームマッチ,デスマッチ,リレーマッチがあって,それぞれ参加人数と制限時間,マップを選択できます。いずれも回復ポーションは使用できません。
ユ氏:
PvPアリーナでは,レベル帯に応じた補正がかかります。また装備の強化も無効となります。
4Gamer:
例えばレベル40とレベル50のプレイヤーであっても,いい勝負ができるのでしょうか。
ユ氏:
基本的にはそうなんですが,キャラクターレベルが高いとそれだけスキルの熟練度も高まりますから,やはりレベル50のほうが有利ですね。
中川氏:
そうそう,レベル45以上のプレイヤーは,アリーナランキングに参加でき,アリーナでの勝ち点に応じて名前の後ろに級位や段位が表示されるんですよ。最終的には「帝王」になるんです。
ユ氏:
その上に「超人」や「神」がありますよ(笑)。
中川氏:
乱入システムもあるので,いきなり帝王や神と戦うケースがあるかもしれません(笑)。
韓国WEBZEN C9開発チーム 企画長 キム・ナムソク氏 |
韓国でも今のところ7段が最高で,その上はまだいません。
また神になるには140連勝する必要があります。アリーナランキング戦はオートマッチングを採用しており,実力が近いプレイヤー同士で戦うこととなりますから,140連勝はハードルが高いので,もし現れたらカリスマ的存在になれますね。
ユ氏:
でも,日本のプレイヤーは熱心ですからね。ひょっとすると,かなり早く神が生まれるかもしれませんよ。ぜひ,初の“神”を目指してほしいですね。
充実した生産システムでギルドへの貢献も可能に。日本先行コンテンツも続々登場
4Gamer:
PvPもそうですが,C9はアクション性の高さを前面に打ち出していますよね。そのほかの部分はどうなっているのでしょう。
中川氏:
プロモーション的に分かりやすくなるよう,アクション性の高さを大きくアピールしているのですが,一般的なオンラインRPGに存在するシステムは一通り揃っています。
その中でも,とくに生産システムが充実していますね。キャラクターレベルとは別に,「職人」の概念があって,ほとんど戦わずに職人として生産だけやっていることも可能です。
ユ氏:
ハウジングもありますよ。
4Gamer:
ちょっと意外な情報ですね。もう少し詳しく教えてください。
中川氏:
もちろん,元手を稼ぐために,最低限の戦闘は行わなければなりません。しかし,生産を極めたプレイヤーはギルドの中でも重要な存在となるはずです。
というのもギルドハウス内には,プレイヤーが生産した家具を設置できるんです。家具にはそれぞれにバフ効果が受けられる設定があり,ギルドハウスに設置した家具の中から自分がほしいバフを選んでセッティングできます。したがってPvPならこれ,ボス戦ならこれというように,その時々の状況に合わせて選ぶ家具の組み合わせを変えるという戦略がとれるので,生産を極めたプレイヤーは重要なんですよ。
4Gamer:
つまり,さまざまな家具を生産できるプレイヤーがいると,それだけギルド全体の強さを底上げできるというわけですね。
中川氏:
ええ。ギルド全体で力を合わせて素材を集め,さまざまな家具を作ることでいろいろな局面にあった対応ができるようになるでしょう。
職人は料理人や錬金術師など5種類ありますが,1アカウントにつき最大12キャラまで作成できますから,全部の職人を育てて遊ぶことも可能です。
キム氏:
職人にもレベルがあって,現在,職人のレベルキャップは80です。韓国では,全部の職人レベルを80にして,「素材を持ってくれば何でも作る」というプレイヤーもいます。
また「ウサギの耳」のようなアイテムを作ることもできます。職人プレイヤーがそういったファニーアイテムを作ってギルド倉庫に入れておき,ほかのギルドメンバーが勝手に使うなんて光景も見られますね。
ユ氏:
ボスモンスターを討伐すると,極めて低確率で頭部などを落とします。それを職人が加工して,ギルドハウスに飾ることもできます。
4Gamer:
それでは,正式サービス開始後,C9をどういった形で展開していくのか教えてください。
中川氏:
現在,韓国では第5大陸まで実装されており,最初に選べるキャラクターが4種類,さらに2次職が15種類,そしてレベルキャップは63に達しています。これらの要素を,日本ではハイペースで──最低でも月1回のアップデートで──追加していきます。したがって,当面コンテンツ不足に陥るということはまずありません。
アップデートのペースや,実装するコンテンツの順序などは,これまでにも開発チームと運営チームとでさまざまな協議を重ねてきましたが,サービスが始まってからもゲーム内をきちんとモニタリングして,プレイヤーの実態に合わせた柔軟な対応を図っていきます。
4Gamer:
現在,企画,開発中のコンテンツの中から,近い将来に実装される予定のものを教えてください。
キム氏:
まず「伝承」スキルが登場します。これは今までのC9の常識を覆すようなイメージで,惑星を真っ二つにするくらいの威力を持っています。ただし,PvPでは使用できません。日本でも早期に実装する見込みです。
伝承スキルは,日本の人気コミックに登場する技をヒントにしているものも多いので,元ネタに気づいてもらえると嬉しいです。
4Gamer:
日本へのローカライズといえば,先日発表されたオリジナルソングとボイスがかなり豪華ですよね。
菅野よう子さんと土屋アンナさんによるC9オリジナルソングの実現には,中川さんがかなり尽力したとプレスカンファレンスでおっしゃっていましたね。
中川氏:
ええ。
4Gamer:
キャラクターのボイスを演じている声優陣のチョイスにも,何か中川さんの意図が込められているのでしょうか。
中川氏:
キャラクターのイメージに合った方を選んだら,こうなりました。まあ,私の家には「ONE PIECE」のコミックが全巻揃っていますけれども,それは関係ないです(笑)。
ユ氏:
ONE PIECEなら,私もアニメ版のDVDを全部揃えていますよ(笑)。
4Gamer:
開発プロデューサーも大満足の人選といったところですかね。
現在,企画,開発中のコンテンツの話に戻しますが,先ほど教えていただいたもの以外に,今後計画しているものはありますか?
キム氏:
また韓国での今後3回のアップデートに向けて,3つのコンテンツを開発中です。1つめは「ルックス変更」システムで,ある装備の性能をそのままに,外見だけをほかのものに変えてしまうものです。ステータス制限のある装備の外見を変更することも可能です。またボスモンスターが着用している装備を,プレイヤー用にリデザインした装備が登場します。最初に登場するのは第2大陸のボスのものです。
2つめはギルド戦です。C9は,アクションと同じくらいコミュニティも重視したゲームを目指しています。このギルド戦こそが,それを象徴するコンテンツとなるでしょう。
3つめはレイドシステムです。従来のダンジョンが最大4人までだったのに対し,こちらは最大8人で攻略できます。ボスモンスターには破壊可能な部位があるのですが,破壊するためにはまず「シールドゲージ」を減らさなければなりません。近接攻撃職と遠距離攻撃職が力を合わせて戦えるように設計しています。
いずれも,これまでC9の開発で培ってきた技術を結集した内容となっており,Cloud 9 Techがなければ実現できないものばかりです。
4Gamer:
新キャラクターはどうでしょうか。日本では2次職はもちろん,基本職すら出揃っていないので,少々気の早い話かもしませんが。
キム氏:
ハンター系列に「バレットシューター」,シャーマン系列に「ソウルリスト」がそれぞれ追加されます。
バレットシューターは,2丁拳銃スタイルで,背中にも長銃を背負っています。ソウルリストは,魂を召喚し自分に憑依させて戦うようなイメージです。
4Gamer:
これまた,コミック的なキャラクターのようですね。
中川氏:
ぜひ,いろんなキャラクターを試してほしいです。
4Gamer:
それでは,最後にC9に期待している人に向けてメッセージをお願いします。
中川氏:
αテスト後もそうだったのですが,C9は,ゲームが好きな人ほど「やってみたら面白い」といってくださいます。C9は基本無料のタイトルですから,興味を持っていただけたら,まずは実際にプレイしてみてください。アクション以外の要素も充実しているので,プロモーションで伝えきれていない部分もたくさんあるでしょう。実際に触れて,一つ一つを確認していただければと思います。
ユ氏:
今回の日本展開は,C9にとって初めての海外進出となります。日本の文化にマッチするよう,専任チームを編成し,全力を上げて取り組んでいます。ぜひ実際に楽しんで,さまざまな意見を聞かせてください。
実のところC9は,これまでボイスに力を入れていなかったんです。しかし今回の日本展開をきっかけに,韓国でも各キャラクターと主要NPCにボイスを入れることになりました。それくらい開発チームでは日本からの反響を重視しています。運営チーム,開発チーム,そしてプレイヤーのみなさんで協力し,よりよいC9を作っていきたいと考えています。
4Gamer:
ありがとうございました。
中川氏が指摘している通り,C9ではこれまでアクション性の高さやPvP要素がクローズアップされ,それ以外の部分がなかなか見えて来なかった。周知の通り,これは分かりやすいイメージを作り出し,認知を高めるというプロモーション上の施策である。これだけ数多くのオンラインゲームが市場に溢れている昨今では,「アレもできます,コレもできます」と多様性を強調するよりも,軸となるコンテンツに特化してアピールした方が人々の関心を惹きやすいからだろう。
とはいえ,こうした施策は,肝心のコンテンツがしっかりしていない場合,すぐにメッキが剥がれてしまうものだ。C9はどうかというと,実際に触れた人のアクション性に対する評価が軒並み高い。
また生産システムに関しても,中川氏が実際に生産中心のプレイを試してみたとのことで,その充実振りに感心したという。「アクションゲームは苦手だから……」と,C9を敬遠してきた人にとっても嬉しい情報ではないだろうか。
C9の“プレオープンテスト”(クローズドβテスト)の参加者募集は,2011年7月11日12:00まで行われている。このインタビューを読んで興味を持ったなら,ぜひ応募しよう。
「C9 [Continent of the Ninth]」プレオープンテストに4Gamer読者枠で応募する
※テスター募集は7月11日正午まで- 関連タイトル:
C9 (Continent of the Ninth)
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